GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです 作:のぞむ
「あ…あれが…スイちゃん…?」
「ヤバ…さっきとは比べ物にならないくらい気が上がってるよ…」
「お、お姉様…」
「…へ…へへ…!」
覚醒したスイの変わり様に、プリズム達は驚いていたが、クウはどこか嬉しそうにしていた。
「?…何をする気だ」
スイはダークヘッドに闘いを挑まず、片手を上に向かってあげる。すると辺りに広がっていたアンダーグ・エナジーの海が突如として浮かび上がり、全て消滅した。
「なっ…!?」
ダークヘッドはスイを見て驚愕していた。このような芸当はアンダーグ・エナジーの化身であるダークヘッドにも出来ないものだからだ。
「!…う、動けるよ!」
アンダーグ・エナジーの海が消えた事でクウ達の調子がある程度回復し、立ち上がることが出来た。
「バタフライ!ミックスパレットでソラを回復させろ!まだかすかに生きてる!」
「わ、わかった!二つの色を一つに!イエロー!ブルー!癒しの力、アゲてこ!」
バタフライはすぐさまソラに癒しの力をかける。するとソラを突き刺していた槍は消滅し、刺し傷も塞がれた。
「う…ん…?」
「ソラちゃん!」
無事にソラの意識が戻り、プリズムは涙を流しながらソラを抱きしめた。
「良かった…本当に良かったよぉ…っ!」
「プリズム?…私、スイさんを庇って…スイさんは!?」
ソラはすぐにスイを探す。すると彼女は姿が変化しているスイを見つけた。
「スイさん…姿が変わってます!?どういう事なんですか!」
「簡単な話だ。スイの中に眠ってた力が、怒りによって目覚めたんだ」
クウがそう言っている中、スイはダークヘッドの元まで向かっていっていた。
「どういう力かは知らないが、それだけの事で私を倒せると思っているのか?」
「倒せる」
「!…フン」
ダークヘッドは無数のアンダーグ・エナジーのビームをスイに向けて放った。
しかしスイはほとんどダメージを受けていなかった。全て直撃した筈だが、今のスイにとってなんてこともない攻撃だったようだ。
「効いていないだと!?…ならば」
「ハッ!」
「ガハッ!?」
もう一度ビームを放とうとしたダークヘッドだったが、スイは一瞬の内に距離を詰め、一発の拳をダークヘッドの腹部に当てた。
「が…ぁ…どういう事だ…何故、たった一発のパンチで…これほどのダメージを…!?」
「今のは、貴様に殺されたお父様の分だ」
「ほ、ほざけぇ!!」
ダークヘッドはスイに攻撃を当てようとするがスイはすんなりと避け、ダークヘッドの顔面にもう一発拳をぶつけた。
「ぐ…ぉ…!」
「今のが、散々貴様に弄ばれたカイゼリンの分…そしてこれが、ソラさんの分だ!!」
そのままダークヘッドに蹴りを入れ、壁まで吹っ飛ばしたスイ。彼女はそこから歩いてダークヘッドの元まで向かっていった。
「あれが、今のスイさん…!」
「…クウちゃん、前に言ってたよね?スイちゃんがその気になれば、この世界で一番強いって。あれってホントだったんだね」
「ああ…やっぱ、あいつの潜在能力はとんでもねぇな…!」
「…なんだか嬉しそうだね、クウちゃん」
プリズムがクウの隣になってそう口にする。実際クウはどこか嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「ま…まさか…こんな事が…!?」
この時、ダークヘッドはハッキリと恐怖を感じた。そして後悔した。どんな手を使ってでも、カイザリンをすぐに殺すべきだったと。
「おのれ…おのれぇ…おのれぇーーーーっ!!!!」
叫び声を上げたダークヘッドはそこから宙を浮かび、アンダーグ・エナジーを両手に浮かべて増大させていた。
「ダークヘッド!まさかアレを、お姉様にぶつけるつもりか!?」
「ちょ、ちょっと待ってください!あんなのを撃たれたら、僕達もタダじゃ済みませんよ!?」
「大丈夫です、ウィング」
ウィングが慌てる中、ソラはどこか落ち着いている様子だった。ソラは信じているのだ。スイなら必ず何とかしてくれると。
「仲間諸共、消えるがいいっ!!」
ダークヘッドは最大まで高めたアンダーグ・エナジーをスイがいる場所へと放った。一方スイに慌てる様子はなく、ただじっと佇んでいた。
