ハリー・ポッター 生き残った男の子と古代魔法の継承者 作:アレスタロス
「新入生歓迎会の準備が間もなく始まりますが、大広間の席につく前に、皆さんが入る寮を決めなくてはなりません。寮の組分けはとても大切な儀式です──」
マクゴナガル先生の声が響いている。
アベル達新入生は大広間の前で学校の準備を待っていた。新入生達の間に組分けを前にした緊張感が漂う。そして、アベルもその例外ではなかった。
(とうとう組分けか…一体どうやって素質を見抜くんだ?
やがて、大広間の扉が開き新入生達は並んで大広間へ入っていく。
大広間の天井には夜空に大量の
天井に気を取られていると突然、どこからか歌い声が響いた。
見るとボロボロの使い古された帽子が口を開けて歌っている。
「私はきれいじゃないけれど
人は見かけによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはすらりと高い
私はホグワーツ組み分け帽子
私は彼らの上をいく
君の頭に隠れたものを
組み分け帽子はお見通し
かぶれば君に教えよう
君が行くべき寮の名を
グリフィンドールに行くならば
勇気ある者住まう寮
勇猛果敢な騎士道で
他とは違うグリフィンドール
ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない
古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう
スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ
かぶってごらん!恐れずに!
興奮せずに、お任せを!
君を私の手にゆだね(私は手なんかないけれど)
だって私は考える帽子!」
………要約すると、帽子を被ればどの寮に適しているかを帽子が診断してくれるらしい。
マクゴナガル先生が羊皮紙の巻紙を手にして前に進み出る。
「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子を被って椅子に座り、組分けを受けて下さい。」
新入生達組分けを受けていく。
アボット・ハンナから始まりベンがスリザリンに組分けされ、しばらくするとポッター・ハリーもとい『ハリー・ポッター』がグリフィンドールに入り…。
「シャーウッド・アベル」
アベルの番が来た。
こちらを注視している校長と一瞬目が合ったので軽く頭を下げる。
アベルが椅子に座り帽子を被ると低い声が耳の中に響く。
「フーム、これはまた難しい。」
「何がだ?」
「狡猾さと誠実さと高潔さ、本来
まるで頭の中を覗かれているような気分だった。
「
「分かるとも、私は君の心を読み取っているのだから君の過去も分かる。さて、話を戻そう。
君の中で狡猾さと高潔さが共存、両立されている。知識欲、勤勉さも申し分ない。どこの寮でも上手くやれるだろう。強いて言うならグリフィンドールか、スリザリンか。
君の力を最大限に活かすのならスリザリンだが…」
「力が欲しいわけじゃない、俺は…ただあの時の過ちを繰り返さない強さが欲しい。」
「フム、君が偉大さではなく勇気を求めるのならばよろしい。グリフィンドール!!」
アベルが席から立つと拍手の中でグリフィンドールのテーブルに迎えられた。
残ったソフィアはレイブンクローに組分けされ、最後に数人が組分けされると組分けが終わった。
校長…アルバス・ダンブルドアがニッコリ笑いながら立ち上がる。
「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」
『以上!』含めて五言だった。
(何が言いたいのか全く分からん…)
ダンブルドアは高祖父から聞いた話よりも大分茶目っ気があるようだった。尤も、その高祖父がブッ飛び過ぎていたせいで相対的にまともに聞こえただけ、というのは彼の知り得ない話である。
ダンブルドアの話が終わった途端に目の前の大皿が食べ物で一杯になる。
アベルは夢中でかぶりついた。昨日、密猟者を倒した後の夜食から(車内販売のカエルチョコ以外は)ほとんど何も口にしていなかったのである。
空腹は何よりのスパイスだ。アベルは今まで食べたどの料理よりも美味しいと思った。
デザートが終わるとダンブルドアが再び立ち上がる。
「エヘン─全員よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言、三言。新学期を迎えるにあたり、いくつか知らせがある。
一年生に注意しておくが、構内にある森に入ってはならぬ。これは上級生にも、何人かの生徒には注意しておく。
最後じゃが、とても苦しい死に方をしたくない者は今年一杯四階の右側の廊下には立ち入らぬことじゃ」
(わざわざ
やるな、と言われるとやりたくなるのが人の性である。
(まるで誰かに立ち入って欲しいかのような、誘い込むような言い方だ)
アベルは疑問に感じながら諸注意を聞き続けた。
アベル達1年生はこれから暮らすことになるグリフィンドール寮に案内された。アベル達はルームメイト同士で自己紹介し合う。
「俺はアベル・シャーウッドだ。よろしく」
「僕はハリー・ポッター」
「僕はロン・ウィーズリー」
「ぼ、僕はネビル・ロングボトム」
(コイツが『生き残った男の子』…?ヴォルデモートを倒したという魔法界の英雄、には全く見えないな。どちらかといえば、つい最近に魔法の存在を知ったマグル生まれの魔法使いに近い感じがするが…)
そう、アベルはハリー・ポッターと同室だった。
この出会いが彼の人生に大きな影響を与えることを彼はまだ知らない…。
主人公アベルのトラウマの内容は後々明かしていく予定です。