タクティカル祓魔師の作戦記録   作:ゲルゲルググ

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https://h.syosetu.org/novel/352228/5.html

先にこっちのエロ小説見たほうが、楽しめる内容だぜ!


クラシカルな祓魔師のとあるお話

 クラシカル祓魔師。簡単に言うと安倍晴明とかそう言う感じの奴らである。

 

 ………もう少し詳しくするなら、加護術式の量産や、祓串(ペグ)及びカラビナ(銃器)の開発など、日々技術を近代化していくタクティカル祓魔師とは違い、古いしきたりや信仰を重要視し、先祖代々から受け継がれてきた家伝式法と呼ばれる加護術式で界異を祓う……それがクラシカル祓魔師である。

 ただ、そんな古きを重んじるクラシカルの一族達も、昨今の急激な界異の増加、多様化、進化と、それに伴う祓魔師達のタクティカル化によって、置いてけぼり気味なのが現状だ。

 

 故に今生き残っているクラシカル祓魔師一族の半分程が、タクティカルの要素を取り入れ、現状に柔軟に適応。クラシカルの両方を合わせたハイブリット祓魔師と化していた。詳しい説明終わり。ハイブリットだろうが以降クラシカル祓魔師と呼称する。

 

 今回は、そんなクラシカル祓魔師のとある一幕………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある山にそびえ立つ屋敷……クラシカル祓魔師の家系が一つ、朽華(くちばな)家にて。

 

 屋敷の割と広い敷地を、ピッチリとしたトレーニングウェアを着た小さな女の子が走っていた。

 

 身長は140cmほどで、金色の瞳でまっすぐに前を見据えながら、銀色の長髪を靡かせる、少女にしか見えぬ女性。彼女こそ、この朽華家の跡を継ぐ次期当主………ではなくて、そんな次期当主の専属のメイドである。

 名をば冷泉千夜(れいぜいちや)となん言いける。千夜ちゃんと読むべし。

 

 元々は冷泉家と呼ばれるクラシカル祓魔師の一族であったが、五号級界異との戦闘によって、己の加護術式が使い物にならなくなってしまい、そして色々あって…………朽華家の次期当主、朽華成寿(くちばなせいじ)の恋人兼専属メイドとなったのだ。

 

「ハッ、ハッ、ハッ……ハァッ、ハァッ、ハァ…っ、昨日より…長く走れた…」

 

 そんな千夜ちゃんの最近の日課は、運動である。狼貪孤姿(ろうどんこし)と呼ばれる彼女の加護術式があったのだが、その身体能力強化系の術式が無くなった今、彼女は素の身体能力による激しい動きに慣れる必要があった。

 故に、午前で屋敷の掃除や成寿くんの衣類の洗濯を終わらせた後は、こうやって敷地内で運動しているのである。

 

 こうして、成寿くんが帰ってくる前に日課を終え、従者用の個室シャワーで軽く身体を洗い、晩御飯の手伝いをする。そんな彼女の一日。

 

 もちろん、成寿くんはその事を知っていた。

 

「千夜が私に隠れて運動してるるるるるるるrrrrrr」

「ハァ……」

 

 オシャレに整えた緑の短髪と、3つの色が絶妙に噛み合った、花の様な瞳を持つ男。名をば朽華成寿となん言いける。適当に呼ぶべし。

 そんな彼は今、屋敷にある書斎にて父親の朽華燦刈(くちばなさんか)の前でビタンビタンしていた。パッパはため息を吐いた。

 

「隙間時間を有効に使っているだけだろう」

「いいや違いますね父上。何故なら、私が休みの日は運動をしていないからです。明らかに!私がいない事を見越して運動をしている!」

 

 声を僅かに荒げながら、式神越しに観察した千夜ちゃんを思い出し、パッパにその事を教える成寿くん。

 

「それに最近は、膝の上に乗せて私と一緒にご飯を食べるのもしなくなって……私はもうおしまいです………チンチン(バラ苗)」

 

 流石に彼女も良い年なんだから当たり前だろうが、と眼鏡を高速でチャキチャキしながら思うパッパであった。

 

「成寿、朽華家の家訓第……いや、別に素直に聞けばいいだろう。今さらそんなギクシャクする仲でもあるまい」

「くっ…で、ですが父上!貴方が教えてくれたはずです、女心は難しいと」

 

