機動戦士ガンダム0085 元素の歌姫〈エレメンタル・ガールズ〉   作:滝川 海老郎

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0.プロローグ

■プロローグ

 全長十八メートルの鋼鉄の巨人。V字型の二本のアンテナブレード、その中央にある青い五角形。角ばった二つの緑目。赤い口。日本の兜に似ているともいわれる顔のデザイン。そうこれがガンダムと呼ばれる戦争用マシーン、モビルスーツだった。

 三機の色の違うガンダムAXが私たちの後ろに並んで立っている。これが私たちの操縦するモビルスーツだ。

 パイロットの軍学校での日々。シミュレーターでの訓練で毎日のように操縦した。モビルスーツの操作はある種の才能を必要とする。選ばれた子供たちである私たちの使命はゲリラとなっている旧ジオン軍の残党を討伐すること。実戦に出て死線をくぐりぬけて戦争をするのだ。

 そしてパイロット候補生の中から厳しいアイドル選抜試験を勝ち抜いてきた。

 今日は連邦軍広報のアイドルとして歌って踊る。

 それが私たち『エレメンタル・ガールズ』のもう一つの仕事。

 デビューをして地球ツアーでやる最後のライブだった。

 なんと次回からのライブ会場は宇宙!

 これから地球圏宇宙をぐるっと一周回り、各地でライブをする予定なのだ。

 地球ツアーの最後のライブを三人で精一杯歌う。

 私たちがステージに出ていくと歓声に包まれる。

 マイクを上げて制すると一旦静かになった。

 

「みなさん、集まってくれてありがとうございます」

「エレメンタル・ガールズです」

「元素の歌姫――水のクレアです」

「――火のミカです」

「――風のアンジェです」

「「「わあああああ」」」

 

 挨拶を終えると再び歓声が沸く。

 

「それでは聞いてください。『エレメンタル・ガールズ・リフトオフ』――」

 

 私たちは軍属。これは軍歌なのだ。

 全地球の平和を願ってみんなにこの歌を届けるんだ。

 鎮魂歌、レクイエムとして。みんなの応援歌として。

 それが私たちの今の使命だと信じているから。

 これはモビルスーツパイロット兼、アイドルの私たち三人の戦争と歌の物語。

 

 


 

 

■0.地球近傍宇宙/ジオン残党

 

 宇宙世紀0085。

 地球連邦に対し宇宙市民スペースノイドの自治独立を掲げジオンが戦争を行った一年戦争。

 0083年に起きたデラーズ紛争によるコロニー落とし。

 あれからさらに二年が経過していた。

 一年戦争を辛くも生き延びたジオン残党も多くがデラーズ紛争で死亡していた。

 コンテナ偽装艦。彼らジオン残党に残された母艦である。

 多くのジオン同胞の屍を超えて、生き残った最後の兵士たちだった。

 

「歌って踊ってますね」

「そうだな」

 

 壮年の男性、オセロット大尉がうむむとヒゲに手をやる。

 その艦のブリッジのディスプレイにはガンダムを背景に歌って踊るエレメンタル・ガールズが映っている。

 先日、全世界放送で流れた特集番組だった。もちろん連邦軍の関与した放送だった。

 

「ガンダム、ですね。今度は宇宙へ出てくるって」

「だな。俺たちを誘っているんだろう」

「オセロット大尉」

「ああ。幼い少女たちがパイロットだからといって、ガンダムはいただけない」

「白い悪魔、ですか」

「そうだな。俺たちはアレに憑りつかれている。叩かなければならない目標だ」

「じゃあ、当分の目標は」

「あれだ」

「了解です」

「その前に、今日は前を飛んでるサラミスからだ」

「はい」

 

 昔はムサイ級軽巡洋艦を多くが母艦としていたが、もうそんな余裕はあまりない。

 残されたムサイ級は少ないため暗礁宙域の奥で温存されていた。

 大きな目標は目立つのだ。彼らはパイロットスーツに身を包む。

 

『そして、今日の目標、サラミス級一隻』

『呑気なもんだ。こっちを貨物船だと思ってるんだろう』

 

 それぞれのモビルスーツに乗り込りこみ、モニターに映っているサラミスを眺める。

 

『総員、第一戦闘配備』

『コンテナハッチ、オープン』

 

 偽装貨物船からリック・ドム数機、ザク数機、そして薄紫のゲルググが一機が出撃していく。

 モビルスーツたちのバーニアの閃光が並んで飛んでいく。

 敵のサラミスがモビルスーツの接近にようやく気が付いたのだろう、ギリギリでジム三機が発進してくる。

 ビームライフルの輝き、マシンガンの射線、スラスターの炎などが偽装貨物船のブリッジからでも見えていた。

 そのうち大きな爆発が起きる。続けてもう二つ。

 そうこうしているうちに、モビルスーツがサラミスに接近していき攻撃しているのが見えていた。

 集中砲火を受けたサラミスはそのまま爆発を繰り返し、轟沈していく。

 これがジオン残党が行っている連邦軍パトロール艦へのゲリラ戦の一端であった。

 

 スペースノイドにとってジオン独立は悲願だった。

 開戦初期の宇宙での一週間戦争。ジオンは勝利を収めた。地球降下作戦では地球圏をほとんど制圧することができた。しかし半年以上経過してオデッサが陥落、宇宙へとなんとか逃げてきた数少ないパイロットの一人。それがオセロット・ウッドマン大尉だった。

 地上のジャブローでの戦闘ではドムを操り、宇宙へ上がってからはリック・ドムでソロモン戦線に参加した。

 最終的にはゲルググ高機動型を与えられア・バオア・クー戦線に参加した。

 しかし他のゲルググは新兵ばかり。そのほとんどが戦闘の中で撃墜されていく。

 歴戦のパイロット。それは見方を代えれば、数々の戦場で多くの戦友を失ってきた証拠でもあった。

 特にア・バオア・クーで未来ある若者たちが碌に訓練もしていない新兵として、無念にも死んでいくのには胸を痛めた。

 だから彼はデラーズフリートに合流しデラーズ紛争でも戦線に立った。

 ここでほとんどの友軍を失ってしまったが、まだ完全に諦めてはいない。いや諦めることができなかった。いつの日か。ジオン再興のその日が来ると信じて。

 散っていった多くの仲間のために、彼は今日も戦うと決意していたのだった。

 


 

■クレア・ミッドランド

 

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■ミカ・レンギンス

 

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■アンジェ・シュナイダー

 

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■オセロット

 

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■ワン・ムラサメ

 

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■スペースコロニー/開放型と密閉型

 

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■U.C.0085

 

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