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俺:( ;つд⊂)ゴシゴシ
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俺:?!
まじすか。やっぱりフロストノヴァ救済は我らのエデンだったのですね。
「わかるか、姐さんはすごい人なんだ!!」
「んだとう!うちのたるらがすごくないってのか、ああ!?」
「そんなこと言ってないだろう、というか酔い過ぎだぞ」
「あいつはなあ!どいつもこいつもあきらめてたことをなあ!なしとげようとしてんだよ!」
「分かった分かった。お前の相棒はすごいやつだよ」
「姐さんだって、俺達を守るために日々戦ってくれているんだ!」
「なにっ!? やっぱりフロストノヴァはいいやつだな、なかまにしよういやする」
「そうだろう、そうだろう。話の分かるやつだな」
「お前はどっちの味方なんだ?」
「んなもんおまえらぜーいんのみかただ!みんなではっぴーえんどになるために、おれはここにいるんだぞ?ならおれたちみんなきょうだいだろ、な?」
「まあ、お前が酔う前に言っていたことは確かに魅力的だ、しかし」
「だからよってねえつってるだろ!!」
「酔ってるよ!」
「何をしているお前達」
「何をしているんだ君は」
おお、タルラ。丁度いいところに!
こいつらお前がすげえやつなんだってこと中々認めようとしないんだ。
言い負かすの手伝ってくれ。
何、酔ってるのかって?
酔ってるわけないだろう、俺は商人だぞ。取引先と会食したことだってある。
何故かいつも一杯飲んだらイヴァン(部下の元商家の末子)に止められてたが。今日は寒いし酒でもいれて話しやすくしようと思ってな。
ていうかお前だ、フロストノヴァ!!
こんないい兄弟達に心配かけやがって、少しは自分の体を労われってんだ!
貴様に何がわかるって?分かりまくりじゃボケ!戦闘するにしても過度なアーツの使用はやめろ!抑制剤はきちんと打て!食事は辛いものばかりじゃなくて栄養を考えろ!
残りの人生が短いからなんだ!味覚がないからなんだ!
どいつもこいつももうすぐ死ぬみたいな顔しやがって、いいか?絶対に鉱石病は治療できるようになるんだ!そんな燃やし尽くすような生命の使い方しなくていいんだよ!
それにそんなに味覚が鈍いならタルラにでも頼め、こいつは仲間思いだけど料理下手は筋金入りだからな!喜んで珍妙な味のする飴玉でも作り上げるだろうさ。
お、どうしたタルラ。なんで拳を振り上げてへぶ?!
つい、感情に任せ拳を振るってしまった。
スノーデビル小隊、私達が交渉に向かいそして戦闘になった集団の中央。そこには黒いコートに身を包んだ熊人族の青年が酒瓶片手に見事に気絶していた。
これでも為政者としての教育を受けてきた私だ。感情の制御方法は心得ている。だが、頼りにしていた仲間が敵前で酒に酔っただけでなく、私のことを褒めているのやら貶めているのやら分からない暴言を吐いているのを見ては、つい手が出てしまっても仕方がないだろう。
イグナス、君は酒を飲むとこうなるのか。君についてあまり知っていることは多くなかったが、それをこんな形で知るとは思わなかった。
「すまない、私の仲間が」
「・・・いや、いい」
あまりの羞恥に蚊の鳴くような声しか出ない。
一方、散々言われていたが彼女、フロストノヴァはそこまで怒っているようではなかった。酔った男にいきなり叱りつけられて困惑しているのか。あるいはよく言ってくれたと言わんばかりに潰れたイグナスを労う自分の部下達の様子に呆れているのか。
「お前達も、そう思っているのか?」
「体を労ってほしい、とは思っていますよ」
「そうか」
そう呟いた彼女も何か思うことがあるのだろう。確かに彼女のアーツは強力だった、強すぎるほどに。味覚がないとも言っていたし、かなり重度の鉱石病のはずだ。
「タルラ、と言ったな」
「ああ」
「こいつは、何だ?」
その目はまるで珍妙な生き物でも観察しているようだ。まあ気持ちは分かる。
「私の同志であり、最も信頼する仲間であり、優秀なパトロンだ」
「パトロン?こいつは感染者ではないのか?」
「ああ。確かに彼は感染者ではない、だが私とともに多くの感染者を救ってきた戦友だ。彼は私達の味方だ、保証する」
「そんな人間が、いるのだな」
「ああ、先程の言葉もきっと本心だ」
「鉱石病が治せるようになるという戯言か?くだらんな、根拠はなんだ?」
「彼がそう信じているからだ」
流石に驚くフロストノヴァ。
「彼とは賭けをしていてな。負けたらなんでも1つ言うことを聞くことになっている」
「賭けになっていないな。どうやら頭のおかしい男のようだ」
「そうでもないですよ、姐さん」
そうしてスノーデビルの隊員はイグナスから語られた仲間になるメリットを伝え、譲り受けた物資を彼女に見せた。
彼も最低限の仕事はしてくれたらしい。身内からの嘆願ということもあり、彼女も揺らいでいるようだ。
「これだけ物資の供給が安定しているのは稀だ。その支援を受けられれば俺達だってもうこの凍原で仲間が動かなくなっていくのを見なくて済むし、抑制剤だってある。これがあれば姐さんの症状だってずっと良くなるはずだ」
