先生がいなくなってから一週間、シロコは先生を探しにいくことを決意する。

【意味が分かると残酷になる話】


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【残酷注意】【意味が分かると……】先生がいなくなって約1週間、シロコはキヴォトスを出て先生を探す

 先生がいなくなってから1週間経った。先生がいなくなったのは突然のことだった。しかしキヴォトスは人々が予想していたのとは外れて、大きな混乱は起きなかった。これは先生がきちんとこのような事態をも想定していたからであろうか。

 

ちなみに現在はヴァルキューレ警察学校、風紀委員会、正義実現委員会などの各自治区の治安維持組織が異例の協力をして先生についての捜査を行っている。しかし、その終わりは見えそうにないらしい。

 

 日常は少しずつ形を取り戻して、人々は通常の営みに戻る。砂漠の上の高校─────アビドス高校も普段と同じ様相であるが、どこか静かで、重い雰囲気だった。この高校の二年生、砂狼シロコはいつも通り自転車で登校する。

 

 少しブレーキをかけながら自転車は校門を通り過ぎる。

 

「ふう……」

 シロコは自転車から降りると息を吐く。もうとっくに決断したことだから迷ってはいけない、シロコは自分の心に何度も言い聞かせる。

 対策委員会の部屋の扉を開ける。少々扉の動きが鈍くなっている。もしかしたら砂埃が詰まっているのかもしれない、とシロコは思った。しかしそんなこともすぐに考えるのもやめて、部屋に入る。

 早朝であるため、誰も部屋にいない。

 部屋の机には、いつも通り書類やお菓子の袋、ぬいぐるみ、電卓、端が欠けて画面が少し割れているパソコン、ある種対策委員会を象徴する様々なものが机の上に散乱している。

 

 シロコはカバンから四通の封筒を取り出す。それぞれメンバーに向けてのものだ。それを丁寧に机の端に並べる。このような形でなくても直接言えばよいとも考えたが、それでは言葉がまとまらないと考えたから、今のシロコの思いを封筒に収めた。

 

 誰かに見つかったら危ない、と考えたシロコは駆け足で教室を後にする。校舎をでるまで「あの人」の影がどこかで見えてしまう。シロコはその度に頭を振ってリセットしようとした。校舎を出るまでがいつもより長い時間かかった気がする。

 

 校庭に出る。校庭というか、今ではただの砂山になってしまっているものである。まるでまだ対策員会がやり残している事を集めたようだ。段々と日が昇り始め、朝の日光が彼女を照らす。

 

 シロコは再び自転車にまたがり、これから何処に行こうか考える。

 その時、

「や、シロコちゃん」

 聞き覚えのある声が背後からする。シロコは特に驚くようなことはしない。きっと彼女なら、どうせ来ているだろうと薄々感づいていたのだ。

「……ホシノ先輩」

 いつものふわふわした雰囲気をまといながらも、少し違う、3年生として、対策員会の代表として、真面目な雰囲気もある。

「随分と早いね〜」

 ホシノは触れる気がないのか何気ない言葉をつぶやく。しかしそれは煙のように立ち消えてしまう。ただホシノがザッザッ、と砂で少し積もっている校庭を踏み鳴らしながらシロコに近づく音だけが聞こえる。

 

「……ホシノ先輩、いつから気づいていたんですか?」

 シロコは少し早口気味になりながらホシノに質問する。

「……最初から、かな。シロコちゃんのことだし、きっと色々と考えすぎちゃって、一人でそういう決断をするのかもしれないなーって」

「……先輩は止めないんですか?」

「……止めたい気持ちはあるけど……おじさんにはもう、そんな力が残ってないかな」

「……」

 シロコはホシノを見ながら黙り込む。

「……先生を探すんでしょ?じゃあ、もし見つけたら『大人なんだから、最後までしっかり先生して!』って怒ってほしいな……皆の分ってことで」

 

「……ん」

 シロコは小さな声で返事をする。

 

 とくに挨拶もできぬまま自転車を動かし始める。横目でホシノと校舎を見る。【なんだか小さく見えた】

 ……ここで不意に先生が教えてくれた小説の描写がそっくりになった。確かあの人は「この小説の主人公が生徒たちと関わっていくところが、特に好きなんだよね〜」「生意気な生徒と先生のふれあい、もうこれがいいんだよね〜」「……最後は学校を離れちゃうのが個人的には少し残念だけど」と言っていた。シロコは興味半分でそれを読んだ記憶がある。彼女には話がよくわからなくて、残念ながら理解することはできなかった。

 

またしても先生の記憶だ、シロコはそう思った。

 

