いつも見てニヤニヤしております。
誤字修正もありがとうございます。小さい頃にやっていた赤ペン先生を思い出してしまいました。
まだまだストーリーを追えてなかったりイベント終わってなかったりオムニバス読めてなかったりで大変ですが、アークナイツはやっぱり面白いです。
どうも。
タルラにチェンに会わせてやると言われてやる気MAXな俺です。
あんな風に言われたらそりゃなんとしても会わせてやりたくなるよ。
原作だとタルラは乗っ取られていたとはいえ何人もの人間を死に追いやったラスボスで、その異父姉妹であるチェンはドクター達と共に龍門を守るため彼女と剣を交えた。その結末は、最終的にお互い納得したとはいえ喧嘩別れのようなものだったからな。
だからこそ、2人を何の蟠りもなく普通の姉妹として再会させてやりたい。
おのれ許さんぞ、不死の黒蛇。姉妹の絆を引き裂いたTSおじさんはなんとしても即刻成仏させてやらなければ。
タルラと協力関係を結んでから1年が過ぎた。
その間、俺たちは順調に勢力を拡大してきたと言えるだろう。
俺達が都市間の交易用に探索した道を使い、タルラや仲間になった感染者達がウルサス内を移動。不定期に活動することで本拠地となる隠れ拠点を特定させずに都市外に追いやられた感染者の継続的な保護を可能にした。
また、都市の中に取り残されている感染者についても商会側の情報収集能力の高さを活かして保護し、商会の従業員として都市外に連れ出し隠れ拠点に移り住んでもらっている。
そうした活動の結果、戦力については現在タルラと共に動く戦士達が約30人、それ以外の非戦闘員が全ての拠点で合わせて150人ほど。
これに俺が実家から独立する前に助けた感染者達のうち協力してくれる奴らも加えればそこそこの規模になるだろう。
そしてある日、商会の従業員と共に西北凍原近くの移動都市で仕入れをしていた際、俺は都市の軍関係者から遂に待ち望んでいた目撃情報を耳にした。
「スノーデビル?」
「ああ。俺達と同じ感染者の自衛組織だ。監視隊の小隊を逃げ出した奴を除いて全員氷像にしちまったって専らの噂だ」
今俺はタルラと感染者戦士の数人、そしてアリーナ含む拠点在住の大人を交えてテーブルを囲んでいる。
スノーデビルのそのあまりにも埒外な情報に、タルラと一緒に監視隊と戦った経験のある戦士ですら恐怖を隠せないらしい。
そして、彼らをさらに困惑させたのは俺の提案だった。
「そんな奴らを仲間に引き入れようってのか?」
「いくらイグナスさんの提案でも、流石に危険すぎますよ」
戦士と拠点在住の数名からも拒絶の声が挙がった。
確かに、同じ感染者とはいえ明らかに相手は戦いに慣れている。現状、少しずつだが規模を拡大できている俺たちにとってそんな相手の懐柔は不要なリスクと思うだろう。
だが、実際そうも言っていられなくなってきた。
「確かに皆んなが尻込みするのも分かる。ただ、ここを逃すと今後に響く」
「・・・・戦力の増強が狙いか?何か起こると?」
「ああ、タルラ。実際問題、これ以上規模を拡大するには本格的な戦闘員がいる」
こちらもギリギリ1小隊分数を揃えたとはいえ、つい先日まで一般人だった者ばかりだ。強力なアーツを使えるフロストノヴァや軍から離反した将官であるパトリオットとその部下である盾兵遊撃隊のように戦術レベルで戦えるわけじゃない。
にも関わらず、俺たちの人数は加速度的に増えている。しかも、かなり平穏に暮らすことができているからか戦闘に意欲的な奴の割合が想定より少なかった。
現状、戦力的な切り札がタルラしかいない以上、規模がデカくなるにつれて増えていく監視隊や軍との衝突、防衛に手が足りなくなる。
「なら現状を維持すれば」
「それは私達の意義に反する。感染者は自らの立場に誇りを持ち、積極的に力をつけ、
拠点に住む非戦闘員の言葉をタルラが遮る。彼女の元で戦う戦士達も同意見のようで覚悟の据わった目で首肯している。
