メダロットHERMIT   作:CODE:K

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12-EX 年下のボク8

 

「私視点だとこういう話になるんだけど、えっと、これで良かったの?」

 

 語り終えたアズキが、みんなに確認をとってみたところ、

 

『六〇点です』

 

 スタッグからまさかの低評価が下された。

 

「え、どうして?」

『結局()()()()の真意を語ってくれなかったからです』

 

 スタッグがずっと知りたがってた「あの言葉」とは十中八九、アズキの語りで最後に言った告白の事だろう。

 アズキは、

 

「だから言葉通りだってさっきも言ったよね?」

『だったら、わざとらしく誤魔化さずにはっきり言って下さい』

「え、無理、無理」

 

 アズキは言って周囲に視線を向ける。

 

 辺りからは、帯刀くんを除く全員から温かい微笑み。しかも、帯刀くんも無反応ではなく同情代わりに視線を逸らしてるといった様子だった。

 間違いなく周囲は、アズキが初手「愛の告白」をしたと言葉通りにちゃんと受け取っている。でもって、それを茶化す気満々だ。

 

 しかしメダロッチの中にいるせいで周囲の空気を感じてないのかスタッグは、

 

『無理なはずがないでしょう。ここまで言ったのですから、はっきりと言ってください』

「いや、その」

 

 なのでアズキはこの場でスタッグを転送。

 普段のセーラースタッグの姿で空いている席に座らせて、この場の空気ってものを見せつけてから、

 

「この状況で言えっていうの? 絶対スタッグも無傷では済まないよ」

「あ」

 

 スタッグは周囲を見て、初めていまの状況を察知し、

 

「ごめんなさい」

 

 と撤回した。

 アズキはほっとしながら、

 

「よかった。でも、どうしてそこまで執拗に知りたがったの?」

「それは、ぁっ、えっと」

 

 スタッグは一度口ごもってから、

 

「別に、ただどこまで本気だったのか確認したかっただけです。あの告白も初対面が最初で最後ですから私もどこまで本気で受け取っていいのか」

 

 あ、周囲の温かい笑顔という圧がさらに強く。

 もちろん今回はスタッグもすぐに察して、

 

「とと、とりあえずこの話は終わりにしましょう」

 

 顔真っ赤にして言った。

 アズキはうなずき、

 

「う、うん」

 

 と同意しながら、こっそりメール画面を開く。

 で、自分のメールアドレスに宛てて、

 

『本気だよ。勢いで告白しちゃったけど、一目惚れだったのは間違いないから』

 

 という内容のメッセージを送信。

 こうすると、メダロッチを介してスタッグにも届くので、

 

「あっ」

 

 メールを読んだのだろう。

 スタッグが先ほどとはまた別の意味で顔を赤くした。

 

 この反応にマイカゼさんが気づいて、

 

「おや、何かしたのかいアズキ君」

「い、いえ、なにも」

 

 アズキは慌てて誤魔化した。しかしノリカが続けて、

 

「ふふ、案外メールでこっそり愛の告白でもされたのではないでしょうか?」

「まさかそんな」

 

 うわ、ほとんどバレてる。

 さらに、

 

「顔に出てますよアズキさん」

 

 と、キクナまで。

 

「あうあうあ」

 

 と動揺するアズキ。ここでスタッグが、

 

「そ、そういえば。帯刀さんも私たちの語りで何か引っかかってたのですよね? アズキの話で何か分かりましたか?」

 

 と慌てながら、いまの流れを強引にでも変えようと帯刀くんに話を振る。

 帯刀くんは、

 

「そうだな。正直、俺の中で疑惑がひとつ浮かんではいる。しかし、まだ口に出すには早すぎる段階だ。いまは俺の心にしまう程度に留めておきたい」

 

 と言ったが、

 

「しかし、確定として分かった事がひとつだけある」

「何ですか?」

「今のブルー博士は、割と忠実にアオナさんを演じてるようだが、俺からしたら狡賢さが足りない。本物はまさに化け狸だからな」

 

 この発言にノリカも頷き、

 

「ええ。本物の母はとても滑稽な姿を演じた狡い方ですからね」

「少なくともアズキさんがエッチな眼差しを向けてた事は気づいた上で掌の上で転がすように利用してたと思いますし」

 

 キクナもいい、最後は三人で、

 

「何より私情の出し方が下手すぎる」

 

 三人が言うには、クリスマスプレゼントとしてスタッグにアズキを与えようとした話があまりに交渉として下手糞との事だった。

 

 アズキでも自分がプレゼント扱いされて反感を覚えたのだ。

 本物のブルー博士なら、そんな話題を私情だとは絶対に明かさない。

 

 むしろアズキが気持ちよく首を縦に振るように、言葉巧みに誘導していたに違いないと断言された。

 本物のブルー博士ってどんな人だったのだろう。

 

「そういえば、ショウイチ君は疑惑がどうとか言ってたけど、キクナ君はどうかな?」

 

 マイカゼさんが言った。

 キクナは、

 

「いいえ、僕は何もなかったですね。もしかして、何か僕に関係あったりするのですか?」

「いや、試しに確認してみただけだよ」

 

 と言いながらもマイカゼさんはどこかほっと安心してる様子で、

 

「それよりも、せっかくのビュッフェなのにずっとお喋りばっかでおかわりしてなかったね。みんな、新しいお皿を取ってきてもいいんだよ」

 

 とマイカゼさんに言われてアズキは気づく。

 いつの間にか、最初に取ってきた料理は全員食べ終えた後になっていたのだ。

 

 取りすぎたと思ったアズキも、料理が美味しかったのと話の肴に食べる手が進んで、気づいたら完食していた。

 改めてアズキたちは一度席を立ち、次の皿に料理をのせて戻ってから、

 

「新しいといえば、ついに明日ですよね」

 

 キクナが言った。

 アズキはきょとんとして、

 

「明日、何かあったっけ?」

「メダテックから発売されるNGシリーズですよ」

「あっ」

 

 そうだった。

 試験勉強でずっと忘れていたけど、明日メダテックから新世代機が発売されるのだ。

 

 TMZでライブラに試験導入していた『速射』を持ったメダロットも正式に流通し始めるだろうし、間違いなくロボトル環境が一変する。

 さらに当然だけど、NGシリーズには新型の女性メダロットも多数追加されるのである。

 

 これは頼むしかない。

 アズキは一縷の望みを込めて、

 

「スタッグ」

『嫌です』

 

 今日も紅下(コシタ)アズキが話を投げかけたところ、わざわざ腕時計型デバイス『メダロッチ』から拒絶の返事が鳴った。

 





これで第12話は終了になります。
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