明日の方舟よ、良い旅を   作:アルパカ戦士

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アークナイツ2024記念特別動画見ました。

この二次創作書いてよかった。

あと何笑てんねんコシチェイ。しばくぞ


第二十五話 特等席

 

 目の前の光景に、夢でも見ているのだろうかと疑う。

 窓から差し込む僅かな光に照らされて、その白銀の髪が揺れる。

 こちらを見る彼女は、儚く、美しかった。

 

 冷え込む部屋の中、それでも彼女に繋がれた右手から熱が伝わってきてこれが現実だと分かった。

 

「・・・ずっと、こうしてたのか?」

「エレーナから目を覚ましたと聞いてな。急いで来てみれば、お前がまた寝ていた」

 

 いい大人になって子どものようにあやされているというのに、不思議と嫌悪感はなかった。

 一定のリズムで頭を行き来するその手に、安心感すら覚える。

 

 ただ慈しむように、割れ物に触れるかのように労わるその手に、全てを委ねてしまいそうだ。

 

 エレーナからはかなり塞ぎこんでいたと聞いたが、今は落ち着いているようで安心する。

 

(そうだな。タルラはやっぱり笑顔が似合う)

 

「アリーナは、無事か?」

 

 聞くのに勇気が必要だったが、聞かなければならないことだった。シャイニングさんは大丈夫だと言っていたが、俺に気を遣っていた可能性もあったし、俺が寝ている間に容体が急変したかもしれない。

 だが彼女は俺を撫でる手を止めず、微笑みながら問題ないと言った。

 

「ああ。戦士の何人かが亡くなったが、被害はずっと少ない」

「そうか」

 

 被害をゼロにはできなかった。後悔しそうになるが、気持ちを切り替える。

 俺達は最善を尽くした。幸運も味方した。ならこれ以上を望むのは傲慢だろう。

 それよりも、今後どうするべきか、それを考えなければ亡くなった彼らに示しがつかない。

 

 

「まあ、こういう事もある。幸い皆んなとはいかないまでも大勢が無事だったんだ。タルラも会ったと思うが、ロドスアイランドっていう製薬会社との協力関係も結べそうだ。そうすれば、今よりも品質の良い抑制剤が手に入るし同志も増える。俺達の理想に、もっと近づける」

 

 今回の事でこいつもかなりヘコんでいるだろうし、前向きな意見で慰める。

 

 実際、やっとここまで来た。遂に主人公達と関わりが持てるだろうし、原作と違って今後も気を付けていけば彼らと友好的な関係を保てるだろう。

 同じ理想を追い求める者同士、互いに支え合えればもっと違う未来に辿り着けるかもしれない。

 

 まだまだやるべきことはある。それらにどう対処するか、なんともやりがいのあることじゃないか。

 同意を得ようと彼女を見るも、何故か返事がない。

 タルラはただ、愛おしいものを見る目で俺を見つめている。

 

 この視力の落ちた目でも顔が見えるほど距離は近いのに、なんだか遠く感じて不安になる。

 

「タルラ?」

 

「そうか。君はまだ、立ち向かえるのだな」

 

 なんだよ急に、お前らしくもない。

 どうしたと、そう聞こうとして言葉に詰まる。

 

 

 首を振る彼女の瞳が、涙で揺らいでいた。

 

「私は、もう、だめだ」

 

 

 それはほんの些細なきっかけで溢れてしまいそうで、今まで見た事も無いほど弱弱しい彼女の姿に呆然としてしまう。

 

 タルラが身を寄せる。何も邪魔するものがない静寂のなか、シーツの擦れる音が耳に残った。  

 タルラが繋いでいた右手が離れ、俺の袖を握る。

 

「気付いて、しまったんだ。この世界は、悪辣で、残忍で、善意あるものを容易く攫っていく。感染者とそうでない者の溝は、どうしようもなく、深い」

 シャツの袖がくしゃりと掴まれシワになる。

 まるでもう遠くに行かないように縋る、子どものようだった。

 

