超短くて、まだまだサンダルフォンくんは出てきません。
「なによコレェ!?」
勢い良く作戦室を飛び出して向かったエヴァの格納ケージで、弐号機を見たアスカの叫び声が木霊す。
その場に居る人物のうち、タローとシンジにマヤは苦笑。レイとリツコは無表情を貫いていた。
「耐熱耐圧耐核防護服、局地戦用のD型装備よ」
あっけからんとした様子でアスカの叫び声に答えたのはリツコ。
彼女の説明通り、弐号機は通常のB型装備の上から白い防護服を、まるで着ぐるみを被せられたように装備している。その姿は弐号機の、アスカに言わせれば洗練された無駄のないデザインとは正反対に、ボテッとしたマスコット感のある見た目に。
当然、アスカはそれをみて口をあんぐりと開ける。資料で見たことはあっても、いざ実物をみると思っていたよりも丸々とした見た目に放心状態。
「ただ生存性のみを重視したデザインよ。この装備によって、たとえ溶岩の中でも高温で焼かれることも、圧力で潰されることもない、というわけ」
「わかってるわよ! わかってるけど......」
「あら、納得いかない?」
頭の中ではこの装備が今回の作戦に必要であり、自身と弐号機を守ってくれる鎧であるとは理解しつつも、年頃の少女らしく見た目も気を使いたいために『ぐぅ』と唸るアスカ。そこにリツコが片眉を上げながら若干煽るような言い方をすると、アスカは俯いた顔をキッと勢い良く上げた。
「そりゃ納得はいかないわ! でも、弐号機が傷つくくらいなら我慢するわよ!」
「そう。それなら良かったわ」
「それに、耐熱仕様って言っても、スーツは普通だもの。そこが唯一の救いね」
ため息をついて肩を落とすアスカ。しかし、スーツは普通という発言に、マヤはピクリと反応した。
「どうしたんです?」
「な、なんでもないよタローくん」
口ではそう言うが、若干の焦りを見せるマヤ。後輩のそんな様子に気付いたリツコは、マヤと目を合わせた後にアスカに向かって顎を動かし、言えよとばかりの顔を見せる。
マヤは一瞬ためらったものの、観念し努めて優しくアスカに声をかけた。
「アスカ、あのね。弐号機の中に入ったらで良いから、右手のスイッチを押してみて。絶対にね」
「右手? ああ、これね」
「あっ、ちょっと」
マヤが言うのなら、とアスカは速いほうが良いと判断し、ポチッと右手首にあるスイッチを押す。
その瞬間、液体が流れるような音とともに、アスカの着用しているプラグスーツが徐々に膨らみ始めた。
「」
「い、一旦向こうに行きましょう? ねっ? アスカ?」
冷却ガスがプラグスーツ内に充満して膨らみ、アスカは弐号機とおそろい、むしろ手と足が腹部に比べてそこまで膨らまなかったことで、それよりもアスカの美意識に反する格好となる。
まんまるに膨らんだ体と、それに反比例するようにシャープなアスカの顔。その不格好なコントラストにアスカが言葉を失うと、マヤは一度全員の視界から離そうと奥の更衣室に行こうと肩を押しながら提案。
それに乗るかと思われたアスカだが、その場で堪えて肩に置かれたマヤの手に自分の手を重ねた。
「......いいわよ、もう......こうなったらヤケクソよ......」
「アスカ......」
なんと言葉をかければよいのか、と困ったマヤは思わずタローの方へ視線を向ける。そしてアスカも、今の姿を最も見られたくないタローがどんな表情をしているのか、と不安で一杯な視線を送る。
タローは、一度深い瞬きをしてから笑顔を見せた。
「どんな姿でも、オレの好きなアスカと弐号機であることに変わりないよ。でもオレはアスカと弐号機が傷つくのが一番嫌だから、無理だったら」
シンジくんに任せてみよう。とあらかじめシンジに同意を得ていたタローが言おうとしたところで、アスカが先程までが嘘のように明るい笑顔を見せたかと思うと、それを隠すように髪の毛をくるくるいじって目線をそらしながら言った。
「やるわよ。あたしがやるって言ったんだし......。まぁこんだけしっかり準備するんだもの、ヨユーよね! うん! 温泉が待ってるんだから、ちゃちゃっと終わらせてやるわよ!」
「頼もしいな。ですよね、マヤさん」
「うん。そう言ってくれるとすごく助かっちゃう。ありがとね、アスカ。頑張って」
さらにマヤからの追い打ちがあり、アスカは唇を尖らせる。
やる気はある、装備の見た目にも納得している。そこから成功率を上げるためには気分を上げるだけ。
タローの意図を素早く理解したマヤは、心からの言葉をアスカに送る。続いてタローは視線を後ろに控えている二人のパイロットとリツコにも送ると、レイが一歩前に出た。
「私はその見た目、嫌いじゃないわ。可愛らしいもの」
「惣流はタローくんと合わせてツートップだから、僕が出る幕ではないね」
「構造上、動きにくさも出るわ。それに慣れない溶岩の中という環境では、普通のパイロットならとてもじゃないけど安定したオペレーションは不可能。ただ、私の計算ではアスカなら余裕ね」
「何よ、もう。買いかぶりすぎよ。ってゆーかレイ、あんたそれ褒めてんのかなんなのかわかんないわよ」
「私の素直な気持ち。それだけ」
レイとシンジ、そしてリツコからの言葉に、アスカは表情を柔らかくする。そして、伺うような上目遣いで、マヤの肩越しにタローの顔を覗き見る。
やはり最後は彼か、とそれまで言葉をかけた4人もタローの方を見ると、タローはにこやかな表情のままアスカへと近づき、その頭に手を置いた。
「あいにくオレと壱型は金づちなんだ。だから今回の作戦は、頼んだよ。アスカ」
ニッと歯を見せるタロー。気持ちの昂りを表すかのようにハの字になっていたアスカの眉毛が、いい気にVの字になり自信満々ですと言わんばかりの笑みを浮かべる。
「あたしたちに任せなさい! 今日でほんとの本当にタローの連続作戦成功記録が終わるわよ。このあたしと、弐号機の活躍でね!」
「あちゃーそうだぁ、オレもダイビングしたかったな......沖縄より熱い海に......」
「ふふん、残念ね。悪いけどこの装備はあたしと弐号機専用なのよ」
「うぅ、ド◯も~ん!」
なぜだか勝ち誇った顔になるアスカと、涙を流すタロー。
その光景はともかく、アスカへかける言葉のチョイスは流石だなとそばで見ていたマヤは一安心するのであった。
物語の密度と1話ごとの文字数について
-
サクサク進む(3000~4000字程度)
-
少し書き込む(5000~6000字)
-
ガッツリ書き込む(7000字以上)
-
サクサク書き込め