明日の方舟よ、良い旅を   作:アルパカ戦士

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唐突なエピソード系、申し訳ありません。

ラスト付近の構成に若干手間取り、その間に書きたい欲が出てきてしまったので書いちゃいます。


エピソード20 変化

 ロドス・アイランド製薬。テラにおける感染者問題の根本的な解決を目指し日夜活動するそこは、これまでに数々の事件に介入してきた。

 テラにおける感染者問題は、その背景が多岐に渡り、状況によっては武力蜂起すら起こり得る。それに対処するため、ロドス・アイランドは製薬会社にも関わらず、何故か戦闘部隊が常設されている。

 外勤オペレーターに協力を仰ぐことも多々あるが、やはりその中核を担っているのはロドス直属の戦闘オペレーター達。

 

 これは、そんな戦闘オペレーターの卵である行動予備隊のとある一日。

 

 

 

「昨日のAce教官の扱き、マジ辛かったよな」

「一本取れなかったら訓練場100周って、今時そんなのありかよ」

「後半は私達もバテバテでしたし、体力不足は改善すべき課題なんですからしょうがないですよ」

「いや、それより俺達4人掛かりで一本も取れないAce教官の方がやばくね?」

「「「それはそう」」」

 

 そんな愚痴をこぼしながら、行動予備隊14の面々は揃ってロドス艦の廊下を歩いていた。

 丁度同じ時期に入職した4人は、そのまま同じチームで活動する事になりしばらく経つ。職種も前衛、術師、狙撃、重装とバランスが取れており、年齢も然程離れていないため話も合う。リーダーである龍人の少女を筆頭に、個々の潜在能力も高く、優れた評価を受けていた。

 

 今日は午前にそれぞれ訓練があり、午後には商品を運ぶ輸送隊の護衛任務がある。今やテラの各地を股にかけた大事業を展開する、ロドス職員としての忙しない日常に気合を入れていると、向かい側から重装備のオペレーターが手を振りながらこちらに走ってくるのが見えた。

 

「おいお前ら聞いたか?!」

「おいおいどうした。まさか緊急任務か?」

 

 息を切らせて走ってきたのは、重装組の同僚。

 

「いや違う。午前は、前衛組と重装組で、合同訓練の予定だっただろ?」

「ええ。それが何か?」

「そこでうちのカーディ教官とあのメランサさんが、模擬戦やるってよ!」

 

 その発表に、思わず2人が目を見開く。

 

「マジか! 見逃せないな」

「ああ、なんたって()()との戦いだ。重装組としてはぜひ参考にしたい」

 

 喜色を浮かべる男子達。龍人の少女も、同じ前衛オペレーターとして、()()とまで称されたエリートオペレーターの模擬戦は値千金の価値がある。

 高揚する2人を見て、術師と狙撃の2人も肩を竦めそれに同行する事にした。分野の違う戦闘ではあるが、得られるものは多いだろうという判断だ。

 

 全員での観戦が決まった彼らは、小走りで訓練場へと急いだ。

 

 

 訓練場には、既に噂を聞きつけたオペレーター達が見物席に座っていた。そこには近い時期に結成された他の行動予備隊の姿もあり、自然と彼らと近い席に座る。

 多くの観衆が見守る中、2人のオペレーターが向かい合っている。

 

 1人は分厚い防弾チョッキとゴーグル付きヘルメットで武装したペッロー。そしてもう1人は、皮鎧ですらない軽装で腰に一振りの剣を佩いたフェリーンの女性。

 

 ロドスに就職してから数年の時を経て、その美貌と覇気にはより一層の磨きがかかり、彼女そのものが一振りの刃のように思える。

 切れ長の眦が光を反射し、対するカーディは腰を沈めた。

 

「よろしくね、メランサちゃん」

「ええ、よろしく」

 

 審判はいない。あくまでもこれは後進育成のための模擬戦であることに加え、2人の実力を考えれば間違いなど起こるはずもないという判断だった。

 

