GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです   作:のぞむ

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プチイヤイヤ期なプリンセス

「ここは…どこ?」

 

とある薄暗い洞窟。そこにいたのはスイ一人だけだった。

 

「私、部屋で寝てた筈なんだけど…」

 

そう、きっとこれは就寝中のスイが見ている夢なのだろう。

 

困惑していたスイだったがとりあえず歩き始めたようだ。

 

スイにとってここは覚えのない場所だったが、どういう訳かスイはこの場所を懐かしく感じていた。

 

それから歩き続けるスイの元へある人物が駆け寄ってきていた。どういう訳か顔がぼやけていたが、その人物はスイと同じ年代の女の子の様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お姉様!

 

女の子がスイを呼んでいたタイミングで、彼女の夢は終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昔々、ある所に平凡な女の子がいました」

 

ましろは自身が描いた絵本の話をエルに語っているようだ。

 

「女の子がお買い物に出かけていると、空から双子のヒーローガールがやってきました」

 

「くう!そら!」

 

エルが絵本に描かれている双子の女の子を指差し、クウとソラだと言う。

 

「正解!」

 

どうやらこの絵本の話はクウ達の出会いが元になっている様だ。

 

「ましろさーん!」

 

「はーい!エルちゃん、ちょっと待っててね」

 

ソラに呼ばれたましろはエルを残してその場から離れていった。一人残されたエルはましろが描いた絵と絵を描く時に使っているであろう色鉛筆とクレヨンをジッと見ていた。

 

「…える!」

 

何かを思いついたのか、エルはクレヨンを手に取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エルちゃん!お待たせ…」

 

「みてみて!えるだよ!」

 

クウとソラと一緒に戻ってきたましろが目にしたのは絵にデカデカと描かれているエルの顔だった。

 

「おっ!結構上手く描けてんじゃねぇか」

 

「あはは…エルちゃんはこの後お花の中から生まれる予定だったんだけどね」

 

「エルちゃん!メッ!ですよ?」

 

「ムゥ~…」

 

ソラに注意されたエルは頬を膨らませる。

 

「いいよいいよ、手が届くところに置いていた私が悪いんだから…」

 

「ダメです!ここでちゃんと言わないとエルちゃんの為になりません!」

 

「まぁそうカッカすんなって。ましろがいいって言ってんだしさ」

 

「クウ!前から思ってたけど、クウはちょっとエルちゃんやカカロットちゃんを甘やかしすぎだよ!それに昔、レッドが家の中で遊んで植木鉢を壊しちゃった時も自分が壊したってママに嘘ついてレッドを庇ってたでしょ?」

 

「そ、そういやそんな事もあったけか?」

 

当然クウの嘘は母親のレミにあっさり見抜かれてしまい、レッドと一緒に大目玉を喰らったらしい。

 

「エルちゃん、もうましろさんの絵を勝手に触ってはいけませんよ?約束しましょう」

 

そう言ってソラは小指を出してエルと指切りをしようとする。

しかしエルはソラと指切りをせずにクウとましろの元まで歩いていった。ましろに抱き着くとエルはジト目でソラを見てある一言を口にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そら、きらい」

 

その一言は、ソラに大きなショックを与えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~…スイさぁ~ん…!」

 

「え~っと…大変だったね?」

 

リビングで一通りの話を聞いたスイは困惑しているものの、ショックを受けているソラの背中を優しくさすって慰めていた。当のエルはソファに座って頬を膨らませている。どうやらまだ機嫌は治っていない様だ。

 

「あ~わ?」

 

エルがご機嫌斜めな事を不思議に思っていたカカロットだったが別にそこまで気に留めてなかったらしく、自身が遊んでいた積み木遊びを再開した。

 

「これって、ひょっとしたらプチイヤイヤ期かもね」

 

そんな中であげはがプチイヤイヤ期じゃないかと口にする。

 

「プチイヤイヤ期?」

 

「ああしたい、こうしたい…自分の意思が通らないと拗ねたり泣いたりする、ちっちゃい子が大きくなる中でみんな通る道。だからソラちゃんが落ち込む事ないって」

 

「うぅ…わかってますけどぉ…」

 

「まぁ見てて…エルちゃん。エルちゃんは自分の事も描いてほしかったんだよね?」

 

「…うん」

 

「でも勝手に描いたら、ましろんがえーんえーんってしちゃうよ?だからダメ。わかった?」

 

あげはは諭すようにエルにそう言う。

 

