不死の聖杯のヒーローアカデミア 作:不死身の寿司
《side 耳郎響香》
轟の個性強いなぁ。
天杯がいなかったら初手で詰んでた。
それにしても、はぁ……。
ビルが凍りついた時、天杯が助けてくれたのだがその方法が問題だった。
凍りつく直前にウチを抱っこしたのだ。
顔が近くてヤバかった。
しかも肌めっちゃスベスベだったし。
ウチより女子力あるんじゃない?
自信無くすわ。
っと、そんなこと考えてる場合じゃなかった。
氷を貫通しプラグを床に刺す。
索敵をするが足音がしない。
いや、この音は……。
「後ろからか!」
まさか窓から入ってくるとは。
5階だし登れそうな所も無かったから大丈夫と思ってたけど、どうやって入って来たんだ?
「イヤホンジャック!」
「やっぱりバレるよね!」
靴のスピーカーから衝撃波を飛ばす。
しかし、破壊されたのは窓だけ。
当たった様子は無い。
避けられたか……。
片耳のプラグを刺しっぱなしにし、索敵を続ける。
もう片方のプラグで衝撃波を柱に当たらないよう放ち、牽制する。
うーんどうしよ。
柱の裏に隠れられたら困るんよな。
衝撃波だと柱が壊れるかもしれないし。
直接刺しに行こうにも格闘戦だと動きが見えない上に氷で滑るから不利なんよな。
まあ滑るのは葉隠も一緒だけど。
なんで葉隠は裸足なのに普通に動けてるんだろ。
でも、足が冷たくなるからあまり時間はかけれないだろう。
そのうち痺れを切らして強引に突破しようとして来る筈だ。
そう考えていると、予想通り葉隠が正面から走ってくる音がする。
「喰らえ! イヤホンジャック!」
「残念!」
「ぐっ……!」
衝撃波を放つが難なく回避されてしまう。
そのまま後ろから蹴りを入れられ吹き飛ばされた。
クソッ!
受け身を取れたのはいいけど、間に合うか?!
核にタッチしようとする葉隠に向けて全力でプラグを飛ばす。
ダメだ、ここからじゃ間に合わない!
そう思った時だ。
「きゃあ!」
突如、葉隠の下から小石が床を貫通しながら飛んできた。
そしてバランスを崩しよろけてしまう。
ありがとね天杯。
お陰で間に合ったよ。
「イヤホンジャック!」
「ぐっ!」
よし!
今のうちに!
『ヴィランチーム WIIIN!!!』
捕縛テープを葉隠に貼り付ける。
すると、オールマイトの勝利を告げる声が鳴り響いた。
「うわ~ん! 悔し〜!」
まさか一階から葉隠の足元だけ的確に穴を空けるなんて……。
天杯の奴身体能力だけじゃなく技量も頭おかしいな。
その後講評を終え、他の試合も無事に終わった。
そして今度から放課後希望者に訓練をすることになった。
全員参加するらしい。
流石ヒーロー科、意識が高いね。
「なあ葉隠、凍った床の上でも裸足で動いてたけどあれどうやってたん?」
「気合い!」
「気合いて」
やっぱ気合は大事だよね。
「葉隠ちゃんは新しいコスチューム作って貰お? 髪の毛から個性適用される服作れるからさ」
僕のコスチュームもそうだしマウントレディとか3年の透過の人も確か作って貰ったらしいし。
「いやー最初はそうしてもらおうとしたんだけどさぁ。流石に透明な素材扱うのは無理って言われちゃって」
「あー」
そっか、それもそうだよね。
僕並みの視力持ちか感知系の個性じゃ無いと確かに無理か。
そんな風に二人と話していると、轟くんが近づいてきた。
「天杯、耳郎」
「ん?」
「どしたん?」
「次は勝つ」
へぇ?
