GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです 作:のぞむ
「なんだか、こっちの方が楽しんじゃったね」
「フフッ、ましろん、エルちゃんはどう?」
「はしゃぎすぎちゃったかな…ぐっすり眠ってるよ」
「そっか、カカロットちゃんも一緒かな?」
エルは後部座席のチャイルドシートで、カカロットは助手席のチャイルドシートでぐっすり眠っている。席の関係でツバサは鳥形態になってソラの膝の上に座っていた。
ソラシド写真館にはプリキュア全員の衣装とクウが着ている道着があり、エルとカカロットは全員の衣装を着て楽しんだそうだ。
「そら…」
するとエルが目を瞑りながらソラの名前を呼んだ。
「エルちゃん、起こしてしまいましたか?」
「…だいすき」
エルは笑みを浮かべながらそう言った。どうやら寝言だったようだ。
「…私も大好きです、エルちゃん」
そう言うとソラはどこか寂しそうな表情になる。
「ソラちゃん?」
「…いつの日かアンダーグ帝国との戦いが終わって、世界に平和が訪れて、もうプリキュアが必要なくなった時…エルちゃんはスカイランドに帰って、私達のプリンセスからみんなのプリンセスになる…なのに、エルちゃんが大きくなるところを、ずっと見ていたい…今、そう思ってしまいました…」
そう口にするソラの眼には涙が溢れ出ていた。
「…そうだね。いつか離れ離れになる日が来る…でもそれは、今じゃないよ」
「…はい」
ましろの言葉を聞いて少しだけ気が楽になったのか、ソラは笑みを浮かべていた。
そんな時だった。車を運転していたあげはが突然急ブレーキをかけた。
「ひゃっ!?」
「あげはさん!大丈夫ですか!?」
「う、うん!目の前にいきなり人が…あれ?いない?」
あげはは目の前に人が現れたから急ブレーキをかけたそうだが、目の前には誰もいなかった。
「あげはさん!あれ!」
ツバサの声でソラ達はバックミラーを見ると、そこにいたのはフードを被っている人物だった。
「だ、誰…?」
「あげはさん!早く車を!」
「わかってる!」
あげはは車を急発進してフードの人物から離れていく。
「アンダーグ帝国の敵なら戦いましょう!」
「…やばいよ、あれ」
「えっ?」
「…あの眼、闘いの前の高ぶりも、緊張も、怒りも憎しみも何も、何もありませんでした…あんなに冷たい眼は見た事がありません…それだけじゃありません。あんなに邪悪な気、今まで感じた事がありません…!」
そう口にするソラの手はこれまでとは比にならない程震えていた。
すると車の上から誰かが降り立ったかのような音が聞こえてきた。フードの人物が車の上まで移動していたのだ。
「開け」
フードの人物がそう言うと黒い空間が現れ、車はその空間の中に入っていった。
「ここ、どこ…?」
黒い空間を抜けた先は霧深くなったどこかの駐車場だった。
「あう…?」
先程の騒ぎもあり、眠っていたカカロットも目を覚ました。
「あ、ああっ!エルちゃんが…エルちゃんがいません!」
「えっ!?」
なんとチャイルドシートにいた筈のエルがいなくなっていたのだ。ソラ達は慌てて車から出てエルを探し始める。
「えるぅーーーっ!!」
上からエルの悲鳴に近い叫びが聞こえてくる。ソラ達が上を見上げるとエルがシャボン玉の中に閉じ込められて上空に開いた穴に吸い寄せられていた。
「エルちゃん!?」
それを見たソラ達はすぐに舞空術で飛んで助けに向かおうとする。
「あうぅーーーーーーっ!!」
「カカロットちゃん!?」
それよりも先にカカロットが舞空術で飛んでエルを助けようとしていた。
「邪魔をするな」
いつの間にかカカロットの側にいたフードの人物にカカロットは叩き落とされてしまい、地面に落ちそうになっていた。
「カカロットちゃんっ!!」
「ったく、危ねぇな!」
そんな時、クウがこの場に駆けつけ、カカロットが地面に落ちる前に受け止めることが出来た。カカロットは先程の攻撃で気を失っていた。
「クウ!」
「クウ・ハレワタール…まさか」
フードの人物がすぐさまエルを見ると、スイがエルのそばまで飛んできていた。
「すい!」
「エルちゃん!」
スイはエルをシャボン玉から助け出すことに成功する。しかし、既に穴の中に近づいてしまっており、スイとエルは穴の中に消えてしまい、穴も閉じられてしまった。
「ここは…夢で見た…」
スイとエルが辿り着いたのは、スイが夢で見た洞窟と同じ場所だった。
「くう…そら…つばさ…ましろ…あげは…かかろ…どこ?」
「フフフ…」
すると後ろから声が聞こえてくる。二人が振り向いた先には女性の姿があった。
「えっ…?」
スイはその女性を…その女性の顔を見て驚愕していた。
「…すい?」
そう、その女性の顔はスイと瓜二つだった。
スイと違い大人の姿をしているが、スイが大人になればこのような姿になるだろうと言わんばかりに二人は瓜二つなのだ。
「スイ…今のあなたはそのような紛い物の名で呼ばれているのですね」
「あなたは…ひょっとしてカイゼリン…?」
スイはこの女性をカイゼリンなのではないかと思い問いかけるが、女性は答えない。
すると女性はスイに近づいてくる。すると女性はスイに抱き着いてきた。
「え…?」
「やっと…やっと会えました…お姉様」
一方クウはプリキュアに変身している仲間達と共にフードの人物との闘いに備えていた。
