オベリスクブルーside
「シンクロ召喚とエクシーズ召喚?」
デュエルアカデミア中等部からの友人の言葉に、黒髪姫カットの女子生徒が反応する。
肌は雪のように白く、切りそろえられた前髪の下には、強い意志を秘めた黒い瞳が友人の顔を映す。
露出度の高いオベリスクブルーの制服は着慣れておらず、発育の良い胸の下には皺が出ている。
名前は、公方院 一華 (くぼういん いちか)。
「そう言っていた。入学試験で新たな召喚法を使った受験生は。」
「融合とも、儀式とも違う新たな召喚法を二つも…」
取巻太陽(とりまき たいよう)の説明を、慕谷雷蔵(したいたに らいぞう)が補足する。
「白い枠と、黒い枠のカードだった。」
「それは興味深いな。そんな事なら、私も入学試験を見物しにいけば良かった。」
「あと…クロノス教諭が受験生に負た。」
「本来の【暗黒の中世】デッキならまだしも、試験用のデッキであればそういう事もあるだろう。」
「いや、あれは暗黒の中世デッキだ。押収で死者蘇生を捨てさせていたし。」
「クロノス教諭がデュエルをするほどの相手となれば、受験番号は1番ってところか。」
「いや、遅れてきた110番。」
「重ね重ね、残念だ。」
この時、公方院はその渦中の生徒といずれ戦うにしろ、今日ではないと思っていた。
何せ、入学初日だ。疲れもあるし、新入生歓迎会もある。
オベリスクブルーsideout
オシリスレッドside
俺は宗形 雅亮(むなかた がりょう)。今はオシリスレッドの生徒だ。
交通事故で死亡した俺は遊戯王GXの世界に転生。前世で一番好きなキャラクターのファンデッキで入学試験に臨み、シンクロ召喚とエクシーズ召喚を使った。
今日はデュエルアカデミア内部を見物している。
聖地巡礼という奴だ。
数多くの名勝負が繰り広げられたデュエルリング。
その実物を前に、テンションは爆上がりしている。
気が付くと、リングの上にブルーの生徒が数人いた。
万丈目の取り巻き達だけかと思っていたら、女子生徒が混じっていた。
黒髪姫カットだが、こんな娘は知らない。TFには居なかったはず。
「お前は!シンクロとエクシーズ使い!」
「彼が?」
そういうと、女子生徒が近づいてくる。
オシリスレッドsideout
オベリスクブルーside
「初めまして。私は公方院。噂は聞いている、新たな召喚法を使うデュエリストだと。」
「あ、ああ。」
「今この場で、デュエルを申し込む。」
「わかった、受けて立つ。」
互いに場所を取り、デュエルを始めようとする公方院だったが。
「そこで何をしている?」
「万丈目。入学試験で噂になった受験生が二人居たようだな。先に片方と戦わせて貰うぞ。」
「フン、いいだろう。もう一人の方は俺が先に戦うからな。」
好戦的な眼を数秒交差させた後、公方院は眼前の相手に眼を向ける。
オベリスクブルーsideout
オシリスレッドside
「おっ、デュエルか!」
「す、凄い…。アニキの言う通りにデュエルが始まろうとしているっス…。」
新たなギャラリーが来たことで、宗形が反応する。
「悪いが、先にオベリスクブルーの実力を味わわせて貰う。」
「えー…まぁ、いいや。」
オシリスレッドsideout
「「デュエル!!」」
公方院 ライフ4000
手5 場
宗形 ライフ4000
手5 場
「私の先攻、ドロー!モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドだ。」
公方院 ライフ4000
手4 場 セットモンスター 伏せ1
宗形 ライフ4000
手5 場
「俺のターン、ドロー!俺はトラップ・リアクター・RRを召喚!」
「ならば罠発動!威嚇する咆哮!これにより、お前は攻撃宣言を行えない。」
「「「ダメだっ!」」」
「ダメよっ!」
オベリスクブルーの外野から声を掛けられ、公方院は『え?』という顔を浮かべる。
「…来ていたのか、天上院。一体何がダメだと」
公方院の疑問はすぐに晴れた。
トラップ・リアクターが罠カードを感知し、威嚇する咆哮のカードに対して狙いを定める。
「ここでトラップ・リアクター・RRの効果発動!相手が罠カードを発動した時、そのカードを破壊して800ポイントのダメージを与える。」
「そんな効果が?!」ライフ4000から3200
「ただし、この効果は1ターンに1度しか使えない。」
「よし、これで攻撃出来るっス!」
「残念だが、そうはいかないんだな。オシリスレッド。」
「えっ?」
「なんでなんだ?」
破壊と無効の違いが分かっていないオシリスレッド組を、取り巻き達は小馬鹿にする。
「破壊はされたが、効果は無効になっていない。」
「だからこのターン、あいつは攻撃宣言を行えないって訳だ。」
それに対し、オシリスレッドの制服こそ纏っているがOCG経験者である宗形はさほど動じずにデュエルを続ける。
「そうだな。俺はカードを1枚伏せてターンエンド。」
公方院 ライフ3200
手4 場 セットモンスター
宗形 ライフ4000
手4 場 トラップ・リアクター・RR 伏せ1
「私のターン、ドロー!私は人喰い虫を反転召喚!」
「ひ、人喰い虫?!」
「そんなに意外なカードか?リバース効果の代名詞だろう。モンスター効果発動、トラップ・リアクター・RRを破壊する!」
トラップ・リアクター・RRに人喰い虫が襲いかかり、破壊する!
