裏ボスになりたくて! 作:ぐえ
元から七陰とシャドウの戦いで城は半壊していた。しかし原爆の破壊力は何もかもを吹き飛ばす。残骸すら残らずクレーターが広がる。熱線が何もかもを焼き払い、放射線が生き残った生物すら蝕んでいく
爆心地から約20kmの地点でイータとイプシロンは霧化を解き、スライムスーツを新たな形に変化させていた
イータ「これが...マスターの力の原点」
イプシロン「これ、主様生きてるんでしょうね...」
きのこ雲が上空に上り、まるで世界の終わりのような姿を映し出す
イータ「...分かんない」
イプシロン「ちょっと!」
イータ「でも、マスターの夢は...これに勝つこと...なんだと思う」
イプシロン「...叶って欲しいわね。その夢」
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アルファ「ここからは時間がないわ」
アルファ、ベータ、ゼータがスライムスーツを変化させ、走り出す
ベータ「放射線や熱を短時間の間なら無効化が可能」
ゼータ「でも、魔力消費量が高すぎる」
アルファ「彼がまだ余力を残しているようならプランBよ」
「「はい!」」
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アイリスとベアトリクスは非被爆圏にて爆発を眺めていた。しかし爆発の10秒後、爆風が彼女たちの周りにあった家々の窓ガラスを割る
アイリス「これは、、、一体、、、」
ベアトリクス「目に見えない毒がある。絶対に誰も近づけるな!」
『まだ生きておる』
アイリスとベアトリクスはオルガヌムを見る
オルガヌム『このような状態で1つだけ生命反応がある。この爆発は我を殺すことはできないが、我の体を一生犯し続ける毒となるだろう。それを人間の身でよくぞ...』
アイリス「ベアトリクスさ...ベアトリクス、ここからどうするの?」
ベアトリクス「毒がある以上動きようがない。シャドウが毒の範囲から出た時に仕掛ける。それまで待っていよう」
オルガヌム『何か強き存在がシャドウに迫っている。5人、いや7人か、また認識阻害で状況が見えなくなった』
アイリス「七陰...やはり敵対していたのか」
何か僅かに音がする
ベアトリクス「…さっき待とうと言ったけど、嘘を言った」
オルガヌム『何という存在の希薄さ...我が見逃すとは』
アイリスは少し二人に出遅れ何かが近づいている事に気付く
「これはっ!」
背後から家を両断しながら斬撃が飛んでくるのをアイリスが咄嗟に避ける
「久しぶりだな。オレの攻撃を避けるとは…少し成長したか?」
アイリス「貴様はッ!?」
ベアトリクス「ジミナ・セーネンか」
アイリス「どうしてお前がここにいる!シャドウ!!」
オルガヌム『あれはただの人形にだろう。本物は今もあの爆心地におる』
ジミナ「そう、オレはシャドウ様の記憶から作られた人形だ。そしてお前らを今ここで殺す」
アイリスとベアトリクスが剣を構える
オルガヌム『手伝ってやろう』
オルガヌムが口を開き炎のブレスを吐く
アイリス「ありがとうオルガヌム」
オルガヌム『よい、シャドウに会うまでの短き暇つぶしよ…来るぞ』
爆炎が晴れるがそこにジミナの姿はなかった
アイリス「後ろッ⁈」
ジミナ「まずは雑魚からだ」
アイリスが反射で剣を防ぐが、そのまま弾き飛ばされる
「ガッ‼︎」
ジミナはすぐに追撃を行うが
「させない」
ベアトリクスの攻撃を避けるため、1度距離を取る
ベアトリクス「アイリス、集中力を切らしてはダメ。相手はこちらの意識の外から攻撃をしてくる」
アイリス「えぇ、もう油断はしません」
ジミナ「油断?貴様の実力不足の間違いじゃないか」
アイリスはただ無言でジミナを睨みつける
ジミナ「...挑発は効かないか。心まで強くなったらしい」
アイリスが前へ出る。その後ろからベアトリクスが続く
そしてオルガヌムが炎のブレスでジミナの視界を防ぐが、すぐにジミナが剣圧でブレスを吹き飛ばす
しかしジミナの視界にはアイリスが映らなかった
「速いっ⁈」
ジミナが驚き咄嗟に防御を取る。アイリスは低い姿勢から尋常ではない速度でジミナを切り上げる
「うぐっ‼︎」
ダメージは通らないがジミナの身体が浮く。そこをベアトリクスの最速の突きで追撃する
ジミナは空中で体を捻り、肩の防具にベアトリクスの突きを合わせる事で被害を最小限に抑えるが、そのまま吹き飛ばされ近くの民家に激突する
「…まさかここまでやられるとは、、、貴様らの覚悟に応えて俺も本気を出してやる」
ジミナが手に付けていたオモリを外し、魔力を解放する
「掛かってこい!!」
ジミナによる本気の戦闘が始まった
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七陰による戦闘の少し前
