メダロットHERMIT   作:CODE:K

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 メリークリスマス!
 という事で、性の六時間にいつもよりちょっぴりR-15色の強い回を更新させていただきました



8-4 BRAVING!4

 

 会談が終わった時、すでに時刻は一七時半を過ぎていた。

 

「あ、えっと、じゃあ私たちはこの辺りで」

 

 と言ってアズキたちが帰ろうとした矢先、神宮寺さんのメダロッチに連絡が入った。

 相手は彼女の父親らしく、神宮寺さんがスピーカーモードで応対した事で、

 

『屋敷の周りから不審な気配を感じる。他のTMZの方々も中に入ってもらい今日は一晩泊まってもらいなさい』

 

 という内容を伝えてるのがアズキたちの耳にも届く。彼女の父親らしく、純粋に外は危ないから客人を屋内に避難させようという心遣いが伝わった。

 結果、

 

「という事ですから、今日はお家に泊まっていきませんか?」

 

 神宮寺さんの厚意にアズキは断り切れず、キクナも監視の名目で今晩は神宮寺邸に泊まる事になってしまった。

 

 なお屋敷の外で待機していた他のTMZは提案を断った。

 神宮寺さんのお父さんが言う不審な気配を独自に探りますと言っていたが、キクナはどんな理由であれ屋敷に入ってこなかった事を喜んでいたように見える。

 

 もちろん、暫定・偽ブルー博士の関係者が近くにいると色々な行動に支障が出るためであった。

 まさか、この判断が後に大きな後悔を招くとは誰も知らずに。

 

 ボウショウさんが言った。

 

「アズキ様、よろしければ先にご入浴をなさられては如何でしょうか?」

「え? でもこういうのって神宮寺さんを優先したほうがいいんじゃ」

 

 アズキは裕福な家の仕来りが分からないので、自分程度の立場よりは家の令嬢を優先したほうがいい気がしたのだ。

 

「いいえ。普段、お嬢様のみならずフク様やクーさんもご迷惑をかけてらっしゃるそうですので、彼女たちの顔を立てると思って」

『そういう事でしたら。大丈夫ですよね、アズキ』

 

 迷惑なんてひとつも、なんて返す前にメダロッチからスタッグが言ってしまった。こうなったら逃げ場はないのでアズキも頷く。

 

「ありがとうございます。アズキ様の寝室は先ほどの客間になります。ご入浴されてる間にお荷物を移動させていただいても構いませんか?」

「あ、だ、大丈夫です」

 

 程なくして脱衣所に到着したアズキは、一旦ボウショウさんと別れる。

 

 脱衣所は割といい旅館の部屋風呂のような外観だった。

 大浴場のような広さはないが、数人分の脱衣かごが同時に用意され、洗面所も相応に広い。

 

 洗濯機は一見無いように映ったが、壁の一部が同系色のカーテンになっていたので、開けてみると洗濯機に加えてトイレや生活用品を収納した棚を発見。

 生活感より見栄えを優先した構造に感心しつつ、これは見てはいけないものだったとアズキは気づいてそっとカーテンを閉じ直す。

 

 アズキは衣服をかごに入れて浴室に進む。

 で、完全に銭湯か何かの大浴場にしか見えない一帯にアズキは少しびっくり。

 

 ただし、

 

(すごっ)

 

 って程度で済んでしまったのは、元々アズキが旅館を改装した孤児院で暮らしてた時期があったせいだろう。

 むしろ、神宮寺邸の浴室には露天風呂が無い分、孤児院の勝ちでさえあるのだ。

 

 思えば孤児になったせいで、お風呂場には恵まれすぎて感覚がバグってしまったのは複雑なものがある。

 とはいえ、こんな立派なお風呂に入れるのって久しぶりかもしれない。

 

(これならスタッグを転送しても大丈夫かも)

 

 と思ったアズキは、メダロッチを使って呼び出す。

 現れたスタッグは辺りを見て、

 

「すごい、大きなお風呂ですね」

「うん。これならスタッグと一緒に入っても十分な広さがあるかなって」

 