「そんなこと・・分かってたじゃないか。それでも、理想を現実にしようって」

「でももう無理なんだ! 耐えられないんだ! 皆んなを、君を、失うかもしれない。そう考えただけで、足が竦む。立ち上がる方法すら、思い出せなくなる」

「タルラ・・・」

「何より!」

 そう言って、苦しそうに胸を抑えるタルラ。

「何より、君をこんな目に遭わせた、この世の全てが憎いっ! 痩せた大地も、アリーナを傷つけた軍人も、自らを守るためなら仲間を差し出すことも躊躇わない民達も! 私から、大切な人を奪っていくこの世界も!」

 その悲痛な声に、胸が締め付けられる。

「考えが足りなかった! その結果を、君に押し付けた! 縋ることしかできなかった、弱い自分が・・・憎い・・・」

 そう言って、タルラは俯いてしまった。

 その表情は見えない、ただ彼女から水滴が零れシーツに吸い込まれていった。

 

 彼女は懺悔していた。

 無力な自分に絶望し、世界を呪おうとしている自分に悲しんでいた。

 

 

 滅多に涙を流さない彼女が、背負った重みに潰されそうで見ていられなかった。

 奮い立ってくれと、そう願って彼女を励ます。

 

 

「妹に、会うんだろう? どうせなら、かっこいい姿で会いたいじゃないか」

 

 俺は知っている。

 彼女の妹であるチェンは、龍門で警備局長をしながらもタルラを探すことを諦めていなかった。

 そんな彼女も、鉱石病を患っていることを隠しながら、あの地で感染者のために藻掻き苦しみながらも戦っている。

 姉として、そんな彼女に負けてられないじゃないか。

 

 それだけじゃない。俺は知っている。

 

 ギャングに支配された街で、それでも新たな支配の形を模索し手を取り合った若者達を。

 腐敗した騎士の都で、己が信じる騎士道を体現しようとした勇敢な騎士を。

 放浪しながらも、日夜感染者の為に治療を行う高潔な人達を。

 俺達と同じ、鉱石病による差別と争いを失くそうと戦う方舟を。

 

 このテラの大地は冷たく、無慈悲で、残酷だけど。

 

 それでも、それに抗おうとする仲間がいることを、俺は知っている。

 

 

「挫折したっていい。折れたって構わない。それでも、お前は最後にはまた立ち上がれる」

「なぜ、断言できる?」

「いつも言ってるだろう。人を見る目はあるんだよ。それに、お前は1人じゃない」

 

 この目が源石に覆われようと、視力をほとんど失っても。

 あの日視た輝きは決して忘れない。

 お前の理想は、何も間違っていない。

 

 だから、そんな顔しないでくれ。

 俺は笑顔が好きだ。心の底から、幸せが溢れたような笑みが好きだ。

 タルラの浮かべるそれは、きっとどんな花よりも美しくて、太陽より輝いて見えるだろう。

 そんな世界で一番美しいものを、俺はお前の隣で見たいんだ。

 

(ああ、そうか)

 

 自分の胸の内にある想いを、自覚していく。

 いつからかなんてわからない。

 アークナイツの世界に転生して、最初はできる限りの人を救えればと思っていた。

 彼女はそんなうちの1人でしかなかったはずだった。

 

 

(俺、惚れてたのか)

 

 

 それが、彼女とこれまで歩んで多くを知り、かけがえのない、譲れない大切な人になった。

 救われてくれれば、なんて思わない。

 俺が救いたい、お前の傍でそれを見るのは、自分でありたい。

 初めて、そう思った。

 

 

 だがそんな俺の言葉を、首を振ってやんわりと断るタルラ。

「もういいんだ、お前が無事なら。これからは2人で、戦いとは無縁な場所で、穏やかに過ごそう」

 

 そう言って、縋る様に俺の手を握った。それに頷いてしまいそうになる。

 

 そりゃそうだ。愛しい相手からのそんな誘い、魅力的に決まってる。

 

 きっといいパートナーになるだろう。愛情深い奴だし、学もある。

 この提案を受け入れたら、お前は一生俺の隣で笑ってくれるんだろう。

 

 

 でも、それは違う。

 

 