しかしエルはソファから降り、今度はクウに抱き着く。そして先程と同じくジト目であげはを見てある一言を口にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あげは、きらい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてソラに続きあげはが再起不能となり、エルの機嫌も先程より悪くなってしまった。

 

「さて、どうやったらエルの機嫌を治せっかな?」

 

クウはご機嫌斜めのエルを抱っこしながらそう口にする。

 

「そうですね…」

 

「それならこのチラシが役に立つと思うわ」

 

「あっ、ヨヨのばあちゃん!」

 

いつの間にかリビングに来ていたヨヨはクウ達にあるチラシを見せる。

チラシにはソラシド写真館という建物が写っており、そこでは百種類程の子供用レンタル衣装を取り扱っているらしい。

 

「えるぅ~…!」

 

そういったクウ達の話し声が聞こえたのか、エルは目を輝かせながらクウから離れる。

 

「える、いきたい!」

 

エルは写真館に行きたくなった様だ。それを見てソラとあげはも少し元気が戻ったようだ。

 

するとエルはチラシを持ってカカロットの元まで移動する。

 

「かかろもいこ!」

 

「…うぅ」

 

エルはカカロットを写真館に誘おうとしたが、別に興味がなかったのか断る素振りを見せて積み木遊びに戻った。

 

「ムゥ~…かかろ!いくの!」

 

「エルちゃんストーップ!」

 

エルが無理矢理にでもカカロットを連れて行こうとするがましろに止められてしまう。

 

「エルちゃん、ちょっと待っててね」

 

「ましろ…」

 

ましろはカカロットに優しく語り掛ける。

 

「カカロットちゃん。エルちゃんはね、カカロットちゃんと一緒に思い出作りをしたいだけなんだよ?だからそんなに邪険にしないであげて」

 

「あぅ…」

 

「でもね、カカロットちゃんの意思も尊重したいから、行きたくなかったら無理して来なくていいんだよ?」

 

ましろの言葉にカカロットは俯く。しばらくすると立ち上がってエルとの手を持った。

 

「…あう」

 

「…うん!」

 

カカロットはぶっきらぼうながらも行くと言っているらしく、エルは嬉しそうに頷いた。

 

「よーし!それじゃあさっそく…」

 

「あ、わりぃんだけどさ、今日オラはついていかなくていいか?流石に今日くらいは修行してぇしさ」

 

「あ、私も今日は勉強したいから…ごめんね」

 

「え~!?」

 

「クウとスイさんも行きましょうよ!」

 

「う~ん…でも無理して連れて行くのも良くないよ…」

 

「それはそうですけど…」

 

ソラが二人を誘うがましろが無理して連れて行くのは良くないと口にする。

 

結局クウとスイを覗いた面々がソラシド写真館に行くことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁスイ、ちょっといいか?」

 

ソラ達を見送り、スイが自室に戻ろうとしたところをクウが呼び止める。

 

「いいけど、どうしたの?」

 

「おめぇ、なんか考え事してねぇか?」

 

「えっ…?」

 

「今日のおめぇはなんか様子が変だぞ。なんかあったのか?」

 

「…実は、変な夢を見たんだ」

 

「夢?」

 

スイは起床する直前まで見ていた夢の事をクウに語った。

 

「なるほどな…」

 

「それに夢の中で見た女の子…顔がぼやけててよく見えなかったけど、初めて会った気がしなかったんだ…それがちょっと気になって…」

 

「う~ん…女の子かぁ…そういやさ、そいつの髪色とかもわかんなかったのか?」

 

「あ、それならわかってる。確か紅色…よく考えたら、私と同じ髪色だ…」

 

スイと同じ紅色の髪の少女。この共通点を聞いたクウはその少女の正体がおおよそ見当がついていた。

 

「なぁスイ、ひょっとしてそいつ…」

 

クウは自身がまだ会っていない、以前カバトンから聞いたとある人物を思い浮かべてスイにその人物の名を告げようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

そんな時だった、突如として遠くから気を感じ取った二人。

 

それはクウにとってこの世界で初めて感じる邪悪な気だった。

 

「この気…アンダーグ帝国の奴だな!スイ!」

 

クウはスイを呼ぶが、当のスイは冷や汗を流し、少し震えていた。

 

「…急ごう、クウ!」

 

「え?」

 

「何故かはわからないけど…この気の持ち主を放っておいたら大変な事になる!そんな気がするんだ!」

 

「…わかった!行くぞスイ!」

 

「うん!」

 

クウとスイは家を出て気の持ち主がいる方角まで舞空術で飛んでいった。

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