ふむ、私に喋れと言うのだな!?   作:хорошо!

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“運命”である事は間違いないけどね

さて、いつも言っているが私は非力である。

しかしそれはキヴォトス基準で考えた時の話であり、言葉から想像される程の悲惨さではない。

どっちかというと悲惨なのは体力の方で、日光や長時間の行動ですぐにくたばる…

本音を言うのならば、さっきまでの行動で既に限界間近である。

 

そんな話は置いておいて、というか一度置いておかねばタイムリミットがまずいから。

絶賛落下中の私、このまま落ちたら死ぬ。

いや多分死なないけど、悲しい事になってしまう。

まあまあ高いもんねコレ、まだ落ちてるし!!

だからどうにかしなきゃいけない、事前対策なんてモンは練ってない。

 

行き当たりばったりが私、若く無謀な私です…

 

はい、半分くらいは冗談です。

対策を用意していないというのは事実なんだけど、何も考えてなかったかといえばそれは違う。

思い出すのはアビドスでのアレコレ、自分でもよく分かってない私の行動シーン。

なんらかの超常現象を起こしていた、あの瞬間。

 

落下時のダメージを軽減する、方法は問わない!!

前述の通りもう体力は残っていない、やるならば今しかない!!

目前まで迫った地面に向かって足と片手を突き出し、なんかそれっぽい感じのポーズで。

 

ここでッ!!着地ッ!!

 

「………」

 

…失敗っぽいね!!コレ!!

 

「ぐぇっ」

 

“ん゛っ!?”

 

姿勢は崩れなかったけど、全く衝撃を逃せてない。

つまり、ダメージがとんでもない事になってる。

冗談抜きで全身痛い、泣きそう、プレイヤー先生諸君に安留ヒノの泣き顔差分をお見せ出来てしまうよ…

意地でもそんな表情、見せないけどね!!

 

それはそれとして、こうなってくると困ったものだ。

ますます発動条件が分からない、不確定要素だからこそ“ピンチだけど大事にならない場面”で検証しようと思ってたんだけど…

いや、ソレ自体が既に駄目なのか…?

まあ真偽は不明、私にも分からん。

分からないし、痛すぎて頭も回らない。

 

「いたた…って、ひゃあっ!?」

 

「ミドリ…その反応はちょっと、可哀想だと思う…」

 

“あはは、可哀想な私”

 

モモイとミドリの下敷きになった先生も原作通り存在します、私もあの上に落ちた方が絶対ダメージ少なかった…

いや、これは邪念だ、邪な感情だ。

横縞(よこしま)な感情があるなら縦縞(たてしま)な感情もあるのかな?

まあ、過ぎたことはいいよ。

 

「どれくらい落ちたんだろう…う〜ん…」

 

結構落ちたって事しか分からない、それプラス死には至らない程度の高さってくらい…

いや後者は正直アテにならないか、キヴォトス人基準だし。

先生は…まあ、アロナがアロナしてるし…

 

「ね、ねぇ、お姉ちゃん、アレ…」

 

「ん?なになに…えっ!?」

 

その視線の先に“在ったモノ”は。

言葉を失ってしまうような儚さの、眠り姫だった。

補足情報を付け足しておくと、マッパ。

 

「先生!!こっち見ちゃダメ!!」

 

“さっきから扱いが酷いっ!!”

 

ミドリが先生に直接攻撃を!?

可哀想な先生、ひとえに貴方が男なせいだが…

それを言うなら私も男っちゃ男なんだけど、話がややこしくなるし心を無にするんだぁよ。

私はロリコンではないので、ほんとだよ?

 

「女の子…それに、眠ってる…?」

 

横たわって目を瞑る少女、一体誰なんだ…

ミステリアスな雰囲気でありながら、人ならざるモノのような圧を放つ彼女は一体何者なんだ…

 

「…返事がない、ただのしかばねのようだ…」

 

「お姉ちゃん、言っていい事と悪い事があるよ」

 

ブラックジョークは聞き流しておく、ミームカルタはみんなやるからね…

というか正直、私の十八番だし。

 

「…なんだろう、この子…」

 

「うん、なんだか人形みたいだね」

 

恐れ半分興味半分くらいの感情で、少女に触れるモモイとミド…

いやこれモモイは興味8割くらいだ、恐れを知らない、誰も彼女を止める事は出来ない。

これこそ姉妹の差…って言いたいけど、ちょっとビビりながらも触れに行けるミドリも大概だったり。

私は一歩引いた位置なのに…我が立ち位置は不動…

 

「このままじゃ可哀想だし、何か身に纏うものを…」

 

よしきた!!待ってた!!

いや待ってはいなかったけど!!

ここ!!私は役に立てます!!

 

「ミドリ」

 

ぱんぱかぱ〜ん!!

 

「これ…どこで…?」

 

「予備」

 

迷子の正実モブ(仮)ちゃんを案内した次の日に、この状況を事前予測して買っておいた着替え一式です!!

ずっと懐に忍ばせておきました!!