その言葉に思わず口角が上がる。
「楽しみに待ってるよ」
「もしかして天杯ってバトルジャンキー?」
つぐのひ。
いつものように登校してると葉隠ちゃんに出会った。
「あっ! 天杯くん! おっはよー!」
「おはよう葉隠ちゃん」
校門前に行くと、そこは大量のマスコミでごった返していた。
「何だろう。マスコミだらけだね」
「あー、オールマイト目的かな」
飯田くん達もマスコミに捕まってる。
うーん、このままだと間に合わないかもなぁ。
「ちょっと気配消して行こっか。葉隠ちゃん、おんぶして上げる」
「凄い……こんなに近く通ってるのに誰も気づいてない」
気配遮断は得意なんだよ。
「戦闘訓練の様子と君たちから聞いた個性の情報を併せ、デクと考えてきた訓練スケジュールだよ。訓練内容、個性の弱点、新技の案が書かれてるよ」
デクの知識はやっぱり凄いよ。
僕には思いつかないことをどんどん思い付くんだから。
まあたまに自分の世界に入って何も聞いてないことがあるのは欠点だけど。
「これは……凄いですわ。まさかここまで事細かに書かれているとは……」
「あんがとな! 天杯! 緑谷!」
「うん、役に立てたら嬉しいな」
「明日から訓練開始だからよく読んでおくように」
そうこうしている内に相澤先生がやってホームルームが始まった。
「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらったよ。本題だが、今日は君らに……」
何だろう。
「学級委員長を決めてもらう」
学級委員長かぁ。
そっか、そういえば決めてなかったね。
「学校っぽいのキタァ!」
「俺やりたい!」
「俺にやらせろ!」
「オイラのマニフェストは女子のスカート膝上30cm!」
「僕の為にあるやつ☆」
「導き手か。興味深い」
「リーダーやりたい!」
少なくとも峰田くんは絶対なれないね。
100%無い。
それは断言出来る。
「静粛にしたまえ! 民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら、これは投票で決める議案!」
確かにそうだ。
飯田くんは立派だよ。
手を上げずに同じセリフを言っていればね。
「そびえ立ってんじゃねーか!何故発案した!?」
ホントにね。
そもそも入学してから少ししか経ってないのに信頼とかないでしょ。
結局相澤先生の「時間内に決めりゃ何でも良いよ」との一声で投票に決まった。
結果はデクが委員長で八百万ちゃんが副委員長だ。
「1票!? 誰が入れてくれたんだ!?」
「他に入れたのね……」
「お前もやりたがってたのに……何がしたいんだ飯田…」
僕は八百万ちゃんに投票した。
この中で一番真面目そうなのが八百万ちゃんか飯田くんだったからね。
そして昼休み。
耳郎ちゃん、葉隠ちゃん、上鳴くんの3人とランチラッシュのご飯を食べていた。
「ンンンンーー! 甘露甘露」
「どしたん急に胡散臭い陰陽師みたいになって」
「天杯くんたまに変になるよね」
「この前もいきなりローマとか言い出したり」
「それ程でも」
「褒めてないよ?」
ハハハ照れるな。
「ん?」
この音は……。
マスコミか?
『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』
「何だ何だ?」
「セキュリティ? ヴィランでも来たの?」
「これは……なるほどね」
場所は……職員室。
人数は二人か。
一応相澤先生に報告しておいた方がいいかな。
「どしたん天杯」
「ちょっと相澤先生の所行ってくる」
「行ってくるってこの人混みの中どうやって……ってもういないし!?」
人混みを無視し、天井を駆け抜けて行く。
外に出ると、校門でマスコミの対処をしている相澤先生を発見した。
「相澤先生!」
「どうした」
「さっき職員室に侵入者が紛れ込んでましたよ」
「何? それは本当か?」
相澤先生が眉をひそめる。
「僕の聴覚なら校舎内での出来事ぐらいなら把握出来ますから」
「そうか、分かった。戦闘はしてないな?」
「もちろんです」
「放課後詳しい話を聞く。教室に戻っておけ」
「はい!」