ただひたすらアスカを愛してみた   作:たっちゃん☆

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今回ちょっと長いです。後半部分は飛ばしても構いません。
返信はしておりませんが、感想は見させて頂いております。
つらつらと書いている故に読みにくいところもあるかも知れませんが、今後ともぜひご贔屓に


9話 チルドレンのお祝い大作戦、始動

 アスカの誕生日を祝ってから、三日が経過した。

 あの一件からオレと彼女との仲は特に変わっていないが、心なしかアスカがさらにアスカらしくなったように感じている。

 

「はー、ほんっとうに月曜日って憂鬱」

「たしかに。土日を過ごしてた時がまるで夢みたいに感じるよ」

 

 学校終わりにシンクロテストのためにプラグスーツに着替えていると、パーテーション一枚を挟んだアスカが言う。八歳児の言う言葉じゃねえなとは思うが、言ってることには全く持って同意だ。

 

 今まではオレに嫌われないように-----まあこれはオレが勝手に思っていることだが-----こういうことは言わずに言葉を選んでいるような感じだったが、今は自然体。それがとても心地よい。

 今までが居心地悪かったわけではないが、本当の惣流・アスカ・ラングレーを知れたような感じがして。距離感そのままに、三年前に戻ったような新鮮な気持ちだ。

 

「ん、しょと。着替え終わった?」

「終わったよ」

 

 そう答えると、アスカはパーテーションをずらす。その手にはヘルメットを抱えていた。

 

「ちょっと前まではシンクロテストがやりたくて仕方なかったけど、今となっては着替えるのが面倒くさいわ」

「そうなんだよなー、わざわざこれに着替える意味あるのかって思うよ」

 

 自分のロッカーから同じヘルメットを取り出したオレは、アスカと会話しながら更衣室を出る。

 旧型。いや、今の年代では最新鋭なんだろうが、このプラグスーツにはオレがよく知るボタンを押したら勝手に空気が抜けて体にフィットするような機能はない。

 

 それだけでなく、頭につける餃子のような猫耳のようなもの。インターフェイスヘッドセットもないので、仕方なくヘルメットを着用してテストをしている。単純に小型化が進んでいないのかコレがテスト仕様だからかはわからないが、不便なことに変わりはない。

 

「あら、今日は早いじゃない。学校お疲れ様」

 

 シンクロテストのテストルームに来ると、メガネをかけたイェーナさんが出迎えてくれる。イェーナさんはゲヒルンドイツ支部でネルフの赤木 リツコのような立ち位置であり、エヴァ関連の場所には大体居る。メガネをかけた仕事モードは凛々しい。

 

「お疲れ様で~す」

「おつかれ。早くやっちゃったほうが楽だってことに気付いたのよ」

「そう、それは賢明ね。特に、今日のようにシンクロテストだけのときはなおのこと」

 

 イェーナさんと会話をしながら、準備をする。プラグスーツ、インターフェイスヘッドセットは旧式だが、エントリープラグ自体はあまり変わっていない。

 橋を渡って左右のクレーンに固定されたエントリープラグに向かう。右がオレ、左がアスカだ。

 

「今日はアスカが最初よ」

「わかったわ。じゃあタロー、また後で」

「ああ」

 

 途中で橋が左右に別れているため、それぞれのエントリープラグへと向かう。イェーナさんは踵を返してモニター室へと戻った。

 

「はーよいしょと。もっと簡略化されないかな~」

 

 エントリープラグに入り、コックピットにあるいくつかの線を旧型プラグスーツに手で差し込む。こういうのを全部すっ飛ばして乗るだけで良いアニメで見たプラグスーツはよ。

 

『接続確認。タロー、アスカ、LCLを注水するわよ』

『ええ』

「ヤー」

 

 心の中で愚痴っていると、イェーナさんの合図でLCLがプラグ内に満たされる。毎回思うけど、シンジくんはよく初見で叫ばなかったよな。オレだったら金づちなのも相まって発狂するぞ。

 

 外から見てたときは「うわションベンじゃんwww」などと思ったものだが、LCLが完全に満たされるまでの間はそんなことを考える余裕はなく、なんともいえない気分になる。嗅覚にすべての意識を持っていくと少しだけ血のような匂いを感じられるが、プラグ内が全てLCLで満たされるとそれも感じなくなる。

 

『ではアスカはシンクロテストを、タローは簡易戦闘シミュレーターでの訓練を。時間になったら声をかけるわ』

 

 プラグ内の全てがLCLとなったことで、仮想モニターが表示されイェーナさんの顔が映る。ん~やっぱ美人。

 ていうかオレ、いつも頭の中では日本語で余計なことばっかり考えてるけど思考ノイズとかでエラー出てないんだよな。ドイツ語設定になってると思うけど......試しにドイツ語で余計なこと考えてみるか。

 

『珍しいわね、タロー。少し脳波が乱れているようだけど』

「え、本当ですか? いや~ちょっと考え事を......」

 

