【完結】機動戦士ガンダムSEED Infancy   作:丹寺 錯視屋

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 デュランダル議長について自分の中で整理がつきました。感想で教えてくださった皆様、本当にありがとうございます。


ジブラルタルにて

 地球上において、ザフトの最大規模の基地。それがジブラルタル基地である。何十隻もの戦艦を停泊させることができ、何百ものモビルスーツを格納している、ザフト随一の基地にミネルバは停泊していた。

 

「……不思議な気分よ」

 

 タリアはミネルバの艦長席に座りながら言う。

 

「地球連合軍の一部が味方になるなんてね」

 

 その命令を見たとき、タリアは目を見開いた。地球連合軍と協働し、ロゴスを討てと、そういった内容の命令だった。

 

「……アーサー、パイロット達は大丈夫そう?」

「かなり緊張している様子ですが……大丈夫だと思います」

 

 そう、とタリアは返す。

 

「私達もそろそろ準備しましょうか」

「はい!」

 

 タリアは立ち上がると準備をするために艦長室へと向かう。

 ……ミネルバ組はザフト代表として、地球連合軍ロゴス討伐艦隊()()、ドミニオンの主要メンバーと面会が予定されていた。

 艦長タリアと副長アーサー。パイロットはアスラン、シン、レイ、ルナマリア。

 ドミニオン側はナタル、ネオ、ミーシャ、スティング、アウル、ステラというメンバーだ。

 

「シンが噛みつかなきゃいいけど」

 

 タリアは今から憂鬱だった。

 

 ――ルナマリアは死ぬほど緊張していた。忘れもしないクレタ島沖の戦闘で、遥か上空に陣取って自分達をいいように攻撃した魔弾の悪魔と今から会うのだ。子供だとは聞いている。もし殺しを楽しんで笑うような子だったらどうしよう。シンはシンで今から敵と会うっていうのになんかソワソワしているし。

 シン達ミネルバクルーが待たされているのは大きな部屋だった。大きなソファが二つ向かい合わせになっていて、その間に大きなテーブルがある。七人がかけてもゆったり座れそうなほどの大きなソファに、ミネルバクルーは座って待っていた。

 

「もうすぐ来られます」

 

 案内のザフト兵の声で、一同は立ちあがる。

 そして、彼女達が部屋に入ってきた。先頭は艦長のナタル。その次にミーシャ、ネオ、スティング、アウル、ステラの順だ。

 全員、ミーシャの驚くほど小さい背と、幼い顔立ちに驚く。何せ彼女はまだ13歳なのだ。

 ……きっと、色々と段取りがあったのだろう。しかし、最後尾のステラがシンの顔を見るなり列を飛び出してシンに抱きついたことで全部無茶苦茶になってしまった。

 

「シン!」

「ステラ!」

 

 シンもステラに同じように抱きしめ返す。

 

「は?」

 

 ルナマリアが驚くほど低い声を出した。ナタルは顔をしかめるしタリアは呆れたように目頭を抑えるし、ミーシャは楽しそうにお腹を抱えている。

 

「あはははは……! よかったね、ステラ」

「うん! シンと会えた! 殺し合わずに会えてる!」

 

 ステラはシンと一緒にくるくるとその場を回る。無邪気なその姿に、……そして、ただ再会を喜ぶその言葉に、全員の毒気が抜かれる。

 

「……段取り全てが台無しになったが……。友好の意思は変わらない。私はナタル・バジルール大佐です。この度の作戦、実りあるものにしましょう」

「あのときの子が幸せそうでなんだかホッとしたわ。私はタリア・グラディスよ。お互い仲良くできたらいいですわね」

 

 艦長同士が握手をすると、お互いに自己紹介が始まる。

 

「自分はアーサー・トラインです。正直戸惑ってます  」

「俺はネオ・ ロアノーク。この仮面は顔の負傷を隠すためでな。こんな場でも外せなくて申し訳ない」

「いえいえ」

 

 アーサーとネオが握手する。

 

「私はミーシャ・バレンタイン大佐。そういやこうやって直で会うのは初めてだっけ、アスラン」

「……そうだな、ミーシャ。俺はアスラン・ザラ。モビルスーツ隊の隊長だ」

 

