ふむ、私に喋れと言うのだな!?   作:хорошо!

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ぶらりアビドス電車の旅

『そうだ、京都に行こう』

 

…とでも言わんばかりにガタンゴトンと揺れ動く電車の中から失礼します、私でございます。

ってなわけで今日も今日とてアビドスへと向かっているんだけど、当然私の隣の席には先生がいる訳で距離が色々と近くて困っちゃうよね!!

けれど私はポーカーフェイス、それでも一切表情を変えない事によって感情を悟らせないのだ〜!!

…興味ないって、ハイ、そうっすか…

 

じゃ、話題を変えさせてもらって…

電車っていうのは便利だよね、離れた場所まで特に何も考えずに辿り着く事が出来るんだからさ。

乗り換えとか降りる場所とか、多少は考える事もあるけど車を運転したり自転車を漕いだり、そういうのよりは幾分も便利な乗り物だと思うよ。

 

私はこの身体になってから電車に乗るのが辛いけどね、酔い止めなきゃ即死するよコレ。

 

とは言え歩いたら歩いたで体力不足でくたばるからね、出来るだけ電車で移動するっていうのが一番私の負担が少ない移動方法なんじゃないかな。

電車で行こうって提案してくれた先生には本当に感謝感激雨あられって感じですわ〜・・・

酔い止めを買っといてくれたのもGoodだ、イケメンポイント高いぞ〜?

まぁ、流石にその程度で堕ちたりはしないが…

 

“ねぇ、ヒノ”

 

ぁっ、ハイなんでしょう、乗客がほとんどいない今なら私でも多少の受け答えくらいは出来るぞよ?

でも急に話しかけるのはやめてクレメンス、揺れる電車内だったから目立たなかったけど今一瞬ビクッてしたからね、ちょっとビックリしたからね。

さっきまで一言も発さずにだんまりを決め込んでたから何か考え事でもしてるのかと思ってたんだけど、ソレも終わった感じかな?

 

…ぇ、何その目、真剣な話をする感じでして?

やめてくだしあ…私はそういう雰囲気は苦手ですぞ、だって普通に喋る時よりも何倍もプレッシャー掛かるから余計に喋れなくなるもん。

元々喋れてないんだから関係ないだろって言ったそこのお前、ぶっちゃけその通りです。

でも嫌なモノは嫌なんだよ、余計なストレスは感じたくないのが人間ってモンでしょ?

 

ぁ〜・・・話す事は決まってるっぽいですね、というかさっきまでソレを考えてた説すらある?

どんな言葉を言われるのかちょっと怖くなってきたな、どうして本題を話す前に相手の余計な恐怖を煽るような溜めを入れるんですか…?

けれど私は仕方無いねという許しの心を持っているのでどうにか恐怖心を克服して先生の言葉をちゃんと聞いてみせる!!聞くだけだけど!!

 

“…君は、私がアビドスに手を差し伸べなかったとしても、アビドスを助ける事を選んでた?”

 

…ぁ、私に対する問いかけってのはそれだけっすか?

なぁんだ、過度な心配をしてたけど思ったより緊張して挑まなくても良いような簡単な…

…いや、よくよく考えると想像以上に重い内容の話なんじゃないかなコレ。

そりゃぁ先生があれだけ悩むのにも納得しますわ、この話を自身より歳下であろう生徒に言うっていうのは中々やりづらい動作だろうしね…

前世で生きた年数を合わせると私と先生、どっちが歳上なのか正直怪しいレベルと思うけどね!!

 

要約すると、昨日私がアビドスに協力するのかという問いに対して頷いた事を自身の意見に流された結果なんじゃないかと思った訳なのだろう。

いや全然そんな事ないんだけどね、元々私としても協力するつもりで着いて来てた訳だし。

まぁ、そもそもの話『先生がアビドスに手を差し伸べない』っていう事自体が私目線だとあり得ない事だからこの質問自体ちょっと返答に困るんだけど…

 

「………」

 

少なくとも首を横に振るっていう選択肢は私からしたらないからね、縦に振らせてもらいますよ。

仮に何らかのバグみたいな事が起こって仮に先生が対策委員会のみんなに手を差し伸べなかったとしても、私は私で足掻いてたと思うなぁ…

とは言え、そのもしもを考えるのが難しいからこそちゃんとした言葉を返すのが難しいんだけど。

…そもそも考えられたとてちゃんとした文章を口にする事が出来るのかって?

うん、九割九分九厘無理にゃしぃ〜・・・

 

“…そっか、なら安心したかな”

 

何に、何に安心したのだ先生よ!?

あれか、自分のせいで生徒の行動を縛ってしまったんじゃないかと不安になってたって事なのか?

そっか、私ってちゃんと生徒認定されてるんだった。

うぬぅ…そうやって危惧されても、私だって私なりに考えて行動している訳なんだけども…

残念ながら私にそれを伝えるコミュ力はありません、ここに来てポーカーフェイスだっていうのが裏目に出るの一周回って笑えるレベルでしょ。

 

…先生、ねぇ、先生、なんで言葉を止めたの?

ぇさっきので会話終わり!?お話終了ですか!?

この気まずい空気で今からアビドスに辿り着くまで耐え続けろというのか貴方は!?

えっ、あっ、地獄ってこういう事を言うのかな…

こういう空気感になる事が分かってたなら最初から質問しないで欲しかったよマイティーチャー・・・!!