「スイさんとエルちゃんを返しなさい!」
「答えろ!二人をどこへやった!?」
「アンダーグ帝国に送った」
ウィングの問いかけにフードの人物は答える。
「アンダーグ帝国に…!?」
「なるほどな…そんじゃおめぇもアンダーグ帝国から来たっちゅう事か」
「その通り」
そう言って人物はフードを外し、その素顔を露にする。
「私の名はスキアヘッド。アンダーグ帝国の支配者、カイゼリン・アンダーグ様の命により、プリンセス・エルと少女を頂いた」
「…教えてくんねぇか?何でカイゼリンはエルだけじゃなくてスイまで狙ってんだ?」
「あのお方はスイなどという名ではない」
そう言ってスキアヘッドは、衝撃の言葉を口にする。
「あのお方の名はカイザリン・アンダーグ様。カイゼリン様の双子の姉君だ」
「スイさんが、カイゼリンのお姉さん?」
「う、嘘だ!そんなの嘘に決まってる!」
「いいや。どうも嘘じゃなさそうだ」
「その通り。私は嘘はつかない。私が求めるのは真実のみ」
スキアヘッドがそう言うとクウは戦闘態勢に入った。
「そんじゃあ…おめぇをぶっ倒してスイとエルを連れ戻す!」
「不可能だ」
「ヘヘッ、やってみなきゃわかんねぇぞ!」
「クウの言う通りです!」
そう言ってクウとスカイはスキアヘッドに向かっていった。
「ダリャーッ!!」
「ハァーッ!!」
二人が殴り掛かるとスキアヘッドは軽々と後ろへ飛んで攻撃を避ける。
「開け」
背後にトンネルを作りその中に入っていく。
「消えた!?」
「…ウィング!そこだ!」
「はい!」
気を感知したクウはスキアヘッドが出現する場所をウィングに伝える。
そして予測通りの場所に出現したスキアヘッドにウィングが殴り掛かり、攻撃を当てることが出来た。
「ほう…開け」
ウィングに吹っ飛ばされたスキアヘッドだったがすぐさまトンネルを開き、別の場所に移動していた。
「返しなさい…私達のエルちゃんを…スイさんを!」
『返せぇぇぇぇーーーーーー!!』
全員が同時にスキアヘッドに向かっていく。
「守れ」
しかしスキアヘッドがそう口にすると、自身を守るバリアの様な物が現れクウ達の攻撃を受け止める。
「弾けろ」
スキアヘッドを守っていたバリアが弾け、それによりクウ達は吹き飛ばされてしまった。
「くっ…おめぇら!」
「うっ…!」
ダメージを負いつつもクウは立っていたが、プリズム、ウィング、バタフライは地面に倒れてしまい、スカイは倒れていなかったが立ち上がるのがやっとの様だ。
「やはりこの程度の攻撃ではお前は始末出来ないか」
スキアヘッドはクウを見てそう口にする。
「お前はプリキュアではないが、ただの人間が持ちようのない強大な力を持っている…答えろ、お前は何者だ」
「…オラは、そんな大層な存在じゃねぇぞ」
「今のオラはただのスカイランド人、クウ・ハレワタールだ!!」
クウは界王拳を発動し、スキアヘッドに向かっていく。
「まも…」
「ダリャッ!!」
スキアヘッドは再びバリアを張ろうとするがその前にクウがスキアヘッドの顔面に向かって気弾を放つ。これによりスキアヘッドはバリアを作れずクウに殴り飛ばされた。
「思った通りだ。おめぇは口で言わねぇとバリアも張れねぇし穴を開く事も出来ねぇ」
「貴様…」
「まだ勝負はついてねぇぞ、スキアヘッド」
「クウの…言う通りです…!」
するとフラフラ状態のスカイが歩き出した。
「絶対に…スイちゃんとエルちゃんを…取り戻す!」
地面に倒れていたプリズムも立ち上がり、ウィングとバタフライの二人も立ち上がろうとしていた。
「勝負ってのは、どっちかが
「…下らん」
するとスキアヘッドは上空まで移動し、アンダーグ・エナジーを集め始める。それは球体状の形となりどんどん膨れ上がっていった。
「そんならオラだって」
クウはかめはめ波の構えを取る。
「か~…め~…は~…」
かめはめ波と球体のアンダーグ・エナジーがぶつかり合うと思われた次の瞬間、暗かった空が突如晴れた。
「…来たか」
それを見たスキアヘッドは小さく呟く。
空からは光が降り注ぎ、そこから紫色の髪の少女が現れる。
「誰…?」
「この気…まさかあいつ!」
困惑していた者もいるが、その中でクウは気でこの少女の正体に気づいた。
「う…?」
そんな中気を失って近くの木々に隠されていたカカロットが意識を取り戻し、上空にいる少女に気づく。
「え…る…?」
少女の姿を見たカカロットは小さく呟いた。
「消し飛ばせ」
そう言ってスキアヘッドは球体を少女に向かって投げ飛ばす。
「…ひろがるチェンジ」
少女がそう呟くと球体は消し飛んだ。
少女は姿が変わっており、紫色の衣装を身に纏っていた。その姿はプリキュアを彷彿とさせるものだった。
「新しい…プリキュア…!」
少女はスキアヘッドに向かっていった。
「守れ」
スキアヘッドはバリアを張って少女の攻撃を防いだ。
「…問おう。お前の名は?」
「マジェスティ…キュアマジェスティ」
少女…キュアマジェスティがそう言うとスキアヘッドを守っていたバリアが崩れていく。
「キュアマジェスティ…その名、知識の宮殿に記録しておこう」
そう口にし、スキアヘッドは撤退しようとする。
「逃がさないぞ、スキアヘッド!」
しかし、ある人物がスキアヘッドの背後に立っており、撤退を阻止する。
その人物は、エルと一緒にアンダーグ帝国に連れ去られた筈のスイだった。