神の代行者(自称) 全てはあのお方の思し召すままに……と言いまくってたら引くに引けなくなった   作:ユタシ

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第44話 過激派

 ヘルボルト(狡猾な蛇)。約10年前にオーズドルルにて暗躍をしていた謎の存在。

 

 その力は絶大だった。宗教の過激派、欲望の神オーズドルを信仰する者達が国で暗躍をしていた時、彼が現れ勢力図が変わった。

 

 

 好き勝手していた過激派、彼等の一強。逆らいたいと思う人間はいたが力が足りなかった。

 

 そう、そんな時代の中で(タルミラ)は彼と出会った。

 

 6歳の時、既に私は革命軍として活動をしていた。両親が死に際に革命軍に託したかららしい。

 

 僅か4歳で私はこの国に絶望することになる。

 

 ──欲望の国オーズドルル

 

 

 表向きは宗教国家として特段おかしい場所はない。ただ、裏では過激派による洗脳が行われていた。誘拐をし、祈りを捧げさせる。

 

 集団催眠と同調圧力の合わせ技。催眠から抜け出そうとする者は圧力を弱める存在として粛清された。

 

 

 

「……私は、ここで」

「ふふふ、凄いわね。こんな子供でここまでの魔力を……新たなる【印】にしても構わないわね」

 

 

 

 過激派、神源教団を調べていた時だった。過激派の女信徒、それに殺されかけた時だった。

 

 

「……おーおー、やってんねぇ」

「誰かしら?」

 

 

 

 軽く薄っぺらい言葉を話す全身が鎧に包まれた存在。背丈は私と同じくらいだった。

 

 

「単なる蛇。草木に居るのと変わらんよ」

「あら、そうなのね。ただの蛇にしては随分と大きいのね」

「ククク、ノリが悪くないのは嫌いじゃねぇぜ。ただの蛇で話せる蛇だ」

 

 

 

 女の信徒は間違いなく実力者。そして、彼女の背後にはもう一人男の信徒もいる。

 

 あっちも相当に凄かった。あの時、私は戦わなかったけど、分かっていた。

 

 

「そう、ここを知っているということは……生きて帰れないわよ」

「そりゃ、楽しみだ」

 

 

 魔力がない。ヘルボルトには僅かにも魔力と言う超常的なエネルギーがない。

 

 だが、

 

 

 

「あ、ありえない。こ、この、あ、アタシ達、信徒の信仰を集める【印】としての役割を持つアタシ達が……」

「ククク、随分と良い格好だねぇ」

 

 

 体術だけ、それで魔法と魔力を完封した。ただの素人ではなく達人をだ。

 

 

「あ、あ、あなた」

「おう、お前革命軍のメンバーなんだろ」

「え、えぇ」

「俺を入れてくれよ。面白いもんが見れる」

 

 

 

 

 そうして、彼は革命軍に入った。教団の過激派を止めるために。

 

 彼が入り日が動いていく中で革命軍は【ヘルヘイム】と名を変えた。

 

 

 神源教団は天明界と言われる組織とも関係があるようで、戦況を変えるには大きな時間を要すると思っていた。

 

 

 しかし、ヘルボルトは単体にて敵陣に乗り込み全てを壊滅させる。

 

 

 圧倒的な力を持つ存在に惹かれる者達は多かった。僅か半年で国で過激派は行動が出来なくなっていた。

 

 だが、それと時を同じくしてヘルボルトも消えてしまった。

 

 

 

 ──彼は神の使いだったか、それとも?

 

 

 

 彼が消えたことで仲間達もまた消えていった。圧倒的な指導者であり実力者の彼が消えてしまったことで、統率が取れなくなってしまったからだ。

 

 

 

 そして、そこから約9年の時を得て再び、過激派が力を伸ばしている。

 

 神殿を作り、そこに奴隷を入れ込み信仰を捧げさせている。国の地下に新たな神殿を作らせるために奴隷に強制労働をさせている。

 

 

 これを変えたいと思う我ら【革命軍】。しかし、【ヘルヘイム】は出会った時ほどの力はない……

 

 【ヘルヘイム】はヘルボルトが居たからこそ組織の名前にしていた。彼がいなくなれば我らはただの【革命軍】力も名前もあの時ほどではない。

 

 

 

 

「肉うめぇ」

「わんわん!」

 

 

 