 カーディは防御を崩さない構え。同じくベテランの重装オペレーターであるビーグルに比べ些か機動面を重視している彼女だが、今回はそれも鳴りを潜め不動の構えを貫いている。それは普段彼女から重装の教えを受けている生徒からすれば鉄壁のように思える。訓練で槌や剣をぶつけ、時にはその体ごと突進しても、それは微塵も揺らぐ事はなかった。

 

 それに対し、メランサは武器を抜き正眼に構える。程よく筋肉は弛緩し、しかし体幹は上から吊り上げられたかのようにピンと張られている。理想的ともいえる初動の構えだ。

 メランサの怜悧な瞳がこちらを射貫き、カーディの体がぞくりと震える。

 

「これは、油断できないね」

 

 小さく笑い、カーディは盾を持つ手の感触を確かめた。

 カーディの盾を鉄壁とするのなら、メランサの刀はそれすら斬り伏せる斬鉄の剣。常人では持ち上げる事すら苦労する片手の盾が、今日は少し頼りなく感じられた。

 

 しばらく沈黙が訓練室を包む。動き出さない2人を固唾を呑んで見守る訓練生。変化は突然だった。

 

 メランサの姿がブレた。

 

 チッ、と土を蹴る短い音の後、金属音が高く響く。

 2人はいつの間にか盾と刀をぶつけ合っていた。

 

 目にも止まらぬ速さ。それを経験と勘で防いだカーディはその膂力を活かして盾を突き出す。

 流石に至近距離の単純な質量勝負では分が悪かったのかメランサは一度退く。突き出された盾の勢いを利用して後ろに大きく飛んだメランサは、雲獣のようなしなやかさで静かに着地した。

 

 追撃はしない。カーディの勘が今動こうとすれば返り討ちにされると告げていた。

 

 再びメランサが動く。刀は腰だめに構え刃渡りを隠し、今度は細かいステップを左右に踏み、仕掛けるタイミングを悟らせないまま距離を詰める。それに対しカーディは待ちの姿勢。軸を変えてくる彼女を常に正面に捉えつつ、仕掛けてくる予兆を見逃すまいと集中している。

 

「なあ、なんでカーディ教官は距離を詰めないんだ?」

 

 固まっていた重装組の1人が疑問を口にする。あれだけのスピードを持った相手だ。下手に前に出れば逆に自分の首を絞める事になるだろうとは予想していた。だがそれにしても、彼らのカーディ教官はメランサに対し過剰なほどに距離を取っているように見受けられた。

 

 そして答えは前衛組の1人から出た。

 

「多分、メランサさんが距離を取らせてるのよ。対面してないから分かりづらいだろうけどそういう技術がある。メランサさんも鉄壁を崩す準備もできてない状況で間合いを完全に潰されたらスピードが活かせない」

 

 剣域と呼ぶのだと、前衛オペレーターの訓練生は本人から聞いていた。

 まるで今そこに剣が振るわれているかのように感じられるほどの圧が、そこにある。それは達人同士であるならば息をするようにそれを展開し、またそれを読み取る。そうして互いの間合いを測りながら駆け引きを行うのだという。

 

 そこから先はしばらくヒット&アウェイが続く。時折、メランサの姿がブレたかと思えば激しい金属音が鳴る。気が抜けない攻防は幾度も勝敗をつけないまま流され、繰り返される。

 こうした中で、2人は互いの間合いを測りつつ特定の動作に対しどうアクションするのか、そういった無数のデータを集め攻略法を探っていく。戦闘の強さにはそういった頭の回転の速さが重要なのだと教え子達は学んでいた。それが今目の前で、実例として繰り広げられている。

 

 なんと高度な戦いだろうか。敵の攻撃に対応した盾の構え、流れるような足捌き、そしてその脳内で繰り広げられているのだろう、読み合いの深さ。

 この試合を見学できただけで値千金の価値がある。食い入るように見つめる訓練生達。

 

 

 そして試合が動く。

 