この1年間、地道に活動してきた甲斐あってか都市や地方でも俺達の噂はそこそこ広まっている。それを頼りに集まるだろう感染者がいる以上規模の拡大は免れない。
だがやはり怖いものは怖いのだろう、自分達がその理念によって救われたことは自覚しつつもどうしても保身は頭にチラついてしまう。
(これは少しフォローしておかないと溝ができるな)
「まあ、現状でもいつか衝突するリスクはあるんだ。そうなった時、タルラ含む戦士の数が足りなくて全滅しましたってのは嫌だろう?それに、彼らとの交渉は任せてくれ。ちゃんと勝算もあるし、調べた限り彼らも話の分かる連中だ。信じてくれていい」
「具体的にどう交渉するつもりだ?」
「こっちの勝っている部分といったら、他より安定して物資の供給を受けられることだ。生活物資はもちろん、鉱石病の抑制剤含む医薬品は中々手に入らないからな。それらを提供すると言えばなんとかなる」
これは俺がウルサス外とも取引をできるからこそだ。そもそも感染者を隔離してその上源石鉱山で死ぬまで働かせる国だ、鉱石病の抑制剤なんか流通していない。
そこを俺がクルビアの資本主義に乗じて秘密裏に輸入しているわけである。バレたら一貫の終わりだがアーツを使って必要最低限の信頼できる人間しか関わらせていない。
どっちかというとクルビアの多くの企業の中から
原作の時系列は複雑で不明な部分も多かったが、俺が調べた限りまだロドスという製薬会社は存在しなかった。ということはまだ彼らはロドスの前身であるバベルとしてカズデルにいるだろうし、主人公であるドクターもまだ記憶喪失にはなっていないだろう。記憶を失う前のドクターも相当頭の切れる人だったらしいが、どこか冷徹な人間味のない人物だったらしいし心苦しいが今関わるのは危険だ。
「彼らを仲間に引き入れて拠点防衛が万全になれば、土地の開墾や廃棄された移動都市の再利用、南方への移動なんかにも話が進められる。そうすれば流通に頼らずともより安定した生活が送れるようになる。これはその第一歩だ」
そうしてなんとか非戦闘員達を説き伏せ、彼らの潜伏場所の予測地点や周辺の監視隊配置などを共有していく。
そうして迎えた遠征の日。
西北凍原の中、もはや十数年は人が暮らしていない廃都市の上で2つの集団が向かい合っていた。
一方は俺とタルラのみ。しかも剣と交渉用の保存食や酒、抑制剤を詰め込んだボストンバッグ、そして万が一のための通信機だけだ。付いてきた戦士達は後方で待機している。
最初はタルラ1人で向かおうとしていた。曰く、もしもの時の死傷者を減らすためでもあり、数と暴力で交渉しなければならないほど私達の掲げる理想は安くない、だそうだ。
それでも食い下がる戦士達にとうとう自分は不死身なのだと言い出し始めたタルラをしばき俺も付いていくことを条件に引き下がってもらった。
「何も叩くことはないじゃないか」
「うるせえ、叩かれて涙目になる不死身なんざ聞いて呆れるっての。化け物とやらに言われたことを真に受けやがって」
「だが、犠牲が少なく済むのならそれに越したことはない」
「それはお前も同じだ」
こういう変なところで気を遣うのは変わらない。なまじ自分の戦闘力が突出しているから無茶しているところもある。フロストノヴァ達と仲間になることで矯正されればいいんだが。
(何より、自分も化け物みたいな言い方しやがって)
アーツを使わなくたって分かる、コシチェイに掛けられた言葉が今も彼女を悩ませていることくらい。
自分を不死身だと宣った時、その顔に憂いがあったことくらい。
「お前はただのタルラだ。俺と同じ夢を持ち共に歩んでくれる同志だ」
だから頼ってくれ。お前も1人の人間なのだから。
それだけ言ってもう一方の集団を見据える。
あちらの人数は1小隊規模。全員が白い外套に身を包み、その内の何人かは源石結晶を背負っていた。
辺りには霜が降り、時折聞こえる透き通るような歌も相まってまさに