 

 

◇◇◇

 

 

電車酔いと気まずい空気感により限界寸前になっております、マジでげんなりしてるよ。

今の私に学名を付けるなら間違いなく『シャーレシナシナモップ』だと思うな、ハハッ…

うん、ちょっと本格的に疲れてるのか心の中ですらテンション低くなってるなぁ〜・・・

もっとバイブス上げてかないとさ、心の中でくらい明るくいかなきゃさ〜!!

なんて無理矢理テンションを上げようとすると余計に疲れるので本格的に詰んでおります…

 

っと、誰かが来たようだ…

ん、私は詳しいんだ、アレはアビドスの生徒…

セリカじゃないか!!

なんだ、セリカじゃなかったか…

いや待て、あの見覚えのあるSilhouetteは…?

ヤツ…?…セリカじゃないか!!

…うん、このネタが通じる人もどんどん少なくなっているという事実に私は涙が隠せないよ。

 

ってなわけで、タイミング良く鉢合ったのは紛れもなくアビドスの生徒であるセリカ。

昨日あまり良い印象を抱かれないままに別れたため、正直に言うとちょっと気まずい相手です…

まぁ、私からすれば別にセリカに対して負の感情を抱く理由がないから何も気にしてないんだけど。

 

「ぅ…なっ、なに…っ!?」

 

そんなに驚かなくたって良いじゃあないかァ…

ここで私が彼女に対して取るべき行動は…うん、難しい事は考えずに挨拶するのが一番だね。

今この場にいるのは先生とセリカ、そして私を含めて三人の人間のみ…

大丈夫、アビドスの生徒が全員いる訳じゃない、これくらいならいける、いける…

ッスゥ〜・・・フゥ〜・・・ヨシ、安留ヒノ、いきます。

 

“おはよう”

 

「おはよう」

 

ハイ、私は今日のコミュ力を全て使い切りました。

今日のコミュ力っていうのはソシャゲのスタミナみたいなものでね、一定時間経つと回復するんだ…

いやごめん、確かにふざけはしたけど言ってる事はあながち間違ってないんだよコレ。

一回喋るってだけで疲れるんだよ、結構な間隔を開けないとメンタルが逝くんだよ。

そもそもの話、周りに人がいっぱいいたら一言を発する事すらままならなくなるけどね!!

 

「何がおはようよ!!馴れ馴れしくしない、で…ぇっ、貴方って普通に喋れたの…?」

 

そんなに驚かなくたって(以下略)。

いや確かにアビドスに来てから私って一言も喋ってなかったもんね、もはや喋れないモンだと思われてても仕方がない…のか…?

私だって本当に必要な時くらいは喋りますよ、それでも喋れない時はあるし普段はマジで喋れないから実質的に喋れないようなモンだけどさ。

 

「…まぁ、それはそれとして、私はまだ貴方達の事認めてないからね!!」

 

うん、ごめん、これ私が調子狂わせたよね?

明らかに拒絶する気満々だったのに急に私が喋っちゃったせいでそっちに意識持ってかれちゃったんだね、話題の切り替え方が雑だもん…

 

“セリカちゃんは、これから学校?”

 

「…何よ!!なんでちゃん付けで呼んでるのよ!!」

 

前も言った気がするけど、先生は面が良い。

…とは言え、それでも生徒の事をちゃん付けで呼ぶのは少々どうかと思うというか…

いや、状況によっては生徒の事を『〇〇ネキ』とすら呼ぶんだし今更ちゃん付けにとやかく言ってたら仕方がないってのも分かってるんだけどさ。

…なんか、なんていうか、嫌じゃない?

まぁ、それも含めて先生の個性なんだってのは分かってるから否定するつもりはないけどね。

 

「それに、私が何をしてようと別に貴方達には関係のない事でしょ?」

 

ご尤もです、それはご尤もなんですけどぉ…

先生の性格的に放っておけないよね、こういう風にツンツンしてる生徒っていうのは。

だから絶対に先生は貴女に着いて行くと思うよ、確か原作でも着いて行ってたと思うよ。

 

「じゃあね、私はもう行くから」

 

“あっ、待っ…”

 

けど、ここで追いかける必要はないよなぁ…

 

「………」

 

そう思ったので先生の服の端を掴ませてもらいます…コレアレだな、よくラブコメ漫画とかである『まだ帰りたくない』的な構図になってるな…

シチュエーション的には全然違うのにそういう風に見えるの、なんか面白くない?

いや違うんです、ここで引き止めたのにはちゃんと理由があってですね?

 

“…何か、追いかけない方が良い理由でもあるの?”

 

いやね、私これでも今結構疲れてるんだよ。

セリカの事を追いかけて少しでも走ったら上から乙女の尊厳が出てきちゃう気がするんだよ。

私は別に中身まで乙女って訳じゃないけど、普通に嫌じゃんそうなるのは…

というか、追いかけなかったとしてもどうせアビドスの面々を連れて柴関で再会するだろうしね?

 

“…ん〜・・・よく分からないけど、私達は私達二人で学校まで歩いて行こうか?”

 

私、先生のこういう所が好きです。

なんて唐突な告白をしましたけども、実際こうやって生徒の意見を尊重してくれるのも私は先生の良い点の中の一つだと思うんだよね。

ありがとう先生、お陰で私の尊厳は守られたよ…

じゃ、ちゃっちゃとアビドスに向かって他の生徒さん達と合流しますかぁ〜・・・

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