裏ボスになりたくて! 作:ぐえ
光が星すら包み込み夜を照らす
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何かが降りてきた
「あれは…」
「そんなシャドウ様が…」
ゆっくりと空から降りてきたのはシャドウではなかった。
「魔神ディアボロス…!!」
ディアボロスは彼を殺し現れた。誰もが現実を受け止められない。
彼が負けた…
『何をどうしようと結果は変わるまい』
「貴様ァッ!!」
「よくもシャドウ様を!!」
ナンバーズやガーデンが憤るが、七陰は何の反応もしなかった。現実が受け入れられないのか。それとも”何か”に気付いたか。
『そう何も変わらない。』
「…例え我の肉体を奪い取ったところで」
魔神の肉体にヒビが入り、外皮が崩れ去っていく。
「あぁ…」
七陰の誰かから声が漏れる
「そうだろう?」
彼が帰ってきた。
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アルファとかいう女を抱きしめ、どこかへ行こうとするシャドウをアレクシアは見つめていた。
「ねえ、もう行くの?」
「うん。一応僕は彼女達の上司だからね。」
「また会える?」
「普段なら僕の姿を知った君を殺さなきゃならない」
「そう…」
シドは踵を返し、彼女らの元へ帰る。
「またね」
「!ま、また!!」
じゃあそろそろ行こうか。他の人たちにも感謝はしてる。もう会えるかは分からないけど
「ボス!」
「あぁ、帰ろうか。家に。」
その場にいる者の身体が浮かび上がる
「な、何これ?!」
「飛んでる!?」
「振り落とされないよう近くにいる者と固まれ」
シャドウはクレアの方を見る。
言葉はなかった。
陰達が夜の闇に消える。
『きっといつか会えるわクレア。』
「うん…でも一言ぐらい欲しかったわ」
戦いの幕がようやく閉ざされた。
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こうなってしまったのは全て僕が気を抜いてしまったのが原因だ。陰の実力者を目指しておきながら裏ボスになろうなんて。
皆んなの傷は責任を持って全て治した。ガーデンの皆はアルファ達のおかげで死者がいなかったのが幸いだ。でも僕は何十万もの人間を殺した。それに対して責任を取る気はない。でも今生き残っている彼女らに対してぐらいは何かした方がいいだろう。それが僕なりの償いだ。
「お前達、何か望みはあるか?」
少しも使わずに貯めてるおかげでお金はたっぷりある。ホントは少しも使いたくないけど、今回ばかりはしょうがない。
「我の力の及ぶ限りのことならなんでも言え。一人一人にその権利がある。」
「私もいいの?」
アルファが後ろから少し抱きついてきた。アルファめ、僕の力が今弱いからって調子に乗ってるな。
「当然だ」
とても陰の実力者らしいとは言えないが今は甘んじて許そう。
「思いつけば我を呼ぶといい。」
そう言って僕は皆の前から姿をくらました。
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当然だがアルファはついてきた。
今は何か悪い予感がするので全力で逃げる。
「(クッ速い!)」
今は経験差で僕が勝ってるが、数分もすれば見つかる可能性が高い。どこか隠れ場所を見つけないと。
「ん?」
扉から手が伸びてる。僕を呼んでるのか。いや、あの部屋は!
すぐにその扉の中に入り込む。どうやら魔力での追跡はできなくなってるようだ。
とはいえ起きていたのか...
「おはよう実くん」
「おはよう。随分寝てたね」
「うん。でもあなたのおかげで生きてる。」
「そっか」
「ところでなんでアルファさんに追いかけられてたの?」
「分かんないけど、捕まったらヤバい予感がしたんだ。」
「ふーん」
他愛もない会話。一週間前にシドが彼女を復活させてから、彼女は仮死状態であった。シドが作った肉体はそもそもスライムであるため、生きているも死んでいるも元から無いが。
「ねえ、実くん」
「その呼び方やめてよ。今はシドだ。」
「じゃあシド君」
「何?」
「あのね私、シドくんのこと愛してる。」
「そっかありがと」
「やっぱ貴方は理解してない」
「ん?どういうこと?」
「どういうことかな〜」
まあいいや。とりあえず彼女は、いや親愛を込めてルビーさんと呼ぼう
「ねえルビーさん。君はこれからどうしたい。できる限り望みは叶えようと思う」
「ルビーさんって私のこと?目の色で名前をつけたのかしら。安直ね」
「嫌だった?」
ルビーさんは顔を振る
「ううん。嫌じゃない…じゃあ一つだけお願いしようかな」
「うん」
「シドと私で…」
突然扉が破られる。
「あら、ここだけ魔力の流れが見えないから確かめてみたんだけど、起きてたのね」
「あ、おはようアルファさん。」
「ところでシャドウを知らないかしら?」
「え?あれ!?いつの間に!!」
すぐそばにいた彼がいつのまにか消えていた。どうやら窓から逃れたようだ。
「外に逃げられたらもう見つけようがないわ。はぁ、、、」
「あのー、、どうしてシド君を追いかけてたんですか?」
アルファの鋭い視線がルビーを突き刺す。
「秘密。でもちょうど良かったわ。彼の記憶、洗いざらい吐いてもらおうかしら。」
アルファの微笑みに冷や汗を感じながら、ルビーは彼の根幹以外は全て言わされたのだった。
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ふぅ。どうにかアルファを撒けたけど、どうしようか。まあ、しばらくは修行で山籠りしかないか。何人かに場所だけ伝えておかないと
バシッ
誰かに肩を掴まれた。まさかアルファか!?
