星の守護者が幻想入り   作:ケービィ

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捜索、地下へ

(酷いことをしちゃったな…包帯でも持ってればよかったんだけど…)

元いた地球のナノスグリがいる環境であれば自分の傷も瞬時に治すことができるし、他の人間を癒すことだってできた。

しかし今の環境では治りはかなり早いものの瞬時ではないし、誰かを癒すこともできない。

完全に自分が悪い分治療くらいはしてあげたかったがそうもできない、自分ではない誰かが治療してくれることを期待して進み続ける。

メイドを撃破してからしばらく経った頃、スグリはある事に少し悩んでいた。

「広い…」

内装が妙に広く、部屋も多いためしらみ潰しに探すのはかなり骨が折れそうなのだ。

羽の生えたメイドらしき小さな少女を何人も見つけはしたが皆スグリを見るや否や逃げてしまい、声をかけることもできなかった。

「あれ」

廊下を歩いていると階段を発見した、上への階段と下への階段がある。

スグリの認識が正しければここは一階である、つまり地下室があるということだ。

スグリは数秒考えたのち、地下へと向かう事にした。

(誰かから居場所を聞き出せないかな)

誰かお嬢様とやらの居場所のわかる人、あわよくば一泊の許可を出してくれる人を探そうと考えたのだ。

しばらく階段を降りて目に入ったものは本がぎっしり詰まったたくさんの本棚。書斎だろうか?図書館でもこの規模のものはなかなかないだろうな、そんな事を考えながらスグリは足を進めた。

しばらく進んでいると少し広めの所に出た、本を読むスペースだろうか?そう考えてスグリは周囲に誰かいないか探してみる事にした。

「どちら様?」

周囲を探していると後ろから声がした、振り向いてみると紫髪の少女が机に座っていた。

「…私はスグリ、1日だけ泊めてもらえないかな?」

「それは私が決めることじゃないわ」

「なら、主人の居場所を教えてくれない?」

とりあえず交渉を試みる、時間の感覚が曖昧だがもう日は暮れているだろう、流石にこの状態で野宿するのは辛いしここから出たとしても追われる可能性もある、ここは踏ん張りたい。

少女は数秒考えたのち、こう言った

「それならしてあげないこともないけど…1つ条件がある」

「条件?」

好感触、少しだけ喜びつつもそれを面に出さないようにして、条件とやらを聞いた。

「ここから先に地下室があるの、そこにいる妹様と『遊んで』きて」

「いいけど…遊ぶだけ?」

驚くほど簡単に聞こえる、何か裏があるのではないかと疑いつつも、スグリは了承する。

正直なところ、今のスグリは冷静ではないのだ。本人にとってはありえない尽くしのこの状況下では仕方ないのかもしれないが、普段の彼女なら相手側に被害を出してまで自分だけの都合を押し通すことはあまりしないはずだ。