 ミーシャとアスランがぎこちなく握手する。殺し合い、怒鳴りあったことはあってもこうやって穏やかに話した経験など殆どなかった。ジェネシスのときくらいである。それがこうして仲間として戦うことになるとは。人生わからないものである。

 

「俺はスティング・オークレー少尉。ウチのステラが迷惑かけて悪ぃ」

「僕はアウル・ニーダ少尉。ステラを誑かして……おたく結構やるじゃん?」

「ふふ、ステラはね、ステラ・ ルーシェ少尉だよ。一緒に戦おうね、シン」

 

 連合側が自己紹介すると、ザフト側も同じように自己紹介する。

 

「俺は……俺はシン・アスカ。今のところミネルバのエースだ……です」

「私はレイ・ ザ・ バレル。此度の共闘、嬉しく思います」

「私はルナマリア・ホーク……。ねぇ、ルーシェさん。ウチのシンとどういう関係?」

「関係……? 友達!」

「そ、そう……」

 

 お互いに自己紹介が終わると、全員ソファに座った。当然のようにステラはシンの隣に座った。

 

「……ミーシャ」

「ん?」

「俺達はキラを討った」

 

 アスランの言葉に、ミーシャはキョトンとする。

 

「知ってるよ?」

「何もないのか?」

 

 ミーシャはアスランが言いたいことがいまいちつかめない。

 

「ないよ。だってキラ、テロリストだったじゃん。ウチだってそっちだって被害受けたでしょ?」

「だが! キラとお前は! ……お前は、仲が良かったはずだ」

「一方的に私が好きだっただけだよ」

 

 その言葉に、シンの顔が曇る。こんな子の好きだった人を俺は……。しかし、当の本人は周囲が心配になるレベルでケロッとしていた。

 

「そんなことはないだろう。あいつだってきっとお前のことが……」

 

 その言葉にミーシャはむっとなる。

 

「やめて。確かに身体の関係はあったけど、キラと私は好き合ってなんかなかった。――てかいきなりなに? 泣いて責めてほしかったの?」

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 その場にいるミネルバクルー全員が思った。しかし、流石に聞くのは憚られる。

 

「そういうわけじゃ……」

「戦場に出てきたんなら殺し殺され当たり前じゃん。キラもコクピット撃つの嫌がってたけど、手加減ってわけじゃないし」

「えっ!?」

 

 シンが驚いたような声を上げた。

 

「どうしたの、アスカ」

「いや……手加減じゃないってどういうことですか?」

「ん……もしかして……あ、そっか。キラ殺したのアスカか」

 

 シンはその言葉になんと言えばいいのかわからなかった。何を言っても不正解な気がする。何せ相手は……その、聞き間違いじゃなければ、キラと肉体関係があった相手なのだ。……肉体関係だって? 当時はマユとほぼ同い年……。マユに男がいたとしたら……。きっとシンはそいつをインパルスのビームサーベルで焼却することを躊躇わないだろう。

 少なくとも、逆上してくる可能性は捨てきれない。だがミーシャはふわりと柔らかくほほ笑むとシンに言う。

 

「強かったでしょ」

「え? ええ、はい」

「ふふふ、私だってヤキンで殺し合ったけど、勝てなかったんだ。いいところまではいったんだよ? ……でね、キラは元々民間人で、いきなり戦場に放り込まれたの。それから休む暇もなく戦い続けて……たぶん、どっか壊れちゃったんだろうね。自分はたとえ殺されることになったとしても殺したくない、とかそんなことを考えるようになったんだよ」

「でも……ミネルバのタンホイザーにはたくさん人が巻き込まれて……」

 

 シンが小さく呟くように言うと、ミーシャはしばらく考えてから言う。

 

「そのことを広域通信かなんかで伝えれば、多分戦艦も撃てなくなると思うよ」

「……そうなんですか」

 

 ん、とミーシャは頷く。テーブルの上のお菓子……個包装の物を指さした。

 

「これ、頂いても?」

「え? ええ。お好きにどうぞ」

 

 タリアが答えると、ミーシャはそのうちの一つ、チョコレートを手に取ると袋を開けて口にする。毒を全く疑っていない様子に、その場の全員が驚いた。

 

