忘れ形見の川匂   作:Ary-low

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第一話 碌な目に遇わない

 "僕"を育てた訓練艦"いずも"の艦橋が無惨にも海賊の砲撃によって炎につつまれていた。

 

 

だが僕はいずもを傷つけられていること以上に"彼女"が僕の目の前で火に包まれ焼かれていく様子を破片によって壁に釘付けにされた僕は黙って見続けるしかなかった。

 

次第に彼女は苦しみの声をあげて、僕に必死に助けを求める、僕はそれに答えようと身体を必死に動かすが破片によって磔のようになった身体はぴくりとも動く様子はない。

 

そんな状況に絶望した僕とは裏腹に彼女は僕を優しく見つめ微笑み、目をつぶり…。

 僕は彼女を助けるために腹部に深く刺さった破片を無理に引き抜く。無論引き抜いた穴から大量出血し、かつ痛みによるショックで意識が飛んでしまい、彼女に近づく前に気絶してしまった。

 …次に目が覚めたときには彼女は塵ひとつ残っていなかった。まるでその存在がなかったように…。

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 僕は何度がまばたきをしたあと顔を軽く2~3度叩いてから、起き上がった…。

…なぜか寝間着や下着が汗で濡れ、身体にしっかりと張り付いてしまっていた。特に寝る前に汗を掻くようなこともしていないし、暑かったわけでもないはずなのに。

寝起きの回らない頭で汗を掻いた理由を考える。

ただいつまでも考え込むほど暇なわけがなく、仕方なく僕はため息を吐いてからシャワーを浴びることにした。

…汗のせいで身体のラインが浮き出てしまった、水兵時代の制服で汗を掻いていたときはいつもこうだったのか…。

…艦長だった彼女があのとき上着を僕に贈ってくれたのはこういうのが理由だった…4年ぶりに理解できるとは僕もよわった。

 シャワー室の手前にある脱衣所で、僕は身体に張り付いている寝間着を脱いで洗濯かごに入れる。

…服を脱いだことで多少、張り付いた不快感は消えたものの。このままでは匂いが出てしまいそうなほどに汗を掻いてしまっていることを再認識できた。

 

 洗濯かごに入れた寝間着を畳んでから朝日の入るシャワー室に入っていく。

"艦長"用に用意されたシャワー室は士官用や水兵用の大浴場と比にならないほど広く、置こうと思えば大型浴槽を設置することも出来るようになっている。

その広さを利用して武術の練習にも使うことが出来るから重宝している。

 

 僕はシャワーの蛇口を捻り、冷水がお湯になるまで待ってから髪から順にお湯で一度洗い流す。

よく朝シャワーを浴びることですっきりすると水兵達が口々に言っているのを聞いたことがあった。

…たしかにこれは…。

朝に用事が無ければ浴びることにしよう。

 

 

 シャワーで一度流したあと、備え付けの洗浄剤で泡を発て、身体にしっかりと塗りつけていく。

…隅々まで泡を塗っていく途中、下腹部に目が行ってしまった。そこには彼女を失ったときに僕が負った傷はいまでも残っている。

 いつまでも傷跡を見つめ、回想に耽るわけにもいかない僕は頭を3度ほど振り。意識を切り替えてから、胸の隙間も丁寧に泡で洗って…。

 

 

 

 

 

 

 

「ん…(こんな…おっぱいって大きかったかな。この前の身体検査のときより……?)」

 僕はふと、胸を洗っている最中、疑問に思ってしまった。

…半月ほど前、海軍内部で発生した集団暴行事件の捜査のために身体検査を受けさせられたとき。

手に収まるほど小さかった胸だったと記憶していたが…。

僕はその記憶が本当に合っているのか怪しくなってきている。

 

 

それは僕の手に収まり切っていないほど大きく、また丸みを帯びていた。

…だが疑問に思うだけではなく。納得できる点もあった。

最近、従来の支給された下着が窮屈に感じていた。

妙だなと思い、肥満かと思った僕は痩せるためにトレーニングをするようにしたが、余計窮屈に感じるようになっていた。

ようやく合点が行った…。

まさか"17"才で成長期になるとは…僕は考えていなかった。

…ただ、分かったなら主計科に下着のサイズアップを頼むようにしなければいけない…。

…多少僕にも恥はある、主計科は男のみで構成されているから流石に面と向かっては恥ずかしい。

「はぁ…(仕方ない、副長経由で伝えてもらうかぁ。彼なら僕は気にせずに頼めるしね)」

 

 シャワーで泡を流して、身体に付いた水滴を拭った。

僕はシャワー室から出て、すぐの衣類掛けから下着だけを取らず、"汗を通さない防水"の黒いインナーを着て、その上に艦長服を羽織る。

多少、擦れて肌触りは良くないが窮屈な下着を付けるよりはいいはずだ。

…艦長服はなんの問題もなく羽織ること出来たことに安堵した。

余裕を持った仕立てで頼んでいて良かった。それに…主計科に艦長服を頼むわけにいかない、この服は"あそこ"でやってもらわないとダメだ。

 

 ようやく部屋から出ていく準備が整い、扉に手を掛ける。

しかし、扉を開いた瞬間。誰かが立っていることに気が付くと同時に目を見開いてしまった。

 

 目の前に僕より少しだけ、背の高い少年の水兵が口許を抑えていて立っていた。

その顔は青白く、酒臭い。

ただ、飲み馴れていない少年が無理に飲まされた。

…というところだろうか。

 

 そんなことを考えている場合じゃなさそうだ、どうやら誰の部屋なのかすら分かっていないほど泥酔しているらしい。このまま吐かれてはこの少年にも申し訳ない。

 

「…あとで君にお酒を飲ませた上等兵に処分を言い渡さないといけないな…それと、…ここに出してくれ。」

僕は艦長服を脱ぎ捨てて、防水のインナーを脱いで結い袋にして少年に渡す。

一瞬、少年の顔が紅くなったことを僕は見逃さなかったが、いつまでも見つめていては出せないと思い。艦長服を羽織る。

 

 しばらくしないうちに、ううっと少年のうめきが聞こえ。僕は出している音を聞かないためと水を取りに行く。

水を汲んで持ってくる頃にはだいぶ収まっている様子だったが、今度は僕の姿を見て、顔を青白くさせた。

「…っ…艦長…?」

少年は怯えて手に持ったエチケット袋()を離そうとした、僕はすぐに離そうとした手を握ったが、袋が揺れてしまったために僕の肌に少年のものが飛んでしまっ…た。

「ヒィ…」

少年の怯えて、絶望した顔が見なくても伝わってきていた。

この國は上官に無礼を働いた場合死罪になることがある、少年はそれを恐れているのだ。

…僕は目を瞑ってから、仕方なく。

少年の持っていたエチケット袋()を水と共に持ってきていた袋に入れてその場に放る。

 

少年はこれからどうなるかと怯えて、ぶるぶると震えていた。

僕の動向、一つ一つに目を向けていた。

…ただ僕はこの少年を罪に負わせるつもりは毛頭ない、上官に従い酒を飲み、上官のせいで吐いてしまった。

 

このまま、肌に付いたままにする訳もない。

だから僕は初めての異性と、…少年と共にシャワー室に入る。事態が事態といえど、…恥ずかしい

 

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