良ければ新連載の方も読んでね(小声)
夜が、明けました。
目が疲れるとかいう概念が存在してないアリスは、私が部室に戻ってだらだらしてる間も。
そのうち眠くなって睡眠してるイオリになってる間もずっっっとゲームをしていた、らしい。
らしいって言い方なのは当の本人である私がおねんねしちゃってた関係でそれを観測できていないから。
でも多分やり続けてたんだと思う、本編でそうだったし。
「ようやく気がついたか、旅人よ」
なにより、口調が凄いことになっちゃってるし。
「無事に目を覚ましたようで何よりだ、君は運がいいな」
夜通し勧められたゲームをプレイし続けたアリスは、そのゲームのテキストにより語彙を鍛えた。
で、ゲーム開発部はレトロゲームがたっくさん。
やっぱりテキストが多いのは王道のRPGとかそういうものになってくるじゃん?
結果としてアリスの口調は、ゲームに汚染された。
「な、何か偏った台詞ばっかり覚えてない……!?」
何も知らない無垢な子供にこういうものを摂取させ続けたら、そりゃあこうなるよねって感じ。
場所が場所だからこうなったけど、もしアリスに与えたのが対戦型SNSであるTwit◯erとかだったら……
インターネットミームかるたで喋る生徒が誕生していたことだろう。
私のことである、優しく殺してね。
「ふぁ……みんな、おはよう……」
続々と目を覚ますゲーム開発部一行、あと私。
そこにモモイの姿は見当たらない、と。
丁度よくそのタイミングで部室の扉が開かれる。
「おはよう!!」
ユズ、そろそろ寝るぞ。
「アリス、これ」
「……?アリスは『正体不明の書類』を獲得した。」
モモイからアリスに手渡されたそれは、ミレニアムの学生証。
「学生証……?」
アリス、もといAL-1Sはミレニアムの生徒ではない。
正式な生徒ではない、という話ではなく遺跡から連れて来られた無関係の一般登場人物Aくらいの立ち位置。
そんなアリスに学生証が存在する筈がない、そして存在しない学生証を入手する事もまた不可能。
じゃあどうしたのかって?ここはミレニアムだよ?
「生徒名簿にもヴェリタスがハッキ……登録してくれたから、アリスも正式に私達の仲間だよ!」
そりゃあ“偽装”と“不正”です、ドッロドロだね。
でもこうするしかないので何も見なかった事にする、先生ならそうした。
……そうしていいのかなぁ!?組織的にはダメだと思うんだけどなぁ!!
でもアリスのためならおっけーってことで、何卒……
「パンパカパーン、アリスが『仲間』として合流しました!」
これでアリスの問題はおおよそ解決……
は全くしてない気がするけど、表向きの問題は大体解決した。
ところでキヴォトスと我らが住んでいた世界の違いってなんだと思う?
美少女ばっかりなこと?そうかも……
動物とかロボットの市民がいること?そうかも……
でもほら、もっとイカれてる部分があるじゃんね。
「じゃあ、次は武器の用意かな」
キヴォトスの住民は、銃を持っているということ。
◇◇◇
「新しい仲間により良い武器をプレゼントしたい、と」
「そういうことであれば、エンジニア部に来たのは素晴らしい選択だね」
場所は変わって、私達がいるのはエンジニア部の部室。
アリスの武器を探そうということで、ミレニアムでも屈指の発明者である彼女。
白石ウタハを頼ろう、という状況に私達はいる。
因みにユズは不在、彼女は部室がマイホーム。
「そっちの方に、私達がこれまで作ってきた試作品が色々と置いてある」
「そこにあるものならばどれを持っていっても構わないよ」
わぁい!!じゃあ私も何か貰っちゃおうカナ!?汗
……なんて言ってみるけど、武器らしい武器を持っても私は扱えないので貰いません。
使い方がわからないとかじゃなくて、撃てないので。
一般人の感性をしている私からしたら戦闘は怖いものだし、そもそも少女に銃を向けるとかありえない発想なので。
ウタハの言葉を聞いた3人は同じくエンジニア部の部員、1年生であるヒビキに誘導されて色んな銃を見て回っている。
明らかにヒビキの口から銃とは関係なさそうなものについての説明がされてるけど、まあ、うん。
エンジニア部ってこういうところだし、一種の感動すら覚えた。
ぁ、“例の武器”に目を付けたアリスにコトリが突っ込んでいった。
説明や解説が必要なら!!(いつもの)
っと、こんなことをしている場合ではなかった。
うん、私は私ですることがあるからここにいる。
「そういえば、君も初めて見る顔だね」
うわウタハパイセン近くで見ると顔良ッ……
これには私もコミュ症とはまた別の何かを発動してしまいそう、イケメン相手のキョドりってやつ。
まあ突然の会話じゃなくて事前に予測した会話……というか、私から話しかけようとしてたからあんまり動揺はしてないけど。
目的は一つ、私も彼女に頼みごとがあってここに来たんだ。
「……実は……」
「ん?」
私の目的を彼女に端的に伝える、その目的は依頼。
とある物を作ってもらえないかと、私は彼女に頼み込む。
「……それは、本当にいいのかい?」
「大丈夫」
言っちゃなんだけど、ちょっと奇天烈というか。
正直あんまり依頼するような物でもないというか、なんというか。
でも私的にはこれが必要、なので頼む。
どうにかこれを作ってもらえないか、と。
「……まあ、私としては心躍る内容だね、いいだろう」
その答えを待っていた!!
