機動戦士ガンダム0085 元素の歌姫〈エレメンタル・ガールズ〉 作:滝川 海老郎
ジャブローで始まり、ジャブローで終わる。
まあとにかく、ジャブローお帰りライブもやることが決まっている。
今までいくつもの戦闘を生き抜いてきた。
ビームがモビルスーツをかすめたことだって何回もあった。
辛いこともあった。悲しいこともあった。死にそうなこともあった。
「ジャブローのみなさん、ただいま戻りました」
「わああああ」
「エレメンタル・ガールズです」
「元素の歌姫――水のクレアです」
「「「クレアちゃーん」」」
「――火のミカです」
「「「ミカちゃーん」」」
「――風のアンジェです」
「「「アンジェちゃーん」」」
「「「わあああああ」」」
声援が出発したときより大きくなっているように思う。
私たちの活動にも応援してくれている人が増えているようだった。
とてもうれしい。
レクイエム。そして応援歌。
軍隊を応援するというと風当たりも強い場合もある。でもこれは違うんだ。
すべての人へ。すべての地球人のみんなへ。
平和を願っている、そういう応援歌でありたい。
だから頑張って精一杯、歌うんだ。
そうだった。レクイエム、鎮魂歌。私の両親にもきっと元素の歌姫の歌声が届いているはずだ。さようなら、パパ、ママ。私をずっと見守ってくれていてありがとう。
こうして両親ともお別れをするんだ。
マイクを構え直して、空気を吸う。
「それでは聞いてください。『エレメンタル・ガールズ・リフトオフ』――」
■
音楽が流れていく。
私たちは精一杯声を出して、歌を届ける。
ガンダムがロボットダンスを踊り出す。
アナハイムの人は笑っていたが、果たしてこれが市民や軍人の人にどういう風に見えているかは気になるところだ。
ライトアップの光が左右に揺れる。
今はこうして私たちのバックダンサーをしているこのロボットも兵器に過ぎない。
人殺しのための道具。
これはそういう機械以外の何物でもなかった。
でもこれは平和の象徴であってくれればいいな、と思っていた。
綺麗ごとかもしれない。
それでも「ガンダム」と名の付くロボットはタダの戦争の道具ではなく、もっと人類の未来のためにあってほしい。
私がアムロフリークでガンダムが憧れだからかもしれないけど、ただのモビルツールじゃないんだ。
そういう願いというか願望がある。
顔のついたロボットの瞳には、何が映っているのだろうか。
それは敵か友軍か戦争か、それとも、もっと全然違う、魂とか過去から未来へ続く人の願いとかなのかもしれない。
私たちにできるのは、ただ歌うことだけだから……。
(END)