 ――言ったっけか?このバカ息子にそんな事。

 

「もし万が一、いや億が一…いやいや兆が一にでも、嫌われてしまったら、私はもう生きていけません!!!」

「えぇいこの朴念仁馬鹿息子が!そこまで嫌われ無い自覚があるならさっさと聞きに行けッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、聞きに来た」

「ぴゃあぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っっっ?!!?!!」

 

 可愛い声を上げながら、すってんころころと転がり、屋敷の壁に寄りかかる千夜ちゃん。

 

「つっ―つぅ……」

「つ…?」

「次やったら、殴る……!」

「殴るっ?!」

「ぐーで殴る!」

「グーで?!」

 

 そりゃお前、人が運動してる時に突然地面から生えてきたらビックリするだろうがよ。

 ついでにそれがお前ならそら殴るよ。グーで。

 

「………それで、なにしに…来たの」

 

 バツの悪そうに顔をそらす千夜ちゃん。

 

「それはまぁ、ね?私的には、千夜から話して欲しいな〜なんて」

「うぅぅ…だって、だって……こんなこと知られるの…ちょっと、恥ずかしいし…」

 

 ――っぶね〜。何がっぶね〜か知らんが、余りの可愛さにっぶね〜事する所だった。赤くなったほっぺたに頬ずりしたい。

 

 こ↑こ↓R18分岐ポインヨ。

 

「……それに、理由知ったら…成寿は僕を止める」

「………ん?何故?」

 

 別に、いくら千夜ちゃんが戦えなくなったかわよい少女だからと言って、成寿くんもそこまで束縛する程アレな人間ではないし、彼女もソレを分かっている。

 では何故、千夜ちゃんはそんな事を言うのか。その理由は何なのか。七月七日。

 

「………」

 

 言うか言わぬか躊躇する千夜ちゃん。

 

 躊躇する千夜ちゃん。

 

「ぼ、僕も!戦いたいの!成寿と、一緒に!」

「ッ―!!」

 

 目を見開き驚愕する。彼にとって、これは流石に予想外と言わざるを得なかった。

 彼は脳内で千夜ちゃんの言葉を反復しながら、ゆっくりと肩に触れ、膝を着く。

 

「……どうしてだい?君はもう、戦うだけじゃ無いだろう?」

 

 彼は昔の千夜ちゃん…戦う事でしか生きる価値を見出せなかった頃の彼女を思い出しながら、優しく語りかける。

 

「ち、違うっ…違くて……その、えっとぉ……っ」

 

 肩に置かれた手と彼の言葉にビクリと身体を震わせながら、彼女はワタワタと言葉を紡ごうとし……そして腹を括ったのか、ギュッと両目をつぶり、口を開いた。

 

「いつも、いっつも!祓魔師の仕事から無事に帰ってくるかわからなくて…こ、怖いから!僕も戦いたい!成寿のこと守りたいの!」

 

 真っ赤な顔でなんとか言い切った千夜ちゃん。そんでもって、改めて恥ずかしくなりポシュンと顔か湯気が出る。

 

 そんな彼女を前にして、暫く固まっていた成寿くんは……

 

「………フッ」

「……?成寿―ぴゃっ?!」

「プハッ!ハハハッ!フハハハハハハッ!!!ハーッハッハッハッハッハッ!!!!!」

 

 徐に千夜ちゃんを抱きかかえ、満面の笑みで笑いながら、くるくると回りだした。

 

「ちょっ、せーじ!おろして!せーじぃ!」

「イヤだね!だって私が愛した人は、こんなにも可愛くてこんなにも愛おしい!」

 

 彼女が界異ブッ殺すマシーンの頃からずっと見ていた彼にとって、その言葉は嬉しくてたまらなかった。あの千夜ちゃんが、己の価値を見出す為ではなく、誰かを守る為に戦うと思ってくれたのが嬉しかった。

 

 何より、その対象が自分であるのだ。これ以上嬉しいことはないだろう。

 

 たまらず彼女にキスをする。唇が一瞬触れるだけの軽いキス。そうすれば、千夜ちゃんもまた、顔から湯気を出しながらキスを返してくれた。

 

「まさかこっちが聞くずっと前から、千夜は戦う意思を持ってたなんてな」

「?」

「千夜、単刀直入に言おう。君の焼き切れた加護術式を、品種改良出来ると言ったら、どうする?」

 