 アスカの集中力を切らさないためか、イェーナさんがプライベートチャンネルで不思議そうに聞いてくる。ドイツ語で考えると乱れるんかよ、仕組みがよくわからん。

 ちなみにイェーナさんに甘やかされてえなあと考えてました。

 

『まあ、やることがないとそうなるのは仕方ないわ。はい』

「ありがとござます......」

 

 頭上からゆっくりと降りてきたモニターに、思わず顔が引きつる。簡易戦闘シミュレーター、確かに退屈しのぎにはなるかも知れないけど楽しくはないんだよな。敵の動きも単調だし、何より意識を半分も向けずに動けるっていうのがなんとも。

 

 エヴァは頭で操縦するもの。そう教わってはいるが、簡易戦闘シミュレーターの場合は操縦してる感じはほぼない。だって撃って斬って投げ飛ばして殴って蹴って、それで終わりだからね。肉体への疲労を考慮して衝撃や感覚等を再現していない簡易版らしいが、ゲームとほぼ変わらないから4D映画のほうが疲れる。

 

 そんな風に仮想敵をひたすらなぎ倒してからどれくらい経っただろうか。あることを思い出した。

 そうだ、イェーナさんにお茶のお礼言ってなかったな。プレイベートチャンネルで話しかけよう。

 

「イェーナさん、この前はお茶。ありがとうございました。美味しかったです」

『あらそう、それは良かったわ。でも今は集中しなさい』

「あはは......まあまあ。ところでイェーナさんって、誕生日はいつなんです?」

『全く、今日はおしゃべりなのね』

 

 そう言いながら、イェーナさんは左手首。おそらく腕時計だろうか、それを確認した。

 

『明日よ』

「......うぇ?」

『あとミサトも私と同じ誕生日ね。その接点がなければ多分仲良くなってないわ』

「ええーーーーーーっ!?」

 

 明日が、イェーナさんと、ミサトさんの、誕生日!?

 やべえ、全然知らなかった。そもそもイェーナさんは自分からは自分のことを全然語らない人だし、ミサトさんは......いや前世でアスカの誕生日をネット検索かなんかした時に目に入って、結構近いんだなって思った記憶はあったよ。オレより遅いんだって思った記憶が。でもまさか、それが明日......十二月八日とは思わないじゃん普通!

 

 落ち着け、落ち着くんだオレ。とりあえずアスカに報告......は後にしよう。今はシンクロテスト中だから邪魔しちゃいけない

 

『アスカ、お疲れ様。タローと交代よ』

 

 ってもうそんな時間か! もう一時間経ったの早すぎじゃない!?

 とりあえず、この話をアスカにするのは後だ。エントリープラグが動き始めたし、今はシンクロテストに集中。簡易戦闘シミュレーターとは違って、集中しないともろに数値が悪くなるからな。

 

『じゃあタロー、準備は良い?』

「はい、お願いします」

 

 エントリープラグを挿入する際の回転によって僅かな衝撃を感じた後、オレは弐号機。正確にはそのコアとシンクロを始める。

 なんでオレがシンクロできるのかはわからないけど、できるんだからできるんだよ。多分。

 

 

 

 

 

 -----

 

 同時刻、テストモニター室

 

「どうですか? イェーナさん。二人の様子は」

 

 ガチャリと扉を開けて入ってきたミサトが、二人の様子を観察するイェーナに声をかける。イェーナはやれやれといった表情をしてメガネを外す。

 

「はあ、ミサト。貴女また自分の仕事を放って来たのかしら?」

「て、てへへ。今回はちゃんと、やるべきことはやってますから。だから強制退室だけはご勘弁を!」

「やるべきことをやるのは当然よ」

 

 手を合わせて謝罪するミサトに、腕を組みながらジト目を向けるイェーナ。ミサトはその厳しさに苦笑いしか出なかった。

 お調子者の後輩ミサトと、厳しいながらも愛を持って接する先輩イェーナ。ミサトがゲヒルンドイツ支部に着任してから、このコンビはすっかり定番となっていた。

 

「今回は貴女の言葉を信じて強制退室は無しとしましょう。ただし、二人の邪魔はしてはいけないわ」

「それはもちろんですよ! ところでイェーナさん、何故二人の顔のモニターを隠したんです?」

 

 嬉しそうにスクリーンへと近づいていくミサト。だが彼女が近づく直前で、イェーナは目をつむりシンクロに集中するタロー、そして簡易戦闘シミュレーターでの模擬戦に励むアスカの顔が映し出されたモニターを非表示にする。

 

「ミサトが部外秘の現場で二人の顔写真を撮ろうとするからよ。どれだけ謝罪したことか」

「うぐっ、その節はすみません......」

 

 数ヶ月にミサトは、滅多に見ない二人の集中した表情に興奮しすぎたあまり、撮影禁止のこの場で人目も憚らずパシャパシャと写真を撮影したことがある。それを問題視した本部の上層部によって危うく解雇寸前までいったところを、イェーナとこの場にいる他の職員が「そもそも別部署の者が簡単に立ち入れる状況はいかがなものか」と逆説教し免れた経緯がある。

