裏ボスになりたくて! 作:ぐえ
爆心地にて
シャドウの皮膚は爛れ、腕からは骨が見えていた
「防御が一瞬遅れた、でも耐えた。蒸発しなかった。あぁ...これで僕は...」
「酷い怪我ねシャドウ」
アルファが溶けかけている岩の上に立ち、シャドウを見下ろす
「そうだね。ところでイータはどこだい?霧化して随分遠くまで流されていたようだけど」
「ここにいる…」
イータとイプシロンが現れる。いや、シャドウを囲みようにしてベータとゼータも立っていた。
「イータ、君のおかげで僕の目標が一つ叶ったよ!ありがとう!!」
「それは...良かった」
七陰達が剣を構える
「貴方でも放射線の影響を消し去るには少し時間が掛かるんじゃないかしら」
「うーん、5分間ならチャンスはあると思うよ」
「じゃあ話している暇はないわね」
「おいで」
シャドウが身体の表面上の傷を修復する。それと同時に七陰たちが襲いかかる。
前衛はアルファとイプシロン、後衛はイータ、遊撃にゼータとベータの陣営で常にシャドウの手を休ませない。
しかし実質的にシャドウの相手をしているのは全てアルファである。アルファが正面からのシャドウの攻撃に集中するため、スライムによる攻撃のリソースを全て他の七陰が背負っていた。
「(どうやら、全員でなにか作ってるみたいだね)」
アルファとシャドウが鍔迫り合いを起こす。そこにイプシロンが至近距離で空斬を放つがシャドウのスライムに飲み込まれて霧散する。イプシロンが大きく跳ねる。
「マスター...こっち向いて」
イータが巨大な剣を空中に生み出す。音速を軽々と超えた速度で発射されたソレはシャドウに真っ直ぐ進むが、シャドウは振り向きもしない。
剣が到着する寸前にシャドウのスライムが剣の腹を殴る。剣は速度を落とさずに方向だけがベータに向き、直進する。
ベータはそのまま防御を取らずに剣の刃へ自ら向かう。
「ちょっともらうねイータ」
剣はベータにぶつかる前に霧散し、スライムがベータの手に吸収される。そのままベータは巨大なハンマーを作りシャドウのスライムを殴りつける。
怯んだスライムにゼータとイプシロンが襲いかかる
「我からスライムの制御権を奪い取るつもりか」
スライムがいくつもの針へと変化し、ゼータとイプシロンの追撃を止め、距離を取らせる。
「主、少しは取らせてもらうよ」
ゼータが正面から突き進む。もちろんスライムに阻まれるが、鍔迫り合いに持ち込み、イプシロンが空斬、ベータが爆ぜる短刀を投げてスライムを揺らす。
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アルファ「(隙を作る!)」
魔力消費量が普段と違うため、力技はほとんどできない。そのためアルファは技だけでシャドウを越えねばならない
鍔迫り合いを解き、斬り合う。火花が飛び散り、互いの実力が拮抗する。斬り合いが幾百を超えた時、シャドウのスライムに大きな衝撃が走る。ベータとイプシロンの攻撃がスライムに確実な影響を与えたのである。その一瞬をアルファは見逃さなかった。
「ハァッッッ!!!」
アルファの全力の刺突がシャドウを襲う。それを剣の腹で防御するシャドウは威力を流しきれず、そのまま吹き飛ばされる。
「任せて...」
イータが更に巨大な槍で空の上から待ち構えていた
「どれだけ巨大にしようと無意味だ」
シャドウが進んでくる槍に向け、スライムの触手を伸ばす。シャドウのスライムとイータの槍がぶつかる。しかし咄嗟の動きでもシャドウの方が威力が上だったため、段々押し返される
「ん」
イータが手を開くと同時に槍が無数の鏃へと変化する。その鏃はシャドウに向かうことなく、シャドウのスライムに吸収される。いや溶け込んだ。
「これはッ?!」
シャドウの魔力がうまく伝わらずスライムが溶けていく。そこに七陰のスライムが伸び、シャドウのスライムに接続される。
「(まるでコンピュータウィルスだ)」
すぐにスライムの制御権を賭けた綱引きが始まった
イプシロン「(こっちは5人がかりなのに!)」
