ただひたすらアスカを愛してみた   作:たっちゃん☆

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アスカ(ネルフ本部に)襲来

「流石はじめから要塞都市の中核として作られただけあるわね、ここは」

 

 前後二列になってネルフ本部を歩く中学校の制服姿をした四人のエヴァパイロット達。

 その先頭にいるアスカが内部を見渡しながらそう呟いた。

 

「オレも最初は迷子になりかけることあったよ。目立つ通り以外はどこも似たような感じだし」

「ま、人類の......ネルフにとっての脅威が使徒だけではないと考えれば合理的よ」

「そうならなきゃいいけどね」

 

 アスカの横を歩くタローは切に願う。

 二人の後ろを歩いているシンジとレイは何のことかパッとしていないようで、一体何を話しているのだろうと首をかしげたり無表情のままだったり。

 

 そうこうしているうちに中央作戦司令室。俗に言う発令所へとたどり着く。

 

「ん、タイミング良いわね」

 

 発令所に入室するためにタローがカードをスキャンしようとしたところで、扉が開かれる。

 現れたのは白衣姿の短い金髪と左目の泣きぼくろが特徴的な女性。リツコだった。

 

「リツコさん、お疲れ様です」

「お疲れ様。迎えに行こうと思ったけれど、どうやらもう大丈夫なようね」

「一年間いたら流石に覚えますってば」

「あら残念だわ」

 

 カードをスキャンして入室しながら談笑するタローとリツコ。

 その後ろではアスカが涼し気な顔で青筋を立てており、後ろ姿からでも怒気を感じたシンジは怯え、レイはリツコにジト目。

 五人は発令所の上段へ続くエレベータに乗り、いつもの三人組のもとへ向かう。

 

「おっ、キタキタ」

 

 エレベータが上昇しきる直前、五人には聞き慣れた声が。

 いざ登り切ると、そこにはやはりミサトが居た。

 

「赤木博士。お勤めご苦労さまです!」

 

 ビシッと敬礼しながら言うミサト。リツコは白衣のポケットに手を突っ込んでため息を付いた。

 

「お疲れ様、葛城一尉?」

「珍しくノリ良いじゃない、なんかいいことでもあった~?」

「無視したらあなたのメンツが潰れるじゃない」

「安心なさい、もうそんなの無いも同然よ!」

 

 自信満々に宣言するミサトに『確かに』と納得するリツコとアスカにタロー。

 シンジとレイもミサトの本性を垣間見ているため表情には出さずとも同情していた。

 

「まーそれより。アスカ、今日はあなたをはじめとしたエヴァパイロットのサポートをしてくれるオペレーターを紹介するわね。三人とも」

 

 ミサトの声に、彼女の後ろで業務に勤しんでいた三人は待ってましたと言わんばかりに振り返り、立ち上がる。

 誰から行くか。そんな挨拶をかわさずにまずは長髪の男性が一歩前に出た。

 

「俺は青葉 シゲル。よろしくな」

「あー、よろしく」

 

 先鋒シゲル。軽くあしらわれ凹む。

 それを見かねたのか、メガネの男性が足を踏み出した。

 

「僕は日向 マコト。よろしく頼むよ」

「んー、どうも」

 

 中堅マコト。あっさり撃沈。

 心做しかこだわりのあるメガネがズレてヒビが入ってるようにも感じられるその姿を見て、最後の砦が動いた。

 

「私は伊吹 マヤ。マヤでいいからね」

「......マヤ......!」

「え? きゃっ!」

 

 大将マヤ。その名を聞いた瞬間にアスカが目にも止まらぬ速さで間合いを詰めた。

 ジッと見つめてくるアスカに、マヤは困惑。どうしようかとオロオロしているとこにアスカがボソボソと分析を始めた。

 

「この距離まで近づかないとわからないくらい控えめな香水の香り、いやこれは天然モノか? 柑橘に似た匂いとさりげないリップ......危険ね、コレは危険度マックスよ......!」

「えーっ、と? どうしたのアスカ?」

「マヤ、あんた今いくつ?」

「い、いくつって」

「いいから!」

 

