モチベはバッチリ、しかし執筆の手は動きません。
前略、命の危機。
「そっち!!行ったよ!!」
そうモモイが叫んだのを聞いた時には既に遅い。
此方へと視線を向け、銃を構えるロボット。
弾…!!速ッ…避ッ…無理!!
応戦する!?無事で!?出来る!?
否、死…
「っ…!!」
い、いや、痛いで済んでるだけマシなんだけどね…?
ほんと、ほんっ、ほんと痛いの、本当に痛いの。
気を抜いたら泣くレベルで痛い、キャラ崩壊必死、なんなら尊厳も崩壊。
武器と言えるようなものを保持していない私は、どこまで行けど足手纏い。
肉体スペックもカスだ、一般人感覚で見れば並程度の運動神経はありそうだが体力が皆無。
我虚弱アルビノ美少女ぞ?これでも元男っすけどね?
カイザーPMCへ一発、たった一発、されど一発。
まあ触れられた時点で最低限レベルのキヴォトス人ボディーと戦闘技能、あと転生特典の可能性がある謎神秘はあるのだろう。
しかし再現性がない、なんなら厄ネタな力の気もする、適当に振るったソレが非常事態を引き起こす確率だって高い。
ワンチャンに賭けたブッパは、お咎めを食らった時のリスクが大きすぎる。
じゃあ原作に干渉すんなって話なんだけどぉ…!!
己の無力を呪いたいと、バレないように何度目かも分からない溜息を溢す。
意地を張って無理するなんて真似はしないけど、それはそれとして色々と心にくるものがある。
ゲーム風に言うのならば
正直やれる事自体はそこそこある気がするけどね、これだけ愚痴ってる癖してね。
ン拙僧、多才なれば!
それくらい知識は武器になるのだ、抱えてるデメリットに釣り合ってるかはともかく。
“大丈夫だった?”
大丈夫だけど、大丈夫ではない。
私は先生の隣を定位置とす、戦闘で役に立てる訳がないだろうッ!!
そもそも死なないって分かっていても、銃弾が向かってくるっていうのは本当に怖いんだよ。
転生直後から死地に飛び込む覚悟ガンギマリ系の逸般人がおかしいんだよ、オーケー?
聞くだけ聞いたらあまりに、情けないヤツ!!
でも実際に体験してごらんなさいな、そんなこと言ってられなくなるからジーマで…
いや、そんな事を体験するような状況に陥った時点でそれどころじゃないんだろうけども。
私が現にそうだし、常にそうだし。
「あっち、工場の入り口のようなものが!!」
「ナイスミドリ!!」
というわけで、よくぞ見つけた!!
“よし、一点突破だ!!”
私は力になれない戦闘パートだけれど、会話パートならちょっとはマシになる。
ちょっと!!ほんのちょっとはね!!(コミュ症)
それでも下手に干渉出来ない事と、干渉しづらいだけの状況は似ているようで全然違う。
走れ!!とにかく走れ!!これ以上足を引っ張るな!!
振り返った時には死んでいると思え!!
お前に今出来る事は、ただ足を前に出す事のみだ!!
そんなこんなで必死に駆け抜けた先、工場(仮)の内部。
「…あれ?急に追って来なくなった…?」
「さっきまでは、凄い勢いだったのに…」
先程まではとんでもない速度で私達を追いかけて来ていたロボットの姿が一切ない。
まあこれも私の末脚が凄かった、という事で…
冗談は置いておくにしても、ここで追って来られたら本当に面倒な事になるので良かった良かった。
「ま、とにかくラッキーって事で!!」
「ラッキーじゃない!!」
しかし、ミドリにとっては良くない。
彼女は我慢の限界だった、どうして“ゲーム開発部”の自分達がこんな事をしているのかと。
「どうして!!なんでこんなところでロボットたちに追われてるの!?」
限界ハッカー集団ヴェリタスによって捜索された、G.Bibleが最後に確認された座標。
それは、地図上には存在しない秘匿された場所だった。
ここは連邦生徒会によって存在の隠されていた廃墟、故にG.Bibleは此処にある筈だとモモイ談。
正直その条件じゃあ此処になくてもおかしくないけどね、いや実際にあるんだけど。
ミドリが怒るのも無理はない、正直やってらんないと思う、私は置物と化してるし何も言えないが。
「落ち着いてミドリ、生きてればいつか必ず良い事は起きるから」
そもそもG.Bibleとはなんぞやって話、これはさっき先生が聞いてたし個人的なおさらいになるけれど。
「“必ず楽しい土曜日がやってくる”って考えて、毎日を生きていれば…」
「今日の話をしてるの!!そもそもお姉ちゃんが言い出した事でしょ!?」
かつてミレニアムに在学していた伝説的なゲームクリエイターの残した、一つの記録。
詳しい事は分からないが、とにかく“最高のゲームを作るための秘密の方法”が入っているらしい。
故にゲームの聖書、とてつもなく胡散臭い。
しかし実在する、これは本当の噂話なのである?
