ようこそようマジ至上主義の教室へ   作:山内春樹

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 衣装キャラクターを持っていると、スタミナを消費せずに、レアリティの高いオブジェクトや砂時計を生成することができます。

【衣装キャラクターからオブジェクトを生成する方法】
 衣装キャラクターに紐づくベースキャラクターオブジェクトを選択すると、画面右下の方に所持している衣装キャラクターが表示されます。
 紐づく衣装キャラクターを複数持っている場合は、上下のボタンタップで表示を切り替えることができます。
 表示された衣装キャラクタのアイコンをタップすることで、衣装キャラクターからオブジェクトを生成することができます。


❷衣装キャラクターについて

 

 4月。桜の舞い散る春の歩道、校門前にて、チャイムの音が鳴り渡った。

 

 校門を潜り、校舎内のとある扉の前へと到着する。

 

 持つところや窓部分の無い謎の引き戸を横に動かすと、僅かな隙間から派手な光の輝きが漏れ出ていた。でもタダの派手じゃねぇぞ、ショッキングピンクにこれでもかと光輝く、ド級の派手、ド派手だ。

 派手派手のド派手でこれには音柱も満足するだろうド派手だ。

 

 それは神の啓示にも等しい、定められた運命を告げる光だ。

 

 校舎内の引き戸にありがちな車輪の音を立てて、戸は開け放たれる──

 

「暇だし、図書館にでも行くか……」

 

 そう呟く綾小路清隆がいた。

 

 そこは綾小路清隆の私室だった。

 

 

 

 ──ようこそ実力至上主義の教室へ~マージパズル特別試験~──

 

 

 

 寝巻きであろうワイシャツを乱れさせ、寝ぼけ眼で寝ぐせの跳ねた頭を掻く動作、そして襟から覗かせる胸板も相まって、そこには高校一年生らしからぬ色気のようなものがあった。

 もしも男色趣味があったならば、綾小路清隆を前にしたその男は襲い掛かっていたことだろう。

 

「……?」

 

 視界に男を認めた綾小路清隆は、異物に対して難色を示した。

 対する男もまた、やや戸惑った様子ではあった。

 

「……おはようさん、綾小路」

 

「ああ。だが、なんでお前がここにいる?」

 

 疑問もごもっとも、ここは寮に割り振られた綾小路清隆の私室であり、国が運営するこの東京都高度育成高等学校が管理するセキュリティによって守られた聖域である。

 ──カードキーが本人の了解なく複製されることは考慮しないものとする。

 

「すまん綾小路、俺も何が何だかわからないんだ」

「いや、それだとオレの方がわからないんだが」

 

 男について、綾小路清隆は多くを知らない。その素性も、経歴も、行動理念も、そして、彼の擁する神の如き謎の錬金術のような何かについても。

 

 朝起きたらクラスメイトが自室にいた。思わず強制覚醒した脳は、男に対する好奇心を呼び覚ました。

 

「ちょうどいい、お前に聞きたいことがあったんだ」

「ああ、話すよ。事の経緯ってやつを」

 

 思ったよりも遙かに早く男は受け入れた。あの摩訶不思議な所業について男は明かす気があるらしい。もっとはぐらかしたり問答があるかと予想していた綾小路清隆は、やや肩を空かすような思いもしつつ、神妙に頷く。

 語るならば聞かせてもらおう、ボタン2つからハンカチを生成する御業の正体を。

 

「無料チケットを使ったんだ(?)。するとそこは桜の道、高育の校門通りだ。意気揚々と校舎内を肩で風を切るように進み行き、思うがままにどこかしらの戸を開け放ったんだ。すると桃色の閃光に包まれ、気が付くとここにいた」

 

「……」

 

「……」

「……」

「……」

 

「……?」

 

 話の続きを待つのだが、男は満足そうに閉口するのみ。

 綾小路清隆は、思わず首を傾げた。この場面を切り取ってみれば、櫛田桔梗並みにあざといだろう。

 

「え、終わりなのか?」

「? ああ。俺にも何が起こったかわからない。チャイムが鳴っていたし、俺としては平日に登校したと思っていたんだが──なんかここにいた」

 

 なんかここにいたじゃないが?