「かめはめ…」
「波ぁぁーーーーーーっ!!!!」
スイは最大パワーのかめはめ波を放ち、アンダーグ・エナジー諸共ダークヘッドの元まで押し返した。
「な、なんだと!?」
ダークヘッドはかめはめ波を押し返そうとするがそれは出来ず、かめはめ波に呑み込まれた。どうやらパワーに差があり過ぎたようだ。
「そ…そんな、バカなぁぁーーーーーーーーーっ!!」
かめはめ波に吞み込まれたダークヘッドは断末魔を上げながら消えていった。この闘いの勝者は、紛れもなくスイだ。
「…ダークヘッドの気が消えた。スイが勝ったんだ」
「や…やった…やったんだよね…?」
「ゆ、夢じゃないですよね…」
するとバタフライがウィングのほっぺを軽く引っ張った。
「
「ほら少年!夢じゃなかったでしょ?」
「…終わったよ、カカロット!」
一同は闘いが終わり、各々が喜びを分かち合っていた。
「終わった…」
決着がついた事を確信し、スイは変身を解いた。
「スイさん!!」
するとソラがスイの元まで駆け寄ってきた。
「ソラ…さん…?」
「やりましたね!スイさん!とってもカッコよか…」
ソラが喋っている中、突然スイがソラを抱きしめた。
「えっ?ス、スイさん…!?」
「良かった…君が生きていて…本当に良かった…っ!」
そう口にするスイの目には涙が浮かんでいた。
「…大丈夫です、スイさん。私はここにいます…」
そう言いながらソラもスイを優しく抱きしめたのだった。
「私も、お前達の家に?」
「うん。あなたさえ良かったら、どうかな?」
カイゼリンを連れて虹ヶ丘家へ帰ってきたクウ達。カイゼリンはましろから一緒に住まないかと提案されていた。ちなみにアンダーグ帝国との闘いは終わったが、クウとソラといったスカイランド組も来年の春まで虹ヶ丘家で暮らすようだ。
「本当に良いのか?…これまで私は、お前達を襲ってきたのだぞ?」
「関係ないよ。あなたが本当は優しい人だってわかってるから…それに、300年間一緒に過ごせなかった時間を、スイちゃんと過ごしてほしいんだよ」
「私も賛成です!クウもそうだよね!?」
「勿論だ!」
どうやらこの場にいる全員がカイゼリンの同居に賛成しているようだ。唯一カカロットだけがカイゼリンに警戒心を見せているが、これまでのことを考えると仕方がないのかもしれない。
「カイゼリン。これからまたよろしく頼むよ」
「…はい。お姉様」
スイ達に快く迎えられ、カイゼリンは涙を流していた。
「あなたの部屋は用意してあるから、今日はゆっくりしてちょうだい」
「ありがとうございます、ヨヨ殿」
「それにしても良かった!おめぇの傷もすっかり治ったみてぇだし」
そう、これまでカイゼリンにはキュアノーブルによって出来てしまった古傷があったのだが、ミックスパレットの力で治す事が出来たのだ。カイゼリンはダークヘッドから光の力はアンダーグ帝国の人間にとっては毒だと教えられていたが、同じくアンダーグ帝国の人間であるスイもミックスパレットの癒しの力をかけられていたと知り、無事に治す事が出来たのであった。
「…礼を言わせてくれ。あなたのおかげで、またお姉様に会う事が出来た。ありがとう、ソンゴクウ」
「礼なんていいって!オラがスイに会えたのは偶然なんだからさ!…いや、こういうのは偶然じゃねぇってヨヨのばあちゃんが言ってたっけ…ま、いっか!」
「…フフッ、やはりあなたは、お姉様が言っていた通りの人だな…一つ聞かせてほしい」
「ん?なんだ?」
「あなたは、キュアプリズム…ましろの事が好きか?」
「へ?」
カイゼリンからそう問われ、クウは頬を赤らめている見てくるましろを見る。
「ああ!大好きだ!…あっ、勿論恋愛的な意味だからな?」
「もう、クウちゃんってば…」
「そうか…これからも仲良くするんだぞ」
「おう!」
「では、私は部屋で休ませてもらう」
そう言ってカイゼリンは自室となる部屋に向かっていった。
「…お幸せに」
この時のカイゼリンは涙を流していたが、その表情はどこか爽やかであった。
こうして、300年に渡る彼女の初恋は終わったのであった。
その頃、アンダーグ帝国の最下層では…
「わ…私は死なん…必ず復活し…貴様に復讐してやる…カイザリン…!」
