メダロットHERMIT   作:CODE:K

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2-4 君は完璧で究極のKWG4

 

「うらーっ、ロボトルファイト!」

 

 アズキが立ち上がり、呼吸を整えたところでレフェリーのMs.ウォッカからロボトル開始の宣言が出された。

 

「バグスティンク、チャージ開始」

 

 意外にも、双方のメダロットはフォースというメダルに蓄積されるエネルギーのチャージ行動から入った。

 特にスタッグの足元からはフォースの一部が光の粒子として吹き上がり、そのまま相手に接近開始。

 

「ビームで迎撃」

 

 クワトロさんの指示と同時に、相手は右腕からビームを発射するも、スタッグはステップを踏んで回避。その際、ビームの射程に半透明の残像が現れた。

 さらにスタッグは、どこぞのM〇PEやデ〇ティニーみたいに残像を置きながらフィールドを駆ける。

 

 彼女がいうには、残像は実際にデコイとして機能するらしく相手のロックを残像に移したり、複数の残像で視覚とレーダー双方から本体を隠すのに使えるらしい。

 ただ、この使い方は応用技で、本来はフォースの粒子を身に纏って頭部のステルスとはまた別タイプの隠蔽機能(コンシール)を行うパーツらしい。

 

「そのまま撃ち続けて」

 

 クワトロさんはいうも、上手く本体に照準が定まらずにいるバグスティンク。

 左右の腕から何発かビームは放たれるも彼女はその全てを回避。

 

 ついにスタッグは距離を詰めると、新たな残像を出しながら飛び掛かり、右腕のソードを展開して相手を斬りつけようとする。

 

「シールド展開!」

 

 クワトロさんが叫んだ。

 

 直後、バグスティンクは背中の装甲板を前方に展開し、自らの視野ごと覆う巨大な盾にしてスタッグの斬撃を受け止める。

 かと思ったら、アズキも騙されたけどソードで斬りつけたのは残像で、装甲に触れた途端に粒子となって弾けた。

 

 スタッグは最後に出した残像と入れ替わっていたのだ。で、スタッグは残像の後ろから左の甲を射出して相手の装甲板を真正面から砕きにかかる。

 しかし、

 

「そこです! シールド解除!」

 

 なんと相手はスタッグのフェイントに気づいてたらしい。

 バグスティンクが装甲板を背に戻す際、異様に速い一連のモーションでスタッグの甲を上に弾き、

 

「あっ」

 

 衝撃でスタッグの姿勢が崩れた瞬間を、

 

「発射!」

 

 バグスティンクのビームが射抜く。

 

「きゃあああああっ!」

 

 スタッグの悲鳴。同時にアズキのメダロッチから表示される「左腕パーツ、機能停止」の報告。

 

「す、スタッグうぅぅっ!」

 

 まさか被弾するなんて。アズキはメダロッチに悲痛な叫びをあげた。

 

「だいじょう、ぶです」

 

 スタッグは地面に倒れながら返事。しかし、人間でいう息が切れ苦しそうな声に近い。

 

「左腕をやられただけです。まだいけま、っ」

 

 スタッグの声が不意に止まった。

 無情にもバグスティンクは倒れたスタッグにビームの発射口を向けたからだ。

 

 しかも、先ほどの一撃で足元のフォースは消えている。これでは即座に残像を出すことはできない。

 

「バグスティンク。フィニッシュを」

「っ、ステルス起動!」

 

 スタッグは余裕ないせいか不必要に叫んで光学迷彩を使用。

 

 自身を不可視に変え、相手のビーム攻撃を右側に転がって回避。

 アズキの目には映らないけど、メダロッチのモニターはスタッグと視界を共有してるので分かったのだ。

 

「スタッグ、よかった」

 

 アズキはほっとするも、

 

『先ほどの、バグスティンクのビーム攻撃』

 

 メダロッチから、らしくないスタッグの震えた声が届いた。

 

(えっ?)

 

 一瞬アズキは分からなかったが、すぐにこちらも顔を青くする。

 相手のビームは、スタッグの倒れていた位置より左側に放たれていたのだ。もしスタッグが逆方向に転がってたら、間違いなく直撃していた。

 

 続けてスタッグは、

 

『ごめんなさいアズキ。慢心してました』

 

 アズキは小さく首を振って、

 

「ううん。私もだから」

『成績を残そうとしてるだけありますね。彼女は強敵です』

「うん」

 

 セレクトやロボロボ団なんかよりずっと。

 

『アズキ、どう思いますか?』

 

 突然の言葉に、

 

「どうって」

『装甲板の動きです。とても速くありませんでしたか?』

「うん」

 

 アズキはうなずく。

 

『ビームを撃つ時はそうでもないのに』

 

 スタッグはつぶやいてから、

 

『少し探ってきます』

 

 スタッグからの通信が終了。

 ステルス状態を維持したまま再びバグスティンクに襲い掛かるも、透明化したはずの姿は激しく動く事で輪郭がブレて映る。

 

