文字数は減って文も以前より増しで下手くそになっていますが、地道に続けます。
エヴァパイロット四名は、至急作戦室に来られたし。
ネルフのプールにその館内放送が流れて僅か数分。競争をしていたタローとアスカ、自分のペースで泳いでいたレイ、運動のために水中歩行をしていたシンジはすぐさまプールから上がり、水気を拭き取って学校の制服に着替え、作戦室へと向かう。
そこに居たのはリツコとマヤ。四人が揃ったことで見せられた一枚の画像に、シンジが問う。
「これが使徒?」
タローたちが見ているのは、ギョロリとした目玉に、まるで胎児のような体勢を取っている黒い影。尻尾や背骨の突起、異様に細い腹部などから人間ではないことは予想できたが、パターン青という追加情報に四人は驚く。
シンジの問にはリツコが答えた。
「そうよ。まだ完成体にはなっていない、サナギの状態みたいなものね。今回の作戦は、使徒の捕獲を最優先とします」
「使徒を捕獲、ですか」
「ええ。出来うる限り原型を留め、生きたまま回収するの」
「ん~......」
タローが聞き返すと、リツコはそう言い切る。
とはいえ、いくらサナギ状態とはいえ使徒は手のひらサイズではない。当然、四人のパイロットが呼ばれたということはエヴァを用いての回収作業となる。
それでも、そのサナギがあるのが火山の火口内ということで、全くイメージのわかないタローが唸る。それはアスカも同様で、もしもの時を考え質問をする。
「出来なかったときは?」
「即時殲滅よ。完全体になった時、どのような形状で、どのような能力で、どのような動きをするか。それが全くわからないから、羽化する前に仕留めるのが確実」
「なるほどね。確かに、こんな火山の中でまた分裂でもされたらかなわないもの。まっ、あたしとタローなら余裕だけど!」
「マグマの中で戦う訓練は受けたことないからなぁ。それに、オレって今回出来ることあります?」
答えはわかっているものの、念の為。
タローが聞いてみると、マヤが申し訳無さそうに眉をハの字にして言った。
「ごめんね、タローくん。今回の作戦は火山の中に飛び込むから、エヴァに特殊装備を用いる必要があるの。初期型の壱型には適合しなくて、同様にプロトタイプの零号機も規格外なの」
「ので、本作戦担当者は特殊装備を用いられる初号機か弐号機のパイロット。つまりシンジくんかアスカのどちらか。自薦他薦は問わないわ、どちらがやる?」
使徒の捕獲。危険であることに変わりないが、先手を打てる以上今までの戦闘に比べればまだマシ。
そう考えたリツコは、あえてパイロットたちに決定を委ねる。シンジにしろアスカにしろ、今までのシンクロ実験や操縦訓練を見れば、どちらになっても成功すると。装備さえ使えればレイも成功するし、タローであれば最高の選択。
とはいえ、イケイケのアスカと引きがちなシンジであれば、結果は見えていた。
「はい! あたしがやるわ!」
手を挙げたアスカ。彼女の目を見て、リツコは頷く。
「わかったわ。それじゃあアスカが弐号機で担当を」
「任せなさい! ま、無理だったら速攻で殲滅するわ」
「それじゃあ、オレは本部で待機ですか?」
「いいえ。本作戦では、パイロット四名全員。及び、エヴァ全四機は作戦場所、浅間山へ向かってもらうわ。捕獲作戦が失敗し目標が火口から外界へ出た場合、即時殲滅できるようにね」
リツコの言葉に、タローとアスカは一瞬だけ目を見開いて驚く。
今まで使徒が出現した場合、ある程度期間が開くことはあったが。それでもイレギュラーが発生する可能性はいつだってある。にも関わらず、使徒への対抗手段であるエヴァという戦力を全てネルフ本部ではない一箇所に集中というのは、チェスで言えばキングをどうぞ取ってくださいと晒しているようなもの。
流石に危険ではないか、とタローとアスカのどちらからともなく異を唱えようとしていたところを、マヤが遮る。
