おはようございます、寝坊はしてない私です。
本日はホシノ救出作戦実行日、先生はイオリの足を舐めに行きました。
風評被害が続出しそうな表現をしたね、正確には風紀委員会に応援を求めに行ったというのが正しい…
いや結局足は舐めるし、どっちも同じようなもんか。
これから先生は生徒の足を舐めた大人としての責任を背負う必要がある、お前のミスでした。
で、アビドスのみんなは武器のメンテとかをしてるっぽいけど私は特に何もする事がない訳だ。
武器なし、戦闘力なし、統率力なし。
ヒノ戦いの場で生きていけないよおおおお!!
神秘関連の何かはありそうだけど、使い熟すどころか発動条件さえ分かってないので結局無いようなもの。
言うならば再現性がない、出来たら良いなくらいで作戦に組み込む程に信用出来る力じゃない。
ぶっちゃけ邪魔になる可能性すらあるが、ああ啖呵を切ったんだから私が現地に赴かないというのも…
そもそも私自身の感情がそれをしたくないと言っている、どう足掻いても着いて行くルートしかない。
ならば私に何が出来るだろうか、そう悩みながら外の空気を吸おうと散歩に出掛けて早十数分。
いやね、最近は調子良かったからちょっと甘く見てたんだよ。
「ヒューッ…ヒューッ…」
私はやはり貧弱だった、これはそれだけのお話だ。
舐めてたよね、この照り付ける太陽の事を。
呼吸をするだけで喉に突き刺さるこの痛みを、乾燥を甘く見ていたよね。
なんで初日にぶっ倒れてるのに学ばないんだ私は、ここ最近は大丈夫そうだったからかなぁ…
こうやって頭の中でうだうだ言ってるうちはまだ余裕があるって事なんだけどね、ここからUターンして帰る余裕はない。
私はこのまま、大事なところで力尽きてしまう運命なのか…!!
変な意味で絶望のドン底に落とされた私の前に差し込む、暖かい空気を放つ一筋の光。
私はそれに手を伸ばした、僅かな希望に賭けて。
「嬢ちゃん、寄って行くかい?」
し、柴大将…ッ!!
◇◇◇
「ねぇねぇ、ヒノちゃんって何年生なの〜?」
殺してくれ、頼む、私を殺してくれ。
「やめなさいムツキ、困ってるじゃない」
私を苦しめる日光から逃げた先、柴関ラーメンの店内には便利屋68の皆様が待機しておりました!!
◯すぞ〜!!(不適切な発言による自主規制)
殺される側なんだよなぁ、残念ながら。
ちょっっっとはこの世界でのコミュニケーションに慣れてきたけれど、何処まで行っても私はコミュ症。
マジで困ってるというかメンタルの削れ方がWeakなのです、天敵の欄にムツキが入っちゃう…
「アルちゃんは分かってないなぁ、こういう子こそガンガン距離を詰めなきゃ仲良くなれないんだよ?」
「社長!!社長でしょ!!」
実際相手の方から距離を詰めてくれる方が嬉しいんだけど、それはゆっくり詰めて来てくれるからこその嬉しさなのであって…
恐ろしく早い距離の詰め方をされると死んでしまうのです、実に面倒な生き物でしょう?
そうなんだよ、実は私って面倒くさいんだよ。
まあここいらで閑話休題、明らかに私の方へと視線を向けてるカヨコに対して視線を合わせる。
…ッスゥ…あの、要件はなんでしょうか…(目逸らし)
「…実行日は、今日って事で良いの?」
…まぁ、このタイミングにこの場所でエンカウントした時点で要件はソレだよね。
正確な時系列が分からなかったから干渉するつもりは無かったんだけど、幸か不幸か巡り合った訳で。
ドストレートに聞いて来たのだから、私も正面から嘘偽りなく答える。
「今日」
「だってさ社長、丁度良かったね」
丁度良かった、というのはつまり…?
「…そうね、もう躊躇う必要なんてないわ」
私が入店した時にはまだ結構な量があったラーメンを平らげると、席を立ち上がる。
勢い良くは立ち上がらない、卓上調味料が倒れてしまうからね。
因みに柴大将の親切心から私に差し出されたアイスはまだ食べ終わっていない、ちべたいです。
「カヨコ、ムツキ、ハルカ、やれるわね?」
原作の“流されるまま”に立ち上がったアルではない。
自らの意思で、社員を“引っ張る”ために立ち上がったアル。
「アル様が仰るのならば、私はたとえ死地までもご一緒いたします…!!」
「アルちゃん、生き生きしてるね〜」
「…だね、いつもの見栄とはまた違う」
私の知らない展開、私の影響かもしれないし私の関係ないところで逸れた展開かもしれない。
そうなった理由なんてどうでも良い、その選択は素晴らしいものであったという事だけ言っておこう。
多くを語るのは野暮というもの、なのです。
「いつもは見栄を張ってるみたいな言い方やめなさい!!そんな事ないから!!」
いつものように必死なツッコミを入れる彼女、残念ながらその部分を否定するのはちょっと無理がある。
だがしかし、彼女の表情は至って真面目なものだった。
己の行動と発言に責任を持ち、他者を引っ張って行くリーダーとしての瞳になっていた。
「『ありがとう』って、言われたのよ」
たった一言、されど一言。
日常の中で発されるような、何気ない一言。
「何の利益もないのに親切にしてもらって、一度は敵対した私達に笑顔で接してくれて、今もこうしてラーメンをご馳走してもらって」
受け取った親切心、それに対して報いる行動を彼女達は既に行っている。
カイザーに敵対するメリットはなかった、強いて言うなら契約に関してのやり返しくらい。
それは既に完了した、飼い犬は飼い主に対していくらでも噛み付けるという事を証明した。
その上で、彼女達はまだ敵対する事を選ぶ。
「満腹だわ、これ以上を求めるなんて失礼なくらいに」
食後の運動には丁度良い、と彼女は言った。
便利屋68とアビドスの間に既に貸し借りは存在しない、これは便利屋68の社長として独断で決めた行動。
当然ながらその判断に、社員一同は心から従う。
損ばかりする選択ではあるが、彼女が何よりも求めるアウトローとしての粋な選択。
中途半端では終わらせない、仕事は最後まで完遂する便利屋68としての意地。
「ヒノ、私達も着いて行って良いわよね?」
強力で頼もしい助っ人が、こうして現れた。
こうなってしまえば原作通りなんて事にはならない、というかちょっと前から原作から逸れまくってたし。
私に出来る事はどうすれば上手くいくか、どうすればより良い未来を目指せるか予測する事。
原作知識を使うのだ!!そのポンコツな頭をフル回転させて考えるのだ!!
「…いや…」
この誘いに乗って、今からアビドス勢と合流する選択肢を取るのもまた良いと思う。
単純な戦力の増強になる、戦闘の安定性が増す。
ただ同時に対策されやすい、最初から“見えている”というのは初見殺しが出来なくなるという事。
“目的”とそこに至るための“道筋”を考えた時に、そのメリットが無くなるというのはあまりにも痛い。
ならばこの場合の最善手、取るべき行動は。
「電話、借りても良い?」
真面目な話が続いてるので、アビドスが終わったらちょっとはヒノを自由にさせてあげたい所存。