 国のベンチに座り辺りを眺める。一見すると確かにおかしな場所はない。

 

 家族や恋人と団欒する人々。過激派も神殿を作るための人員は全て国から調達していない。

 

 別の国からも攫ってきている。こんなのが外にバレたら他国との国家問題にもなり得る。

 

 

 なんとかすぐにでも、潰さなければ

 

 

 

「あ、隣いい?」

「……いいよ」

「あざーっす」

「わんわん!」

 

 

 

 金髪に青い瞳を持っている男、そして犬。男は学生服を着ている、あの感じはラキルディスの魔法学園。

 

 犬は銀髪に青い瞳、綺麗な印象を受ける。

 

 二人で肉を食べている。犬は男にべったりという感じだ。

 

 

 微笑ましい光景。これを守るのが使命……

 

 

 

「肉肉ー。おみあげをレイナに買ってった方がいいかな」

「わーん!!」

「やっぱ太ったからやめておくか」

「わわわん!?」

 

 

 

 

 随分と仲がいい。そんな二人に近づいてくる影があった。

 

 

「もし、そこの学生の方」

「あ? 俺」

「そうそう、幸が薄そうなあなたです」

「失礼だな。幸せだよ」

 

 

 

 あの服装……神源教団の信徒服。女の信徒だが妙な感じがする。神源教団にいるのは大抵変な奴が多いが、過激派は一線をかしている。

 

 過激派の行動を知らない信徒も居るらしいけど……彼女はどこか妙な感じがする。

 

 

「最近、オーズドル様の神殿が出来てね。ぜひ見学して行かないかしら? その服はラキルディスでしょう? 何度も来れないでしょうから記念にね」

「あー、俺そういうのいいです」

「今福引とかもやってるので、お金とかもらえるかも」

「いきます」

「わん!」

 

 

 な、なんてちょろい学生……だ、大丈夫かな? 想像以上に俗っぽい人と犬。

 

 

 気になったのでこっそり跡をつけた。

 

 

 オーズドルの神殿。私もまだ調べられていない買った場所。

 

 中に入ると腕が六本ある、顔が三つの人間のような銅像が置いてあった。

 

 

 聖堂みたいに作られた、その一番目立つ場所に。

 

 

 あれが、欲望の神

 

 

 

「こちらがオーズドル様なの。祈ればどんな願いも叶えてくれるわ」

「あの福引は?」

「がるるるる」

 

 男の子の方は福引に興味があるようで、さっさと福引出せよって顔してる。犬はオーズドルの銅像を見てうめき声をあげている。

 

 

 よく見るとオーズドルの隣に鎧の男の銅像もあった。あれはまさか……

 

 

「こっちの銅像は欲望の神に逆らい、犯罪などを犯していた罪人ヘルボルトと言う存在ね」

「福引どこですか」

「きゃんきゃん!」

 

 

 

 犬はどうやらあっちの銅像は気に入っているようだ。男子生徒にずっと抱っこされている犬。

 

 その犬が急に動いて、オーズドルの銅像に突進した。

 

 

 ──がらがやがしゃあああーーん!!

 

 

 貴重な銅像が壊れる音が聖堂内に響き渡る。

 

 

「なんあなな、なんと言う無礼な行為!? 貴方は生きて帰れないわ」

「え!? あ、いや、この犬が勝手に!」

「わんわん」

 

 

 犬呑気か!? と、とんでもない犬……巻き込まれた男性生徒可哀想。いや、可哀想ですまないかもしれない。

 

 

 

「その犬はきっと邪神アルカディアの使いに違いないわ。銀髪に青い瞳、最悪の象徴! 信徒達よ、その子と犬を捕まえなさい! この国から生きて帰すな!!」

「えぇ!? お、お前、とんでもない狂犬だな!?」

「わんわん」

 

 

 

 犬呑気か?! く、あの少年はこのままなら死んでしまう。仕方ない、ここは……

 

 

 

「来て……」

「さっきのベンチの人。貴方も福引に?」

「……ふざけてる場合じゃない。逃げる。ここは既に貴方にとって危険地帯となってる」

「え? この犬おいてくか」

「わんわん」

「うぅ、犬は流石に優しくしないとなぁ。レイナなら見捨てるけど」

「わん!?」

 

 

 

 犬も一緒に私は……【革命軍】のアジトに向かい匿うことにした。

 

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