デカい家!!いい車!!小説の更新!!
そこらへんの自販機でコーヒーを購入して、そこらへんのベンチに座って休憩タイム。
はいコーヒーでちゅよー、たーんとお飲みー!
わぁ〜い、ごくごくごくごく……ぷはーッ!!
「にが」
いや全然飲めるんだけど、これじゃない感がある。
なんというか、苦い以外の感想が出てこない。
元々コーヒーが好きだったかと聞かれればそうでもないけど、もっと美味しく飲めた気がするし。
柴関での件もそうだし、味覚とか感覚が以前と違うのにはいい加減慣れていかないと……
ぁそこのお前!!今私の発言を聞いて例のモモイの画像を思い出したお前!!
“そういう意味”の言葉じゃないからな!!
味覚的な意味の苦味だからね!!おっけー!?
というわけで、ミライと名乗った生徒と別れてからまもなく。
部室への帰り道が分からなくなるというミラクルを起こしながら、目に入った自販機の前で休息を取っている私。
取り繕うのに慣れてきただけで、やはり体力がない。
走るどころか歩くだけでも足が悲鳴を上げるし、空調が効いたこの室内は逆に“寒い”と感じる。
我ながら向いてない、この世界に適してない存在だと思う。
いやまあ銃弾が身体貫通しなかったのを加味すると、一応最低限以上の能力は備わってそうなんだけど。
うん、それ以前の生活がギリギリなのがね。
たぶん神秘が誤魔化してくれない部分の身体能力が貧弱すぎるんだろうね、がっでむ。
こんなに貧弱な身体じゃあ元々出来たこと出来ないよ〜
……な〜んて、ことはない。
そもそも力仕事だとか体格を活かした活動、みたいなのは元々苦手だったし正直大差ない。
実際のところ影響は日常生活が非常に不便になっていることくらいだ、その影響が致命的なんだけども。
「……私に、出来ること……」
“やらなきゃいけないこと"と“出来ること”は違う。
例えば“私”は“安留ヒノ”となった今でも料理が出来る。
裁縫だったり声真似なんかも出来るし、体力の許す範囲なら泳げもする。
これらは“私”が前世から元々出来たことだ。
“私”が“安留ヒノ”になっても出来ることだ。
私という存在が安留ヒノに塗り替えられたわけじゃない。
私という存在の延長線上に安留ヒノが存在する。
って前提を私は理解する……というより、芯の部分で実感しなきゃいけないんだと思う。
理由は、私が起こす判断や行動は前世の基準だから。
銃を見れば“受けること”より“避けること”を考えてしまう。
この程度の距離なら余裕で歩ける……と思った道で、バテてしまう。
私は変わらず私だけど、住む世界も身体も違うと理解して。
私は、その違いを自分に染み込ませないといけない。
じゃないと、どこかで絶対に致命的な失敗を引き起こす。
キヴォトスという世界に、安留ヒノという存在に適応していかないといけない。
……でも、でもなぁ……
私はそれを本心から受け入れちゃダメな気もするというか。
私はそれを受け入れないことで、なんとか私を保てている感触があるというか。
だからつまり私がそれを理解するのには、まだきっと。
「時が早い……」
「刻が未来へ進むと誰が決めた」
「っ!?」
肩に手が置かれた感触、それと同時に囁かれた声。
考えるより先に振り返って平手打ちをかました後に。
「ぐぶぇっ」
その声の主がモモイだと気付いた。
ぺちっ、という弱々しい肉を叩く音。
「ひ、ヒノ……私だから私……」
やっべ〜〜〜(生徒に手をかけるカス)
まあモモイならいいか……(最悪の思考)
多分マトモにダメージ入ってないし……(言い訳)
私は悪ではない。(責任転嫁)
なんなら平手打ちした私の手の方が痛い(雑魚)
「………」
わざとらしいリアクションを取りながら倒れ、頬を押さえるモモイ。
しかし私の反応を見て無言で立ち上がる。
そう、開き直って真顔をキープしている私の表情を見てだ。
きっとボケが通じない人間だと思われてるに違いない。
実際のところは脳内ボケの塊人間なんだけどね。
「いやぁ、なんだか戻ってくるのが遅いな〜って」
スマホも時計も持っていないので曖昧な感覚ではあるが、確かにまあまあ迷っていた気がする。
というか、反省部屋に向かうまでのうろちょろとかミライとの会話も含めると確かに長時間外にいたことになるのか。
「ま、何事もなかったならもーまんたい!」
そう実感すると急に全身に疲労が……って言っても多分一時間と少しくらいしか歩いてなかったけど。
しかしそれでも私にとっては致命傷、なんだか急に全身が痛くなってきた。
思い込みの力って凄いんだね、さっきまであんまり疲れてなかったのに急にしんどくなってきた。
あくまで当社比であって、疲れてたっちゃ疲れてはいたけど。
じゃなきゃそもそも休憩とかしませんし。
「一緒に戻ろっか?」
おぶってぇ〜!!モモイ〜!!
おぶってぇ〜〜〜!!
いや流石に冗談だよ、自分より背の低い子供におんぶを求めるほど私は落ちた人間じゃない。
……じゃあ私より背の低い相手におんぶを求めるのは合理的なのでは……!?(身長:148cm)
アリス、私をおんぶしてください。
計算通り、かんぺき〜♪
「……ヒノ?」
冗談ですやん!!疲れてるんです私も!!
くだらないことを考えてる自覚はあるんで、そうやって真剣に心配してるような目でこっちを……
……そんな、モモイらしくもない表情で……
「大丈夫だよ」
私の心情に、懸念に気付いてるかのような。
全てを見透かしているような瞳で一言投げかけながら、ゆっくりと。
ゆっくりと私の目の前まで歩いてくる。
「ゲーム開発部が廃部になるわけないから!!」
セーフ!!!!!!
いや多分不安が顔に出てはいたんだろうね!!
でもそう勘違いしてくれる分にはセーフ!!です!!
それはそれとして、そっちも心配だというのは確かに事実。
部としての人数が揃ったからと安堵の空気になっているところ申し訳ないが、まだゲーム開発部が廃部になる可能性は高い。
ほんとに高い、調子に乗っていると普通に廃部になる。
「先生もヒノも安心して見守っててよね!!」
だから安心することは出来ないんだけども……
根拠もなく……いや、論理武装しないで明るく前向きに考えてくれる子がいるだけでなんとなく不安が誤魔化せる。
それは問題の先延ばしなんじゃないか、って賢い人間は言うのかもしれないけど。
ロジカルが軸のミレニアムの中で考えるとやっぱり、こういう存在の方が上手く立ち回れてるんじゃないかって気がする。
そもそもモモイ、主人公気質だし。
勇者とは別に主人公が存在してる感じ。
「じゃ、部室に戻ろ〜!!」
そう言って、私の前を歩いていくモモイ。
部室の方向そっちだったのね……
なんて思いながら空き缶を捨てて、後ろを付いて行こうとしたところで前を行くモモイの足が止まる。
一瞬首を傾げるような素振りを見せた後、少しだけ振り返って一言溢す。
「……ヒノは笑顔の方が似合うと思うよ?」
と、何気なく無表情で。
「………」
「なんで眉顰めるのさ!?」
いや背中刺される人ってこういう人間なんだろうなぁ、と思って……