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◇◇◇
キヴォトスの生徒には、ヘイローがある。
キヴォトスの生徒には、神秘がある。
詳しい事は分からないが、これらのお陰で彼女達は銃弾に当たっても大した傷を負わない。
そういう理由もあってキヴォトスでは銃撃戦が頻繁に行われており、付いた俗称が美少女版GTA…
元いた世界から転生してキヴォトスに舞い降りた私にも、同じ事が言える。
頭上に浮かぶヘイロー、自己認識は出来ないが保持しているであろう神秘。
私もキヴォトスに存在する“生徒”として、少女達の保持するそれらと同じ特徴を持っている。
銃弾を受けた事がないから実際のところは分からないし、明らかに一般的な生徒より貧弱な気がするけど。
日光、疲労、物理的なダメージなど諸々。
虚弱系と言っても許される程度には貧弱さが目立つ私の身体、故に気絶がテンプレと化している。
ああ悲しいかな、眠れるシャーレのヒノなのです…
とはいえ流石に私にも危機管理能力というものがあるので、以前よりは周りに気を使えるようになった。
自分の限界を知ったとも言える、だからこそ避けるという選択肢を取れるようになったのだ!!
だからソレに気付いた私は、避けた。
「ぁ」
未確認飛行物体が、此方に向かってくるのを見て。
“ん?”
身体を逸らして、ソレを避けたのである。
“がっ…!?”
結果、飛来してきたソレは先生の顔面に直撃した。
「………」
…やっちまったぜ!!何やってんだよ!!
先程自信満々に語った常識から逸れる発言だが、ここで改めて確認を取っておかねばならない事がある。
先生には、ヘイローがない。
当然ながら、神秘もない。
前世の私のような“人間”であり、肉体の脆さは説明せずとも分かると思う。
ぶっちゃけ今の私なんかより、何倍も脆い。
銃弾云々の話じゃないのである、飛んできたのが野球ボールでも当たりどころが悪ければ致命傷だ。
そんな先生の顔面に飛来してきた未確認飛行物体が直撃してしまった。
こうなる事、事前に予想出来たのにね!?
反射で避けちゃったんだもん、反応できちゃったんだもん…
という思考に耽っていたのが、1時間とちょっと前。
“知らない、天井だ…”
先生は眠りから覚めた、とある部屋の中心で。
「あっ、目覚めた!!」
おぉ、勇者よ、死んでしまうとは情けない…
「気が付いたか、キミは運が良いな!!」
なんて冗談はさておき、先生は無事だったらしい。
これでマジな致命傷とかを負っていたら洒落にならなかったので、一安心。
元はお前のミスでした案件なので反省をしなければならない、いや本当の元を辿ればアレを投げた…
これ以上の犯人探しはやめよう、やめやめ!
「急に変な喋り方しないで、先生が戸惑ってる」
まあご察しの通り、というか向かっている最中だったんだから至極当然。
ここはミレニアムガクエン、正式な名をミレニアムサイエンススクール。
もっと言うならば、シャーレへと手紙を送ってきた団体の部室。
無事に辿り着いたのである、ちょっとトラブルというかハプニングはあったけど。
「へへっ、嬉しくってついね?」
「でも、本当に良かったです…」
因みにここまで先生を運んできたのは私である、悲しい事に持ち上げられなかったので引き摺ってきた。
いやはや体格差がありすぎるじゃんね、お陰様で先生のズボンが悲惨な事に…
本人が気付いてないから触れないでおくか、うん。
因みに結構ギリギリの戦いだった、無茶しないで助けを呼んだ方が良かったんじゃないかと今更ながら…
しかし、だれもこなかった。
まあ結果良ければすべてオッケー、ってね?
“…ヒノは…”
それはそれとして、他の問題もあった。
「………」
分かるか先生、この場でほぼ無言で過ごしていた私の感情が…
というのも私が話す話さない以前に、向こうの方から一定の距離を取られていた感覚があって…
薄々例の噂が広まってるせいなんじゃないか、なんて思ってはいたけど確証はないのでだんまりです。
私から話しかけた訳でもないしね、今はそこは重要な問題ではないのだよ。
「先生達は、シャーレから来たんですよね?」
「じゃあ、やっぱりあの手紙を読んでくれたんだ!」
まあ大体の内容を知っていたからって理由で私は読んでないんだけど、聞いてはいるので無問題。
要約すると廃部の危機だぜって話だから深く説明する必要もなし、分かりやすくていいね!!
それに応じてここまで赴いたのが私と先生、正直言って行き当たりばったりだけどね。
「改めて、ゲーム開発部へようこそ!」
と言う訳でプロローグ恒例の、自己紹介タイムです!!
「私はゲーム開発部、シナリオライターのモモイ!」
才羽姉妹のピンクの方、または姉の方。
彼女は才羽モモイ、FATALITYとは言いません。
「私はミドリ、イラストレーターとしてゲームのビジュアル全般を担当しています」
才羽姉妹の緑の方、または妹の方。
彼女は才羽ミドリ、見んね!!卑しか女ばい!!
ここに青い方のアオイが加わって、才羽三姉妹!!
なんて事はなくて双子の姉妹です、デスモモイなんてのがいるんだから他に姉妹がいてもおかしくはないけど…
デスモモイは公式じゃない?本当にござるかぁ〜?
「あと今はいないけど、企画周りを担当している部長のユズを含めて…」
その名を聞いて反射的に視界に映っていたロッカーを凝視してしまったが、特に意味はありませぬ。
花岡ユズ、ゲーム開発部の部長にして1年生。
「私達がミレニアムサイエンススクールの、ゲーム開発部だよ!」
この3人が、ゲーム開発部の部員である。
そう、この時点では3人なのである。
“既に知っているようだけど改めて、私はシャーレの先生です”
そして回ってくる自己紹介、私のターン!
“それで、こっちが…”
コミュ症問題は依然として解決していない、発するべき言葉は分かるのに口が動かない事がしばしば。
身体が言う事を聞かない、本能的な恐怖っていうのはこういう事を言うんだろうね…
それはそれとして私とて成長してるし、以前よりはまだ会話をする事が可能になった。
正実モブ(仮)ちゃんとも仲良く、仲良く…?
まあ、何はともあれ会話したからね。
今の私にとって、自己紹介をする事など容易い事なのだ!
嘘だけどね、本当は必死な痩せ我慢だけどね!!
「安留ヒノ」
だからこそ、出来るだけ短く己の名前だけを伝える。
「よろしく」
余計な言葉は付け足さない、そんな体力は残ってないから!
無愛想かもしれないがやるべき事はしっかりとやったと思う、きっと誰も責めやしないさ…
「はい、よろしくお願いします」
そんな訳で、自己紹介終わり!!
この会話だけでやる気が絶不調をキープしてしまった私に救いの手はあるのか…ッ!!
そんな事を言ってる場合ではないんだけどね!!
「よし、じゃあ先生達も来た事だし早速廃墟に行くとしよっか!」
速戦即決の精神、私達は巻き込まれる事となる。
“あの、もうちょっと詳しく状況を…”
これからゲーム開発部に巻き起こる、ミレニアム史に残る(?)物語に…