恐る恐る後ろを振り向くとそこには
「や、やあ久しぶりだね姉さん。」
「えぇ、本当に久しぶりシド。こんなところで一体何をしてたの?」
「ウゲッ」
あ、首輪をハメられた。ご丁寧に魔力が使えなくなるやつだ。
「やっと捕まえたわ。もう逃がさないわよ」
どうしようコレ
「色々言いたいけど、まずは皆んなに謝りに行くわよ!」
「勘弁してよぉ姉さん」
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そんなこんなでまさかまた学校に来ることになるとは…
人はまあポツリポツリといるけど結構減ってるなぁ
皆逃げたのか、それとも僕が殺したか。まっしょうがなかったって奴だ。南無阿弥陀仏
……
…………
はあやっぱりいたよ
「アレクシアおう、にょっ!!?」
こいつ魔力を使ってない僕に魔力たっぷりでビンタしてきた。僕じゃなかったら死んでるぞ!やっぱりこいつは辻斬りの才能があるのだろう。
ゴキっ
曲がった首の骨を気付かれないように戻し、僕は大袈裟に痛がる。
「ぴょげぇええええええ!!!」
「ちょっとアレクシア!シドになんてことするの!?」
「シャドウなんだからこんなので死ぬわけないでしょ」
「ぼ、僕がシャドウ!?そんなわけないじゃないか!!」
「し、シド。流石にその嘘は通じないわよ」
「僕が姉さんに嘘を言っているように見える?」
「(つぶらな瞳、なんて純粋な目なの!そうよねシドが私に嘘をつくはずないわ!!)アレクシア、やっぱり私たちの勘違いよ!シドがシャドウな訳ない!!」
「(ふっ一人落ちた)」
「いや、無理があるでしょ。」
そう言ってアレクシアが僕の尻を踏みつけてくる。
「クレアあの時シャドウに姉さんって呼ばれてたじゃない」
「あっ!」
ちっアレクシアめ!余計なことを!!
『もう茶番はいいでしょ?』
クレアの身体からヴァイオレットさんが出てくる。え、ヴァイオレットさんそんなところにいたの!?
「ヴァイオレットさんがいるならしょうがないか」
鉄の首輪を握力で捻じ切る。
「それで、我に何か用か?」
踏まれたままじゃ格好つかないので瞬時に座席に座り、シャドウへと変わる。
「あれ!?」
僕を踏んでいたアレクシアは当然のように倒れる。いい気味だ。
「し、シドなのよね」
「それは一時の姿にすぎん」
『嘘ね』
「…」
『あなたはクレアのことを大事に思ってるし、アレクシアのことも剣に関しては気に入ってる。それに私といた時の言葉だって本心でしょ?』
「…」
『じゃなきゃクレアやアレクシアをシャドウの姿で助けた理由にはならない』
アレクシアとクレアが僕の顔を覗いてくる
『彼はシドだしシャドウでもある。他にも色んな姿はあるのかもだけどね』
「…ねえポチ。」
「…」
「もう一度学校生活を楽しまない?姉様は私がなんとかするし、それにポチがシャドウだってのはほとんどの人が知らない事実よ。」
「…」
「実家にもちゃんと帰るわよ。その時に学生じゃなくなったなんて聞いたら母さんは怒るし、父さんは泣いてしまうわよ。」
もう少しモブ生活を楽しめるってのは悪くない。
けど一番の難点はこの人たちが僕の正体を知っていることだ。
うーん、、、
チャリリン
瞬間、シャドウの目線が落ちたゴールドへと向かれる。それは一枚では無かった。
チャリンチャリン
どんどん落とされていくゴールドの音にシャドウの心が揺らぐ
「ふっ我が金で釣られるとでも?」
「そう言って目が泳いでいたように見えたけどポチィ?」
アレクシアがニチャアと微笑む
「勘違いするな我はシド・カゲノーではない。返事はまたいつか返そう」
そう言ってシャドウはどこかへと消えるのだった。
呆れたクレアがアレクシアを叱る
「シドがお金なんかに釣られる訳ないでしょ!」
「イケると思ったんだけど…」
『そうでもないみたいよ』
「「え?」」
『ほら、ゴールドの枚数』
10枚は落ちていた金貨はひっそりと7枚になっていた。これぐらいならバレないだろうといった感覚だろうか
「ぷ、ぷはははは!ほんとにバカね」
そう言ってアレクシアはしばらく笑うのだった
