ふむ、私に喋れと言うのだな!?   作:хорошо!

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今日も今日とて、裏目に出ます

ぇー、テステス、ワレアオバ、ワレアンリ〜…

どうして急にフラグめいた事を言い始めたのか、まあ勘の良い方々なら分かると思うんだけどさ。

今までカイザーが、ヘルメット団がアビドスに対してどういう事をしてきていたのか。

そして、ブルーアーカイブという作品においてホシノが消えたアビドスに真っ先に起きた事とは…

 

「追え!!こっちに逃げた筈だぞ!!」

 

「クソっ、逃げ足だけは速い…ッ!!」

 

そりゃあ、もぬけの殻と化してる学校にカイザーが乗り込んで来ない訳がないよね!!

私一人だけで学校に留まってたっていう状況のせいですっかり忘れてたけど、原作でも襲撃されてたもんね…

当然ながら何も考えずに学校から出て行けば兵士の皆様と鉢合う、鉢合った、追いかけ回されました。

 

…己の身長の低さと影の薄さに感謝するのは癪だけどね、どうにか一旦撒く事は出来た訳だ。

残念ながら撒けたと行っても私はまだ校内、そう上手く逃走成功とはいかないのが現実。

というかあの兵士達を放って学校を無人にするっていうのもあんまり取りたくない選択肢っていうか…

でも私に彼らを追い払うだけの力も抵抗するだけの力もない、どれだけ嘆いても私は非力。

 

とは言え諦めたらそこで試合終了、そんな状況だからって諦める理由にはならない、ばにたすばにたす。

物陰から彼らの様子をチラチラ見ながら、なんか上手い具合にどうこう出来そうな解決策は無いかなぁ…

なんて、実に都合の良い救済を求めて辺りを見回していた時に囁くような小さな声が聞こえる。

 

「ぁ〜…もう、私っていつもこんな状況ばっかり…」

 

ツンツンと毒を吐く、随分と聞き覚えのある声。

 

「…セリカ…?」

 

至近距離、ほぼ真隣にツンデレ猫耳っ娘がいた。

 

「ぁ!!アンタなんで…」

 

「静かに」

 

どうしてピンポイントでセリカだけいるのか、他のアビドスのみんなや先生は一体どこにいるのか。

聞きたい事はいっぱいあるけれど今はそんな余裕のある状況ではない…というか私にそんな事を聞く余裕がない。

私が内心でいつも以上にペラを回してる時は基本的に余裕がない時なのである、それくらい焦ってるのだ。

べっ、別に言葉の通り命の危機を感じてて半泣きだったとかそういう訳じゃないんだからね…っ!!

 

「…丁度良かったわ、ホシノ先輩見なかった?」

 

「………」

 

そう問いかけてきた彼女、私に返す言葉は…

…あるにはあるが、とてもじゃないが言い出せない。

だがここで答えないというのもまた出来ない、そうこうしているうちに彼女が私の持っている盾の存在に気付く。

まさか、といった表情でこちらを見るセリカに対して私はポケットからホシノの退学届を取り出し見せて示す。

 

「…これ、どういう…」

 

どういう事か、その理由を私は全て知っている。

そして、その理由を聞いたところで絶対にセリカが…

いや、アビドスのみんなや先生が納得する筈がない事も同時に知っている。

だからこそ私は話すべきなのだ、だが今の状況はそれをするべき時ではない。

というか、そもそもしている余裕がない。

 

「…ごめん、後で話す」

 

「…そうね、良いわよ、今はそんな事言ってる場合じゃないからね」

 

それは彼女も理解しているようで、感情ではなく理性で物を考え一度は場の空気が落ち着く。

が、落ち着いていられるような状況でもないためまもなく再び彼女が口を開く。

 

「で、この場を切り抜ける策的なのはあるの?」

 

「ない」

 

「その即答をいつもしてほしいんだけどね…!!」

 

だってないもんはないんだし、何も思い付かないし。

いや思い付いてるには思い付いてるんだけど、それを先にセリカが思い付いてない筈ない。

そして思い付いているなら既に行動に移している筈、となると逆説的に考えてソレは上手くいかなかったという事。

それでも念には念を入れて、その案を口に出してみる。

 

「…先生に、電話…」

 

「さっきから定期的に掛けてるけど、あっちもあっちで取り込んでるのか繋がる気配がないわ」

 

でしょうね!!!!!!