無能だけど有能なヒノさんですよ、私は。

フフフ、キモイか?略してフフキモ…

 

いや違うんです、聞いてくださいな。

そんな目で私を見ないでプリーズ?誰も私の事をそんな目で見てないけど、気持ち的な話で。

弁明をするなら、自分自身の衣類一式を買おうとした時にふと思い出して一応買っておいたものである。

 

そう、私は自ら女性服を買いに行った。

うん、殺してほしい、本当に。

正直この事実を思い出したくなさすぎて、取り出すか迷ったし。

今着てる服はキヴォトスで目覚めた時の服装だけど、俗に言う“部屋着”はご察しである。

仮眠室の私は、プライド的な意味で悲しい事になっている。

 

でもだよ?(言い訳)

でもなんだよ?(重ねて言い訳)

ここで恥じらって躊躇って逃げに走るのは逆に不自然だし、意識してると思うんだよ?(見苦しい言い訳)

 

ごめん本当に苦しいから、ここいらでこの話やめにしておきませんか?

 

「これで、最低限は…」

 

なんて私の悲しい自傷行為の間に、ミドリがアリs…謎の少女に服を着せ終えた。

これで一安心、彼女の尊厳は保たれた。

故に一安心しながら、落ち着く事が出来る。

 

「…AL-IS…」

 

落ち着いたらからこそ、着替えさせている途中に目に入ったであろう文字列に触れる事が出来る。

モモイは一文字一文字、ゆっくりとその文字列を読み上げる。

 

「アリス、で合ってるかな…?」

 

「違うよ、よく見ると“I”じゃなくて“1”って書いてあったでしょ?」

 

「ぇ、ほんと?」

 

今から服を引っ剥がして確認する事なんて出来ないので、真相は闇の…いや服の中である。

まあモモイには正直今確認してもおかしくないポテンシャルがあるけど、その前にきっと。

 

『状態の変化、及び接触許可対象を感知』

 

少女が、目覚める。

 

「うわっ!!なんかデジャヴ!?」

 

「って事は、またロボットが…?」

 

鳴り響く電子音、さっきも聞いた気がする。

しかし今回は、部屋全体に鳴り響いたというよりは。

彼女を中心として、いや。

彼女自身から、発された電子音。

 

『休眠状態を解除します』

 

ゆっくりと、横たわっていた少女の瞳が開く。

少女は立ち上がり、此方を真っ直ぐと見るのだった…

 

「…目を、覚ました…?」

 

封印、解いちゃったね…♡

お前あの祠、壊したんか…?

まあ予定調和ではあるので、特段驚かない。

 

モモイ達からすればそうもいかないだろうけど。

 

「状況把握、難航」

 

そして、少女からしてもそうもいかないだろうけど。

 

「会話を試みます…説明をお願い出来ますか」

 

「せ、説明って言われても…私達も分からないし…」

 

場は混沌に包まれた、そらそうだ!!

誰も(一人を除く)状況を把握出来ていない部屋、謎多き少女、何も起きない筈がなく…

実際、今こうして“ナニカ”が起きてるし。

 

「あなたは何者?ここは一体何?」

 

「本機の自我、記憶、目的は消失状態」

 

少女は答える、何も分からない事が分かると。

つまり、それっぽく言うのならば。

 

「データがありません」

 

私は記憶喪失ですわ、ということだ。

 

「ロボットの市民…だけど、こんなに私たちとソックリな人は初めて見た!!」

 

キヴォトスに住んでるロボット市民、ロボットロボットしてるからね…

アレはアレで好きだよ私、実際に会ったら性格は好きになれない人は多い気がするけど。

だってカッコいいもん、仕方ないってヤツだ…

それに比べて目の前の少女を見よ、美少女ロボットじゃんね?

この子をロボっ娘と呼んだら過激派の方々と戦争になる気がするので、私は一貫して少女と呼びます。

 

「工場の地下、ほぼ全裸の女の子、おまけに記憶喪失と来た…」

 

あまりにも属性過多、混沌とした状況…

しかし、それと同時に“物語が始まりそうな”状況。

実に唆るシチュ、実にアガるシチュであろう。

モモイも一端のシナリオライター、こんな心踊るようなシチュエーションを見て…

 

「…運命構図でも、やっとく?」

 

「お姉ちゃん!!」

 

モモイ?

 

「問おう、あなたが当機のマスターか?ってね」

 

「お姉ちゃん!!」

 

モモイ???

 

「冗談だってば〜」

 

…何もなかった、という事で。

 

閑話休題、ツッコミ疲れたミドリを置いてモモイがこちらへと向かってくる。

うん、なんでこっちに来たかはなんとなく分かる。

そして、彼女が言わんとすることも大体分かる。

 

「ねえねえ、ヒノ」

 

それはそれとして、距離の詰め方が陽キャ!!

私知らないこんな距離感、比較的仲良くなったと言えるホシノですらこんな距離感してない!!

いや、してるかもしれない、思い出補正かな…

そんな話はどうでもいいのだ、彼女の言わんとする事なんか一つしかない。

 

「私たち多分だけど、同じこと考えてるよね?」

 

「………」

 

まあ、おそらく同じこと考えてるね。

 

ん〜、ん〜、私が判断する事じゃないというか…

 

そこの最終決定権は、どうせ私にないというか…

 

だから、私からは一言だけ。

 

「責任、負える?」

 

「大いなる力には大いなる責任が伴う…だよ!!」

 

聞くまでもなかったよね、そりゃあ。

 

「な、なんの話…?」

 

「???」

 

話に着いて行けていないミドリと当の本人、その先は嫌でも分かるのでお楽しみに。

物語の幕が上がった、冒険の書は作成された。

勇者は目覚めた、そして仲間を得た。

この先の物語は、少女が“勇者”を目指す物語…

 

…さて、それはそれとして。

 

“私、いつまであっち向いてればいいのかな?”

 

ん、先生、私ともあっち向いてホイをやるべき。

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