GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです 作:のぞむ
「ハァ…ハァ…!」
ましろは息を切らせながら何もない真っ暗な空間を走っている。しばらく走っていると彼女が想いを寄せている少女の背中が見えてくる。
「クウちゃん!」
ましろが名前を呼ぶと、クウが振り返って彼女に向かって笑みを浮かべる。
次の瞬間、クウは
「クウちゃんッ!!」
クウの名前を叫ぶように起き上がるましろ。彼女がいたのは自室のベッドの上であった。どうやら就寝中にましろは悪夢を見てしまったらしく、外はまだ暗く、ゆりかごの中でカカロットも眠っていた。
「今の…夢…?」
ましろは先程見た出来事を夢だと自覚し、汗まみれの手を見て震えてしまっていた。
「クウちゃん…どこにいるの…?」
そう呟くましろは今にも不安に押し潰されそうな表情をしていた。クウが姿を消して明日で一週間が経とうとしており、今日までクウを探していたのだが一向に見つからずにいた。
すると部屋の外からノック音が聞こえ、ましろは部屋のドアを開ける。
「ソラちゃん…?」
部屋を訪れたのはソラだった。
「夜遅くにすみません。ましろさんの声が聞こえてきたので…」
「ごめんね…ちょっと怖い夢見ちゃったから…」
「大丈夫です。誰だって怖い夢を見てしまいますから。それに、私も中々眠れませんでしたし…」
「そうなんだ…」
「…ましろさん。少し外の空気を吸いに行きませんか?」
ソラの提案にましろは承諾し、二人で外に出る。
「…ましろさん、もしかしてクウの夢を見ていたんですか?」
「…うん。私ね、とても暗い場所を一人で走ってて、その先にクウちゃんがいて、声をかけたらクウちゃんが振り向いてくれたの。でもすぐに、クウちゃんが黒い何かに呑み込まれて…っ」
段々と辛そうな声色になるましろをソラが優しく抱きしめる。
「…大丈夫です。クウは絶対に帰ってきます」
「…夢なのはわかってるよ。でも不安なの…このままクウちゃんが帰ってこなかったらって考えちゃうと…」
「…正直に言っちゃいますと、私も不安なんです」
「えっ?」
ソラの言葉を聞いてましろは気づいてしまう。自分を抱きしめるソラの体が小刻みに震えている事を。
「それでも、私は信じてるんです。クウが元気に帰ってくる事を…」
「ソラちゃん…」
「明日もクウを探しに行きますけど、ましろさんは無理せずに休んでもいいんですよ?」
「ううん、大丈夫だよ!明日も頑張ってクウちゃんを探そ!」
「ましろさん…はい!」
ソラとましろはクウを見つけ出すと意気込む。
「ありがとうソラちゃん。ちょっとだけ楽になったよ」
「フフッ、どういたしまして。そろそろ戻りましょうか」
「そうだね」
二人はそれぞれ自室に戻り、しっかりと就寝したのであった。
次の日、ソラ達は街の方でクウの捜索をしていた。
「すまないね。お嬢ちゃんに似た女の子は見てないよ」
「そうですか…」
ソラは通行人に自分と似た女の子、つまりクウを見てないか聞いてみたのだがクウに関する情報は得られなかった。
「またダメだったね…」
「はい…でも諦めません!必ずクウを見つけてみせます!」
「張り切るのはいいんだけど、一旦ツバサ君とあげはさんと合流してみない?もしかしたら何か情報を手に入れたかもしれないし」
「そうだね」
スイの提案で一旦別行動をしていたツバサとあげはと合流する。
しかし二人もこれといった情報を得られなかったようだ。
「くう、どこ…?」
「あう…」
「大丈夫!絶対にクウちゃんは見つかるからね!」
クウに会えず、落ち込んでいるエルとカカロットをあげはが元気づけようとする。
「っ…!?」
突然ソラの表情が変わる。
「ソラさん、どうしたの?」
ソラの様子に気づいたスイが彼女に訊ねる。
「…クウ?」
「えっ?」
ソラが呟くクウの名前を聞き、全員がソラが見ている方向を見る。
そこになんとクウの姿があったのだ。
「クウちゃん…?」
するとクウは突然歩き出してしまう。
「クウ!!」
「ソラさん!待って!」
ソラはクウを追いかけていき、その後をスイも追いかける。
「…ねぇ、さっきのクウちゃんって…」
「わかってる。どう見ても変だったよね…?」
「はい…さっきのクウさん、気を感じませんでした…!」
クウを追いかけていたソラはとある工事現場にやってくる。そこには一人佇んでいるクウの姿があった。
「クウ!無事だったんだね!」