だってさっきから市街地の方から聞こえちゃいけないような爆発音とか聞こえるもんね!!!!!!

 

「…うだうだ言ってても何も解決しないし、案がないってなら死ぬ気で突っ込んで切り抜けるわよ」

 

と言われましても、私の体力はカスの極み。

体はモヤシで出来ている、と言わんばかりの肉体は敗走しかしないし既に限界手前と言ったところ。

走れるかと言われればまあギリギリ走れるけれど、そもそも戦闘力がない私が何か為せる程の体力は残っていない。

故に今私がこの場にいる事に意味はなく、その体はきっと無意味なモノで出来ていた…

 

詰まるところ、足手纏いになる私が着いて行くよりもセリにゃん一人で全力逃走した方が良い結果になる可能性が高い。

 

「…足手纏い…」

 

「何?私じゃ力不足って言いたいワケ?」

 

すいません!!言葉足らずでした!!

今のは100%私が悪かったです!!!!!!

誤解を招く言い方をしてすいませんでした!!

 

「…ぁ〜…いや、なるほどね、アンタの事ちょっと分かった気がするわ…」

 

なんて内心で泣き叫んでいるのを悟られたのか、それとも先程からずっと余裕が無かった事から顔に出ていたか。

いかにも『納得した』と言わんばかりに目を細めながらセリカがそう溜息を溢しながら呟く。

ごめんね面倒臭い子で!!自覚はあるのよ!!

と、コントを繰り広げている場合ではなく。

 

「じゃ…いっせーの、で飛び出すわよ…」

 

そろそろ見つかってもおかしくないような、決して短くはない時間が経っている。

正直ここから逃げて先生の下へ辿り着く事が出来る可能性は、セリカ単体で考えてもだいぶ低いだろう。

それくらい包囲されているのだ、数の暴力ってこう見るととんでもない性能してるんだね。

それはそれとして、アズサ流ばにたすの精神でやってみない事には始まらないと言いますか。

 

比較的兵士の少ないルートを見つけ、あそこならワンチャンあるんじゃないかと二人で頷き合い。

 

「いっせーの…っ!!」

 

同時に飛び出そうと一歩目を踏み出し…

 

「ぐぁぁぁぁあ!?」

 

「まっ、真上から…!?」

 

…た瞬間に、目の前の兵士達が爆発した。

 

「…な、何が起きたの…?」

 

なんなら私が聞きたいが?

本当に何の脈絡もなく急に視界が爆炎に包まれて、目の前にいた兵士達が何故か倒れ伏しているのだ。

この状況でこんな都合の良い展開が起きる、つまり主人公補正的な何かが働いているという事…

そう考えると、これをやってくれたのは…

 

「先生…?」

 

「ざんね〜ん、ムツキちゃんで〜す!」

 

私のガッバガバな考察を一蹴するかのように、爆弾魔の少女が目の前に着地する。

その後を追うように、ダウナー系な課長さんも。

 

「災難だね、見慣れた事だけど…」

 

まあ現時点でのアビドスがだいぶ厄介な問題に苛まれてるから、見慣れるのもしょうがない。

多分アビドスのみんなに関しては先生が来る前からヘルメット団との戦闘があったりしてる分余計に見慣れてると思う、多分セリカはそれに該当する。

という話はさておき、私の中で今とても、とっても驚いている事象が一つ。

 

「…なんで便利屋がここにいるのよ!?」

 

そう、その疑問である、まさにそれなのである。

私の記憶では便利屋はこのタイミングでアビドスに来る事はない、遭遇するにしてももう少し後である。

しかも遭遇場所はアビドス校内ではない、今私達がいる場所で今のタイミングで出会う事はない筈なのだ。

だが現実はどうだ、私の目の前にはカヨコとムツキが『してやったり』みたいな雰囲気で立っている。

 

「さぁ?」

 

「さぁって…」

 

「社長の命令だからね、虫の居所が良くないんだってさ」

 

「アルちゃん、お人好しだからね〜」

 

…アル社長が、しっかりとカリスマしている…?