 俺はお前の色んな表情が見たい。声も聴きたい。

 作戦を考えるときの真剣な眼差しも、剣を振るう凛々しい横顔も、子ども達に囲まれて笑う穏やかな表情も、一緒にアリーナに詰め寄られる少し情けない姿も。

 全部全部、この目に映したい。

 

 でも、お前を俺に縛り付けるのは、嫌だ。

 

 タルラが、レユニオンが、自由に羽ばたいていく様を、俺は見たい。

 

 

 だから。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「タルラ、こっちに寄れ」

「・・・なんだ?」

「勇気が出るおまじないだ」

「返事は、してくれないのか?」

「焦るなって。いいからこっちこい」

 

 昼よりは動けるようになった体をなんとか起こし、ベッドの上にタルラも座らせる。

 向かい合う彼女の胸に手をかざし、アーツを発動させる。

 

 視界がレンズを通すように入れ替わり、魂以外がまた暗闇へと姿を消す。

 

 今までの俺では、彼女に植え付けられたアーツの残滓すら捉えることはできなかった。

 

 だが、アーツの適性が上がった俺にははっきりと見えている。

 タルラに巣くう、黒い蛇の全容が。

 

 それは彼女の魂に絡みつくように、黒く細長い胴体が渦を巻いていた。

 現実に心を折られ、戦いから逃げようとする彼女に今か今かと鎌首をもたげ、その魂を飲み込まんと狙いを澄ましている。

 

 

 それを、わし掴む。

 

 

 タルラの魂を見据えていた頭が、こちらを向く。警戒するように、蛇舌がチロチロと動いていた。

『やはり、私が視えているのか』

 頭の中に、奴の声が直接流れ込んできた。

 その声は驚きつつも、どこか納得しているようだった。アリーナの蘇生を見て、さすがに勘づいたらしい。

 

 でも、もう関係ない。

『やっと尻尾を掴んだぜ、不死の黒蛇』

『! なぜそれを』

『時間が無いんでな、これだけ伝えておく』

 

 やっと、言いたかったことをぶつけられる。

 前世からずっとため込んでいたヘイトを解放し、宣言する。

 

 

『娘の体乗っ取ろうなんて変態親父に、タルラはやれねえ。こいつは、俺の相棒だ』

 

 

 掴んだ胴体を引っ張り、タルラの魂から引き剝がす。

 抵抗して俺の魂に絡みつこうとするが構わない。

 奴を掴むアーツの手に、力を込めていく。

 

 俺が何をしようとしているのか、奴はようやく悟ったようで止めようと声を上げる。

『待て、貴様』

『じゃあな、モンペクソ親父。これが俺達からの離縁状だ!』

 

 静止の声も無視して、掴んだそれを握りつぶす。

 

 胴体をねじ切られたそれは、やがて黒い靄となって霧散した。

 

 ウルサスの裏で遥か昔から暗躍する巨獣の一柱、それにしてはやけにあっけなかった。

 だがこれでいい。元々寄生するタイプだから本体にそこまで戦闘力は無いだろうし、別に苦労して戦いたいわけじゃない。

 

 これでようやく、タルラはコシチェイの呪いから解放された。

 長かった戦いが1つ終わったことに安堵する暇もない。

 

 俺の一連のやり取りも、彼女には見えていなかったらしい。

 返事も何もないことに不安を覚えたタルラが聞いてくる。

 

「何を、していたんだ?」

「悪霊を追い払っていたんだよ。これで夢見が良くなるはずだ」

 

 間違ったことは言っていない。

 今のタルラに詳しく話しても理解できないだろうし、知らなくていい。

 

 俺をじっと見つめるタルラに、再度向き合う。

 シーツの上に座る彼女は弱っているからだろうか、足を外側に畳み滅多にしないいわゆる女の子座りをしているのもあって、いつもより幼く感じる。

 

 タルラの右手が、また俺の袖を掴む。

 力も大して入っていない、誘うようないじらしさに、一瞬胸が熱くなる。

「お前が望むなら、なんだってしよう。稼ぎは任せろ、体は丈夫だから私が代わりに働いてやる。それか、君の商会で働くのもいいかもしれない。貿易の仕事で遠くの地を一緒に見てみよう。長旅がきつくなったら、空気の綺麗な田舎で自給自足するのもいい。差別も争いもない、穏やかな土地でゆっくりと過ごそう」