「トラップ・リアクターが…。」
「私は人喰い虫を生贄に、人造人間サイコ・ショッカーを攻撃表示で召喚する!」
「ここで、サイコ・ショッカー?!」
紫電を放ちながら、サイコ・ショッカーが起動する。
「サイコ・ショッカーが居る限り、罠カードの効果は無効となり、罠カードは発動出来ない!バトルだ、サイコ・ショッカーでダイレクトアタック!」
「ぐうううううっ!」ライフ4000から1600
「私はこれで、ターンエンド。」
公方院 ライフ3200
手4 場 人造人間サイコ・ショッカー
宗形 ライフ1600
手4 場 伏せ1
「うわぁああああ、大ピンチっス~」
「でもあの子。まだ諦めてはいないみたいね。」
外野が色々と騒ぐ中、宗形はデュエルを続ける。
「俺のターン、ドロー!俺は、召喚僧サモンプリーストを召喚!手札の魔法カード、簡易融合を捨てて効果発動!デッキからレベル4のモンスターを特殊召喚!現れろ、終末の騎士!効果発動!デッキから闇属性モンスターを墓地に送る。サモン・リアクターを墓地に!」
「自分からカードを墓地に送る…。狙いは蘇生する事か。」
「俺はレベル4のモンスター二体で、オーバーレイ!」
宗形の言葉に従い、二体のモンスターは光になるとエクシーズの渦に飲み込まれていく!
「ま、万丈目さん!」
「新たな召喚法、エクシーズです!」
「言われずともわかっている!」
「二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、ランク4ッ!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」
漆黒のドラゴンが現れ、威嚇するように咆哮を上げる!
「すっげぇええええ!あれが、エクシーズ・モンスターか!」
「カッコいいっス…。」
ギャラリーが騒ぐ中、公方院は眼前のプレイングからエクシーズ召喚について分析する。
「レベル4とランク4…同じレベルのモンスターを揃えて行う召喚法、という事か。XYZ-ドラゴン・キャノンのような、融合を使わない融合モンスターの亜種…。」
「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果発動!オーバーレイユニットを二つ使い、相手モンスターの攻撃力を半分にし、その数値分、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの攻撃力をアップする!」
「何?!という事は、どんなモンスターであろうと戦闘破壊出来るという事か!!」
エネルギーを奪い取られ、サイコ・ショッカーがよろめく。
「バトル、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンで、人造人間サイコ・ショッカーを攻撃!ライトニング・ディスオベイ!」
「っつ!」ライフ3200から700
「俺はこれでターンエンドだ。」
公方院 ライフ700
手4 場
宗形 ライフ1600
手3 場 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 伏せ1
「なんてカードだ。破壊さえされなければ、無尽蔵に攻撃力を上げていくモンスターなんて、どうすれば」
「いや、それは違う。」
「えっ?」
取巻に対し、公方院はダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを見つめながら否定する。
「オーバーレイユニットを二つ使ってモンスター効果を使った。オーバーレイユニットとやらの詳細は不明だが、光る玉を二つ消費した結果、あのドラゴンに光の玉は無い。魔力カウンターなどの類と同じという事ならば、あのモンスターはもうモンスター効果を使えないはず。」
「な、なるほど…。」
「とはいえ、何かしらの方法でオーバーレイユニットとやらを補充する方法があるだろう。私のターン、ドロー!モンスターをセットしてターンエンド!」
公方院 ライフ700
手4 場 セットモンスター
宗形 ライフ1600
手3 場 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 伏せ1