アンダーグ・エナジーが一ヶ所に集まり、それは徐々にダークヘッドへと変化していた。プリキュアの力で浄化しなかった影響か、ダークヘッドは復活しようとしていた。
「…こちらの私は、随分と無様なのだな。知識の宮殿に加えておくとしよう」
そんなダークヘッドの目の前に孫悟空の姿をしたあの男が現れた。
「き…貴様…丁度良い…私に、更なる力を…!」
「…フン」
すると男はダークヘッドに手を向け、彼をその中に吸い込もうとしていた。
「な、何を…!?」
「お前は何か勘違いをしているようだ。お前に力を分け与えたのは、奴らを倒させる為ではない。最高の力を手にしたお前を、私の力の一部とする為だ」
「な、なんだと…!」
「話は終わりだ。愚かなる末路を辿ったダークヘッドよ」
「バカな!こんな、こんなところでぇーーーーっ!!」
ダークヘッドは男の手の中に吸い込まれていった。
「…孫悟空、孫悟飯、そしてプリキュアどもよ、闘いはまだ終わってはいない…束の間の平穏を、大切に過ごすが良い」
「ダリャリャリャ!!」
「ハァァーー!!」
「タァーー!!」
ダークヘッドとの闘いから数日後、クウ、ソラ、スイの三人は精神と時の部屋で修行をしていた。クウとスイはいつもの道着を着ているが、実はソラも道着を着て修行をしていた。ソラが着ているのはクウと同じ道着で、唯一の違いはアンダーシャツが長袖になっているくらいだ
ちなみに神殿にやって来た際、ソラとピッコロは顔を合わせたのだが…
『あなたがピッコロさんですね!私はソラ・ハレワタールです!』
『お前がクウの妹か。よろしく頼む』
『はい!…ところでピッコロさん、顔色が優れないようですけど、大丈夫ですか?』
『ほっとけ!元々こういう顔色だ!』
このような会話があったらしい。
「ふぅ…そろそろ一年が経ちますね」
「おっ!もうそんなに経ってんだな!」
この時点で既に三人とも一年分の修行をしてきたそうだ。ちなみにクウとスイの髪は再び長くなっていたが、昨日既に散髪して元通りの髪型にしたそうだ。
「にしてもスイ!あの力をモノにする事が出来たみてぇだな!えっと…」
「『ビースト』だよ」
「そうだ!ビーストだったな!」
ビーストというのはダークヘッドとの闘いでスイが見せたあの形態の名だ。ちなみに名付けたのはあげはだったりする。
「あの…スイさん」
「ん?どうしたのソラ?」
「この部屋を出たら…一緒にデートに行きませんか…?」
ソラは少し上目遣いになりながらスイをデートに誘っているようだ。
「勿論だよ!」
「あ、ありがとうございます!」
「ハハッ!おめぇらすっかり恋人同士だな!」
「えへへ…!」
実はダークヘッドとの闘いの後、ソラとスイは恋人同士になったのだ。これまでソラをさん付けで呼んでいたスイだったが、ソラにさん付けはいらないと言われ、現在は呼び捨てになっている。
それから三人は部屋を出ようとするが、それが出来ずにいた。
「で、出入口が…」
「ありません!」
そう、外の世への出入口となるドアがなくなっていたのだ。
「どうなってんだ、こりゃ…?」
「外の世界で、何かが起こったとか?」
「だ、だとしたら大変です!なんとか外に出る方法はないんですか!?」
「そう言われてもな~…そうだ!そういや悟天から聞いた事があるぞ!」
「悟天…さん?」
「それって、クウの世界にいたっていう俺の弟だよね?」
「ああ!確か…」
それからクウが語ったのは、悟天とトランクスが合体したゴテンクスとピッコロが精神と時の部屋に閉じ込められた時の話だ。その時は超サイヤ人3になったゴテンクスの叫び声で空間に穴を開けて、精神と時の部屋から出られたそうだ。
「スイ。ビーストになって大声を出してみてくれ」
「う、うん…ハァッ!!」
スイはビーストに変身し、全力で大声を出してみた。すると空間に穴が開いた。
「あ、開きました!」
「よし!飛び込むぞ!」
「「うん!」」
そこからクウ達は部屋の外に出ることが出来た。
「…どこだ、ここ?」
クウ達が出てきたのは神殿ではなく、見た事もない草原だった。
その草原から見えたのは、一つの大きな城だった。
次回から新章に入ります。連載初期からずっと書きたかった章なのでこれから書けるのが楽しみです!