 アスカの剣幕に押され、マヤは背筋を伸ばして『今年二十四です!』と声高らかに宣言する。

 直後、自分の年齢を大っぴらに言ってしまったことで赤面するマヤだが、アスカはそれをみて苦虫を噛み潰したような表情になる。

 

「十歳差......マズイわよそれ、ワンチャンありえる......ちょっと失礼するわよ!」

「ちょっと、どこ触ってぇ!?」

 

 かと思えば、アスカは急にマヤの腰やら尻やら太ももやら。ネルフのスカートの下から手を突っ込み、タイトなズボン腰にまさぐり始めた。

 そして生唾を飲み込む。

 

「ひ、引き締まってる......ですって......!?」

 

 普段から立ち仕事も多いミサトやリツコはともかく。それより若いとはいえオペレーターで座る時間の長いマヤはそうはいかないだろう。

 そんな考えでマヤの下半身を触っていたアスカだったが、プリッとハリのある腰回りや足に大人の女性らしさというカウンターを受けてしまい逆に意気消沈。

 どう頑張っても超えられない大人の色気という年齢の壁を、第一印象では儚げなマヤがしっかりと持っていたことに危機感を覚えた。

 

「なんてことなの、ここは魔窟よ!」

「アスカ、どうしたんですかね? リツコさん」

「元凶はタローくんよ」

「ぇえ?」

 

 マヤの下半身を撫で回し絶望するという突然のアスカの奇行に、それを自分が原因だと言われ眉をハの字にするタロー。

 その場にいる全員がリツコの意見に賛同し何も喋らないこともまたタローを困らせた。

 

「あ、アスカ落ち着いて。なにかあったの?」

「この包容力......完敗よマヤ。あたしの競争相手として認めるわ」

「う、うん。ありがとう?」

 

 落ち着けようとしたマヤに抱き寄せられ、アスカは負けを認める。

 制服の下に隠された、細身にある確かな膨らみに。

 意気揚々と喧嘩をふっかけたものの見事に返り討ちにあい若干涙目になりながら、アスカは三人のオペレーターに自己紹介をする。

 

「惣流・アスカ・ラングレー。エヴァンゲリオン弐号機と共にドイツ支部から着任しました。アスカでいいわ」

 

 いつもの自信満々な様子は一体どこへいったのだ、と言いたくなるほど控えめな自己紹介。

 普段のアスカなら『あたしがエースパイロットよ!』等と言いそうなものだが、とタローが考えているところでミサトが付け足す。

 

「三人も知ってると思うけど、アスカはドイツ支部最高傑作と評される完成されたエヴァパイロット。実戦経験こそつい先日の海上戦闘のみだけど、実験数値はタロちゃんをも凌ぐわ。つまり即戦力級ってこと」

「昨日先輩からデータを見せてもらいましたが、流石は正規実用型である弐号機の専属パイロットという数値でしたね。アスカ、私は赤木博士と一緒にエヴァ関連の業務をメインにしてるの。これからよろしくね」

「ふ~ん、まあ良いけどね?」

 

 持ち上げられて上機嫌になっていくアスカ。しかし、ミサトの一言で再びテンションが下がることになる。

 

「マヤちゃんは作戦時、タロちゃん専属の補佐役なのよ」

「......ハァ?」

 

 グルリ。後ろを振り向いたアスカはじわじわとタローに詰め寄っていく。

 

「どういうことよタロー? マヤが専属補佐ってナニ?」

 

 般若のような顔。レイとリツコを除き、その場にいる誰もが怯えて縮まる。

 ただソレを向けられている張本人は至って涼し気な顔で答える。

 

「最初の戦闘では、シゲルさんとマコトさんが防衛設備の展開で忙しかったから臨時でマヤさんが補佐をしてくれたんだよ。オレもすごい戦いやすかったから、それ以降そのまま継続って感じで」

「はっ、それだけなら別にいいわよ。そんなに良い補佐ならあたしも受けてみたいわね」

 

 アスカは褒められたことで緩む頬を正そうと唇を噛み締めるマヤへ向き直り、その目の前まで向かう。

 身長差から必然的に上目遣いとなる状況で、アスカはマヤにお願いをする。

 