「…もちろん」

謎の間があった、確実に裏はあるだろうがそれでも了承しないわけにはいかない。

「…わかった、こっちだよね?」

そう確認をして地下室までの階段を降り始める、遊びの内容を考えつつ進み続け、迷路のような道も越えてある一室に辿り着いた。

「…ここ、かな」

ノックをする、館に入るときは広すぎるため意味がないと考えてしなかったのだが、した方が穏便に済んだのだろうか。

そんなことをぼんやり考えながら返事を待っていると、部屋の中から声がした。

「どちら様?」

「侵入者、ってことになってるかな…私はそんなつもりないんだけど」

「それで?迷い込んだの?」

「いや、書斎の人と交渉をしたんだ。主人の居場所を教える代わりに妹様と遊んでって言われて…。妹様っていうのは君のことだよね?」

「うん、そうよ」

とりあえず合っていたらしい、今の会話の時点では特に変な感じはしない。警戒していたが杞憂だったか…?そんなことを考えつつ、会話を続ける。

「…入るね?」

「お好きにどうぞ」

ドアを開け、部屋に入る。

内装としては今までと違って比較的明るめ、子供部屋のような印象を受ける。

玩具やぬいぐるみなどが視線を動かしても一つは視界に入る程度には転がっている、よく見るとどこか壊れていたり破けていたりするものもチラホラあった。

明らかに、嫌な予感がする。

彼女と遊ぶ、と言うのはこちらがおもちゃにされるようなことかもしれない。

だとしたら困ったことになる、耐えられる自信はありはするが一方的に攻撃されたくはない。

そう考えつつ視線を部屋の主に移す。

独特なデザインの帽子を被った金髪の少女、半袖の赤い服に赤いスカート、ここまでなら普通の人間なのだが背中からは翼が生えていた。

翼と言っても翼膜はなく、代わりかのようにカラフルな結晶のようなものが下がっている。

羽がある人たちはここでは一般的ではありそうだが、このようなパターンもあるのかと未知の存在にスグリは驚いた。

「で、まずは自己紹介。私はフランドール、あなたの名前は?」

「私はスグリ、よろしくフランドール」

「そう、スグリさんね…遊んでくれるんだって?」

「そう言われたからね、どうやって遊ぶの?」

嫌な予感はするが聞かなければ始まらない、声色と表情には出さないようにして内容を聞く。

「弾幕ごっこ、……ひょっとして知らない?」

「来たばかりだからね」

「ああ、やっぱり外来人だったのね」

「地域外の人をここではそう呼ぶんだ?」

とりあえず会話は結構通じそうだ、せっかくだし話を色々と聞いてみることにした。

「せっかくだから色々教えてよ、知らないと色々と不都合がありそうだし」

それから色々なことを聞いた、ここが幻想郷という場所であること、世界から隔離されているということ、妖精や妖怪など様々な種族が存在するということ。

忘れ去られたものが流れ着くことやこの屋敷が紅魔館という名前であこと、主要人物の構成などその他沢山の事を聞き、戸惑いながらもなんとか理解ができた。

「それで…結局は君と戦えばいいんだよね?サンドバッグになれっていうなら少し嫌だけど…」

「戦うだけでいいわ、あなた相当強いでしょ?なら無抵抗になってもらうのは勿体無いもの」

「今は弱くなってるよ、ここの人たちとは相性がいいからなんとかなってるけど」

そう会話をしつつ部屋の外に出てお互い戦闘体制に入っていく、手元にビームライフルとソードを形成させ、スグリの準備は完了した。

「じゃあ、行くよ」

「いつでもどーぞ」

そう言葉を交わしたのち、スグリが虹色の輪を出しながらとてつもない速さで突っ込み、戦いの火蓋が切られた。

フランドールも即座に反応し、上に飛び上がりながら光弾…弾幕をばら撒くがそれをすり抜けてスグリは突っ込み続け、ビームライフルを顔スレスレに近づけて引き金を引いた。

その瞬間、フランドールは反るようにして撃たれたエネルギー弾を避け、そのまま回転してサマーソルトのようにビームライフルを蹴り飛ばした。

「っ…反応が速いね!」

そう言いつつ距離を取り、ビームライフルを形成しなおす。

そうしている間にも弾幕がばら撒かれ続け、逃げ道が少なくなっていった。

虹色の輪は出さずに避け続け、正確にフランドールへ向けてビームライフルを撃っていく。

エネルギー弾のいくつかは弾かれ、その他は避けられてダメージを与えられない