そして私はその“中身”を知っている。
これはそういう問題の話ではないから、私は全く口を出すつもりはないけれど。
結果だけ見て、道中を疎かにしてはいけないの。
聞いているかい、ソシャゲのサブシナリオやイベント等をスキップしている諸君…
私も余裕ない時してた…ごめん…
色々あって…時間ない事が多くて…
「もういや!!ヒノさんもそう思いますよね!?」
で、私に会話が振られるワケだ。
いや絶対どっかのタイミングで来るだろうなとは予測してたのよ、最近こういうの多いし。
ミドリ達から見たら私、銃弾喰らった辺りから明らかに私が不機嫌そうに見えてるだろうし。
これ不機嫌で顔顰めてるんじゃなくて痛いだけなんだよ、今私どんな顔してる?
「ヒノで、いい」
正直、私は自分の事なんてどうでも…
いやこの言い方だと自己犠牲系のキャラみたいになっちゃうから、やめておこう。
私は自分大好きだけど、それはそれとして自分なりに少しでもキヴォトスを良い方向へ進ませたいと。
そういう理由から好きで先生に付き添っている訳で、何があっても基本は自業自得と言いますか。
こんなこと言いながら微塵も役に立ってないの、ちょっとあまりにも意味が分からなさすぎる…
私は、なんだ?(自問自答)
「えぇ…いや、でも…じゃあヒノちゃんで…」
「それなら私はヒノで!」
よし、会話の方向性が曲がったな!!
これで答えづらい話題は暫く振られないだろう、私は私に出来る行動をする事にしよう。
そんなわけで辺りを見渡す、辺りを見渡す…
………???
いや何も分からないなコレ、私に理解出来る範疇を数段階くらい飛び越えてる。
下手に行動しない方がいいかもしれない、でも不測の事態に備えてやっぱり辺りを軽くウロチョロする。
「って、そうじゃなく、て…?」
「ヒノ?どうしたの?」
…うん、何も分からない、何も分からないんだけど。
そろそろ、来るはず。
キタコレ!!
「な、なに!?」
突然、部屋全体に響き渡る機械音声。
混乱する一行、身構えるのも無理はない。
『対象の身元を確認します、才羽モモイ』
『資格がありません』
見ず知らずの存在に、自分の名前を急に呼ばれたのだから。
「どうして私のこと…っていうか、なんて!?」
絶対にこの状況で言う事ではないけれど、モモイは言動と動きがあまりにも一致している。
ちょっと見てて面白い、いやちょっとじゃないかもしれない。
『対象の身元を確認します、才羽ミドリ』
『資格がありません』
「これは一体、どういう…?」
しかし当事者からしてみれば笑えたモンじゃない、焦りに焦るのが正解なのだから。
ここで冷静な人はよっぽどの実力者か、危機感の欠如した人間か、はたまたイレギュラーか。
なんにせよ、警戒するに越した事はない状況。
『安留ヒノ』
それは、私とて例外ではなかった。
『シャーレの先生』
微かなノイズ音のようなものが聞こえたような気がする。
いいや、幻聴かもしれないが。
唐突に訪れた静寂に、私の耳が狂ったのかと。
そんな感覚に襲われた。
『資格を確認しました、入室権限を付与します』
…今、私はどんな“存在”として認識された?
「えぇ、どういうことなの!?」
“い、いや…私にもちょっと…”
私の存在は認識された、確かに名前を読み上げられた。
その上で私は、どう扱われた?
『同行者を“生徒”として認定、資格を与えます』
自己認識とかの話じゃない、これはちょっと色んな意味で知っておかねばならない。
私はテクスト上では、どう扱われている!?
『承認しました』
ちょっと待って!!タイム!!プレイバック!!
そこ割と重要かもしれない、というか重要、教えてクレメンス、ワタシナニモノ!?
あぁっ、駄目だ、これ時間が足りないっ!!
「落ちる」
時間の余裕なんてないし、質問を受け付けてくれるような良心もない。
この後に待ち受けているものは、目的地への送迎だ。
「え?」
「今、なんっ…!?」
『下部の扉を開放します』
下方向に一直線の、ね!!
落下がオチとか、サイッテー!!
ある意味で落ちてるけどね!!