 だから2人で逃げてしまおうと。

 袖を引き、俺になんとも情熱的な提案するタルラ。

 聞く限り、なんとも素敵なスローライフだ。

「2人で寂しいなら、子どもも作ろう。生まれなければ、養子でもいい。愛情をかけて、強く優しい子に育ててやろう。偶にイーノやサーシャ、エレーナやアリーナ達も呼んで、話をしよう。彼女らにももしかしたら家族ができているかもしれない。そうしたら彼らも呼んで、パーティーでもしよう」

 顔を赤らめながら、未来の展望を語るタルラは、とても可愛かった。

 まだ顔も分からぬその子を想像しているのか、慈愛に満ちた顔はなんとも色っぽい。

 

 ああ、それはとても幸せだろうな。

 容易に想像できる。彼らが囲む温かい団欒も、それで過ごしていく日々の日常も。

 世の悪意から隔絶された、楽園のようで、そのまま俺達を溶かしてしまいそうなほど甘く退廃的な、そんな生活だ。

 

「それは、きっと楽しくて、幸せだろうな」

「だろう? なら」

「けど、それじゃだめだ」

 

 だからこそ、その提案にはのれない。

 

 

 呆然とするタルラ。

「な・・んで」

「だって、その未来じゃお前は()()()()()()()()()()

 

 容易に想像できたさ。俺の隣で、幸せそうに笑うお前を。

 そしてレユニオンの事を考えて、俺の知らないところで涙を流すお前も。

 

「お前は諦めが悪いから。きっと、気にしたくなくてもレユニオンの事を見捨てられない。何もしない自分に、きっとお前は辛くなる」

「そんな事、どうでもいいんだ。私のことなんて」

「どうでもいいわけないだろう!」

 

 俺を案じるタルラに、それでもと言い募る。

 さっきから顔が熱い。

 自分の想いを自覚して、タルラの方も満更ではなくて、彼女の語る未来に一瞬胸が高鳴った。

 だからこそ、譲れないものもある。

 おかしくなったテンションに身を任せ、口にするのもこっ恥ずかしいことを、想い人にぶちまける。

 

 ああ、一度しか言わないからよく聞いとけ!

 

「俺は惚れた奴は、何としても幸せにしてやるって決めてるんだ。俺の隣で、他の誰よりも幸せな笑顔にして、それを一番の特等席で見てやるんだ!」

 タルラの両腕を掴む。

「約束しただろう? 鉱石病を克服した世界を一緒に見るって。ならお前も最後まで付き合え!」

「だが、その体では、もう」

 タルラの視線が僅かに俺の右側に傾く。

 ああ、確かに鉱石病になっちまったさ。進行状況も悪い。

 

 だけどな、そんなことで俺が諦めると思ったら大間違いだ。

 皇帝近衛兵も、人類最強も、巨獣も倒したこの俺が、そんなことで隠居なんてしてやるもんか。

 

「俺をなめるなよ? 誰がお前の重石になんてなってやるもんか。むしろお前こそ、俺とずっと一緒に居るって言うなら、地の果てまで引きずっていくくらいの気概を持て! お前となら、どこまでだって付いていってやるから!」

 

 言い切った俺は、耳まで真っ赤になりながらタルラを真正面から見つめる。

 対峙する相手も、俺に負けず劣らずその顔を朱に染めていた。

 

 おずおずと、タルラが問う。

「こんな私で、いいのか?」

「そんなタルラだから、俺は惚れたんだ」

「先に死んだり、しないな?」

「善処する。酒もたばこもやんねえ」

「・・・酒に弱いのは元からだろう?」

 ふふっ、とタルラが笑う。

 大分顔つきがマシになってきたじゃないか。

 

 次々出される質問に、誠実に返答していく。

 1つ答える度、タルラの目に力が戻っていった。

 