「…まだ様子見のつもり?」

図星、おそらく反応にも出てしまった。少しだけ動きを止めて思考を回し、1秒経つか経たないかというところで少し本気を出すことを決意した。

「いや、もうやめにするよ」

ソードを捨て、手元に筒状のロケットランチャー、スグリはバズーカと呼んでいるそれを形成させ、弾幕を避けながらゆっくりとフランドールの方へ近づいていく。

「じゃ、さっさとかかってきて」

「もちろん」

虹色の輪を出しながら猛スピードで右へ左へ、上へ下へと飛び回りながらビームライフルをばら撒くように連射する。

それだけなら対処は容易と相手が弾き続けているところに正確にバズーカを撃ち込んだ

「なっ…」

弾こうとしたところで大爆発、フランドールは大きく吹っ飛ばされた。

その隙を見逃さずにもう1発、追撃のバズーカを撃ち込んでさらに大きく吹き飛ばした。

「やああ!」

さらに追撃を仕掛ける、猛スピードで近づきながらビームライフルを捨ててソードを形成させ、フランドールの胴体めがけて突きを仕掛ける。

ビームソードが突き刺さった、にも関わらず怯まずに動いてスグリの腕を掴み、とてつもない力で握りながら床に向けて思い切り投げつけた。

「っ…やられた…」

床に叩きつけられながらそう呟き、ダメージを確認する。

握られた箇所は少しだけ潰れている、これでは武器が持ちづらい。

治すことは可能だが1、2分はかかる、それまで凌がなければ…立ち上がりながらそう考えているとフランドールが突き刺さったソードを引っこ抜き、一枚のカードを取り出したのが視界に入った。

「禁忌『レーヴァテイン』」

剣のような真紅のレーザーが伸びていき、それを振り回してきた。

さらに残光のように小さな弾幕がいくつもレーザーの軌道上に出てきた。

「そう来るなら…!」

虹色の輪を出してレーザーをすり抜けて飛びながらビームライフルを撃ちまくる。

ガードはせず命中はしているが怯みすらしない、ダメージが入っているのかも怪しく感じるほどノーリアクションだ。

腕が治るまで後少し、そのまま輪を出しながら飛び続けて攻撃を凌いでいった。

そうして腕が治った瞬間に一気に突っ込んでタックルを仕掛ける。

フランドールも素手での攻撃で対処をしようと腕を振り上げた、その瞬間に急速に方向転換し、横に回り込んでタックルを喰らわせる。

怯みはしなかったが、そのまま壁に突っ込み相手を壁にめり込ませることに成功した。

一気に距離を取り、めり込んで脱出まで少し時間がかかっているフランドールに向け、トドメの一撃を仕掛ける。

「ハイパーバズーカ!」

バズーカの砲弾を空中にいくつか出現させ、連続でフランドールに向けて発射する。

「ハイパーライフル!」

追い討ちに以前メイドに向けて撃った人一人を包めるか包めないかの太さの高出力ビームを照射する。

回避もできず直撃し、爆風で視界が覆われ、その状態でしばらく様子を見た。

「…動きがないな」

「…!まだまだこれからよ!」

声がした、と同時に爆風によって発生した煙が晴れる。警戒しながら様子を見ると…かなりボロボロだ、後に響く怪我はしていないようだが。

「本当にまだ戦える?」

「…嘘、もう煙も出ません」

「じゃあ、私の勝ち?」

安心しつつ手を貸そうとする、がいらないと拒否されてしまった。

とりあえず部屋の中に戻り、会話を始める。

「まだ使える技もあったのにー…」

「早めに終わらせなきゃ危なかったかもしれないからね」

「さっきのメイドさんみたいに大技を何度も使われたら大変だと思ったのもあるけど」

と続けると少し驚いた様子で返答された。

「さっきのメイド?咲夜も倒したの?無傷で?」

「無傷じゃないよ、君に会った頃には治っただけ」

「へえ…そういえば腕も治してたね」

そのまましばらく会話を続け、少しの時間が経ったのち…。

「ところで、遊びは終わりってことでいいのかな?まだ続ける?」

「ラウンド2は遠慮しておくわ、今は上手く戦えないし」

「じゃあ、私はそろそろ行くね」

「ええ、また」

また、と別れを告げて書斎へ戻ることにした。報告すれば主人の居場所を教えてもらえるだろうか、騙されていないことを期待しながら階段を登って行った。

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