ふむ、私に喋れと言うのだな!?   作:хорошо!

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序章.キヴォトスに降り立ったコミュ症
プロローグ


事実は小説より奇なり、なんて言葉がある。

よくある物語みたいに伏線が張られた上で進んでいく人生なら分かりやすくて助かるんだけど、実際はそう簡単にはいかないのが現実ってモンなんだよね。

人生何があるのか分からないからこそ楽しい、なんて風に語る人もいるぐらいなんだからさ、予定通りにいかないのは私もよ〜く理解しているよ…

 

さてと、現実逃避は得意だけども、そろそろ今の状況と向き合わなきゃならないなぁ…

 

未だにズキズキと痛む頭をゆっくりと持ち上げる。

何処までも澄み渡る色の空、日差しが眩しい。

ベンチに寝そべっていた私の事を不思議そうな目で見つめている学生さん達…やめて、視線が痛い。

そして、当然のように路上を歩く人型の犬や猫、なんか見た目がロボットっぽい人達…

 

おぅ、ジーザス…どういう事だってばよ…?

 

 

◇◇◇

 

 

うおおおおお!!!!美少女だ!!!!

窓ガラスに美少女が映っている!!!!

…馬鹿馬鹿しくなってきたな、やめよう…

 

窓ガラスに映るアルビノみたいな感じの少女…

私である、私なのである。

勘違いしてもらっちゃ困るが私は男だ、加えてぼっちでコミュ症…うん、スリーアウトだわ。

目の前に映るこの少女の姿に見覚えなんかない、私が女装をしたところでこんな可愛くはならない…

 

『嘘っ、これが私…!?』

 

みたいな展開にはならないんだよ。

いや、まぁ、ある意味現在進行形でそうなってはいるんだけどさ…?

これはアレだろう、多分アレなんだろう…

何年か前からネットで流行してるアレなんだろう…

 

頬をつねってみる、痛みはあるなぁ…

 

「…ぁ、ぁ〜・・・」

 

声を出してみる、随分と可愛い声だなぁ…

 

再び、窓ガラスを凝視する。

傍から見ればビルの窓ガラスを凝視するヤバい人がそこにいる訳だが…今はそれどころじゃないんだ、気にしてる余裕がないんだ…

何度見ても私の姿は美少女のソレとなっている。

…うん、認めたくない、認めたくはないよ。

でも百歩譲ってこの事実は認めよう…

 

私の頭に浮いてるソレだよ、ソレ。

何処からどう見ても『アレ』なんですけど!?

天使の輪?だったら良かったね、うん。

いや良くないわ、私いつ死んだよその場合。

…いかんいかん、また現実逃避をしてた…

 

私の記憶が正しければ、コレはヘイローってヤツだ。

さっき私の事を見てきた女学生の見た目や、平然と歩いていた犬猫やロボットの住民達…

…ここまで来たらもう逃げ場がない、潔く認めよう。

 

私は、キヴォトスに転生してしまったようだ…

それも何故か、TSのオマケ付きで。

 

 

◇◇◇

 

 

Q.キヴォトスってな〜に〜?

A.ブルーアーカイブってゲームの舞台だよ!

 

透き通るような世界観で送る青春RPG…

私もプレイしていた大人気スマホゲーム、その名も『ブルーアーカイブ』。

とは言え所詮はスマホのゲームに過ぎない、ただの空想の話…な筈なのだが…

私は今、そのゲームの舞台であるキヴォトスに少女の姿になった上で立っている訳である。

 

これがTS転生か!?TS転生ってヤツなのか!?

いや、私にもTS願望はありましたよ、ハイ。

ヲタクはね、心にTS願望を飼っているんだ…

でも違うじゃないっすか、実際にこうして何の説明もなくTSさせられるのは違うじゃないっすか。

せめて何がどうなってこうなったかの説明をしてから放り出してくれませんかねぇ…!?

 

おおお落ち着け、まだ慌てるような…

いや慌てるような状況だな!?

ここはキヴォトス、美少女GTAしてる所…

私、銃なんて持ってませんが???

なんならバッリバリに手ぶらですが???

今不良に絡まれでもしたら私は死ぬぜ!!

…ぁ、いや、ヘイローあるから死なない…のか…?