 

 つまるところ、男は原因不明の事象により転移したということらしい。

 綾小路清隆には予定がなく、これから図書館へ行こうと思い立っていたところだ。つまり休日。時空さえも男の説明とは食い違う。

 

「まったくわからない」

「俺もわからない」

 

 その振る舞いに嘘を吐いている様子はなかった。

 人間が学ぶ全てをすでに収めている綾小路清隆にそう判断させたのだ、真実だろう。

 

 つまるところ、男は原因不明の事象により時空転移したということらしい。

 

「まったくわからない」

 

 繰り返される思考、辿り着くところはいつも同じ。

 綾小路だけにその思考は袋小路。などとらしからぬ冗談を想起するくらいに綾小路清隆もまた困惑していた。

 

「……とりあえず、図書館行くか?」

 

「ああ」

 

 男の申し出に頷く。

 こうして、なかった予定が生成され綾小路清隆はクラスメイトと共に休日を過ごすこととなった。

 

 

 図書館までの道中、男は不意に脇腹を柔く刺突した。

 唐突な攻撃行為に、綾小路清隆は何故だか回避が行えなかった。甘んじて一撃受け止める。

 

「──これは?」

 

 脇腹という急所に指が差し込まれたにも関わらず、自分でも驚くほど冷静な声が出た。『これは?』。人体の設計上、普通ならもっと呻き声が出ようものを。

 他に疑問は──と状況を把握していくと、案の定それは起こった。

 

「砂時計? なんだこれ」

 

 男がその手に握られた砂時計を不思議そうに見つめながら言う。

 

 いやいや、お前がわからないならオレにもわからないぞ。半ば呆れながら綾小路清隆は半眼を向けた。表情筋が死んでいる彼にとって外見上ほとんど変化はないが、普段よりも半眼なのだ。

 

「ああ……なんつーか、元気になるっぽいな。そういやこんな感じのが引っ越し荷物にも混ざってたっけ?(※事前登録キャンペーン報酬)」

「まったくわからない」

 

 砂時計で元気になる理由も、それがわかる理由も綾小路清隆には理解できなかった。

 

 まぁ。

 

 だからこそ。

 

 面白い。

 

 この男は、どれだけの未知を魅せてくれるのだろう。

 

「今日は色々聞かせてもらうからな?」

「おいおいノコージくん、図書館では静かにするのがルールだぜ?」

 

 

 このあとめちゃくちゃ図書館した。

 

 

 

 

 

 ──ようこそ実力至上主義の教室へ~マージパズル特別試験~──

 

 

 

 

 

 堀北涼音は辟易していた。

 

 それもこれも、全てはあの男のせいだった。

 責任転嫁でも言い逃れでも言い訳でもなんでもなく、正真正銘あの男ひとりのせいだった。

 

 東京都高度育成高等学校、ここへ入学して堀北涼音の生活は一変した。

 全寮制であるここでは一人暮らしが当たり前であり、全ての家事を自分で行う必要がある。家具の配置や家族の有無、買い物をする場所や、行き返りする道も、通う校舎も教室も、授業風景だってこの4月からは違う。

 特に授業風景なんて、ここが本当に国運営の最先端の教育機関か疑問視するほどに荒れ放題で、堀北涼音にはストレスが溜まるばかりであった。

 

 と、ここまでがまだ生易しく思えるほどに異質な存在がこの新生活にはあった。

 

 それがそう──

 

「堀キタキツネ、こんこんこん、消しゴムちょーおだい?」

 

 不快な口遊みとともに脇腹をつつくこの男である。

 

 意味が解らない。

 堀北涼音は今までの常識すら疑いそうになっていた。これはセクハラではないのか。これを教員が注意するわけでもないのだが、しかしこちらから訴え出た方が良いのだろうか。

 

 そしてこの男は、消しゴムを盗んでいくのである。

 

「──なに? こうかしら? なに? なに? いいわよ──

 

 消しゴム、ノート、消しゴム、パンチ、消しゴム。

 

 男はひょいひょいひょいっと当然のように堀北涼音の私物を取り上げていく。途中で抵抗を試みパンチ──拳を放つことに成功したが、軽く受け止められ無為となる。

 抵抗も虚しく強奪を受けた堀北涼音だが、しかし手元には同じものが残っている。意味がわからない。

 

 男は消しゴム同士をくっつけて、ノートにしていく。

 意味がわからない。

 彼が言うことには、この要領で鉛筆、定規、セロハンテープが欲しいらしい。

 意味がわからない。

 この一連の動作に、別に後を引く不調や疲労が残るわけでもないのだが、もうこれ以上やっても消しゴムは増えないと予感することがある。

 意味がわからない。

 