「俺のターン、ドロー!チューナーモンスター、ブラック・ボンバーを召喚!効果発動、墓地からレベル4の闇属性・機械族モンスターを特殊召喚する。ただし、モンスター効果は無効になる。蘇れ、トラップ・リアクター・RR!」
「レベルは3と4、エクシーズは可能なのか。」
「いや。俺はレベル4のトラップ・リアクターに、レベル3のブラック・ボンバーをチューニング!シンクロ召喚!クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!」
白いドラゴンが現れ、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンと共鳴する。
「…美しい。」
「すっげぇええええ!これが、シンクロ・モンスターか!」
「エクシーズと違い、光の玉は無い。シンクロとエクシーズ、わざわざ別の召喚法にしているという事は何かしらの決定的な差があるはずだが…。」
「ちなみに、クリアウィング・シンクロ・ドラゴンは1ターンに1度、場のレベル5以上のモンスター1体のみを対象とするモンスター効果と、このカード以外のレベル5以上のモンスター効果が発動した時、その発動と効果を無効にして破壊し、ターン終了時まで破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。つまり、人喰い虫の効果は通用しない。」
「なるほど、シンクロとエクシーズには、何かしらのモンスター効果が備わって居る訳か。」
「バトル!クリアウィング・シンクロ・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!」
「セットモンスターは、ペンギン・ソルジャー!戦闘破壊されるが、リバース効果発動!シンクロ・モンスターとエクシーズ・モンスターを融合デッキに戻す!」
「なっ?!」
「えっ?でも…。クリアウィング・シンクロ・ドラゴンの効果が相手じゃあ…」
「通用しない…はずだよな?」
オシリスレッドの十代とオベリスクブルーの慕谷が困惑する中。
「先ほど言っていただろうが。レベル5以上のモンスター1体のみを対象としたモンスター効果を無効にして破壊すると。」
「ペンギン・ソルジャーは、リバース効果でエクシーズモンスターも対象に取っているわ。だから」
万丈目と天上院が補足する中。
戦闘破壊された半透明になったペンギン・ソルジャーが二体のモンスターに冷気を浴びせる!
二体のドラゴンがバウンスされ、宗形は呆然とする。
「…ターンエンドだ。」
公方院 ライフ700
手4 場
宗形 ライフ1600
手3 場 伏せ1
「私のターン、ドロー!私は魔導戦士ブレイカーを召喚。効果発動、魔力カウンターが一つ乗る。この魔力カウンターを取り除いて効果発動。その伏せカードを破壊する!」
「くず鉄のかかし?!」
「これで場はがら空きだ。バトル!魔導戦士ブレイカーで、ダイレクトアタック!」
「うわああああああああ!」ライフ0
オベリスクブルーside
「私の勝ちだな。」
「シンクロとエクシーズが…。負けた?」
呆然とする宗形。
新たな召喚法が使えるというアドバンテージに対し、かなりの自信を持っていたが…。
「フン、所詮はオシリスレッドだな。」
「珍しいカードを持っているだけ。」
取り巻き達が小馬鹿にする中、公方院は万丈目に目を向ける。
「お前はどう思う?」
「期待外れだ。」
「だが、強力だ。今後、シンクロとエクシーズが一切増えないならともかく、増えていくならば…取り入れるか、対策するか。いずれにせよ、対応が迫られる。」
「どの道、俺様の敵では無いわ。」
万丈目は茶髪のオシリスレッドの生徒を見ていた。
なるほど、どうやら今夜あたり仕掛けるのだろう。
オベリスクブルーsideout
シンクロとエクシーズをGXの世界に持ち込む転生者が現地人を圧倒するという二次創作は多いです。まぁ、カードパワーが違うので当然と言えば当然ではありますが。
こういう風に知識と眼前のプレイングから冷静に「あー、なるほどそういう召喚法か。」と推測し、GX時点でのカード効果を駆使して勝利する展開があってもいいと思い、執筆しました。
ボマーさんは好きなキャラクターなので、GXに【ジャイアント・ボマー・エアレイド】を持ち込む二次創作は流行ってほしい…。
アンチリスペクトモノでこんなデッキ使ったら、入学試験で不合格待ったなしなので。
需要があれば続きを書くかもしれません。