私はこの世のに産み落とされてから一度も両親を視たことがない、ずっと双子の妹と生きてきた。
私たちはドイツ帝国内のバイエルン王国のローゼンハイムに有るとある小さな孤児院にすんでおり、質素倹約を心掛けながらわきまえた暮らしをして毎日孤児院にある書物や資料を読みながら静かに暮らしていた。
この平穏で何も無い生活がずっと続くと思っていた。
しかし、1つの出来事によって人生がひっくり返ってしまった。
「共産主義者が蜂起した!?」
私はこのことを聞いたとき自分の耳を疑った。
余り詳しい話は届かないがドイツは戦争に勝っていたのでは?と。
しかし、起こる要因は探せばすぐに思い浮かんだ。
西部戦線での快進撃とは対照的に東部戦線は大量の死傷者が発生し戦線は停滞していた。
そして、この間の春期攻勢が失敗したことにより前線は絶望的になり、これからも消耗戦を継続することが決定したのである。
また、銃後も1917年の12月辺りからあのカブラの冬と同レベルの饑饉と戦時公債によるインフレーションが発生し、各地で暴動やストライキ・デモ・職場放棄が頻発していたのである。
だが、前回もどうにか耐え忍んだので今回もどうにか耐えて勝利までこぎ付くまで銃後から支援するだろうと思っていた。
其処まで北部の状況がひっ迫しているのだろうか。
所詮は仕事にも就いておらず、毎日孤児院で本を読むことしかやっていないため労働者の心情を理解できていなかったようだ。
確かに孤児院でも何人か飢えと病気で死んだ者がいくらかいたし、自分も含めて明らかに栄養不足であるが勝利のためのいたしかない犠牲であり恨むべきは先に戦争を始め長引かせているロシア帝国ではないのか、愛国者ならそう考えないだろうか。
まあ、理解できなくもない、なぜ革命まで起きているロシア帝国に対して苦戦していのかという疑問もあるだろう。自分は詳しく前線はを視たことがないが、きっとあのロシア帝国の広大な領土の占領に苦戦しているのだろう。
「すみません、今国内はどのような状況なのでしょうか。」
「ああ、頭のよい君になら分かっているだろうが、少し前の春期攻勢の失敗と食糧危機が主な原因だ。しかし、前回のカブラの冬とは違うのは他国で革命が起きていると言うことだ。たぶん...いや確実にそれらに影響されて社会主義者や共産主義者などの共産主義に毒されている連中や反戦を訴えている連中が蜂起した。更にそれらに抵抗するため保守派や民族主義者が立ち上がっている。」
「ここは大丈夫なのでしょうか。」
「いや、だめだろう。この町では蜂起は起きていないが治安が悪くなっているこの状態じゃいつ暴動が起きるかわからない。また、三日前にバート・エンドルフで蜂起した共産主義者の連中が各町の自警団をなぎ倒しながら東進しているらしい。時間の問題だろう。」
「これからどうすれば良いのでしょうか。」
「好きにすれば良い。」
「え...それはどういう意味でしょうか。」
「そのままの意味だお前たち孤児の面倒を見切ることは出来ない。そのまま蜂起した連中に合流しても良いしそれに抵抗してもいいこの教会にのここっても良い、私はいないが。とにかく今までのように私は面倒をみないということだ。」
「貴方は何処に行くのですか。」
「教えるわけないだろう。...時間もないしおしゃべりは終わりにしよう。」
そう言って牧師はこの部屋から出て行った。
私もすぐに動いた。
いつも冷静で饑饉の時も孤児院で子供が死んでも全く動揺せずにいたあの牧師が少し焦った様子を言葉に孕ませていたのだ。ただ事ではない、そもそも蜂起が起きている時点でただ事ではないのだ。
自分は共産主義は御免だ。
書物で、主に『資本論』や『共産党宣言』を読んでみたが共感できたり理解できる部分もあるが私は君主主義者
であるから絶対的な拒絶反応がでてしまう。
受容することも容認することも出来ないだろう。
早くこの町を出よう。
どうせこの町も共産主義にそまる
ひとまず妹のところにいくことにした。
そうして自分は妹のいる図書室に向かった。
「やあ、何をしているんだい。」
妹は
「『セヴァストポリ物語』を読んでいる。」
と応えた。自分は
「レフ・トルストイの歴史小説か。私だったらトルストイ文学だったら『戦争と平和』が好きだな。他の小説家だと『ヴァレンシュタイン三部作』がおすすめ...。」
と、歴史小説の話になったがすぐに気を取り直して妹に蜂起軍が迫っていること、牧師がここを捨てて自分たちは自分で生きなければならないことを言った。
妹は
「ああ、そう。姉様はどうするのですか。」
と聞いてきた。
「私は必要な物を持ってミュンヘンへ行く予定だ。」
と自分の予定を告げた。妹は
「それについて行ってもいい?」
と聞き直した。
「もちろん良いとも。何も知らない奴ならまだしも血縁者ですから全然良いですよ。」
と、私は応えた。