 

いや、死なないにしても嫌だが?

痛いのは嫌なので…!!私は防御力に極振りなんかしてないので普通に痛いので…!!

よし、まずは身の安全を確保しよう。

叩きつけられた情報量が多すぎて混乱してる最中だけど銃も何も持たずにたった一人でいるのはマズい気しかしない、まずは助けを、助けを…

 

…誰に助けを求めれば良いんだ…?

 

ここが本当にキヴォトスなのだとしたら、きっと生徒の味方を謳う例の先生だっている筈…

だが、私が今こうして立っているキヴォトスには既に先生は来ているのだろうか?

下手したらまだ先生来てなかったりしない?

なんならこの世界線には先生がいない的な√の可能性すらある、キヴォトス崩壊RTA始まったな…

 

というか、そもそもシャーレの場所が分からない。

 

くっ…こんな時にスマホがあれば…!!

異世界(キヴォトス)はスマートフォンと共に的な救済処置は…転生特典はないのか…!?

いや、救済処置にしてはショボいなソレ…

銃もスマホもない…嘘っ、私ってば無力すぎ…!?

 

シャーレが何処にあるかくらい周辺の誰かに聞けば良いじゃないかって?

コミュ症を、無礼(なめ)るなよ…!!

コミュ症を拗らせまくってる私に何処の誰とも知らないような相手と話す能力があるとでも!?

ははっ…それくらいあって欲しかったよ、私も…

 

心がしんどくなりそうだからこの話やめよう、うん。

いやぁ、どうするべきなんだコレは…

人が多い所…も、別に安全じゃないだろうし…

大人しくシャーレの先生を探すべきか、いやでも何の情報も無しにいるかすら分からないような人物を探すのは些か無謀が過ぎる気も…

 

ドンッ!!!!

 

…わ〜お、随分と大きな爆発音じゃんね?

び、ビビビビビってなんかないし!?

別にビックリして変な声出そうになったとか、そんな事1ミリも思ってないし!?

嘘ですビビリ散らかしました、だって怖いじゃん。

普通に暮らしてる上でリアルな爆音を聞く事なんて滅多にないんだから仕方ないじゃん!?

電子レンジに卵突っ込んだ時くらいでしょ、リアルで爆発と爆音を経験するのって…

 

結構な時間が経ちようやく正常に戻り始めてきた心拍数を確認した後、改めて爆音のした方向を見る。

おぉう、なんか煙上がってる…怖っ…

流石は美少女GTAと言われるだけある、心臓が幾つあっても持たないよこんな所に住んでたら…

なんで日常的にこんな事が起こってしまうのか、詳しい事はここからじゃ分からないが日本でこんな事が起きたら悲鳴の一つや二つ上がってるぞ…?

 

…うん、やっぱり悲鳴とかは聞こえてこない。

爆発から時間が経っているからもう悲鳴が聞こえてこない…って訳じゃないだろう。

私の耳が狂ってなければ爆発と同時に悲鳴とかそういう類の声は聞こえなかった筈だ…多分。

いや、確信を持って言えないのは仕方ないじゃん…

私爆発音に気を取られすぎて意識全部そっちに持ってかれてたし…仕方ないじゃん…?

 

あの場所で何が起きてるのかは何も分からないけど少なくとも何らかのトラブルが起きてるのは確実だと見ても問題はないだろう…

やっぱりキヴォトスの治安って終わってるわ…何があるか分からないし今煙が上がってる方向には出来る限り近寄らないようにした方が…

 

ん…アレって…?

 

煙の上がっている方角からとんでもない速度で走り去って行く一人の少女…

狐のお面が格好良いね、仮面って浪漫だよね!

…って、そういう話じゃないんだわ、違う違う…

ワカモだな!?どう見てもワカモだな!?

なんでワカモがこんな所にいるんですか…魔王が最初の村に突っ込んでくるようなモンだぞ…

…ワカモがソレならヒナとかはどうなのかって?

ん〜・・・ダークドレアムとか…?

 

って、違う違う、そうじゃない…

爆発音と同時に上がり始めた煙…そしてその方角から走り去って来たワカモ…そうか分かったぞ!!

ぁ〜・・・なるほどね、完ッ全に理解した…

 

今、丁度プロローグの真っ最中だな?

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