ただひたすらアスカを愛してみた   作:たっちゃん☆

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なんか毎日投稿みたいになってますけど、浮かんできてるからそうなだけで詰まったら遅くなったり失踪したりするかも知れません(_ _)


4話 寝坊

「......やっちまったよな、これ」

 

 油断した。目を覚ましたオレは、思わずつぶやく。

 枕元においてあった目覚まし時計が指し示す時刻は、朝の八時前。昨日ミサトさんが明日、つまり今日は学校がおやすみだと言っていたからそれは良い。だが問題はそこじゃない。

 

「居ない、よな......」

 

 左奥。部屋の角にあるアスカのベッドへ視線を向ける。

 アスカはいつも、朝起きたら眠気覚ましにベッドを綺麗に整えるのが日課だ。それがすでに行われているということは、つまり。

 

「かんっぜんに寝坊であります!」

 

 寝坊だ。いつもは学校に行く前に体を動かすから朝の五時半には目を覚ますのに、学校が休みで油断してたのか寝坊してしまった。子供は思ったより睡眠が必要らしい。

 五時半に起きれなかったにしても、学校まで十分な猶予がある七時には目覚まし時計をセットしていたのに、どうして鳴らなかったんだろう。いや、鳴ってたのにオレが起きなかったから。アスカの誕生日なのにグースカ寝てたから、呆れたアスカが止めて一人で何処かに行ってしまったのかも知れない。

 

 そんなことを考え出すと止まらず、冷や汗をかきながら顔を洗って歯を磨き、ジーパンを履いて長袖シャツを着て、上から黒のダウンジャケットを羽織り財布を内ポケットに突っ込んで部屋の外に飛び出す。

 ゲヒルンドイツ支部は、日本のネルフ本部とは異なり、普通に地上にある。そこから少し外れた場所にある石造りの古い建物がいわゆる社員寮のようになっており、オレとアスカやミサトさんを含む、少数のメンバーが住んでいる。何故か女性ばかりだが。

 ミサトさんは右隣の部屋。外にでた後、急いでターンしミサトさんの部屋をノックする。

 

「ミサトさん! 居ますか!?」

 

 ダンダンダンと、ドアをノック。いや叩きながら叫ぶが、返事はない。寝ているのかもしれないが、だとしてもオレかアスカが呼べばすっ飛んでくるのがいつものこと。それが全く持って出てこない。

 

「どうしました? タロー」

 

 焦りに任せてドアをノックし続けていると、ミサトさんの部屋の向かいに住んでおり、彼女のふたつ上の女性職員。色素の薄いストレートの金髪が特徴的な美人、イェーナさんがマグカップ。紅茶好きが多い地方出身だと語っていたから紅茶入りだろう。を片手に出てきた。

 

「あ、すみませんうるさくして。えっと、ミサトさんとアスカがどこ行ったか知りませんか?」

「......ああ、あの二人ですか。多分、外に出ればわかりますよ」

 

 意味深な微笑みを見せながら、イェーナさんは答える。ミサトさんとは別ベクトルだが、この人も美人だよな。よくアスカが色々と相談しに行ってるらしいが、たしかにイェーナさんのほうがミサトさんより女性が聞きたいことに的確に答えてくれそう。ってそうじゃなくて!

 

「ありがとうございます! 出勤前なのにうるさくしてすみません、では!」

 

 彼女の返事も聞かず、オレは走り出す。ホールを飛び出ると、昨日の夜から降り続けていた雪で外はすっかり真っ白に。足を止めずに、降る雪に白い息を吐きながら駐車場へ向かう。

 

「っ、アスカ!」

 

 真っ白に染まった生け垣の隙間からわずかに見えた、揺れる明るい茶髪と二つの赤い玉がついた赤色のヘアゴムに向かって叫ぶ。

 その髪が動く先をしっかりと目で追っていると、生け垣からひょっこりとアスカが顔を出した。あ、トリコロールカラーのマフラー可愛い。

 

「アスカ! っとぉおう!?」

 

 彼女の顔が見えたことでつい安心してしまい、雪で足を滑らせる。だがオレはここでそのままズッコケルほどヤワな男じゃない。手と体重を総動員して重心を後方に持っていき、まるでアラレちゃんが止まるときのように尻を後方へ、頭を前へ突き出してアスカの前で止まる。

 そしてその体勢から腰を直角に折り、謝罪する。

 

「遅れてごめん!」

 

 ......やべえ、なんの返事もねえ。これは完全に呆れられちまったか?

 そんな不安が走り、恐る恐る顔をあげる。そこには、ぽかんとした顔のアスカが。

 

「......別に遅れてないわよ?」

「へ?」

 

 何を言ってるんだ? と言いたげなアスカの表情に、気の抜けた声が出てしまう。

 別に遅れてないって、明らかにアスカは出かける準備万端で、オレはグースカ夢の世界だったじゃないか。まさかこの天使、オレが気にしないように気を使ってくれてるのか......ッ!? 冬の天使、スノーエンジェルが!!

 

「お、タロちゃあん!」

 

 雪の大天使アスカちゃんの優しさに心を浄化させていると、ハグ大好き怪獣ミサトさんに後ろから捕まり持ち上げられる。声掛けと同時に抱き上げるな、そして首元に顔を埋めるな吸うな。ほら見ろアスカちゃんが不貞腐れてるじゃねえかッ!