そうして、妹と背嚢一つ分の荷物を準備した後孤児院の金目のものを許可なく秘密裏に持ち出しすべて質屋で売って(明らかに安く買いたたかれたが)路銀を確保してからミュンヘンへ出発した。
そうして、故郷のローゼンハイムを出発して8日がたった。
方向的には合っているものの後何日で付くかわからず両方とも確かに孤児院の子供たちの中では運動神経が良いと言っても実際に遠出をしたわけでもなっかたため疲労が目に見えるところまで溜まっていた。
「ここで休憩しよう。」
そうして今日も野宿した。
泊まるところも路銀にも限り有ることから今までまともの所で寝ていない。
今夜はしっかり眠れるだろうか。
下手すればそこら辺の危険人物に殺される世界だ。
そうしている間遠くで銃声がした。
・・・今日もゆっくり眠れなそうだ。
余り深い睡眠をすることが出来なかったがたいしたトラブルもなく夜を越えたことに安心した。
しかし、同時にとある恐怖がわき上がった。
自分はこの普通に考えれば戦場でもないのに当たり前に銃声が毎日聞こえてくるこの状況になれてしまったのである。
異常であると一瞬思ったもののよく考えればこの状況になれている方が正常であるのかもしれない。
つくづく人の順応能力には感服する。
そうこうしているうちにアイイングについた。
もう妹も自分も体力の限界が近づいてきていたので今日は宿に泊まることにした。
中心街で新聞などの情報を集めた後町外れにある安い宿に泊まった。
久しぶりにしっかりしたパンを食べ、ベッドで寝ることが出来た。
夜、妹と一緒に町で集めた情報をまとめて軽く帝国とりわけ自分たちの住んでいるバイエルン王国などの状況を分析し自分たちの置かれた状況を整理してこれから自分たちはどう行動するか決めた。
「新聞によると一週間前にバイエルン王国で革命が発生し独立社会革命党の指導者クルト・アイスナーが王政廃止とバイエルン共和国の建国を宣言しました。しかし、それらに反発する帝政支持者、つまり君主主義者や民族主義者、そして反共主義者が蜂起しました。それにより、現在でもミュンヘン市内では、戦闘が続いているようです。また、ミュンヘン以外でも戦闘が発生しています。これらに対応するため蜂起軍をバイエルン共和国軍や人民防衛団として再編し反革命勢力への攻撃を開始しました。反革命勢力は、ニュルンベルクへ撤退していたドイツ帝国陸軍のバイエルン王立陸軍1個歩兵師団や退役軍人や青年右翼などで構成されたバイエルン義勇軍(後のドイツ義勇軍)が短期間で結成され抵抗しています。」
「バイエルンの状況は大まかには分かった。自分が調べた帝国全体の状況で見てみると。正確な日時は分からないがキール軍港で赤色テロが発生し、スパイにより艦に赤旗が立てられたことにより労働者・兵士レーテが中心に蜂起した。蜂起自体はすぐに鎮圧されたものの各地に伝わり触発された連中が各地で同様の蜂起が多発した。バイエルンで革命が発生し、その3日後に帝都ベルリンで大規模ゼネストが発生し、遂に帝国議会(実際は社会民主党のフィリップ・シャイデマンの独断)が帝政廃止とドイツ共和国の成立を宣言したらしい。更に共産主義者はそれとは別に社会主義共和国成立宣言をしたり、反革命勢力が蜂起したりと混迷を極めているらしい。また、東部戦線は、現状のドニエプル川及び北部の現在の戦線がそのままの停戦ラインとしてミンスクのロシア帝国臨時政府とブレストのドイツ帝国臨時政府が停戦協定を結んだ。帝国陸軍は現在の東部戦線を維持し停戦ラインを超えてくるロシア人を止めまたドイツ本国から来る難民を受け入れながら占領地の治安維持と協力政府の設立そしてドイツ化(ゲルマン化とも言う)を行っている。フランスも同じでドイツ帝国陸軍を駐屯したままであり他戦線からの撤退も行わないだろう。予想では、体制のたち直しが終わり次第ドイツ本土奪還に乗り出すだろう。」
「皇帝陛下は無事ですか。」
「ヴィルヘルム2世は特別列車でスパの大本営に移動したらしい。皇太子らは臨時帝国政府とスパの大本営とは別の臨時大本営が設置されているブレストに移動したと予想される。正直、他の同盟国が現在どうなったかは分からないがドイツ帝国がこの状態だから他国も似たようなものだろう。」
「して、これからどうする?」
「私はミュンヘンに向かって反共義勇軍に参加するつもりだよ。途中の町でも同い年が銃を持って果敢に抵抗する腹づもりの人がいたように私は祖国のために戦うよ。強制しないけど出来れば一緒に参加する?」
「すみません、私はついて行くけど、義勇軍には参加しません。」
「そう、でも先ずはミュンヘンへ向かうのは変更なしで大丈夫ですか。」
「異論なし。」
「よし、じゃあ先の方針は決定で今日はゆっくり休もう。明日からはまた野宿ですから。」
こうして、両者とも今後と状況整理をほんとに軽くまとめてゆっくり休んだ。
基本はドイツ革命と国内の混乱は史実通りです。
所々少し違うところが多々あります。
特に最後の革命の終わり方全く違います。