 正直気持ちの良い動作ではないので正当防衛と言うか当然抵抗を試みてはいるのだが、武道をたしなむ堀北涼音を以ってしても避けられず、反撃の拳も軽くいなされてしまうのだ。

 ある意味で、良い特訓とも言えないこともないのだが、問題は時場所場合を一切加味しないところだろう。

 

 頭のどこかで考えている間も男は容赦なく身体のどこかを軽く突いていく。

 

「──なに? なに? 驚きね」

 

「おいおい、堀北クラスシンボルってなんやねん」

 

 意味不明なことに、男からつつかれる度に堀北涼音の口から数種類の言葉が漏れ出ている。そして更に意味不明なことに、今回は『驚きね』と言いながら無意識に青い謎のひし形物体を差し出していた。

 

 身に覚えのないそれは、ご丁寧に『堀』のマークがあしらわれている。

 何の冗談だろう、誰が、一体、何のために、そんなものを作ったというのか。この男が個人的に作ったとして、なぜ自分が持っているのか。あるいは学校がこれを作って? いや。まさか──兄さんが2年間の内にこれを作ったとでも?

 

 ないはずの疲労を感じながら、堀北涼音は思考回路を迷走させていた。

 

「まぁその内必要になるだろ」

 

 そんなわけあるか。

 堀北涼音は荒んだ目で男を言外に睨む。人の名字の頭文字が印字された加工製品が必要になる世の中であるはずがない。苦言を呈したかった堀北涼音だが、もはやこの男には無駄だろう。確信があった。

 

「俺も疲れてきた。このあと綾小路から山菜小鉢も貰わにゃいかん。あと消しゴム何個かだから早く済ませよう」

 

 疲れてきたならやめればいいのに。

 内心で思いながら、迫る指を避けようと試みて──

 

 ──その攻撃が当たることは無かった。

 

 堀北涼音が回避したわけではない。回避を試みはしたが、どちらかというと男の方が思いとどまったようにも思える。

 

「何? 手を抜いているの?」

 

「なんでやねん。いや、俺と言うより、涼音ェ……の問題かな」

 

「……」

 

 確かに、謎の倦怠感というか、意識すればわかる程度の違和感がある。それは件の、もう消しゴムないよ! みたいな感覚だ。

 理屈は知らないが、彼の消しゴムを増やす手品は堀北涼音側にも左右されるのだ。

 

「本当に意味がわからないわ」

 

 わからないのだから、それ以外の感想はなかった。

 

 こういったとき、その日は彼からの奇行が収まる。放課後に再来することもあるが、時間が空くことは確かだ。その間の彼は想像できないほど常識人だ。この奇行さえなければ、真人間だと周囲からも認識されている。

 一時的にでも常識でないならもう常識人ではないのでは? 堀北涼音は訝しんだ。

 

 しかし。

 

 その日は違った。

 

「そうだ! せっかくだしこれを試そうと思う」

 

 男は何処からともなく砂時計を取り出した。色々と思うところはあるが割愛しよう。

 

「それで一体何をすると?」

「これを──使う」

 

 男は堀北涼音に砂時計を押し当てた。当然回避できない。

 

 するとどうだろう、堀北涼音にほとんど自覚ができない程度の僅かな活力がみなぎるではないか。つまりみなぎってはいない。

 

「何を、したの?」

 

 当然のように消滅した砂時計に関しては何も言うまい。

 

「これで回復しただろ。消しゴム追加でくださいな(はぁと)」

 

 こうして追加の消しゴムを強奪された。強奪されたはずの消しゴムが常に手元に残っているのは幸いだろう(支離滅裂な文章)。

 

 製造元不明の堀マーク結晶、もとい堀北クラスシンボルも追加で2個、堀北涼音のポケットから発見され、ある種の恐怖を抱く事にはなる。

 

 助けて兄さん。

 

 

 

 

 

 ──ようこそ実力至上主義の教室へ~マージパズル特別試験~──

 

 

 

 

 

 おっさんが埋まっている。

 

 埋まっているというのは正しい表現ではないが、人の侵入できる道のない謎の地下空間に、いかにも王様ですといった風貌の白髭おっさんがいる。

 おっさんを埋め立てているのは砂や土ではなく、レンガだった。

 一体どうやって侵入したのだろう。おおよそ人の理解できる範囲を超えていた。

 

 他にあるのは、おっさんの頭上にある謎の空間に敷き詰められた色のついた真四角のブロックと、その情報に積載した小さな岩。意味がわからない。一体何の因果でこのおっさんは埋め立てられ、このような状況が誕生したのか。

 

 このまま放置すれば酸素不足で死に絶えるだろうか。あるいは人の通れそうにない穴がどこかへ伸びているので、空気は保たれるのだろうか。

 

 しかし、その穴を通って巨大な蛇がおっさんに迫る。

 

『イェーイ』

 

 おっさんはこちらに手を振る。そんなことしてる場合か?