ポチはポチね
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はぁ、そろそろ戻るか。願い約1000個で僕の貯金はどのぐらい減るだろうか。
単純に金を要求されると流石に持たないかもだし、できれば力が欲しい的な願いであって欲しい。それなら僕も陰の実力者っぽいムーブができるというものだ。
「ぼすぅううううううう!!!」
あ、一番ダメな子が来た。
「ボスボスボス!!」
前よりデルタの突進が強い。
「強くなったねデルタ」
「デルタは強いのです!今はボスよりも強いのです!!」
「ほう?我とやりたいのか」
「ヒッひぅ」
弱くなったとはいえデルタには負けない。でも力はさっさと取り戻さないと。
「ところでデルタは何しに来たの?」
「うーんと、デルタはえーっと、、忘れた!!」
「それは困った。」
「ボスボス、狩りにいこ!」
「行かない」
「いく!」
「そんなことよりいいの?アルファに呼ばれてたりしない?」
「アルファ様は1週間したら帰ってこいって。それより狩りにいこ!」
いいのかアルファ。このままじゃデルタに森の生態系が崩されるぞ
「今日はそういう気分じゃないんだ」
「それでも行くの!だってボスは、ボスは…思い出した!!」
おんぶされていたデルタが急にシドの頭の上に乗り出す
「ボスはデルタの言うことなんでも聞くの!!」
「なんでもじゃないよ」
「なんでも聞くの!!」
「僕のできる範囲のことならね」
「いくらでも!」
「一つだけ」
「ボスボス!」
「なんだいデルタ」
「子供いっぱい作るのです!」
「やだよ」
「でもボスはなんでも言うこと聞くのです!」
「僕のできる範囲でね」
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「シャドウ様と肉体関係を築くのは難しいようです。」
「いや、デルタ様とは嫌という線も…」
「流石に失礼よ!」
「デルタ様同じ会話を三周もしてる...」
デルタは何人かのガーデンメンバーたちに監視されていた。力が強くなっても知能は変わってないので下手をすれば国そのものに影響を与える大惨事を与えかねないからだ。
「私はやっぱりお金が欲しいなぁ。昇給したい」
「願いって言っても難しいよね」
「例えば魔力をもっと貰いたいって言ったらくれるのかな?」
「で、デートとか…」
その言葉に全員が無理だと思った。七陰に殺されかねない。
「無理でしょ。デートする前か後に殺されるわ」
「でも…」
もしシャドウ様と付き合って、それで結婚なんてしたら、どんな人生になるんだろう?
彼女たちからすれば石油王の優しい範馬勇次郎を相手にしているようなものだ。
私が選ばれたりなんて、、、
「こんな所で何してるの?」
急に目の前に現れたシドに対して彼女たちのシンデレラ思考は止まる。
「あ、あ、え、しゃ、シャドウ様!!???」
「い、いつからお気付きになっていたのですか」
「デルタが抱きついてきた時ぐらいからかな」
「(最初からじゃん!)」
「君たち結構怪我が酷かった子たちだね」
「我々の実力不足故です」
その言葉にデルタがシドの頭をよじ登って反応する
「そうなのです!弱いからあんなに怪我する。今度デルタが修行してやるのです!!」
「そ、それは、、、」
「ご容赦を…」
「デルタ。イジメはダメだよ。」
「ハイなのです!」
「君たちも何かあったら呼んでくれていいよ。できる限りの頼み事には応えるつもりだから」
「寛大なお心感謝します!」
「それでは私たちは仕事に戻ります!」
そう言って彼女たちは消えていく。
そろそろ僕も帰るか。
アルファが今日シチューを作ってくれているらしい。彼女の手料理は随分久しぶりだ。
「ねえボスぅ」
「ん?」
「ボスが欲しいものって何なのです?」
「秘密」
「えー教えてなのです」
「自分にとって一番大事なことは誰にも言わずに大切にしまっておくものなのさ」
そう僕はいつか必ず...
これで大体完結です。まだ願い事はあるので時間あるときにまた書くかもです