ただひたすらアスカを愛してみた   作:たっちゃん☆

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短いです。


14話 ネルフプール

 ネルフ本部。カフェテリアやジムといった普通の会社にもあるところにはある、という程度の様々な設備が備え付けられたここでは、職員の娯楽兼息抜きの設備にも抜かりない。

 バーやシアタールームといったものから、副司令が将棋をするための和室など。もちろんそこにはプールもあった。

 

「プールなんて久々だなぁ」

 

 と黒い海パン姿のタローは呟く。中学二年生にしては、というレベルではないほど見事に鍛え上げられた彼の肉体を盗み見ながら紫の海パンに黒いラッシュガードを着込んだシンジが答える。

 

「そうなんだ。よくジムを使ってるから、てっきりプールも利用してると思ってたけど」

「いやそもそも知らなかったよ。こんなに本格的なのがあるなら早く知りたかった」

 

 二人がいるのはネルフ本部の設備が一つである屋内プール。

 競技用の長さ約五十メートル、幅約二十五メートルのオリンピックサイズ・プールのみならず、潜水を主目的とした深さを一から十メートル程度まで調整可能なもの、水中での歩行によるエクササイズを目的とした浅いもの、ジャグジー、温水プール、加えてシャワー室等も完備というまさに至れり尽くせり。

 それに加えて地上の集光ビルからジオフロント内へ取り込んだ太陽光をこの屋内プールにも反射させて取り込んでおり、シャッターを開ければ体を焼くこともできる豪華仕様である。

 

「タロー!」

 

 元気に名前を呼ばれたタローと、つられてシンジも振り返る。そこ居たのは黒に赤いラインが入った競技用水着を着用するアスカと、真っ白な競技用水着のレイ。

 パタパタとプールサイドを小走りでやってきたアスカが一足先に二人に合流すると、タローの前でくるりと軽やかに一回転してみせた。

 

「どうよ、久しぶりのあたしの水着姿」

 

 自信あります、という表情で問うアスカ。

 その自信も納得なほど鍛え絞り上げられたアスカの体。スラリと伸びた肢体に、明らかに高い腰とくびれの位置。ただ細いだけ、ではなく健康的かつしっかりと柔軟性のある筋肉でも構成されたその肉体美に、タローは惜しげもなく称賛を送った。

 

「素晴らしい、最高、かわいい、素敵! 百点満点です!」

「でしょ? ビキニも良いと思ったけれど、がっつり泳ぐならやっぱ競泳水着が一番ね」

 

 プラグスーツと大して変わんないし、と付け加えるアスカ。その横からレイがぬっと顔を出した。

 

「アスカ。急に走ると危ないわ」

「いやアンタはあたしのママか!? っていうか、あたしたちが一番乗りなんだから乾いたプールサイドでずっこけるほどドジじゃないっちゅーの」

 

 とアスカが突っ込めばタローは笑顔のままバレないようにと涙を流す。

 あのアスカが『ママか!?』 というツッコミができるほどになったのか、と。家族の話題なんてタブー過ぎて振れられなかった出会った当初のことを思い出しながら、タローは鼻をすすった。

 

「確かに綾波は、なんかお母さんっぽいところあるよね。タローくんもそう思う?」

「え、オレ?」

「......そうなの?」

 

 突然シンジに話題を振られたタローが困惑していると、レイはやけに期待の眼差しで彼を見つめる。

 肝心のタローは心の中で『そりゃおめえ綾波はシンジママのなんやかんやで生まれたんだから似てるやろな』といいつつ、ここではない世界の自身の母親について思い出す。

 

『あんたぁ! はよ片付けれって言ってるしょーが!』

 

 と白露 太郎の母親を思い出したタローは、懐かしさやら寂しさやらで複雑な感情になりながらも偉大なる母の恐ろしさに身震いした。

 

「いやぁ、まあ確かに綾波は面倒見が良いからそうかもね」

「そう。それなら白露くんはお父さんかしら」

「ブッ!?」

 

 吹き出したのはアスカ。レイに対して『やるわね......!』と私がお母さんならタローはお父さん、イコール夫婦という方程式を作り上げた策士という勘違いから若干尊敬の目を彼女に向けている。

 

「オレにお父さん要素なくね?」

 

 肝心のタローは自分が父親となることを想像出来ずに唸るばかり。

 そんなカオスな時間が少しの間続くが、それを打ち破ったのはアスカ。両手をパンッと叩いてプールに炸裂音を響かせると、三人からの視線を集めてから言う。

 

「とにかく、泳ぐわよ。修学旅行で沖縄に行けない分をここで取り返してやるわ」

 

 と言ったかと思えば、歩きながら軽く柔軟運動をしたアスカはオリンピックサイズ・プールに近づき、水着の肩紐に当たる部分で留めていた水泳帽とゴーグルを装着。

 三人が音もなく自然落下するように入水したアスカの後を目で追っていると、そのすぐ後にバシャバシャと水しぶきをたてながらクロールで軽快に泳ぐ彼女の姿を捉えた。

 

「よ~し、オレも泳ぐか!」

「私も」

「僕は浅いプールで歩いてくるよ」

 

 タローとレイはアスカと同じプールへ、シンジは肺活量よりも体力をつけることを考え、浅いプールへと向かう。

 

「ウォームアップ終了!」

 

 水泳帽をかぶり、ゴーグルをおでこの位置まで装着したタローとレイがプールに入ったタイミングで、早くも五十メートルを泳いで戻ってきたアスカが二人の前までやってくる。

 突然水中から現れたアスカに驚いたタローだったが、ウォームアップが終わったならばと提案する。

 

「それじゃあアスカ、競争でもする?」

 

 挑発するような表情を見せるタロー。当然アスカはそれをただ黙って受け流すわけもなく、真っ向から立ち向かう。

 

「へ~、なによ。随分と自信ありげじゃない? 言っとくけどあたし、ドイツで潜水訓練もしっかり受けてきたわよ?」

「それはそれ、ってやつだよ。今から競争して島国根性見せてやるさ」

「上等。負けたときにウォームアップしてないから~って言い訳なら言わせてあげるわ!」

「そっちこそ、ウォームアップでバテたなんて言わないようにね!」

 

 小競り合いをしながら一度プールから上がった二人は、プールサイドにあるスイッチを押す。グググとなにかが動く音の後、二人の前にある床が抜け、代わりに隠されていたスタート台がせり上がってくる。

 位置に付き、スタートの合図を待つ。といっても、レイにもシンジにも合図をお願いしていないのだから始まるわけがない。だがそんなことは関係ないと言わんばかりに二人は顔を見合わせて頷いた。

 

『ッ!』

 

 そしてまったり泳いでいたレイが折り返し地点についたタイミングでタローとアスカの両者は勢いよく飛び込む。

 数メートルを水中で過ごしたあと、浮かび上がった二人は水をかき分けながらグングンと進んでいく。それをすれ違いざまに見たレイは自分でも気づかないうちにペースがあがり、遠目で見たシンジは相変わらずだなぁと苦笑するのであった。




ぼちぼち続けてます。結末は決まっているので失踪はしません!

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