「本部への守りが手薄になることは確かだけれど、エヴァ輸送機の改修に伴い高速化に成功しているから、まずは目先の確かな脅威に注意を向けよという碇司令の判断なの」
「ほえ~」
あの堅物が、とタローはその意図を探ろうとするも、情報が少なさ過ぎて無駄だと諦める。
息子のシンジならばわかるのではないか、と思われるが、シンジはまだエヴァとパイロット全員が第三新東京市、ネルフ本部を離れて長野県は浅間山へ向かうことで生まれる危険をさほど理解していなかった。
しかし額に小さなシワを作って考え込んでいるタローを見て、リツコは『これは作戦終了後のことなのだけれど』と前置きして話し始める。
「碇司令の命令で、初の捕獲作戦ということで疲労や捕獲成功時の運搬を考慮し、作戦終了後は直帰ではなく、第三新東京市郊外の宿で一泊することになっているわ。私とマヤに、先に浅間山へ向かっているミサトもね」
「......!!」
「宿で一泊、ですか」
リツコの言葉に、ゲンドウなりの気遣いがあることに気付いたタローは目をまんまるにしながらも心の中で『不器用な人だなぁ』と感謝する。
シンジは言葉通りにとらえていたが、出来るならば父親にも休んでほしいとの思い。
そして、宿に一泊という言葉に今回の作戦担当者は人一倍燃えていた。
「ってことはつまり、温泉!? ぃよっしゃあ! ぱぱっと終わらせてやるわ!」
「温泉......?」
何を隠そう修学旅行に行けないからネルフのプールで泳ぐ、と提案した張本人であるアスカは、旅行気分を味わうことが出来るとガッツポーズ。
レイはというと温泉というものに馴染みがないため、どういうものだろうかと目線を斜め上に向けながら考え込む。タローがそれに気づき、温泉とはどういうものかを教えようとしたところでアスカがその右腕に抱きついた。
「楽しみね! 混浴かしら?」
「いや、流石に混浴は無いんじゃないかな......でも、そうだね。温泉なんて初めてだから、ちょっと楽しみかも」
「白露くんも?」
「うん。綾波、温泉っていうのはね、簡単に言えばおっきいお風呂のことで。露天風呂なんかもあったりして、言葉通り外の空気を楽しみながらお湯につかれるんだよ」
「外の空気......。のぼせないようにしないと」
「あっはは、そうだね」
「温泉、かぁ。僕も初めてかも」
それぞれが思い思いに温泉に思いをはせる。
アスカは温泉ならば葛城家の湯船にのんびりリラックスしながらタローと景色を堪能しつつ、自らの肢体で骨抜きに出来るのではと考え。
タローはほぼ消えかけていた記憶から以前の世界の実家にあった五右衛門風呂を思い出し。
レイは外にある大きなお風呂とはつまりプールがお湯になったものでは? と宇宙猫状態になり。
シンジは知識としては知っていたものの、実際に外で裸になることに若干恥ずかしさを覚えて。
少し緊張感が無さすぎか? とリツコが思ったところで、タローが咳払いをして注目を集めた。
「とりあえず、温泉のことは後の楽しみにして。まずは目先の目標に集中しよう、皆」
「そうね。適当にやってタローと温泉入れなくなるとかあり得ないし」
「最大限の援護はするわ。私と零号機の出せる全てで」
「必要なら僕も溶岩の中に入るよ。装備は付けれるわけだし」
それまでののんびりとした空気から一変し、集中した面持ちになる四人。
変わらずアスカはタローの腕に抱きついているが、すっかり作戦モードになったパイロットたちにリツコは心の中で称賛し、マヤはタローのリーダーシップに微笑みながら頷く。
善は急げ、と言わんばかりにリツコは口を開いた。
「A-17が発令された以上、すぐに出るわよ。支度して」
『はい!』
元気良く返事したパイロットたちを先導し、リツコとマヤは作戦室を飛び出した。
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