「それで、貴様達は何故ここに来た?」
向こうの一団、スノーデビル小隊から凛とした声が響いた。1人の女性が前に出るとともに感じるプレッシャーはさらに増し、辺りの気温が急激に下がっていく。ウルサスという土地がもたらす寒さは凄まじいが、これはそんな次元を遥かに超えていた。
白く長い髪、その奥に見える強い意志を備えた切長の眦。
見間違うはずもない。彼女こそ彼らの指揮官であり家族の要、フロストノヴァ。深く絆で結ばれた家族達の為最期まで戦った、
その体はアーツの影響でウルサスの冬を内包したように冷たく、触れるだけで凍傷を引き起こしてしまう。死の直前まで他者と触れ合うことを許されない、悲しい呪いを背負った強い女性。
知らず知らずのうちに拳に力が篭る。
「君達に協力を仰ぐためだ。」
タルラもアーツを使用する。だが攻撃のためではなくあくまで体温を保つためにだ。
「お前が指揮官か?」
「感染者か。ならばなぜウルサス将校の服を着ている?」
「作り話であれば披露するが?」
さらに気温が下がった。こんな時に冗談かますな!厚着して来なかったらもう動けなくなってるぞ。
「矢を放て」
「ちょっと待ってくれ!」
慌てて握り込んでいた拳を解き両手を上げ敵意がないことをアピールする。既に寒すぎて全身プルプルで歯もガタガタだ。なんとも情けない姿だろう。
「争うつもりはない。俺達は貴女達スノーデビル小隊と協力関係を築きたい」
「そうだ、握手といこうじゃないか。私達は互いに尊重し合えるはずだ。まずは対話から始めよう」
「断る」
聞く耳持たず、か。既にあちらは戦闘態勢に入っている。
もう、なんで戦闘民族は一度拳を交えないと理解し合えないのだろうか。
「やるしかないか。いくぞ、スノーデビル」
タルラも剣を抜く。アーツを解放したことで、彼女の周りの雪が瞬く間に蒸発していく。フロストノヴァの侵食した領域を押し返すほどの熱量に相手方にも動揺が広がった。
「その氷を溶かせば、話を聞いてくれるか?」
「はっ、出来もしない事を言うな」
軽口を叩き合う2人。もう仲良しかよ。
(そんなわけで)
「じゃ、頑張れよお二人さん」
俺はといえば、バッグを背負って安全圏に避難していた。
今にもぶつかりそうだった2人が手を止め、すごい顔で凝視してくる。
「おい」
「なんだ、タルラ」
「君は私を助けるために付いてきたのでないのか?」
「ヤンチャ娘達の喧嘩に混ざるなんざごめんだね。俺は商人だ。俺なりの戦いをするよ」
原作では2人はこの戦いを通して仲間になる。実際気も合うだろうし、コミュニケーションの邪魔をするのも無粋だろう。何より炎と氷が飛び交う中、遠距離攻撃の手段を持たない俺なんか案山子以下だ。
「それに、お前なら勝てるだろう?」
「ふん、相変わらずその気にさせるのが上手いな」
「商人なんでな、リップサービスは得意だぜ」
そして2人は遂に激突した。飛び交う炎と冷気、ぶつかり合う鉄と氷の剣が激しい金属音を奏でる中、俺は背負ったバッグを下ろしフロストノヴァの後方に控えていたスノーデビルの隊員達に近づいた。
「では改めまして、私ダーリ商会の会長を務めておりますイグナスと申します。あっこちら名刺です」
「にいちゃん、肝据わってんなあ。放っておいていいのかいあれ」
「大丈夫ですよ。2人とも仲良く遊んでいるようですし、時間が経てば戻ってきますよ」
「子どもじゃねえんだから」
仲良く話し合い(物理)してる人は無視して交渉をする。それに律儀に返してくれるあたりスノーデビル小隊は大らかだ。
彼らに協力後のメリットを話しておけばフロストノヴァを説得するのを手伝ってくれるだろう。
さて、
こちらも闘うとしますか。
しばらくし、決着が付かず一度距離を取った2人の後ろには、敵同士にも関わらず寒空の下酒を交わし身内自慢で勝負する副官達がいた。
そんな彼らの様子に、剣を交わしていた2人はすっかり戦意を失ってしまったという。