 重なる連撃に耐えかね一度距離を空けようとカーディが右手のトンファーを大きく振った。彼女の膂力に遠心力も加わった一撃を避けたメランサに対し、カーディが数歩後ろに下がる。

 

 それに対しメランサは無理に追う素振りは見せず、代わりに腰のベルトから何かを引き抜き手に構えた。

 

「隠し武器?!」

 

 これには流石に意表を突かれたのだろう。見ていた全員が目を見開く。

 ここ周辺では中々お目にかかれない武器だ。手裏剣という、極東の忍と呼ばれる集団が好んで使う暗器の一種。それは平たく、四方に突き出た刃が鈍く光っている。掌サイズのそれをメランサは振りかぶり、投げた。手首の特殊な使い方によって、それは軌道をぐにゃりと曲げ左右から襲い掛かる。

 

 遅れて気付いたカーディが慌ててそれらを弾く。右はトンファーで、左は盾で。

 

 左右に意識を割かれ、突然の奇襲で盤石だった守りの精神にここで乱れが生まれる。

 そこを見逃す程、剣聖は甘くない。

 

 距離が消えた。意識を割かれた数瞬で彼我の距離を塗りつぶし眼前に現れたメランサ。その剣は既に左の腰溜めで解放の時を待っている。

 急いで盾を戻そうとするカーディ。

 だが。

 

「! えっ?!」

 

 盾がもう一度、跳ね上がる。メランサのすらりとした足が伸びその縁をかちあげていた。

 柔軟性と重心移動、双方が合わさった見事なハイキックに今度こそ体勢が崩れる。後ろにのけ反るカーディの目前で、メランサが満を持して横薙ぎの一閃を放つ。

 

 ここで並みのオペレーターであれば詰みとなっていただろう。だがカーディは持ち前の膂力と反射神経で咄嗟に右手のトンファーで防ぎにかかる。

 

 これで受け止め、僅かな猶予を稼ぐ。体勢を立て直し再び持久戦に持ち込めばまだ勝機はある。幸い盾を跳ね上げられた際、体が左に傾いたことでその分右手は体幹に寄っていた。

 刀より先に右手のトンファーが刀の軌道に割り込んだ。それに対応してメランサの軌道が僅かに修正されやや袈裟切りに近くなるが、それでも問題ない。予想される衝撃に耐えられるよう、力を籠める。

 

 しかし激突の間際、それは起こった。

 刀が霞のように消え、構えられたトンファーをすり抜けた。

 

「なっ?!」

 

 気が付けば、カーディの首元に刀が添えられていた。

 訓練生達が思わず声を上げる。外野から見ても、刀が先程どのように決め手になったのか見当がつかなかった。当事者であれば自分が今何をされたのかすら分からなかっただろう。

 

 

 カーディは驚きのあまり声すら上げられない。

 確かに今、防御は間に合っていたはずだった。煌めく一閃と自分の間に右手のトンファーは差し込まれていた。

 

「流石に引っかかるよね。私もそうだった」

 

 メランサの平坦な声が僅かに温かみを帯びる。冷たい刃が喉元から離れ、一本を取ったメランサが刀を鞘に納める。

 

 これは彼女が師事した数多の達人の内、極東の侍であったアカフユに授かった技の1つ。刀を振るう際手元を柔軟に保つことで、相手の受けに回った刃を躱しつつ一撃を与える技術。影抜きと呼ばれる秘剣だった。

 

 過去の鍛錬に記憶をつい懐かしみ、メランサは呆けているカーディに微笑みかける。

 

「これで、勝負あり」

「……うん、降参!」

 

 先程までひりつく攻防を繰り返したとは思えない程、あっさりと勝負は決した。

 カーディが盾を下ろし、被っていたゴーグルを脱ぐ。滴る汗が弾け満面の笑みが露になる。真剣勝負の気配はもはや消え去り、感極まったカーディはそのままメランサに抱き着き頬をこすりつけた。

 

「すごいすごい! さっきのまるで刀が消えたみたいだったよ! メランサちゃんすごい!」

「ちょ、メイリィ。今はまだ仕事中……」

 

