剣になれる銀髪美少女を助けた俺は何でも屋を始めることにしました   作:加藤あきら

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第18話『これが俺たちジェネシスだ』

「クソ……。つ、次は……そうだ、この手なら!!」

 

 

 同じくジェネレーターが生み出す緑色の粒子を、今度は縄状にして地面に張り付けていった。同じように何本も、何本も、何本も、左右にそれぞれ地面に張り付けていく。

 永遠と伸び続ける粒子で作った縄を俺は手に持ち……縄の生成を止めた。

 

 すると、どうなるか。

 

 

「ぐぅぅぅ!?」

 

 

 無論、俺の腕にはとてつもない負荷がかかる。

 絶対に離すもんかと、俺は力強く粒子で作った縄を握りしめるが、その決意を打ち砕くかのように列車という鉄の塊は俺を押し続ける。

 粒子で作り上げた縄どれだけ持つのか、そして、粒子で保護しているものの、相当な負荷がかかっている俺の腕はどれだけ持つのか。

 とにかく、この列車が止まるまで持てば俺の勝ちだ。

 

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおおお!! 止まれよォォォオオオオオオオオオ!!」

 

 

 叫ぶことで俺の意識が飛ばない様にするしかなかった。

 しかしミシミシと音を立てながら縄が一本、また一本と千切れて粒子に戻り霧散する。

 

 俺の意識を保つことが出来ても、この粒子で作った縄が耐えられなければ意味がない。

 

 段々と近づく破壊された線路。これに到達してしまえば、この列車は脱線して奈落へと吸い込まれる。

 そんなこと起こさせてたまるか。何でも屋の意地にかけて、乗客の命を守らなければならないんだ!

 

 

「ふざけんな、ふざけんなふざけんな! 止めるぞ、絶対に止めるんだよォ!!」

 

 

 確実に列車は減速してるんだ。もう少しで止まるってのに、慣性という物理法則がずりずりとゆっくり列車を進めている。俺ひとりじゃ、これだけの質量を持つ慣性を完全に殺すことができない。ついには先頭車両の一番前の車輪が脱線した。万事休す。そう思った次の瞬間。

 ヒーローは遅れてやってくる。

 俺にできない事を平然とやってしまう最強の見習い魔法使いが。

 

 

『おまたせしましたサカイさん! ここは私にお任せください!』

 

 

 魔法の念話によって頭の中に直接響き渡るリリアン=マクファーレンもといリリーの声。

 

 

「リリー、なのか!? お前、学校はどうした、んだ、よっ」

 

『今日は午前授業だったんです。それよりも、早いとこ止めてしまいますよ』

 

「おう!」

 

「マジックネット! そしてチェーンバインド!」

 

 

 そう詠唱した瞬間、列車の目の前に魔力を練って作り上げた網が現れ、さらにそれを魔力を練って作り上げた鎖によって完全に縛り上げられる。

 ついに進み続ける列車が完全に止まろうという所まで来た。俺とリリーの魔法によって完全停止まで持っていくことができたのだ。

 

 すでに先頭車両の一番前の車輪は崖を通り越し、接地していなかった。本当にギリギリの勝負だったと言える。

 粒子で作った縄を分解して手を離すと、腕がなくなったみたいに感覚がなくなっていた。動きはするものの、それを感じ取る事ができない状態だ。

 

 しばらくは安静にしてないとヤバいかもな……。手の感覚もないし、下を向けば崖下のここでは気が休まらない。とにかく早いとこ地面に足をつけよう。

 

 

「いやぁ、サカイさんが時間稼ぎをしてくれたおかげで間に合いましたよ!」

 

 

 上の方から元気な声がしたので上を向くと、ふわりと女の子が下りて来ていた。スカートなのになぜかパンツが見えない。これも魔法の力なのか? 解せぬ。

 

 

「助かったぜリリー。今回ばかりはダメかと思ったよ、たはは……」

 

 

 ブレザーを着たミニスカ黒髪美少女こそ、俺たちジェネシスの四人目の仲間。最強の見習い魔法使いリリアン=マクファーレン。俺たちはリリーと呼んでいる。

 

 彼女は俺たちが住んでいる街、クリオタウンにある魔法学校に通っているピカピカの一年生。一六歳にして強力な上級魔法を平気で使えてしまう才能を持っている。

 彼女が親友を助けたいと俺たちに依頼してきたことから知り合い、そして今じゃアルバイトとして働いてもらっている。

 

 

「今日は午前で学校が終わる日で良かったです! おかげで駆けつけることができました!」

 

「面目ないです。マジ感謝してます」

 

「そ、そんなに畏まらないでくださいよ! えと、あ、あぁそうだ! 今回の依頼料ってたくさん入るんですよね? みんなで美味しいものでも食べましょうよ!」

 

「そうだな、そうしようか……。あ、そうだ」

 

 

 俺はフェルトを再び剣から人間の姿に戻してあげた。

 

 

「今回もありがとうな、フェルト。あと、あのとき蹴っちまって悪かったな」

 

「そうですね。当然、お詫びに今日の夕食では美味しいものを食べさせてくれますよね」

 

「おう、まかせとけ!」

 

 

 ブロロロロ、とマフラーからの音が鳴り響く。このうるさい音は間違いない。

 

 

「お~い! 大丈夫かナオシー」

 

 

 車の窓から身を出して手を振りながらこちらに向かってくるロディ。

 

 これで全員が揃った。

 

 戦いに限っては右に出る者はいない――俺ことナオシ=サカイとフェルト。

 

 走りでは誰にも負けない――イカれたスピード狂、ロディ=ピットマン。

 

 一六歳にして上級魔法を取得――最強の見習い魔法使い、リリアン=マクファーレン。

 

 これが何でも屋『ジェネシス』だ。

 俺たちは“何でも屋”と謳っているのだから「どんな事でもやっちゃる。それが法を犯す事でなければ」をモットーに今まさに名を売り始めている。

 

 

「皆さん、早く後処理をしてしまいましょう。そして美味しい物を食べに行きましょう」

 

「そうだねフェルトちゃん! 私、お肉が食べたいです!」

 

「あ、俺も俺も! 分かっているよなぁ、ナオシ?」

 

「もちろんだ。報酬貰って今晩はご馳走だ! ステーキ食おうぜ、ステーキ!」

 

 

 とにかく、今は仕事を終わらすことを考えよう。

 今晩はみんなで楽しくご馳走だ!

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