ふむ、私に喋れと言うのだな!?   作:хорошо!

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一瞬沈黙、狼狽絶句、子哭啾啾、故陰気成

アビドスへ向かう道中で死にかけています、私です。

 

コミュ症がマシになるとかキヴォトスに慣れるとか、そういう以前の問題が今私に襲い掛かっている。

やっぱり身体の弱さは、どうにもならなかったよ…

便利屋の事務所、一人で行かないで先生と一緒に行くのが正解だった気がしてきた…

けどなぁ、そしたら本当に私の存在意義がなぁ…

 

目の前の景色が点滅してふらつくようになってきた事を自覚し、一度その場に座り込む。

 

「…しんどい…」

 

アビドスの校舎まで恐らくあと十数分ほどで着く、距離自体はもうあまりない。

が、私がそこまで耐えられるかが問題である。

まだ早朝、時間に余裕はあるが私の体力には余裕がない。

倒れたら本格的に終わる、ならばゆっくりと確実に辿り着くのが一番安全な選択だろう。

 

「ん…ぅ」

 

カヨコと遭遇する前に買っておいた水を口に含み、噎せないようにゆっくりと流し込む。

そう、カヨコ、私は彼女に言われた事を今ひとつ実行出来ている気がしない。

全てを打ち明けるというのは今の段階ではハードルが高すぎるにしろ、このまま何も話さないでいると本当に事態が悪い方向へと進んでいってしまう気がする。

 

逃げ道があるか否かと聞かれれば、まぁ、逃げ道自体は探せば割とあると思う。

でもそれは本当に逃げ道でしかなくて、私が責任から逃れるためのルートでしかない。

そこで逃走を選ぶ事は私には出来ないし、そもそも逃げるつもりならシャーレに入る選択を取らなかった。

その結果、巡り巡って色々と裏目に出ているのだが。

 

うん、普通に笑い事じゃなくなってきてる。

 

これ以上問題を先延ばしにし続けても、相対的に自分の首を締めるだけだ。

というかこれ以上先延ばしにしたら怒涛のトラブルラッシュが起きる関係で話すタイミングが消え去る。

それも含めて考えると、誰かしらには私の隠してる事をいくつか明かさなきゃまずくなってくる。

 

どのタイミングで、どの場所で、誰に話せばトラブルが避けられるか。

先生に話すのが一番平和的に解決する気がするけど、結局それじゃあ私の存在はアビドス目線だと怪しいまま。

そこら辺を考えるためにも、改めてこれから起こる出来事を順番に並べて整理してみようと…

 

怪我をした柴大将へのお見舞い(柴関が無事なのでスキップ)

 ↓

シロコとホシノの喧嘩(次ココ!!)

 ↓

対策委員会による作戦会議(その次がココ!!)

 

…あれ、これ急いで向かった方が良い感じ…?

 

 

◇◇◇

 

 

突撃!!お前が晩ごはん!!

 

「ゼェ…ゼェ…」

 

とまぁ、思ったより時間に余裕がない事に気付いてしまったので全速力でアビドスまでやって来ました。

全速力(速いとは言ってない)で、頑張りました。

普通に歩いた場合と然程到着時間が変わってない気もするし、なんなら無駄に疲れた気すらするけど…

…まぁ、なんですか、頑張ったんですよ私。

 

「………」

 

校舎の入り口には誰もいない、校舎内にも人の気配はない。

まだシロコ達は到着していないのだろう、ならば急いだ甲斐がちゃんとあったというか。

酸欠のためか、ぐるぐると回る視界に酔いを感じながらも壁を支えにし、ゆっくりと進む。

 

扉を開ける、この教室は違う。

 

扉を開ける、この教室も違う。

 

扉を開ける、この教室も…いや、この教室だ。

 

「ん〜…むにゃむにゃ…」

 

その教室の中には、既に先客がいた。

相も変わらず空き教室の片隅で寝ているホシノの姿、ここまでは大方予想通りというか。

その傍の机には、彼女の使用しているスクールバッグが置かれている。

 

「………」

 