「マヤ。今日からあたしの戦闘補佐もお願い」

「えっ、アスカの?」

「拒否権はナシ、よろしく!」

 

 笑顔で勢いよく右手を差し出すアスカ。目元がヒクついているが、年相応の笑顔にマヤはときめいてしまい気づかないまま手を握り握手を交わす。

 後ろで見ていたリツコはミサトにそっと耳打ちを。

 

「アスカもうまくやっていけそうね。ドイツから送られてきた彼女についての報告書が、年月を重ねるごとにただのベタ褒めになっていたのも頷けるわ」

「私は最初から心配なんてしたなかったけどネ。だって私のアスカよ? ちゃんと猫かぶることもできる愛しのラングレー!」

「あなたに聞いた私がバカだったわ」

 

 その横ではタローがシンジとレイにあるお願いをする。

 

「学校でもネルフでもアスカと仲良くしてあげてね」

「僕も怪我しない程度に頑張ってみるけど......多分視界にすら入ってないんだよね」

「何をすればいいのかしら。アスカは今日、体当たりが多かったけど」

「それは体当たりじゃなくて愛情表現だと思ってほしいな」

「そう。猫みたいね」

 

 昨日出会ったばかりにも関わらず、レイにゾッコンのアスカは積極的にコミュニケーションとスキンシップを取っている。

 ただレイはそれを体当たりだと思っていたようで、タローからの愛情表現という言葉も合わさりアスカを見る目が動物を見る目に変わっていた。

 

「綾波は面白いなぁ。ねえシンジくん」

「きゅ、急に僕に振らないでよ。っていうか、それ言ったらタローくんのほうが見てて面白いでしょ」

「碇くんに賛同するわ」

「ま~たそんな人をパンダみたいに」

 

 一方のマヤとアスカは、再び牽制し合う謎の状況に陥っていた。

 

「マヤ? 言っておくけど、使徒迎撃はあたし達エヴァパイロットが主体なの。細かなところはあたしとタローに任せときなさい」

「むぅ、そんな言い方ないでしょう? 私はタローくんが作戦を成功する確率を少しでも上げるために居るんだから」

 

 『一人だけのためじゃ駄目でしょう』。そう言いたいリツコだったが、珍しくムキになっているマヤの珍しさにミサトと一緒で傍観を貫いた。

 

「ほー言ってくれるじゃない。でもね、結局は一番信頼関係があって年齢の近いあたしが重要なのよ」

「ね、年齢は関係ないでしょッ。それに、信頼関係で言えば直近一年を共にした私のほうが」

「なんですってぇ!?」

「なによぉ!?」

 

 ムーッと睨み合う二人。見かねたシゲルとマコトがなだめるが『二人は黙ってて!』と言われ男泣き。

 それを見てミサトは『傑作だ!』とお腹を抱えて笑う。リツコはメガネ越しに眉間を抑えていた。

 

「まあ、アスカがマヤに警戒心を持つのも仕方ないわね」

「そりゃそうよ。タロちゃん結構マヤちゃんのこと好きだもの。でもそれでいったらリツコはなんで警戒されないのかしらね?」

「私は先手を打ったのよ」

「ソウナノ?」

 

 すっかり騒がしくなった発令所。その隅でシゲルとマコトは人知れず涙を流し続ける。

 

「俺たちって、ドイツ支部出身者からイジられる運命なのかもな......」

「認めよう。悪い気はしてないさ......」

「同僚に黙っててって言われるのは少し効いたけどな。ガチトーンだったし」

「ああ。マヤちゃんにまで粗雑に扱われるとは」

 

 二人の男泣きはタローに『なにやってんですか~?』と気づいてもらえるまで続くのであった。




あけましておめでとうございます。
書きかけだったのを二話連続投稿ですが、次から物語が進みます。ユニゾン、改めて見ても面白かったので良い感じに仕上げたいですね。

物語の密度と1話ごとの文字数について

  • サクサク進む(3000~4000字程度)
  • 少し書き込む(5000~6000字)
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