いやとんでもなくカリスマ性はあるけど、普段がかりちゅまだからちょっとビックリしてるっていうか。

実際助かったし感謝するべきなんだけど、ちょっとまだ心の中で驚いているというか。

そもそもよく気付いたな、私達がここにいる事…

 

「…まぁ、正直想像以上の数だったけどねぇ…」

 

と、救いの手が差し伸べられた事は事実なのだが状況が改善したかと聞かれてもそうでもない。

それこそ絶望的状況というレベルではないのだが、実質的に戦力が3人しかいないとなると相手の人数がちょっと厳しい。

ここに先生の指揮が加わればまた違うんだろうが、生憎私にそんなすーぱー指揮能力などはないのである。

 

つまり、結局のところジリ貧ではある訳で。

 

「ヒノ、アンタ走れる?」

 

何らかの意図を持って投げかけられたであろうその質問、恐らくは意味があるであろう質問。

なんとなくだが察しは付く、彼女の言いたいであろう事はおばかな私でも分かる。

正直運動神経に自信はない、世間一般的に…キヴォトスの常識で考えて私の走りは走ってるとは言わない。

けれど、出来るか出来ないかで言われれば…

 

「走れる」

 

出来る、出来ない事はない、やれぬ道理はない。

 

「…3人いれば食い止めるくらいなら出来るわ、ここは私達がどうにかするからアンタは先に行ってなさい」

 

「それって…」

 

タチの悪いタイプの死亡フラグじゃんね?

 

「…あぁ、もう!!ちゃっちゃと先生呼んで来なさいって事よ!!あとホシノ先輩の件も伝えて来なさい!!」

 

私の言わんとする事を感じ取ってしまったのか、誤魔化すように強い言葉で私にそう言う。

そう、言ってる事は完全に正しいのだ。

今の状況での一番の打開策は、私が一番役に立つ事が出来る方法は恐らくソレなのだから。

私に断るという選択肢は取れない、だって今の状況だと私しかやれる人がいないんだから。

 

「…アンタがホシノ先輩から何を聞いたのかは知らないけど、聞いたなら聞いたなりに頑張ってもらうからね」

 

セリカからしてみれば、ホシノが黙って消えたのはきっと納得いっていないだろう。

納得出来る筈がない、しかもそれを一番詳しく知っているであろう人物が怪しさの塊の新入りだなんて。

それを飲み込んだ上でのこの発言なのだ、私が無碍にしていいような軽い発言ではない。

 

「了解」

 

やったりますよ、こういう時くらいは私だって頑張ってみせますよ。

…そもそもこの惨状自体が私という存在のせいで生まれている可能性があるというのは突っ込まないでほしい。

セリカの合図を横目に確認し、爆発が起き兵士が集まってきた先程の方向とは真反対の方向に走り出す。

隠れる気はない、当然ながら速攻で見つかる。

 

「いたぞ!!左だ!!」

 

「アンタ達は…こっちよ!!」

 

見つかりはするが、こちらへ攻撃が届く事はない。

宣言通り彼女達が食い止めているのだ、そんな中で私が出来る事はただ頑張って走る事だけ。

ただ走るだけという行為、されど走り続けるという行為。

 

「そーれ!!ば・く・は・つ・♡」

 

背後が凄まじい事になってる気がするけど、私は止まらない、てか止まったら多分死ぬ…ッ!!

止まるんじゃねぇぞ、その先に先生はいるから…!!




一般人感覚で見るとヒノの運動神経は特段悪い訳ではないのだが、体力はゴミカスなので結局動く事には向いてない。
あとは単純に体が弱すぎて何かの拍子でくたばる。
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