「……ま、キラの話はもういいじゃん。さ、ジブリールのクズをブチ殺す算段付けようか」

 

 ミーシャは少し雰囲気が変わる。ただの子供に見えていたのが、まるで圧力を増したかのようだった。

 

「まず、ジブリールのクソはヘブンズベース……今の大西洋連邦の司令部に引きこもってる。『お前を殺す』って脅しといたから多分出てきたりはしないはず」

 

 ミーシャにそんなふうに脅されたら普通の人間は縮み上がるだろう。

 

「……で、こっからが悲報。カス野郎のジブリールは味方すら信じられないパラノイアを発症してるせいで防衛戦力の大部分を味方にも教えてないから……ほとんど不明なの」

「――あなたが隠してるんじゃないですか?」

 

 ルナマリアが恐る恐る、しかしはっきりと聞いた。しかしミーシャは怒るでもなく慌てるでもなく苦い顔をして、頷いた。

 

「そう言いたい気持ちすごくよくわかる。何なら自分たちが捨て駒になるんじゃないか……そんな気持ちもわかる。大西洋連邦は前科アリだし。でも本当にないの。ただ……実家の力で金の流れ追ってみたんだけど、ベルリンで暴れたアレ、少なくとも3機分は存在を確認した。それだけの金と資源が流れてる」

 

 シン達の間に衝撃が走る。あんなに苦労したデストロイが、少なくとも3機。絶望的にも見える。

 

「でも、そこまで心配しなくて大丈夫」

「なぜですか? アレはかなりの脅威だ」

 

 レイが聞くと、ミーシャは言いにくそうに悩みながら……でもどうせ向こうも知ってるだろうしなぁと思って、それを口にした。

 

「アレのパイロット、戦場に出て数時間で死ぬ設計なの」

「俺等の後輩なんだぜ」

「ま、上の方針はかなり違うみたいだけどな。俺はまともな上を持って幸せだぜ、隊長」

「もう。こんなので持ち上げられても嬉しくないよ」

 

 スティングが自嘲っぽく笑うと、シン、ルナ、レイの3人が苦い顔をする。エクステンデッド。ステラがそうであることは知っていたが、まさかスティングもアウルもそうとは。

 

「何よ、それ……。みんな、ベルリンの時みたいに子供なのよね?」

「まぁ……そうだと思うよ。子供を薬と手術で強化して、苦痛で言う事聞かせて戦闘中は快楽流し込んで……ついた名前がAG生体CPU」

 

 バン、とシンはテーブルを叩いて立ち上がった。

 

「……なに?」

「なんであんたそんな平然としてるんだ。子供をそんな目に遭わせて……! それに、君だってロゴスなんだろ?」

 

 シンが怒ったことに、ミーシャは嬉しそうにほほ笑んだ。子供を戦場に無理矢理引っ張り出すことに対して怒ってくれる人がザフトにいる。それがわかっただけでもこの面談には意味があったと言えるだろう。

 

「私の生まれる前から始まってた研究なんて止めようがないよ。それに、できる範囲でそんな非道やめさせてる。……アスカ。あなたにはステラが可哀想な生き物に見える?」

 

 ミーシャは心配そうにシンを見上げるステラを見た。彼女の純粋な好意はどこまでもまっすぐで、しかしその瞳には知性の色が宿っている。彼女はちゃんと自分で選んで、考えて、ここにこうして座り、こうして振る舞っている。

 シンはペコリと謝るとソファに座り直した。

 

「すみません」

「いいよ。私だってエクステンデッドあたりの話聞くと気分悪くなるし。ぜーんぶあのゴミジブリールが悪いんだから」

「……なぜあなたはそんなにもベルリンのモビルスーツについて詳しいのです?」

「あいつが嬉々として語ってきたから。想像してよ、えーっと……バレル? ザバレルってことはないよね?」

「ええ。気軽にレイとお呼びください」

「ありがとう、レイ。民間人虐殺兵器をおもちゃを自慢されるみたいに語られる光景。しかもほんの7歳くらいの子供をどう痛めつけてどう改造したかを嬉しそうに語るのよ? こいつは絶対消さなきゃ世界が滅びると思ったね。