 尻尾をぶんぶんと振り回す彼女の背後には、舌を荒げる大型犬の幻影が見える。

 彼女が人懐っこいのはいつもの事だ。こんなスキンシップにもいつの間にか慣れた。多くの訓練生に見守られながら、メランサは抱き着いてくる親友の頭をいつも通り優しく撫でた。

 それがまた嬉しいのか、カーディはメランサを見上げて目を輝かせる。

 

「この後一緒にご飯食べよ! もうお腹ぺっこぺこ」

「そうね。久しぶりだけどいい?」

「もちろん!」

 

 昼にはまだ少し早いが、模擬戦も終わったのでキリがいい。

 メランサとカーディは揃って訓練場を出ていった。その後ろ姿を眺めながら、龍人の少女は呟く。

 

「あの2人、新任者の時から一緒なんだって」

「俺、あんな風に笑うメランサさん初めて見た」

 

 今見た戦いの凄さと、滅多に見れない剣聖の素顔に、次代を担うロドスのオペレーター達は呆然としていた。

 

 

 

 

 

「はい、これで定期健診は終了です。お疲れさまでした」

「ありがとう」

 

 ロドスの医療部に設けられた診察室で、簡素な貫頭衣に着替えたメランサは捲った服を整えた。目の前では端末に診察結果を打ち込む医者の姿がある。

 その彼の横顔を暫し眺める。メランサがロドスに入職してから今までずっと見てきた顔だ。ほとんど変わらなかった身長も今では10cm以上も引き離されてしまっている。メランサは女性の中でも割と高身長な方だが、彼はすっかり逞しくなっていた。

 ピンク色の長髪は照明に反射して時折白く透き通って見える。そんな淡い前髪の奥には血の色に似たルビーのような瞳が覗いている。かけた眼鏡のレンズは画面の青色光を反射していた。

 

 タイピングの音が止み、彼、アンセルがこちらに向き直った。

 

「源石融合率、血液中源石密度、その他どれも異常なしです。良かったですね」

「……」

「? どうかしましたか?」

 

 自分をじっと見つめるメランサに首を傾げる。考え事に耽っていたメランサは慌てて訳を話した。

 

「何でもないの。ただ、あれから随分経ったなって」

 

 事故で鉱石病に感染し、迫害から逃れるため両親が探してくれたこの艦。採用試験を受けた日のことは今でもよく思い出せる。

 そこから戦闘オペレーターとして正式に採用され、アンセル達行動予備隊A4の皆と出会って。いくつもの作戦に身を投じた。成功もあったし、失敗もあった。救えなかった命もあれば、奇跡のような偶然が繋いだ命もある。

 波乱万丈といっていいこれまでの出来事は、そのどれもが鮮明すぎて瞬く間に過ぎていった。そんな感覚が彼女に今の状況とギャップを感じさせていた。いつの間に彼は、こうも大人になっていたのだろうと。

 

「まあ、そうですね。カーディさんは重装オペレーターの指導教官に、メランサさんに至ってはその年齢でエリートオペレーターですからね。早いものです」

「アンセルも、アシスタントじゃなくて正式にロドスの医療オペレーターになったじゃない」

「僕なんてまだ新米ですよ」

 

 そう笑うアンセルはへにゃっ、という音が似合う笑い方をした。少し疲れているのか体に覇気がなく、目元は少し隈らしきものが見える。

 

「大変、でしょ?」

「全然、他の先輩方に比べたら楽な方です。フォリニックさんは新薬の開発と掛け持ちですし、ガヴィルさんに至っては戦地を駆け回りながらですからね。こういった定期健診の担当は、ススーロさんなんて僕の2倍は抱えています」

 

 それに比べればどうってことないのだと、そう空元気に振る舞うアンセル。

 メランサがその前髪を掻き分ける。ビクッと固まるアンセルを無視して額に手を当てた。触れた彼の額は、自分の掌よりも僅かに熱が籠っているように感じた。

 