ラムダ「ゴーレムの殲滅は完了した。あとはネームドの3体のみ。さすがはイプシロン様だ。シャドウ様にまだこの状況がバレていないとは」
ニュー「でも、物音を完全に消せるわけじゃない...ジョン・スミス現れたか」
スミス「まさか、私に気付かれずにゴーレムを全て破壊するか。どうやったかはまあいいだろう。貴様らは私が相手をすることになっている」
ラムダが声を荒げ、指示を出す
ラムダ「ナンバーズ以外のガーデンは総員撤退!ジャック・ザ・リッパーの奇襲に警戒しろ‼︎」
スミス「させると思うか?」
スミスが手を交差させ糸を操り、巨大な鳥籠を作り出す
スミス「ざっと200人といったところか。少数精鋭で挑むつもりだったならば、もう少し数を減らすべきだったな」
スミスの言葉の後、数名が糸によって吊り上げられる。スミスが糸に魔力を込める前にナンバーズが動く。カイとオメガ、そしてニューがスミスに向かいラムダがメンバーの救助に向かう
「遅い!」
スミスから糸が格子状に放たれ、3人を襲う。ニューが即座にスライムソードで格子を斬り飛ばそうとするが
「切れn、いやこれは!?」
実際に斬られたのはニューのスライムソードであった。格子は更にニューに迫ろうと広がり続ける
「急いで魔力で防御しろ!!」
「ニュー急げッ!!」
「(ま、まず...)」
3人が弾き飛ばされ、スミスがラムダへ向かい駆ける
「(3人は間に合った、あと1人!)」
「随分仲間思いのようだな」
「なッ⁉︎」
ラムダが咄嗟にスライムで防御するがスミスはそのスライムを拳で貫き、そのまま殴り飛ばそうとする
「(最初から私狙いかッ!)」
ガキンッッ!!
ラムダとスミスの拳の間に一つの剣が差し込み、スミスの拳を止める
ラムダ「559番!?」
ウィクトーリア「くッ!」
ウィクトーリアは刃でスミスの拳を捉えるが、スミスの拳には全く傷が付いていない
もう一つの拳が来る前にラムダがウィクトーリアを抱え距離を取る
ラムダ「助かった559番。捉えられたメンバーも糸から解除はできたが出血が酷い。一人足を欠損している。これでは走れんな」
カイ「おい、ニュー!」
オメガ「しっかりしろ!!」
ウィクトーリア「ニュー様が意識不明。ナンバーズで無傷なのはラムダ教官のみ、他に戦えるのは私と雑兵たちか」
ジョン・スミスがガーデンの攻撃を躱しながら少しずつラムダたちへと歩を進める。ガーデンメンバーの手が、足が、糸に吊るされそのまま断ち切られる
ラムダ「やめろぉ!!」
ラムダが走り後ろにウィクトーリアが続く
そこら中に張り巡らされた糸を寸断しながらラムダとウィクトーリアは進む。しかしジョン・スミスまであと3歩というところで糸に掴まれる
「いくら集まったところで蟻では象に勝てんよ」
「ならあなたが私に勝てる道理はないわね」
鳥籠が破壊されジョン・スミスの仮面が両断される
「七陰...アルファか」
アルファがいつの間にかラムダの前に立っていた
「偽物とはいえ貴方の顔が見れてよかった」
「ふん、一度私に負けた人間が身の程知らずにも「酷い怪我ねニュー」
「なに...⁉︎」
今度はジョン・スミスの背後にいたニューの元にいた
ラムダ「は、速すぎる!?」
アルファがニューの傷を治す。そして胸に触れ
ドクンッ‼︎
「カハッ!!」
ニューが肺に溜まった血液を吐き出して何とか呼吸を始める
カイ「い、生き返った」
それだけではない。ガーデンメンバーたちの切られたはずの手足がいつの間にか生えている
「…いいだろう。私も本気でやってやろう」
ジョン・スミスの魔力が解放される。彼の糸が赤く染まり今までの比ではない強靭さと鋭さを手に入れる。彼が手を引き、無数の糸がアルファへと向かう
ラムダ「アルファ様ッ!!」
しかし、アルファはただ歩き続ける
「霧化か?!だが、その弱点はもう既に知っている」
スミスの掌底による風圧がアルファに放たれる。しかし髪は揺れてもアルファの歩は止まらない
「なぜだ、何故止まらない!?」
『不愉快よ』
その言葉にスミスはシャドウと戦った時と同じ恐怖を覚える
「闇の鳥籠ッ!!!!」
第四魔界の魔王すら屠った技を人間一人に向ける
しかし、アルファはそれでも歩を止めなかった
「バカな、シャドウさまの最高の技が!?くそっ!!」
スミスがヤケクソに吠え、直接アルファに殴り込む
「ラムダ、全員を引き連れて仮拠点まで戻りなさい。ジャック・ザ・リッパーが潜伏しているだろうから、見つけたらデルタに報告して。私はこのままシャドウと戦う」
アルファが歩いてどこかへ向かう
ラムダ「アルファ様、今のはどうやって…?」
アルファ「ただ切っただけよ」
シャドウガーデンが消えたあと、そこにはジョン・スミスの残骸らしきらしきスライムがあった