「だが」
隊長として判断に迷っているフロストノヴァと、支援物資と何より彼女の為の抑制剤を得るため説得するスノーデビル達。説得にはまだかかりそうだな。
姐さんと呼んでいたし、彼女を心配する彼らの様子は本当の家族のようだ。つい羨ましいと見守っていると、足元から呻き声が聞こえた。どうやらやっと起きたらしい。
「いてて、タルラ? 先程までの記憶がないんだが、どうなってる?」
「イグナス、君はしばらく禁酒だ」
「え、俺何かやらかした?」
無言で彼を見下ろす。何も言わない私が逆に恐ろしいのか冷や汗をかき始めた。
「帰ったらアリーナに報告だな」
「それだけは勘弁!怒ると怖いんだよ」
「その旨も伝えておこう」
泣きついてくるが知ったことか。
そんなやりとりの中、彼らの話し合いも佳境に入ったようだ。だが依然としてフロストノヴァも首を縦に振らない。彼女も些か強情だな。
「どの道、今戦うことはやめられん」
「前提を間違えるなよ」
抑制剤を理由に安易な決断をするのを嫌った彼女の言葉に、イグナスが割って入る。
「起きたようだな。先程の暴言、忘れていないぞ?」
「やべえ、本気でやらかしてるじゃん。それは後で謝り尽くすとして、お前達は生きるために戦っているのであって、死ぬために戦っているわけではないだろう?」
「全て必要な戦闘だった。そして、それには私のアーツが必要だった」
「本当にそうか?ただ感染者監視隊や軍を撃退しただけで、得る物もなく食糧や武装を消耗させただけの戦闘がいくつあったよ」
思い当たる節があるのだろう、無言になるフロストノヴァ。
「沈黙は肯定と受け取るぜ。いくら戦えたってそれで消耗していくならどうやったって先細りの未来しかない。軍との衝突も、もし他にも戦える戦士がいて彼らに十分な武器が与えられていたらもっと楽に終わったんじゃないのか。そもそも、お前達は5年後、10年後の未来を想像できているか? 作物も満足に育たない、開墾のノウハウもない。そんな状態でもし感染者人口が増えていったらそれを賄えるのか?」
「お前達にはそれができると?」
「ああ。だがこちらは元一般人だらけで戦力が足りない。これから先安定して規模を拡大するには監視隊や軍とすら渡り合えるような戦力がいる」
「お前達は何を望む? 軍とすら渡り合うなど、お前達の進む先には何がある?」
「「感染者にとっての故郷を作り上げる」」
2人揃って口に出た言葉。そのあまりの大言壮語にフロストノヴァだけではない、スノーデビル小隊のほぼ全員が息を呑む。
「不可能だ」
「いやできる。タルラのカリスマと俺の人脈、そしてお前達の武力が合わされば今から3年以内にその足掛かりに手が届く」
イグナスに具体的な期間を提示され、ただの妄言ではないと納得したようだ。
もう一度、私は手を伸ばす。
今度はすぐさま拒絶されることはなかった。
「私達の理想には、お前達が必要だ。感染者は自らの立場に誇りを持ち、積極的に力をつけ、虐げられることのない安息の地を得るべきだ。その理想をともに追ってほしい。この理想がただの夢ではなく、皆を照らす希望であると私は証明しよう」
彼女はしばらくその手を見つめ、一度後ろの彼らを振り返った。
そして再びこちらに顔を向けた時、そこにはもう私たちを疑うような視線は感じられなかった。
「ただ理想を囀るだけの輩であれば相手にする価値もない。だが、お前達は違うようだ」
「手は握ってくれないのか?」
「勘違いするな。私の体温は低すぎてな、触れれば凍傷を引き起こす」
「それは、難儀な体をしているな」
「慣れている。だがこれからは気をつけろ」
「! ということは」
「確約はできん。私は責任者ではなくてな。口添えをしてやるというだけだ」
「君が指揮官ではないのか?」
「ああ、奴は手強いぞ? 頭の硬さで右に出るものはいない」
「それは楽しみだな」
何はともあれ、スノーデビルは私達に賛同してくれた。
これで私達は理想に向かい、また一歩進むことができた。
横に立つイグナスと目が合う。彼も交渉がひとまず無事に終わり安堵しているようだ。
互いに健闘を讃えあう。
その間際
薄雪を踏み潰す、誰かの足音が響いた。
誰も動けなかった。俺も、タルラでさえ。
誰かがこちらに向かってきている、それを認識した途端全身に鳥肌が立った。
まるで錆びついたかのように動かない首を無理矢理動かした。その音の主を視界に収めた時、無意識に息を止めてしまっていた。
向かってくるのは1人。盾と巨戟を携えた、
たった1人。
それにも関わらずこの存在感。感じる圧倒的な強さ。戦意がそのまま形を持ち、動き出しているかのような恐怖。
辺りは真昼の日差しを受けて白く輝いていたはずなのに、歩いてくる彼はその中でなお黒くくすんだ泥のような漆黒を纏っていた。
無意識にアーツを発動し彼を見る。だがすぐに後悔した。
その魂の大きさはもはや肉体に収まらず、その至るところは彼の装いと同様に泥や擦り傷、あるいは返り血で塗れまるで戦化粧のようだった。
それはまさに彼が歴戦の猛者であり、決して平坦な道など歩んでいないことの証左だ。
彼こそは。
英雄であり反逆者、かつてウルサスを守った絶対の盾。
ボジョカスティ、またの名を
テラの人類最強が、目の前に姿を現した。
次回 愛国者