「私を、愛しているか?」

「・・・あ、愛してる」

「なんだ今の間は。告白しておいてもう浮気か?」

「いや違えよ! 恥ずかしいんだよ。分かれよ」

「あれだけ情熱的な言葉をかけておいて、何を今更」

「あれは、テンションがおかしくなってたっていうか・・・」

 そう問うタルラは、すっかりいつもの調子を取り戻したようだ。

 目を逸らす俺を揶揄った後、最後に彼女は俺の目を真っ直ぐ捉えた。

 

「ずっと、私の傍にいてくれるか?」

「ああ。最期まで、お前の傍にいる」

 

 そう問う彼女を真っ直ぐ見返し、頷いた。

 俺の誓いを聞き、決心したタルラは妙な質問をした。

 

「君は逆鱗について知っているか?」

「? 確か、龍に1枚だけある触れたら怒る鱗だっけか」

 

 知識を元に答える。だがなぜそんなことを?

 そんなことを考えていると、突如タルラが着ていた軍服の上を脱ぎ、シャツのボタンを外し始めた。

 

「おま、何して!」

 咄嗟に腕で視界を遮るが、特に何もしてこないので恐る恐る見る。

 目の前には、上側2つのボタンを外し、首元を晒す彼女がいた。

 

「私に鱗はないが、一般的に逆鱗は顎の下、喉の位置にあると言われている」

 そして男なら喉仏があるだろう部分を指差す。

 

「生涯をともにする伴侶には、その弱点を敢えて晒す風習がある」

 

 そう言って、顎を上げたまま目を瞑るタルラ。

 俺に喉元を差し出したまま、動かない。

 そのシミ1つない肌に目が釘付けになって、その行為が示す意味に思わず唾を飲み込んでしまった。

 

 

 ・・・・マジですか。

 これってつまり、()()()()()()ですよね。

 

 いや、それはさすがにまだ早いんじゃないかとか、あまりに急展開過ぎないかとか、晒された首元の艶めかしさに思わず息を呑んでしまったりだとか。

 でもいつまでもこのままってわけにもいかないし、何より待ってるタルラの耳がどんどん赤くなっているのが見えて。

 

 恐る恐る近づき、肩に手を置く。

 途端に強張り、目をぎゅっと瞑って石像のように固くなる彼女がいじらしくて、肩の力が抜けた。

 

 そして目の前の白磁のような肌を傷つけないよう、差し出された喉に優しく口づけた。

 

「ん」

 

 息が漏れる音が艶めかしい。

 やがて彼女から空気とともに緊張が抜けていき、強張っていた体が元に戻る。

 むしろ体重を委ねられ、それを支えながらゆっくりと唇を離すと、タルラが熱っぽい目で俺を見つめていた。

 

「誓ったな? 戦士に二言は無いぞ?」

「ああ、約束はきちんと果たす。だからお前も諦めるなよ?」

「ああ、分かった。私がその未来まで連れていく。レユニオンのリーダーとして、君の伴侶として」

 

 互いに見つめあった瞳の奥、そこには確かに強い光が浮かんでいた。

 出会ったあの日から変わらない、頑固で高潔な光だった。

 それを見て、俺はようやく安堵した。

 

「ほらな。やっぱり、お前は諦めない奴だ」

「君が誓ってくれたからだ。こんな私を信じてくれる君に、恥じない自分でありたいだけさ」

「いいんじゃねえの? 俺だってお前にかっこつけてたいし」

 

 1人で立ち続けられる奴なんていない。

 だからこそ、人は集まって支えあうのだから。

 

「なら私も。何度だって君を惚れさせてやろう」

 覚悟しておけ、と。

 自信ありげに笑みを浮かべる彼女に、早くも惚れ直しそうだ。

 

(ああ。それでこそタルラだ)

 

 愛おしさに吸い寄せられるように、その距離はまた縮まっていく。

 

 窓から差し込む篝火が、再び重なる影を捉えていた。

 

 




龍の風習についてはオリジナルです。趣味全開で申し訳ない・・・

なお、タグにR-15を追加しましたがご安心ください。
この小説はいたって健全です。

なお、この先たびたび”てえてえサイレン”が発令されることが予想されます。
読者の皆様におかれましては十分注意し、手元にブラックコーヒーを用意するなど尊死に備えてください。
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