ゼータ「(確実に削ぎ取らないと)」
イータ「(2割は取れた...)」
ベータ「(最低でも3割はもらいます!)」
アルファ「?!全員離れて!」
「「「「ッ!?」」」」
スライムが突然破裂する
「アンチウイルス、結構難しいね」
シャドウが跳ぶ、その速度はアルファの目にも映らない。しかし次の瞬間に腹に衝撃が走る。
「カハッ!?」
「ほう?反射で腹を守ったか」
アルファが顔を上げると他の陰も蹲っている。シャドウは喋る
「まさか、スライムをここまで奪ってくるとはな。なかなか面白いことをする。それで?次はなんだ?終わりじゃないだろう?」
「(速すぎる!でも他の子達も意識は繋げてる。それに全員準備はもう整ったわ)」
陰たちが立ち上がる。彼女たちからは白いオーラが溢れ出てくる。そのオーラは空まで登っていき、魔力の線が現れてくる。
「これで終わりよシャドウ...!!」
「やはりたどり着いたか...我が最強に...!」
シャドウも魔力を解放し、放出する。彼の
『アイ…』
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デルタ「…アム・アトミック!」
アルファ「これでようやく全員使えるようになったわね」
デルタ「はいなのです!」
イプシロン「囲んで物量で押し潰す、ねぇ」
ベータ「別に文句はないでしょ?」
イプシロン「いや、まあそうだけど主様相手だと普通に負ける気がして...」
七陰「「「(((確かに)))」」」
イータ「マスターの力を...限界まで削ぐ、から多分大丈夫?」
ガンマ「そこはもっと自信持ってよ!」
アルファ「でも、今はこれしか思いつかないわ」
ゼータ「...ねえアルファ様。もしかしたらもっと確実に主に勝てるかも」
アルファ「それは本当?」
ゼータ「多分。それに主は、いや主だからこそ対応できないと思う」
ガンマ「一体どうすればいいの?」
ゼータ「じゃあガンマ、あの技を私に撃ってみて」
ガンマ「え、でもそれは」
ゼータ「良いから!」
ガンマが剣を突き上げ空間に緻密な魔力が発生し、それを一度に放とうとする
七陰「!?」
ガンマ「あ、あれ?爆発が起きない!?」
ゼータ「ガンマは魔力の流れが分かりやすいからね」
アルファ「なるほどね。魔力の流れを無理やり変えれば霧散させることもできる」
イータ「なら、マスターの体力だけじゃなくて...スライムも奪い取ろう」
ベータ「防御力も削れば、確かにいけるかも!」
アルファ「作戦の方向は決まったわ」
デルタ「デルタは何をすればいいのです?」
アルファ「あなたにとって一番苦手で一番重要なことよ」
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シャドウは単純に同じ技で相殺しようとしていた。だが、彼は彼女たちの魔力の流れが自分のものとは少し違うことに気付きながらも放置していた。なぜなら、自分の技を行使できる者など初めてだったからだ。
「I ...」
『アイ...』
彼は囲まれていることを考慮し、自分を中心とした範囲攻撃をするために剣の柄を持ち上げる
「AM ...」
『アム...』
七陰たちの緊張が限界にまで高まる
「THE ALL RANGE」
『ーーーーー』
シャドウが剣を地面に突き刺す。それは周囲全てを消し去る技である。そして
「ATOMIC ...!?」
爆発は起きなかった。ただシャドウの赤紫のオーラが霧散していく。
「バカなっ⁉︎(何も起こらない、魔力の流れを乱された?)」
イプシロン「今よデルタ、ガンマッ!!」
イプシロンの背後から二つの陰が空へ飛び出す
それによりシャドウは空にいる二人の存在に今気付く
「(デルタがこのタイミングまで待っていたというのか?!)」
デルタ「ア゛ァ゛イ゛ィ゛!!」
「(核やスライムの奪い合い、その全てがこの瞬間を作り出すための布石!)」
ガンマ「アム!!」
「(我を倒すためによくぞここまで...)」
「「アトミック!!!」」
世界が白く包まれる