剣になれる銀髪美少女を助けた俺は何でも屋を始めることにしました   作:加藤あきら

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第17話『暴走列車を止めろ!』

『サカイさん! 聞こえますか、サカイさん!!』

 

 

 突然、俺の苗字を叫ぶ声が脳内に直接響き渡る。

 これはフェルトの力による念話ではなく、もう一人の仲間、魔法使いのリリアン=マクファーレンの魔法によるものだ。しかも、魔法が使えない俺でも対話が可能という高性能な魔法だ。

 

 

「聞こえてるぞ~。こっちはジャック犯をすべて倒して、エンライトさんも無事助け出した。報酬もたんまり入るはずだから、夕食は期待しとけよ?」

 

『そんなのんきな話をしている暇なんてないですよ! その列車、このままだと脱線して崖に落ちてしまいますよ! 早く止めてください!!』

 

「なんだって!?」

 

 

 俺は急いでフェルトを剣の姿にし、粒子を使って緑色の球体を作る。それを窓から外へと出して、高く空へと飛ばした。

 これはスフィアカメラと、何のひねりもない名前で呼んでいる粒子の活用法のひとつ。

 スフィアにはその周辺の景色を撮り、それを俺の視界に映し出す事ができる。

 

 まあ、解像度はあまりにも低くいから細かいところまでは把握できないけどね。粒子の濃度を変えて描写しているだけだから緑一色のドット絵のような映り方をする。だからこれはあくまで大雑把に状況を把握するための使い方だ。

 

 そして、それが撮った映像を視界の中に映すと、目に飛び込んできたのは破壊されてズタズタになっている線路。

 ちょっと待て。なんで線路があんな状態になっているんだ……? これじゃあ脱線して崖から真っ逆さまじゃねぇか……!!

 

 

「ブレーキは?」

 

『たぶん壊れてないと思いますけど、操作できる人は……』

 

「そうだよな! チクショウめ!!」

 

 

 なんでこんな事になってんだ??

 ジャック犯は運転手を拘束してるってのに、線路が破壊されている。もしこのまま列車が進めば、ジャック犯も、人質に取ったエンライトさんも、全てもろとも失ってしまうじゃないか。

 この矛盾する状況が意味するモノは……。

 ともかく俺が今やるべきことは一つ。

 

 

「俺はこの列車を止めに行く! エンライトさんは……」

 

 

 周りを見れば、先ほどまでエンライトさんを人質に取っていたジャック犯があちらこちらに倒れている。ここに待たせるのも居心地が悪いだろう。

 

 

「よし、俺について来てください!」

 

「は、はい!」

 

 

 座席車から飛び出ると、目の前に現れたの石炭車。これをよじ登らなければ、運転台にたどり着けないが……エンライトさんにそれをやらせるのもダメだろう。

 俺は剣を腰に引っさげる。

 

 

「エンライトさん、失礼しますよっと」

 

「ひゃあ!?」

 

「ちょっとだけ我慢してくれ」

 

「は、はい……」

 

 

 エンライトさんをいわゆるお姫様抱っこした。

 じゃないと移動できないもんね。仕方がないよね。うん、仕方がない。

 それに今は一刻を争う場面だ。恥ずかしがって躊躇してる余裕なんてない。

 

 粒子の力を使って軽快にジャンプしながら運転台を目指す。

 そこには縄に縛られた運転手のおじさんが横たわっていた。

 とにかく運転手の猿ぐつわを取り、俺は叫ぶようにして聞く。

 

 

「ブレーキは!? 早くしないと落っこちまうぞ!」

 

「そ、それだ! 早く!!」

 

「これか! うおおおおおお! 止まりやがれぇぇぇえええええええええええええ!!」

 

 

 列車のブレーキを思いっきり掛けるが、物凄い金属音を鳴り響かせながら、でも列車は中々止まらない。

 

 

「クソッ! やはりここからじゃもう遅すぎる……!!」

 

 

 運転手の諦めの言葉が吐き出されたが、諦めるにはまだ早すぎる。

 俺にはフェルトという心強いパートナーがいる。

 何とかできるかもしれない力がある。

 

 ならばやるしかないだろう。

 

 俺は何でも屋『ジェネシス』なんだ。()()()()()()()何でも屋。ならば、この列車だって止めてやろうじゃないか!

 

 

「俺がなんとかする。とにかく、どこかに掴まって衝撃に備えてくれ」

 

 

 俺は運転手の拘束を完全に解いてあげながら、そう言った。

 

 

「えと、ナオシ、さん!?」

 

 

 急にエンライトさんは大きな声で俺の名前を呼んだ。

 

 

「なんだ?」

 

「私たちを助けてください。お願いします」

 

「任せてくれよ。なんて言ったって、俺は何でも屋のジェネシスなんだから!」

 

 

 そして俺は、急いで運転台から飛び出して列車の上に登った。

 煙突から絶えなく吐き出し続ける煙を抜けると、真下には物凄いスピードで流れていく線路が見える。

 賢いやり方じゃないかもしれないけど、俺の頭じゃこれしか思いつかない。

 

 

「ちょっと無茶するけど、お付き合い頼むぞ、フェルト」

 

『大丈夫です』

 

「よし、いっちょやっちゃるぜ!」

 

 

 剣を腰にぶら下げ、そして俺は、そこから飛び降りた。

 俺は全身で列車を受け止めた。超便利な粒子の力を使い、足と手を保護しながら、力技で列車の減速を試みる。

 

 

「止まりやがれよコンチクショォォォオオオ!!」

 

 

 だが、手足による粒子だけじゃ減速が足りない。無慈悲に鉄の塊は俺を押し潰そうと前進を続ける。

 

 

「なら、これならどうだ!?」

 

 

 粒子を使って杭を作成。それを左右の車輪とレールの間に噛ませてやった。

 車の輪留めのように、止まっている車を動かない様にするイメージでやってみたが、相手は全速前進する列車。それで簡単に止まるはずもなく、その杭は列車の力に負けて折れてしまった。

 

 これもダメなのかよッ!!

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