ソラは安心してクウに歩み寄る。
「ダメだ!!」
そこへスイの声が聞こえてくる。
するとクウが突然ソラに向かって殴り掛かってきた。
「えっ…?」
突然の事で流石のソラも呆然としてしまった。
「ソラさん!」
間一髪でスイがソラを押し倒したことでクウの拳を避けることが出来た。
「ハァーッ!!」
スイが気功波をクウに向かって放つ。気功波を喰らったクウは跡形もなく消えてしまった。
「どういう事、ですか…?」
「さっきのクウは偽物だよ。気も全く感じなかったからただの幻影だ」
「ご名答!」
鉄骨の上から耳障りな声が聞こえてくる。もちろん声の主はバッタモンダーだ。
「バッタモンダー!」
「君達は人の気配を感じ取れるみたいだけど、君はそれも出来ないくらい焦ってるみたいだね」
「何の為にこんな事を!私に対する嫌がらせですか!そんなに私の事が憎いんですか!?」
「ああ…とっても憎いね!!」
バッタモンダーの脳裏にはスカイランドの城で起こった出来事が浮かび上がっていた。
『動くなっ!!』
『そこから、エルちゃんとカカロットちゃんに1ミリでも近づいたら…絶対に許さない!!』
「心優しいこの僕に、ドス黒い憎しみの心を植え付けたんだ!それ相応の報いは受けてもらわなきゃねぇ…!」
バッタモンダーが指を鳴らすと突然地面が揺れ始める。
「な、なんだ…?」
「気を付けてください!何か来ます!」
「ランボーグーーッ!!」
しばらくすると地面の中からランボーグが現れる。
「さーて、はたしてこのランボーグに勝てるかな?」
「ソラさん!」
「はい!ヒーローの出番です!」
ソラはミラージュペンを持ち、プリキュアに変身する。
「ランボーグー!」
ランボーグはその場から高くジャンプし、そこからスカイとスイ目掛けてパンチをしてきた。
二人は間一髪でランボーグの攻撃を避けることが出来たが、ランボーグのパンチが当たった地面が深くめり込んでしまっていた。
「なんて威力…当たってたらタダでは済みませんね」
そこからスカイはランボーグに攻撃を仕掛ける。しかしその攻撃はランボーグに防がれてしまった。
「スカイ、離れて!」
「は、はい!」
スイの指示でスカイはランボーグから離れる。
「ハァーッ!!」
「ランッ!?」
スイは気弾を放ち、ランボーグを怯ませることに成功する。
「今だ!」
「はい!ヒーローガール!スカイパァーンチ!!」
スカイは浄化技をランボーグに当てる。大抵のランボーグはここで浄化する事が出来るのだが…
「ラン…ボーグ!!」
しかし、今回のランボーグは浄化されず、それどころかピンピンしていた。
「嘘でしょ!?」
「あのランボーグ、かなりの手慣れの様です!」
「フフッ、驚くのはまだ早いよ…ランボーグ、あれを使え!」
「ランボーグ!」
バッタモンダーの命令を聞いたランボーグは両手を右側に回して構えを取る。
「っ!…あ、あの構えは…!?」
ランボーグの構えを見たスカイは信じられないと言わんばかりに驚いてしまっていた。
「ラ~…ン~…ボ~…グゥーーーーッ!!」
ランボーグは両手にエネルギーを溜め、それをスカイとスイに向かって放ってくる。
すぐさま二人はランボーグのエネルギー砲を避けるが、あまりの出来事に二人は呆然としてしまっていた。
「スカイ…今のって…」
「か…かめはめ波です…どうしてランボーグが…!?」
スカイが驚くのも無理はない。現時点でかめはめ波を使えるのはスカイと姉であるクウの二人だけなのだから。
「ま…まさか…!」
その時、スカイの脳裏に最悪の可能性が浮かび上がる。
「そのまさかさ。このランボーグの素体は君の姉、クウ・ハレワタールさ!」
バッタモンダーはランボーグの素体になっているのは行方不明のクウであると告げてくる。
「あのランボーグが、クウだって…!?」
「どうして…どうしてクウがランボーグに!?バッタモンダー!クウに何をしたんですかっ!?」
スカイは声を荒げながらバッタモンダーに問う。
「簡単な事だよ。スカイランドの城で屈辱を味わったあの日、僕は森で気を失っているクウ・ハレワタールを見つけたんだ。だから僕は彼女にアンダーグ・エナジーを注ぎ込ませてもらったのさ!」
「えっ…?」