「バグスティンク。シールド展開しながら一〇時の方向に突撃」

 

 それでも、いまのスタッグはメダロット側のレーダーでは捉えられない。

 だからかクワトロさんはシールドバッシュで迎撃してきた。

 

 相手は瞬時に装甲板を前に出し、指示された方角向けて前進開始。

 

 これなら確かに正面のソードを防御しながら比較的広範囲に攻撃できる。

 しかもバグスティンクの視界が塞がれる問題も、クロックポジションで解決という小学生離れな指示。

 

 なんとかスタッグは回避し、相手の背に回り込もうとするも、

 

「シールド解除しながら右に一八〇度旋回」

 

 今度は装甲板を背負わせ鈍器として、その巨体を旋回させスタッグを薙ぎ払い。

 

「ああっ!」

 

 相手に踏み込んでしまった彼女は腹で受けてしまい、宙を舞って再び地面に倒れる。

 メダロッチで確認すると頭部と脚部に大きなダメージを負ったのが分かった。

 

 同時にスタッグの迷彩が解除され、

 

「とどめいきます。バグスティンク!」

 

 相手の発射口が再び向けられる。

 が、スタッグは咄嗟に石を拾っては相手に投げつけ、目に当たったことで照準がぶれてビームはなんとか外れてくれた。

 

 とはいえ、機能停止寸前のボロボロな体で立ち上がるスタッグの姿に、アズキは見てられないと目を背けたくなる。

 

「ようやくカラクリだけは把握しました」

 

 スタッグはいった。

 

「たしかバグスティンクの脚部には防御パーツの使用を迅速に行う機能が搭載されてるはずですよね?」

 

 いわれてアズキがメダロッチで調べると、

 

「まもるプラス」

 

 とよばれる機能を持ってると判明した。

 

「相手はこれを応用しています。バグスティンクは防御に専念する事で自在な装甲板の移動と迅速な反応力を可能にし」

 

 スタッグはクワトロさんを見て、

 

「メダロッター側がその手腕で攻撃に転用してるのでしょう」

「正解です」

 

 クワトロさんは、最初のおどおどした態度なんて微塵もない堂々とした物腰でいった。

 

「でも、戦術がばれたところでバグスティンクの鉄壁に影響はありません」

「それはどうでしょうか?」

 

 スタッグはいった。

 

「カラクリを知ったということは、攻略の糸口をつかみやくなってる事は、あなたほどのメダロッターなら分かるはずですよね?」

「えっ?」

 

 クワトロさんが驚く。

 つまりスタッグは攻略法を思いついたと言ってるのだ。

 

「いきます」

 

 スタッグはチャージを開始。

 脚部からフォースを放出し再び残像を出せる状態になると、彼女はいきなり真正面からバグスティンクに飛び掛かった。

 

 とはいえ、明らかに偽物と推測されたのか相手は何もせず。大方の予想通り、ソードで斬りつける姿だけ見せながら残像は粒子となって消滅する。

 

 直後、側面から飛び掛かるスタッグ。

 しかも今回は途中で残像を出したので、

 

「シールド展開!」

 

 これは本体だろうとクワトロさんは判断したらしく、バグシールドは旋回しながら装甲板を展開。

 スタッグのソードを正面から受けた。

 

 しかし本体と思われた残像は装甲板とぶつかって消滅。またも攻撃の寸前で残像と入れ替わってたスタッグは改めて相手の横から懐に入る。

 けど、

 

(駄目スタッグ! 同じ手が通用するとは思えない)

 

 実際、相手は即座にクワトロさんの指示で正面を向き、装甲板を背に戻すモーションを利用してスタッグを弾く。

 装甲板から、かつんと物が当たる音が鳴ったのを前にして、

 

「ビームです!」

 

 バグスティンクのビームがスタッグを貫く。

 

 のと同時だった。

 

 相手の頭部に一筋の亀裂が入り、別の位置からスタッグが迷彩を解いて姿を現す。

 つまりこの場の全員が視界に映してたスタッグは最初から全部残像だったのだ。

 

「えっ」

 

 驚くクワトロさん。その顔は言外に「ならさっき弾いたのは」とばかりにビームで貫いた残像と周囲に目を凝らす。

 

「あっ」

 

 今度はアズキが驚いた。

 スタッグが攻撃に使う左の甲が、刃物でコードを切り離した形で転がっていたのだ。

 

 彼女はすでに破壊され機能しなくなった左腕の武器を、残像と装甲板の接触に合わせて投擲し、あたかも本体がぶつかったように見せかけたのである。

 で、相手にビームを使わせた。

 

 この時だけは脚部の恩恵を受けず相手の反応速度が並に落ち着く。スタッグの考えた攻略法とは、この瞬間を狙うものだったのだ。

 

「私の負けです」

 

 クワトロさんはいった。

 直後、相手の機体からメダルが弾かれた。

 

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