「熱があるみたい」

「……さっき解熱剤を飲んだのでもうすぐ効いてくると思います。それに僕はコータスなので、平熱はこんなものですよ」

 

 動揺からなんとか回復してアンセルは言う。こういった突拍子もない行動にはアンセル側も慣れたものだ。行動予備隊として活動していた頃から、実力はあるのに人と接するのが苦手で距離感を測りかねる言動が多かった。今にして思えば、優しい彼女なりに隊長としての務めを果たそうと必死だったのだろうとは思っているが。

 とはいえ、そのまま年を重ねてしまったからなのか、気心の知れた相手には今でもこういった事をしてしまう彼女である。アンセルは触れられた瞬間、近寄ったその整った容姿と掌の感触に熱が若干上がった事は秘密にした。

 

 そう、と納得しながらも依然として手を放さないメランサはアンセルから離れてはくれない。それどころか間近から覗き込んで、釘を刺すように懇願する。

 

「無理は、しないでね」

「分かっていますよ。医者の不養生なんて諺だけで十分です」

 

 言葉少ない彼女だが、切に心配してくれていることは分かるので振りほどくのも気が引ける。何より、そんな彼女の心が僅かなりとも自分に向けられていることに、決して他者には話せない喜びを感じているのだから。

 

 暫し視線が交わる。彼女には、言葉よりも目に感情を乗せた方が伝わるのだとアンセルは知っている。透き通ったピンクの瞳に安心するよう微笑めば、鏡合わせのようにメランサの表情も和らんだ。

 このまま、ずっと言葉すら要らない会話を楽しんでいたい。そう思い始めていたところで、コンコン、と扉を叩く音が聞こえる。

 

 バッと離れた2人。アンセルはなるべく平常心で外に入るよう言った。その返事を待ってましたとばかりに力強く扉が開く。

 

「メランサちゃん、健診終わった!?」

「う、うん」

「あれ、アンセル君だ! 久しぶり!」

「ええ、お久しぶりです。相変わらず元気ですね」

「えへへ、そうかな~」

 

 照れくさそうに笑うカーディは今も変わらず行動予備隊A4のムードメーカーだ。そんな彼女を見て2人が和む。彼女もまた確実に年を重ねている。隊を結成したばかりの頃の彼女ならばメランサの存在を確信して返事も待たずに扉を開け放ち、そしてスチュワードに叱られていたことだろう。

 

(まあ、距離感が近いのは相変わらずですが)

 

 メランサにカーディが抱き着く。普段から彼女のスキンシップはやや激しい。頬をモチッとすり合わせている2人の様子は、疲れていたアンセルの心に一時の潤いを与えた。ああ、同期愛は素晴らしきかな。

 

「そういえばカーディさん。お伝えしておこうと思って」

「どうしたの?」

 

 暫しその様子を止めるでもなく眺めていたアンセルだったがふと思い出した。先日トランスポーターから渡された便りに、彼ら共通の旧友の名があったのだ。

 

()、今日の便でこっちに戻ってくるそうですよ」

「!」

 

 アンセルの言う彼が誰の事なのか、それを悟ったカーディは一目散に走り出した。

 その背に廊下は走っちゃだめですよ~と形だけ忠告し、アンセルはメランサと目を合わせ笑った。

 

「よっぽど嬉しかったんですかね?」

「ふふ、そうね」

 

 2人は揃ってもう1人の旧友を思い浮かべる。今頃カーディは発着場へとダッシュしている事だろう。彼は久しぶりの再会になんて顔を浮かべるだろうか。

 時は過ぎ、変わったものもあれば変わらなかったものもある。朧気だった感情は明確な名を与えられ、それを育む時期は過ぎ去り今は実りの季節といったところか。昔から凹凸の嚙み合った2人とは思っていたが、片方が無邪気に過ぎるので諦めかけていた。それに進展があったのはつい最近のこと。

 

 知らせを聞いた時の彼女の表情を、カメラで撮って見せてあげたいと2人は思った。

 

 




次に続きます。

カプ厨解放!!!
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