 彼女は驚愕に目を見開いた後、躊躇無く首を縦に振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たか」

 

 手術台の様な、儀式台の様な、そんな悍ましい寝台がポツンと置かれた地下室にて。

 パッパは手を繋いでやって来た2人を見て、眼鏡を光らせながらチャキチャキする。

 

「君も…その顔を見る限り、覚悟は決まっているようだな」

「うん。受けるよ、品種改良」

「であれば、早速始めようか。成寿、手伝いなさい」

「はい」

 

 術式の品種改良。そこら辺のクラシカル祓魔師が聞けば、割と真面目な表情で脳の異常を疑うくらいには、頭のおかしい事である。

 何しろ、クラシカル祓魔師の持つ加護術式の基盤『家伝式法』には、本来の術式に加え『術式を遺伝させる術式』があり、コイツが結構なブラックボックスであるが故に、クラシカル祓魔師じゃあ術式に下手な直接改良を行うなどバカな行為なのである。因みに、千夜ちゃんの焼き切れた所も主にこの術式があった部分が多い。

 

 そしてここにバカが一家。朽華家。だが彼らには彼らなりに考えがあった。

 

 先ず、直接的に品種改良を行うのは術式ではなく、千夜ちゃんの身体。もう少し詳しく言うのなら、その血液。

 家伝式法は、子々孫々へつなげる為のモノ。故に、血の繋がらない者へ受け継ぐと、拒絶反応が起きて最悪死に至る。

 

 であるならば、血を繋げれば良いのでは?朽華家は訝しんだ。

 パッパは知り合いのクラシカル祓魔師である哭廻蛇(こくかいじ)家へ赴き、色々借りを作った上に哭廻蛇家の当主にボコボコにされる事で、今回の品種改良に必要なブツを手に入れた。

 

 そう、朽華成寿と冷泉千夜の血液が配合された輸血液。人1人分。

 ただ混ぜ合わさっただけじゃ無い、身体に違和感無く馴染み、家伝式法にも拒絶されない。ついでに近親にもならない。まさしく品種改良された輸血液。コレを作ってくれと言われた哭廻蛇家はキレた。そりゃボコボコにされて当然だよ。

 

 コレを、彼女の血液と置き換え、その身体に朽華の血を巡らせる。そして……

 

 

 

「………ではコレより、家伝式法の継承を行う。立会人は私、朽華燦刈が執り行う」

「はい」

「………成寿」

「?どうしました父上」

 

 彼は、血液の品種改良を終えたばかりの、まだ眠っている千夜を見ながら、成寿に語る。

 

「コレは前例の無いことだ。だが前例の無いことと言うのは、大概上手くいかなかった事に他ならない」

「……………」

「…承知の上だな?」

「今さらですね。そんな父上も良いんですが?ここまで継いできた朽華家そのものが、無くなるかも知れないのに」

「それこそ今更である。愛人を亡くすリスクを持ったお前よりマシだ。であれば、可愛い息子のワガママを叶える事に躊躇はすまい」

「ありがとう、父さん」

「父上と呼べ」

 

 互いに少し微笑んでから、成寿は彼女の身体に手を添える。そうして2人は、輝き出した儀式陣の光に包まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 境界異常の発生した採石場にて。

 

 岩の様な界異を次々と祓っていく2つの影。

 片方は朽華成寿。成植豊樹(せいしょくほうじゅ)と言う、植物を急成長させる加護術式を持つ彼は、界異祓滅様に品種改良された種を握り、術式を起動。槍の様な尖端を持った植物が急成長し、岩の身体を容易く貫く。

 

 そして、彼を後ろから襲おうとした界異の顔を、何かが粉砕しながら貫通した。

 

「大丈夫?成寿」

「ありがとう千夜!」

 

 2人は互いに背中を合わせ、まだまだ湧いてくる界異へ構える。成寿くんは複数の種を急成長させ、蔓植物で編まれた式神を召喚。

 千夜ちゃんも己の新たな術式を起動。戦意を高揚させ、それによって発生した加護を葉緑体の様な構造を持った加護術式の回路へ流す事により、身体能力を増強させる。

 

「じゃ、さっさと片付けて、新婚旅行にでも行こうか!」

「〜ッッッ……もう、今は集中してっ!」

 

 同時に飛び出し、界異を次々と祓っていく。境界異常が無くなるまで、5分もかからなかった。

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