「でもどういう訳か、彼女に注ぎ込んだアンダーグ・エナジーのほとんどは体内から消えてしまって、ランボーグにする事は出来なかったんだよね…でも、クウ・ハレワタールの中に入った少量のアンダーグ・エナジーが成長すればランボーグに出来るとわかっていたから今まで見逃していたんだけど、この前君達と闘った時、ついに彼女の中のアンダーグ・エナジーが大きくなったんだ。そしたらどういう訳か、クウ・ハレワタールは自分から姿を現したんだよね~!だからすぐランボーグに変えてやったよ!」
「そんな…!?」
「君も酷い事をするねぇ~。大好きなお姉ちゃんを攻撃するなんてさぁ…ランボーグ…いや、クウボーグ。やれ!」
「ランボーグー!!」
クウボーグは拳を振り上げ、スカイに攻撃を仕掛ける。
「クウ…」
しかしスカイは呆然としたまま動かないでいた。
「スカイ!」
間一髪のところでスイがスカイを押し倒し、攻撃を回避することが出来た。
「しっかりしてスカイ!このままじゃクウを救うことが出来ないんだよ!?」
「…どうやって、クウを助けるんですか?」
「えっ…?」
「もし上手くいかなかったら、クウはどうなるんですか…?」
「なに弱気になってるんだ!いつものスカイらしくないじゃないか!絶対にクウは助け出せるよ!」
「気休めはやめてくださいっ!」
スカイを説得するスイであったが、スカイは聞く耳を持たない。
「スカイ…」
「ハハハ!仲間割れとは惨めだねぇ…終わらせろ!クウボーグ!」
「ランボー…」
スカイとスイに攻撃しようとしたクウボーグであったが、ある人物の攻撃で地面に叩きつけられる。
「いい加減にしろよ、バッタモンダー…!」
その人物とはなんとスイであった。スイはこれまで見せた事がない怒りの表情でバッタモンダーを睨む。
「ヒッ!?」
「謝ろうが泣き叫ぼうが…お前はもう許さない!!」
そう言ってスイは一瞬でバッタモンダーに近づき、彼の腹部を殴る。
「ガハッ!?」
「ハァーーーーッ!!」
そこから連続でバッタモンダーにパンチをするスイ。
「ダァーーーーッ!!」
最後にスイは拳に力を入れ、バッタモンダーを殴り飛ばした。
「ハァ…ハァ…」
スイは息が切れているものの、なんとか立ち上がっていた。
「えっ?これってどういう状況!?」
そこへプリキュア、エル、カカロットが駆けつけてくる。
「スカイ!」
「スイちゃん!」
プリズムとカカロットはスカイの元へ、ウィングとバタフライ、エルはスイの元へ駆け寄った。
「これ、スイさんがやったんですか?」
「えっ…?」
我に返ったスイは辺りを見回す。
「これ、私がやったの…?」
「覚えてないんですか?」
「うん…バッタモンダーにカっとした所までは覚えてるんだけど…」
「多分スイちゃんじゃないかな?だってあいつ、スイちゃん見て凄くビビってるし」
スイはふとバッタモンダーの方を見る。バタフライが言う通り、かろうじて意識を保っているバッタモンダーはスイを見て臆していた。
「ヒ、ヒィーーッ!!お許しください!カイゼリン様ぁーーー!!」
「カイゼリン…?」
突如一同が聞いた事のない名を叫びながらバッタモンダーはスイに許しを請う。スイは知らない筈の名で呼ばれて首を傾げている。
「みんな!あの倒れてるランボーグ、クウちゃんだよ!!」
スカイから話を聞いたプリズムはウィング達にクウボーグの事を教える。
「えっ!マジ!?」
「あのランボーグがクウさん!?」
ウィングとバタフライは驚いてしまう。
「うわっ!?」
「わぁーーっ!?」
突如起き上がったクウボーグは赤いオーラを身にまとい、ウィングとスイを殴り飛ばす。
「ウィング、スイちゃん!」
「ランボーグー!!」
続けて標的にされたバタフライがシールドを展開するがあっさり破られ、吹っ飛ばされてしまった。
「みんな!」
「うっ…あれは…」
「界王拳…!」
どうやらクウボーグは界王拳で自身の戦闘力を上げているようだ。
「は…ははっ!いいぞ!そのままやっちまえ!クウボーグ!」
「ランボーグー!!」
続けてクウボーグはスカイとプリズムを標的にし、接近してくる。
プリズムは戦意喪失しているスカイを庇う様に前に出る。
「ましろさんっ!!」
スカイは思わずましろ呼びをしてプリズムに手を伸ばす。
(クウちゃん…!)
その時、どこからか紫色のエネルギー砲が放たれ、クウボーグに直撃する。
「えっ…?」
「な、なんだ今の!?」
「ギャハハハ!!どうなのねん?俺様の『カバトン
すると上空から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
一同が上を見上げると、そこには宙を浮かぶカバトンの姿があった。