 

「会いたかったわよ~タロちゃん! ッスウウウゥゥ」

「き、昨日会ったばっか......てかそろそろ飛んじゃいます......」

「私も会えたのが嬉しすぎて飛びそうよ!」

 

 いやそういうことじゃねえよ。と心のなかで思っていると、アスカがミサトさんの後ろに回り込み、彼女の尻に強烈な一撃を叩き込んだ。

 バシン! という乾いた音と、ミサトさんの「ひっ!」という声の後にようやく自由の身になる。地面に足がついた後、素早くミサトさんから距離を取る。

 

「ぁあ逃げないでえ......」

「逃げてないですよ、ドン引きしてるだけです。あとミサトさんもすみません、遅れて」

「ん?」

 

 遅れたことを詫びると、ミサトさんもいまいちピンと来てないような顔をする。が、その後一瞬だけ悪い笑みを浮かべた。......嫌な予感。

 

「遅れるも何も、そもそも私達、タロちゃんにどっか行くとか言ってたっけ?」

「......あ」

 

 そうじゃん。今日がアスカの誕生日だから出かけるもんだと思ってたけど、オレ誘われてすらねえわ。

 悲しいけどまあ、常に側に居ることがアスカのためになるわけじゃない。今日はお留守番でもするか......

 

「ちょ、待って!」

 

 フラフラと回れ右をして歩き始めたオレの右腕を、アスカが掴む。振り返ろうとしたが、勘違いしてた恥ずかしさでアスカの顔を見る勇気が出ない。オレのヘタレ。

 

「......き、今日は......」

 

 アスカの震えが、握られた右腕から伝わってくる。その一瞬で恥ずかしさなど吹き飛び、振り返って彼女の顔を確かめる。うつむいているため表情は分からないが、明るい茶髪から真っ赤になった耳が飛び出ているのが目に入った。

 

「アスカ......?」

 

 思わず近づき、掴まれていない左手でアスカの髪を優しく撫で、表情が見えるように持ち上げる。そこには、涙を浮かべながら唇を噛みしめる顔が。

 一体今のアスカがどんな感情を抱いているのか分からず立ち尽くしていると、ゆっくりと近づいてきた。

 

「今日は、あたしの誕生日でしょ? ......どこ、行くつもり?」

 

 返答次第では今にも泣き出してしまいそうな顔のアスカ。突然訪れた今世で最も難しい選択に立ち尽くしていると、ミサトさんが近づいてくる。

 

「タロちゃん、今日はアスカと私と、お出かけしてくれるでしょ?」

「は、はい。もちろん!」

 

 ミサトさんの助け舟に乗っかると、アスカの顔が一気に明るくなる。なんとか彼女を泣かせずに済んだオレは、顔には出さないようにしつつ安堵する。

 まさか、アスカがこんなにもオレを必要としてくれてたとは思わず、ニヤつきは隠せてないかも知れないけれど。

 

「ほらもう、行くわよ。今日はミサトが街に連れてってくれるんだから!」

 

 アスカは掴んだオレの右腕を離さず、むしろ絡め取るようにして密着してオレを引っ張り歩く。お互いダウンジャケットを着ているからわかるわけも無いのだが、アスカの暖かさを感じて顔が緩んでしまう。違うオレはロリコンじゃないんだ! アスカが好きなんだ!

 

「アスカね、タロちゃんが絶対自分を探してくれるって聞かなかったの」

「え?」

 

 後ろから声をかけてきたミサトさん。アスカは一瞬ぎょっとしたような表情の後、歩みを止めて振り返った。

 

「余計なこと言わないで! ミサト!!」

 

 先程と同じように耳を真っ赤にしながら叫ぶアスカ。何かオレに知られたら恥ずかしいことでもあるんだろうか。その疑問はすぐにミサトさんが解消してくれた。

 

「普通に明日出かけようって誘えば良いのに、わざわざ目覚まし時計を止める細工までして自分を探させる必要あったのかしら?」

「え、そうなの?」

「だ、だって!」

 

 ミサトさんからの思わぬ情報の真偽を確かめるためにアスカを見ると、数回言葉を詰まらせた後、ゆっくりと呟いた。

 

「だって、タローならあたしを見つけてくれるし......一緒に家出たら、デートっぽくない......」

「アッッッッッ」

 

 完ッ全に昇天ですありがとうございます。後ろで某千と千尋のカオナシみたいな声を出したミサトさんは無視して、アスカに伝えたい言葉を。

 

「アスカちゃんマジ可愛いマジ天使。好き!」

「え、えっ!?」

 

 思わず(迫真)が付きそうなほどの勢いとなったオレの言葉に、また顔を赤く染めるアスカ。

 今日のアスカはよく赤くなるなあ。そう思っていると、マフラーで口元を隠して一言。

 

「あ、ありがと」

「ン~可愛い!!」

 

 思わず叫んでしまった。だが、オレよりもすげえのが後ろからアスカを巻き込みながら抱きついてきた。

 

「二人共可愛いわ! ウオォオオオオオオ!!」

 

 残念美人な成人女性の初号機顔負けの叫び声が、朝のゲヒルンドイツ支部に木霊した。




作者の自我が出るにつれてキャラ崩壊が進みます。一応自分の中で線引きはしているつもりです。

物語の密度と1話ごとの文字数について

  • サクサク進む(3000~4000字程度)
  • 少し書き込む(5000~6000字)
  • ガッツリ書き込む(7000字以上)
  • サクサク書き込め
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