 メダロッチもメダロットも完全防水仕様で助かった。まあ、でなければ水辺でロボトルが不可能という話だけど。

 スタッグはボトルを確認して、

 

「ボディソープも良い物を使ってますね」

「え、わかるの?」

 

 浴場に備え付けられていたソープは詰め替え用のボトルで、人間の目では中身の品質が分からなかったのだ。

 

「いえ、特殊な仕様のレーダーサイト次第では分かるかもしれませんけど。それでも家のソープとは成分が段違いという程度でしたら」

 

 改めて人間の目とメダロットのアイカメラは仕様が大きく違うのだと理解させられる。

 それでもセーラースタッグはユスグさんのデータが使われてるだけあって他より人間に近いそうだけど。

 

「まあ」

 

 それはそうとして、

 

「体洗うから、スタッグちょっと待っててくれる?」

 

 アズキはバスチェアに座って、さっきスタッグが触れたボディソープで体を洗おうとした。時だった。

 

「先生、お疲れ」

「お疲れ様です、先生」

 

 赤城さんとクワトロさんが浴室に入ってきたのだった。

 

 しかもクワトロさんは赤城さんの後ろで恥ずかしそうにタオルで前を隠してるけど、もう片方は完全に素っ裸。

 というか、友達と一緒にお風呂に入る男子生徒のノリそのものだった。漫画やアニメでしか知らないので実際どうなのかは分からないけど。

 

「は、え、え?」

 

 アズキは慌てて背を向ける。

 本来レズでロリコンのアズキが女子生徒の裸を見るなんて絶対に駄目。

 

 しかし、視界に映したのは事故で一瞬なはずなのに、幸運か残酷かふたりの姿はアズキの瞼にしっかり焼き付いてしまっていた。

 

 タオルで隠しつつも、ふたつのエベレストで布地が盛り上がり、正面なのに横乳が見えかけていたクワトロさん。

 背も発育も標準な中で、胸だけ突出して大きすぎるのは何度見ても猥褻物。

 

 で、赤城さんは改めて生まれたままの姿だと間違いなく女性の体をしていた。

 

 ボーイッシュなのも間違いない。

 でも、男子かというと違う。子供から少女に変わりはじめる初期特有の、今でしか見られない絶妙な発育が見られた。

 

 胸の膨らみも伸び悩んでる同世代と比べて順調。思えばそれだけ持ってるからこそ、当時ポロシャツ一枚だった彼女から谷間を見つけられたのだ。

 それでいて、服の上からなら中肉中背の男子と間違えても自然なほど、ただのやせ型とは違う健康的なボディラインを有している。

 

 少なくとも男水着チャレンジはもう不可能だろう。

 そんな、健全な美ボディの赤城さんが、

 

「なんだよ小学生相手に恥ずかしがっちゃって。風呂なんだし裸の付き合いは当たり前だろ?」

 

 とか、完全に男同士の友達ノリで接してくるのは、ヤバいなんてものじゃない。

 しかも、

 

「もう本当の性別もバレちまったしな。せっかくだし色々喋りたい事もあるんだ」

 

 といった内容にスタッグが反応。

 

『あの、もしかして性自認が違うとかだったりするのですか? 性別が判明した後も男口調のままですので』

「性自認? ああ、いや。オレはちゃんと女のつもりだから、そこまで深刻な相談をしたいわけでもないから安心してくれよ」

 

 と、スタッグに返事する赤城さん。

 実は心が男だった、みたいな素人のアズキでは対処に誤りそうな問題があるわけでもない様子。

 

 安心した反面、女として男ノリで絡むロリというのはヤバいヤバいヤバすぎる!