な〜んて、ぶっちゃけ最初から受けてもらえるだろうなとは思ってた。
だって内容が内容だし、物品の用途がアレだし。
うん、まあ、だから彼女に頼んだわけだし。
私もシャーレ所属としてそこそこの額のお給料を貰っているため、ちゃんと料金を支払うことが出来るのです。
あんまり使わないしねお給料、ほんと柴関行く時くらいしか使わない。
「光よ!!」
「あ」
「あ?」
なんて、ウタハと二人きりで話している時。
アリスのそんな言葉と共に目の前で何かが光った。
と、直後に鳴り響く轟音。
「あああぁぁっ!?私達の部室の天井がぁっ!?」
自分にぴったりな武器を探そう、ということで。
滅茶苦茶ゴツい見た目のレールガンをチョイスして、その試運転を行っていたアリスが天井に大穴を開けていた。
エンジニア部の皆様は、はい、うん。
“不運”と“踊”っちまったってことで、何卒……
「……アリス、この武器を装着します」
「で、ですがその……!予算とか諸々の問題で他の武器にしてもらうことは……!」
その光に魅せられて、ウッキウキでそのレールガン……
いや、勇者の剣をその手に持つ。
だけどまあ、あんな明らかな量産を目的としてないロマン砲を持って行かれたらエンジニア部もたまったもんじゃない。
そういう理由があってアリスを引き止めるコトリ。
「いや、構わないさ」
に対して、部長のウタハは非常にあっさりと言い切った。
「ウタハ先輩……いいんですか?」
「どうせ宝の持ち腐れだ、これはこの子以外には扱えないだろう」
総重量が確か……200kgだっけ?ユウカの2倍。
反動も大きいそんな武器を扱える一般生徒が他に存在するわけもなく。
ここに置き続けるくらいなら持っていってもらった方がいいと、そんな意図でアリスにその武器を任せるウタハ。
じゃあまずなんでそんなものを作ったんですか?
ロマンだからだよね、ロマンだからかぁ……
「ヒビキ、後で持ちやすいように肩紐と取手を作ってあげてくれ」
「分かった」
そんなわけで無事に武器を手に入れたアリス。
しかしそう簡単に話は進まなかった!!
実戦でのデータ取得を目的に……いや、言い換えようか。
“そう簡単に武器は渡せない”と、アリス達3人相手にドローンをけしかけたエンジニア部。
しかしアリスの手で易々とドローンが薙ぎ払われているのが遠目からでも見える、南無三……
「……凄いね、あの子は……」
ワイトもそう思います。
元々人が扱うものとして設計してない武器を、少女の姿をした存在が持ち上げて扱えてるんだからね。
絵面が凄い、ただ、不思議と似合っている。
そのアンバランスさも含めての“凄い”なんだろうね、ウタハが言いたいのは。
「では数日後、君はまたエンジニア部に来てくれるかな」
その言葉に対して肯定の意として頷き、目線を合わせ……
ああもう顔いいですね!!キヴォトス人こんなんばっか!!
まあとにかく、とにかくだ。
アリスは、その手で勇者の剣を引き抜いた。