 

 巨大な蛇が近づく中、巨大な手が地中を自由に動き色ブロックをスライドさせる。なぜ?

 ブロックは周囲の色と同じものが並ぶと、消える。なぜ?

 

 ブロックが消えれば、上に溜まった岩が落ちていく。

 

 なるほど、岩が落ちる先には蛇が進む穴がある。それで蛇を食い止めようとしているらしい。

 それだとおっさんが酸欠で死ぬのでは?

 

 ブロックは色を揃えると消える法則がある。それさえわかれば消すのは簡単だ。

 しかし、謎のジャイアントハンドはいわばヘタクソでこちらが想定するように動かない。じれったい。だが、ここで我に返るべきだろう。

 見ている自分におっさんを救う義理は無いし、理由も関係もなにもないのだ。

 

 知るか。勝手に死ね。

 

 これは一種の商法と言えた。自分の方が上手い、そう思わせることで関心を誘う卑劣な手法なのだ。

 

 ならば、むしろ嘲笑うべき。いいぞ。それでいい。蛇、おっさんを殺せ。やっちまえ。

 姑息で卑劣で不細工な王を討ち取れ。

 

 いよいよおっさんに辿り着いた大蛇は、なぜだか炎を吐きおっさんを強襲する。壁に身を寄せ惨めに震えるおっさんを焼き殺せ!

 

 いけーーーー!!

 

 ──『FAIL』

 

 は?

 

 FAIL。失敗を意味する英語が表示され、焼殺されゆくおっさんの愉快なダンスは拝めない。

 

 『ROYAL MATCH!』

 

 は?

 

 

「──は?」

 

 気づくとそこは高度育成学校の校門前だった。

 

 先ほど前の光景は何だったんだろうか。夢? それは悪夢? ここに立っているということは夢遊病?

 自らが置かれた状況を分析するも、何も証明することはできない。

 

 あるいは、天罰かもしれない。この学校に進学してからというもの、説明できない使命感によって級友をつついてボタンや消しゴムを強奪する毎日。

 この行為は誰からも褒められない。10人の人間に聞けば、10人が悪と判別し糾弾し断絶するだろう。

 

 客観的に見て、男は『悪』なのだ。

 

 だから先の意味不明なおっさんの幻覚は『悪』に対する罰である。そう思えて仕方がなかった。

 

 ともあれ、チャイムが鳴る。

 始業の時間かもしれない。男は駆けると、急いで校舎に入った。

 

 持ち手の無い引き戸を目の当たりにして、

 

 あれ、これどっかで見たような。

 

 知ってる引き戸だ。

 

 学校によくある車輪の音を伴う引き戸を開けて──

 

 ──あふれ出る

 

 青い光──

 

 

 ──そこは、堀北学が立っていた。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 お互い何も話さない。

 東京都高度育成高等学校の生徒会長である3年堀北学。この学校のトップとも言える男と、無言で対面している。まさか、『日ごろから妹さんにセクハラしてますどうもどうも』などと言えるわけもない。

 どの面下げてここにいるというのだ。

 

 これは悪夢の続きか──。

 

 

 その後、普通に自分の教室へ行った。

 

 

 

 

 

 ──ようこそ実力至上主義の教室へ~マージパズル特別試験~──

 

 

 

 

 




 広告スキップボタンの当たり判定が小さすぎてしょっちゅうアプリストアに飛ばされる。てめー何のマルウェアだよ。そんなことしてもムカつくだけでインストールなんかしねぇから!!
 広告系アプリあるあるである。前回のアプデから480円課金すれば30日間も広告スキップできる『広告スキップパス』が実装されたぞ! やったね!

 2月1日のリリースから3週間の間で広告のわずらわしさを知らしめてからの実装、こんなの卑劣な商法じゃないか!! 俺は坂柳のSR実装まで課金しないぞ!!
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