 

「あ、そうだ忘れてた」

 

 突然、アズキはタオルを一枚投げつけられた。

 赤城さんが言う。

 

「それ先生のタオルな。脱衣所に置き忘れてたから、今更だけど体を洗う時とかに使ってくれよ」

「フクさん、それ私のタオルです」

「いいじゃないか、減るもんじゃないし。それに女同士だから問題ないって自分で言ったんだろ。たまには自分で踏んだアクセルの責任取れよ」

 

 背後から聞こえるふたりの会話から察して、いまアズキの手元にあるのは先ほどクワトロさんの前を隠してたタオルらしい。

 嗅いだら、いい匂いするのだろうか。

 

 即、スタッグが、

 

「通報します」

「私は正気に戻った」

 

 危ない。実はボウショウさんの話で一度頭がショートしたダメージがまだ残っていたので、本当に危なかったのだ。

 今回ばかりはスタッグの瞬速ツッコミがとても助かった。

 

「いえ、その台詞は正気に戻ってない人の台詞で」

「だからスタッグ、ちょっと預かってて」

 

 アズキは、自分が本当に犯行に及ぶ前にタオルをスタッグに手渡す。

 

「よく頑張りましたね」

 

 スタッグは言った。やさしい声で言ってくれた。

 が、直後。

 

「だったらオレが背中流してやるよ」

 

 赤城さんがスタッグから強引にタオルを奪うと、ボディソープで泡を立て始める。

 何となくだけど、

 

「もしかして、いま機嫌すごくいい?」

「え?」

「あ、違ってたらごめん。最近学校でもずっと機嫌悪かったから」

 

 赤城さんは少し間を置いてから、

 

「まあな」

 

 アズキの背中をタオルで洗いはじめた。

 

 荒さの無い優しい洗い方だ。一人称オレで性別偽ってて、でも女とバレても男っぽい性格は変わらずで、男子が好みそうな熱血物やホビーが大好きで。

 けど、ノリの割に運動は苦手で、たまに趣味が高じて暴走するけど、本来の適正はみんなの頭脳で、ストッパーで、常識人担当。

 

 彼女の先天的な繊細さが伝わってくる。

 

「で、結局何だったんだ? リーダーがロボロボ団やってる理由」

 

 どことなく微笑むような声で、赤城さんは言った。

 

「会談の後、通杭先生はともかく紅下先生もリーダーも深刻な顔はしてなかったからな。悪い内容じゃなかった程度は分かるよ」

 

 言外に、だから機嫌がいいのだと返事したのが伝わってくる。

 

「バ〇キンマンになりたかったんだって」

「は?」

「学校の時と変わらない。コミカルな悪役になってみんなの人生を面白可笑しく彩るためにロボロボ団になったって」

 

 アズキが言うと、

 

「じっ」

「神宮寺さんらしい」

 

 赤城さんとクワトロさんが呆れた声で言う。

 

「でも今は、ロボロボ団の情報網を使ってユスグさんを捜索するのが主だって」

「あいつ」

 

 急に、赤城さんがタオルに力を込めて、

 

「そういうのはオレたちに相談しやがれ! あのヤロウ!」

「い゛だだだ!」

 

 背中を引っ掻くように擦られ、アズキは悲鳴をあげる。

 

「あ、悪い」

 

 赤城さんはすぐ行為を中断。大丈夫、後ろに目はついてないけど血も生傷もまだついてない。多分だけど。

 

「でも、赤城さんの言い分も分かるという話。どうして相談しなかったんだろ」

 

 アズキの呟きに赤城さんは、

 

「オレもクーも、田村崎サイドの人間だからだろうな。実はクーも」

「田村崎が関わってる、ユスグさんも一緒に暮らしてた孤児院出身で、今回の事件があってメイド待遇で保護された、だっけ」

 

 アズキの言葉にクワトロさんが驚いて、

 

「どうしてそれを」

「私も昔あの孤児院で暮らしてて。だからユスグさんの捜査で孤児院に行った時に」

 

 赤城さんは複雑って声で、

 

「世の中って狭いな」

 

 なお、アズキはまだ知らない。

 実はマイカゼさんもアズキと同じ高校に通っていて、二年生に進級した現在同じクラスになってる事を。

 

「じゃあ流すぞ。痛くても痛みは一瞬、一気に行くからな」

 

 赤城さんは桶で湯を汲むと、アズキの背中目掛けて一気に流しかける。その動作は男子というより江戸っ子だ。

 

「先生、大丈夫だったか? 沁みなかったか?」

「ううん、平気」

 

 本人は相当気にしていたようだったけど、実際本当に何の問題もなかった。

 