 といってもこれはミサトがイェーナに頭が上がらない数ある理由の一つに過ぎないのだが。

 

「二人の顔を保存するならカメラではなく私のように脳内にしなさい。貴女の頭なら完璧にできるでしょう」

「はい......ん? 私のように?」

「何か不満でも?」

「い、いえいえそんな! ここに入らせてもらえることだけで満足ですイェーナさん!」

 

 ビシッと音がなりそうな。いや、実際にジャケットが張ったことで似たような音を鳴らしながら敬礼するミサト。イェーナに見つめられて十数秒。冷や汗が出てきたところで、ようやくミサトは彼女のプレッシャーから開放された。

 

「シンクロテストではアスカが優れており、簡易戦闘シミュレーターでは圧倒的にタローが優れている。変わらずよ」

 

 二人の顔に加え、シンクロ率と簡易戦闘シミュレーターでのスコアを表示しながらイェーナは語る。

 シンクロ率ではアスカが60後半を維持し、タローは40後半、時々50といった数値。簡易戦闘シミュレーターでのスコアはアスカがA判定なのに対して、タローはトリプルS。つまり、これ以上の評価が出来ない、実質天井のスコアだった。

 

「簡易戦闘シミュレーターのスコアは、仮想敵の殲滅速度及び効率が重要視される。格闘戦のレンジに入れば敵なしのタローがこのスコアを取るのは納得よ」

「なるほど......ですが、射撃精度に関してはアスカのほうが上ですね」

「ええ。ミサト、貴女はこれらのデータを見て、建造中のエヴァンゲリオン弐号機。そのパイロット候補生二名のうち選ばれるのはどちらだと思う?」

 

 直近のテスト結果を事細かに表示させたイェーナは、吟味するような目線をミサトに向ける。ミサトは顎に手を当てて少しの間考察した後、一呼吸置いてからイェーナの目を見て答える。

 

「私は、アスカが選ばれると思います。確かにタロちゃん......失礼しました。タローくんの格闘戦はずば抜けていますが、エヴァ弐号機は実戦を目的とした実用型機。対使徒を想定した場合、近距離戦に特化したタローくんよりも、オールラウンドにこなせるアスカが適任だと思います」

 

 ミサトの回答を目をつむりながら聞くイェーナ。満足気に頷いた後、彼女は目を開いた。

 

「私も同意よ、ミサト。やはり貴女の分析力は素晴らしいものがある。一つ補足するなら、エヴァンゲリオンはシンクロ率が全て。コアの書き換えなしにあれだけシンクロできるタローは称賛に値するけれど、20パーセントの違いは相当なものになる」

「それだけ機体の制御性に差がでるということですか」

「尤も、エヴァンゲリオンというものの詳細を私は詳しく知らないから推測になってしまうけれど。私だったら、子供しか操縦できないなんてナンセンスなもの、作れないわ」

 

 テストに励むタローとアスカ。イェーナは二人を憐れむような慈しむような、愛情のような複雑な目で見る。そこでミサトはイェーナに報告すべきことを思い出し、イェーナの横に立つ。

 

「日本でのエヴァ弐号機の建造は順調に進んでいるとのことです。遅くとも三年後にはコアの融合及び組み立てが始められるかと」

 

 エヴァ弐号機の建造は日本で進められている。それが完成した暁にはドイツに輸送し、ゲヒルンドイツ支部にて保管しているコアと素体の融合。組み立てを行うことになっている。

 そしてイェーナは、その責任者に抜擢されているのだ。

 

「そう。それまでには上がエヴァンゲリオン弐号機の正パイロットを決めると思うわ」

「......一つ、質問しても良いですか。弐号機のパイロットに選ばれなかった候補生は、どうなるのでしょうか」

 

 パイロットは基本、一人のみ。バックアップを用意するにしても、訓練のために大きな手間がかかるため考慮すらされていないのが現実。

 それを嗅ぎつけたミサトがイェーナに問う。パイロットに選ばれなかった方、おそらくタローはどうなるんだ、と。

 

 互いに無言の時間が続いた後、イェーナがふっと笑った。

 

「こんな噂を聞いたことがあるの。エヴァンゲリオンは日本で建造されたプロトタイプとテストタイプ、そして建造中の正規実用型弐号機だけでなく、別の場所で建造された機体が一機あると」

「それは一体、どこで......」

 

 イェーナは外していたメガネを賭け直し、ミサトを見つめて言った。

 

「イギリス、ロンドンよ」




基本は主人公視点で進む物語ですが、随所でいわゆる神視点をはさみます。
最初は主人公視点だけで書こうと思っていましたが、それだと最終回に行った時になんだコレってなるなと思ったので

物語の密度と1話ごとの文字数について

  • サクサク進む(3000~4000字程度)
  • 少し書き込む(5000~6000字)
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