 そしてそんな思い出に耽っているときに、行き先で良いところを思いついた。

 

 海に行こう。

 

  たしか先生の故郷にも海があったはずだ。詳しくは思い出せないが、たしか先生の故郷では、「その海には神様がいて、その海の遠くで自分と探している人とを繋げてくれて会うことができる」という伝説もあるらしい。そこを目指そう。

 ここでシロコはもし先生と会えた時のことを考え出す。

 

 やっぱり怒られるのかな、一人できたこと、対策員会の皆を置いていってしまったこと。でも先生がいなくなってしまうのも悪い気がする。生徒は皆先生がいなくなって困っているし、辛くなっている。

 せめて先に行って、先生がいなくなってから1週間の出来事と、私がずっと思っていたことを言いたいな。

 

 自転車はただ一つの道を辿って進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

〜ここから解説〜

 この話はここからの解説を読むと【話の内容が180度変わります!】※多分

 

まずはヒントです。(一番下に答えがあります)

 

ヒントレベル1

・4つの封筒

 シロコがメンバーにどんなことを書いたのか、考えてみてください

 

・先生を探す、のであればシロコの行動に矛盾点があります。探してみてください。

 

・ヴァルキューレ、風紀委員会、正義実現委員会の協力

サラッと書いてしまって申し訳ないですが、その描写の中で「彼らは何をしていたのでしょうか?」

漢字をしっかり見てみてください(誤字ではないですよ!)

 

 

 

 

 

ヒントレベル2

 

・なぜホシノは「怒ってほしい」と言ったのでしょうか?(ふつうなら【連れ戻す】のでは……?)

 

・ここで裏話ですが、先生の故郷の伝説は、

【ニライカナイ】という沖縄の伝説を参考にしています。

 

 

 

 

 

ヒントレベル3(実質答え)

 

・ヒントレベル1に書いた矛盾ですが、

普通いなくなった人を探すなら心当たりのある場所を探すのが普通では?

つまりここで目的地を決めるのは、前提の「さがす」という意味が違うのかもしれません。

 

・ヒントレベル1で書きました、ヴァルキューレ、風紀委員会、正義実現委員会、彼らは「捜査」をしています。

まあ、ニュアンスでは問題無い気もしますが、普通いなくなった人を探すなら「捜索」ですよね?

 

 

 

 

下に答えあります!!!!!

 

 

 

 

《答え!》

 

まず先生は「亡くなっています」ヴァルキューレなどがその原因を「捜査」しています。

 

シロコが先生を探すというのは、「先生が亡くなってしまい、後追いをするため」

 

なぜ対策委員会として続けなかったのか、

これはホシノ先輩が言ったことも関係があります。

あのホシノ先輩でさえ「もうそんな力はない」と。つまり先生の死はそれほどショックな出来事で、彼女ら生徒は、先生なき世界に絶望しているのです。

 

「怒ってほしい」と言ったのは、先生が死んでしまって連れ戻すことはできないから

 

「4つの封筒」はメンバー宛の遺書とでもいえます。

 

 

 

【ここでさらに物語が絶望味を出す解説】

 

途中で「先生が好きだと言っていた小説」がありますよね?

これは言わずもがな「坊っちゃん」なのですが、

 

先生は作中の生徒と関わるのが好きだと言っています。つまり先生が先に亡くなることで、その「先生と生徒が触れ合う構図」というのが壊れる皮肉があります。

 

また、シロコがこの話を理解できなかった、というのがありますが、これは「坊っちゃん」を批判しているわけではありません。

「坊っちゃん」は主人公が【先生】として活躍する話です。【生徒】であるシロコが理解できないのは、【先生】と【生徒】という立場が違うことの対比です。【先生】の思っていることが【生徒】には理解されていないのです。

 

 先生が亡くなってしまって、おそらく先生は「生徒たちは自分の後追いなどしてほしくない」とおもっていますが、【生徒】であるシロコは「先生を大切に思っているが故に追いかけたい」と思っています。つまりここで【先生】と【生徒】の考え方の違いによる悲劇があるのです。

 

また、なぜシロコなのかということなのですが

 

(シロコの絆ストーリーのネタバレ注意)

 

 

 

 

 

 

 

 

シロコは絆ストーリーにて「不良生徒」と自称しています。

先生が「後追いなどしてほしくない」という考え方に抗うのは

「不良生徒」という彼女にぴったりだと思いました。

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございました!
更新頻度は低いですが、二次創作をやっていますのでどうか見ていってください!!!!

あと解釈違いとかあるかもしれないので、このストーリーの解釈をコメントで書いてくださると嬉しいです!!!

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