「じゃあ、次は先生の番な」

 

 赤城さんが言った。

 アズキは意図が分からず、というのか分かりかけた思考を全力で否定して、

 

「え?」

「洗いっこだよ。次は先生がオレの背中流してくれよ」

「あ、無理です」

 

 アズキは即答。赤城さんは不満そうに、

 

「なんでだよ」

「いや、その、ある意味宗教的事情みたいな」

「どんな宗教だよ」

 

 赤城さんが呆れた声で言う。ここでクワトロさんが、

 

「あ、あの」

 

 なんて、恐る恐る横から口を挟むように、

 

「ここで宗教上イエスロリータノータッチという答えは禁止でお願いします」

「うぁ」

 

 アズキは固まった。

 図星だったからである。しかも、答えを先に言われてしまっては誤魔化して逃れる事もできない。

 

「ったく、よお」

 

 と、赤城さんが後ろからアズキの肩を組んできた。当然、かなり密着したせいで胸が当たり、

 

「ひあっ」

 

 ってアズキは焦る。

 

 まだ薄めだけど、たしかな存在感ある膨らみが、アズキの中に眠る抱いてはいけない気持ちを掻き立てる。

 というより、意外と大きいような。

 

 しかし相手はお構いなしに、

 

「オレ相手なら別に問題ないだろ。ずっと男子と思って接したんだし、学校では今後も男子生徒の赤城フクカゼなんだから何も変わらないって」

「いや、そういうわけには」

 

 アズキがおろおろしてると、クワトロさんが、

 

「困っちゃいますよね。フクさんって意外とバストサイズもクラスで中の上程度ありますから」

 

 一緒に困ってくれたような苦笑いを浮かべて余計な情報を吐露。

 赤城さんは、それでも分かってないようで、

 

「だから、あっても無くてもオレはオレだってば。どうして先生も突然オレが他人に成り代わったみたいに態度変えやがるんだよ」

「それだけ性別の問題は大きいの」

「鏡越しに見ようともしないし」

 

 って不満そう。

 ここでスタッグが、

 

「アズキ、責任は私が全て取りますから話してしまいましょう」

「え、先生がロリコンな他にまだあるのですか?」

 

 覚悟を決めるまでもなく、クワトロさんが先回りして言ってきた。

 さらに、この話に関しては赤城さんも、

 

「まだ隠し通せてる気でいたのかよ。大体モッチーズのファーストコンタクトを思い出してみろよ」

「あっ」

 

 アズキとスタッグが同時に気づく。

 そういえば、モッチーズ側の初手こそまさに神宮寺さんが下着を見せてくるという色仕掛けだったじゃないか。

 

「さすがにクラス全体では知らない奴のが多いと思うけど、少なくともオレたちは先生がどんな人間か分かった上で接してきたつもりだけど?」

「え、それって」

 

 まさか、

 

「ごめんね赤城さん。児童相手はたとえ双方合意でも犯罪で私捕まっちゃうから」

「おい、なにリーダーやクーみたいな極端から極端に走る思考に入るんだよ」

「いや視界に入れる時点で」

「その時点でかよ。ああもう分かった」

 

 赤城さんがアズキから離れる。

 やっと解放されたのかと思ったら、

 

「けどな、先生はまだ何も犯罪なんてしないからな。たしかに頼りないし変態だけど、誠実だから一周回って安全な先生。それがオレたちの評価だ」

 

 赤城さんが、自分で体を洗い始めたのが分かった。

 アズキは呟く。

 

「赤城さん」

「それと、急にさん付けに変えるのもやめてくれ。先生の事だし校内でボロ出しそうだから」

「あ、う、分かりました」

 

 実際、普段から男子扱いしておかないと何かの拍子に校内で女子相手の反応をしてしまう可能性が高い。

 アズキは改めて、

 

「赤城くん」

「よし」

 

 視界に映してはいないけど、赤城くんがとても嬉しそうな顔をしたのが何となく伝わった。

 





まさか性の六時間に肌色率が非常に高くなるお風呂回を投稿できるとは思いませんでした
とはいえR-15ですので、ここまでが多分限界です
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