…私はこのバッグの中に入った例の物、ホシノの退部届の確認をしに来たのである。

時間的な余裕が無かったから取り敢えず実物を見てからどうするか考えようと、そんな気持ちで。

実際にそのバッグから退部届を取り出そうと、バッグに手を触れたタイミングで私が思った事は…

 

『根本的に考えて他人のバッグ勝手に漁るのヤバくない?』

 

そう、退部届がどうこう以前の問題である。

それに加えて私は元々は男である、女子高生のバッグを勝手に漁るとかもう色々と字面がヤバい。

理由はある、されどそれは言い訳にしかならない。

それが許されるならヴァルキューレはいらない。

 

予想外の方向から変な葛藤を抱く事になったが、それはそれとしてこれを放置するのもまずい。

原作通りシロコに見つけてもらうのも手だが、出来るならば過度に不安を煽るようなイベントを起こしたくない。

それはそれとして先生には相談しておきたい、そう考えると退部届は手元に持っておきたい…

 

「………」

 

…私の手には退部届、目の前には閉まったバッグ。

…私は何も見なかった、うん、そうさ。

私は、何も、見ていない、いいね?

 

自己暗示である、こうするしかなかったんだ…ッ!

罪悪感と倫理観に押し潰されそうである、後で全てを打ち明けて謝った方が良いと思う…

…私生きて帰れるかな、全部打ち明けた後で。

 

でもこれd「ねぇ」くぁwせdrftgyふじこlp!?

 

「こんなに朝早くから登校してるなんて、何か大事な用事でもあったの?」

 

「………」

 

…ドーモ、ホシノ=サン、本日はお日柄も良く…

じゃないね、この反応的に絶対今起きたって雰囲気じゃなさそうだよね…!!

ニコニコと、表情は笑ってるけど明らかに目が笑顔の人のそれじゃない。

あと多分いつでも銃抜けるように構えてる、私がここで変な動きをしたら確実に撃たれる…

いや即撃ちされなかっただけ慈悲はあるんだけど…!!

 

「…野暮用…」

 

「ふ〜ん…それに用があったのかな?」

 

ダメみたいですね…なんで誤魔化そうとしたんでしょうね…

咄嗟に退部届を折り畳んでポケットに入れた、もはや自ら怪しい行動をしに行っている。

ここからどうにか…いや、ここからどうにか誤魔化す方法がある筈がない。

恐らく、私の行動は全て見られていただろうから。

 

「………」

 

じゃあ私がここで取るべき行動…いや、否、取れる行動は一つしかない。

 

「私は」

 

言葉が上手く出てこない、けれど私が伝えなければいけない事はハッキリしている。

 

「私は、カイザーも、黒服も」

 

言葉足らずでも何でも良い、まずは私と彼女が話すための土俵を作るために。

 

「貴女の、聞いた、契約も」

 

多分、ここを逃せば私が今後誰かに自分の事を伝える事は出来なくなる。

それが私の『全部』にしろ『一部』にしろ、私が私の事を話す事はきっと出来なくなる。

 

「全部、全部知っている」

 

そもそもの話、ここで私がやらかしてしまえば今後その機会が訪れる事はないかもしれないが。

 

「…いやぁ…そっかぁ、そうだよねぇ…」

 

ここまであからさまに何か知ってますムーブをしていれば、そこら辺の情報を持っている事は予想出来ただろう。

実際未来で起きる事を知らなければ出来ないような行動とかしてたし、例のセリカ救出の時とか。

だからこそ、納得したような素振りを見せるが…

 

「君、本当に何者なの?」

 

ごもっともな疑問である、そしてそれは私自身にもよく分からない。

TS転生者だとか何故か身体が弱いとか、箇条書きで情報だけを羅列していったら本当に意味が分からない。

だけれど私は私だ、それ以外の何者でもなくゲマトリアでもカイザーでもなんでもない。

私はまず、それを伝えなければならない。

 

「…それを、説明するために…」

 

私のヘマのせいで生まれてしまった、誤解を解くために。

 

「話が、したい」

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