 ――っていうかなんかその名前、ムウ・ ラ・ フラガとかラウ・ ル・クルーゼ思い出すね」

 

 ミーシャが何気なく出したその名前に、レイが食いついた。

 

「ラウを知っているのですか?」

「いい思い出じゃないけどね。殺し合った仲だよ。殺したのは私じゃないけどね。知り合い?」

「……ええ、まぁ。そんなところです」

「……声似てるし、親子……いや、親戚?」

「当たらずとも遠からず……ですね。これ以上はご容赦ください」

 

 レイが言うと、ミーシャは頷いた。

 

「ごめんね。踏み込んじゃって。ええと、なんだっけ」

「隊長がジブリールをどんだけ嫌いかって話だったと思うぜ?」

 

 アウルが言う。アウルもスティングも普段より口数が少ない。それもそうだろう。ここは敵地ど真ん中。ミーシャの態度は双方の緊張を和らげるいい塩梅なのだが、それにしたって警戒が見えない。ミーシャの代わりに、二人は普段より警戒しているのだ。

 

「そうそう。で、腰抜けジブリールは他にも秘密兵器持ってそうだから一筋縄ではいかないよって言う話」

「……ミーシャ」

「なに、アスラン」

「お前はロゴス……なんだよな?」

「うん。一応ね」

「ロゴスってなんなんだ?」

 

 ミーシャはしばらく悩む。本当のことを言ってもよかった。だが、ここには実際に前線で戦う兵士がいる。士気が下がるような事は言えない。

 

「みんなの想像通りの組織だよ。中から変えようとしたんだけどね、まーこれが上手くいかないのなんの。特に鬱陶しいのは卑怯者のジブリールだよ。それでね――」

 

 ミーシャはそれからも語る。なんだかんだ、ミネルバクルーとドミニオンクルーはお互いに考えていることをより深く理解し……。

 

 ……戦場で出会ったとしても、撃ちたくないな、と、そう思わせるに至った。

 

 その日の夜。アスランとシンはデュランダルに呼び出された。彼は二人を極秘の格納庫に連れていった。そこで、二人は新しいモビルスーツを見せられた。これが君たちの新しい武器なのだと。

 デスティニーとレジェンドの二機を前にして二人は機体を見上げる。

 

「うわぁ……! 議長、ホントにいいんですか、俺に!」

「もちろんだよ、シン。このデスティニーは君用に調整してある。むしろ受け取って貰えないと困ってしまう」

「いえ! もちろん、喜んで受けとらせて貰います!」

 

 ビシ、と敬礼するシンにデュランダルは微笑ましそうに微笑む。

 

「……アスラン。君は彼女に会っただろう?」

「――ミーシャですか」

 

 デュランダルは頷く。ミーシャ・バレンタイン。彼女をデュランダルは普通の人間とは違う視点で見ていた。

 

「……連綿と紡がれる遺伝子が齎す才能は彼女に無限の可能性を与える」

「おっしゃられる意味がよく……」

 

 困惑するアスランに、デュランダルは遠くを見るような目をする。

 

「シン。君は今から戦争をやめてお金持ちの子供が通う学校に通えると思うかい?」

「え? ……いや、俺は無理ですよ。そんなに勉強得意じゃないし……話が合わないと思います」

 

 デュランダルはアスランを見る。アスランの答えもそう変わらない。首を振ると、デュランダルは鷹揚に頷いた。

 

()()()()()()()()()()()()()。今までずっと勉強のために人生を費やしてきたような子女達が屯する空間に、1年近くを戦乱に身を置いた上で馴染んだのだよ。遺伝子に宿る無数の才能を彼女は如才無く発揮し……彼女は自由に生きている」

 

 彼女の生き方は常にデュランダルの理想を揺るがせる。……複数の分野に最高レベルの才能があったら人はどうするか。二足の草鞋を難なく履きこなし、戦場と日常を行ったり来たりしても幸せになれる。彼の計画で彼女は一体どう割り振られるのか。

 

「……彼女は常人と隔絶している。彼女はきっと命令があれば明日にでも銃を置き、学生として生きられるのだろう。戦士としてしか生きられず、優しさも捨てられず……それでも戦うことをやめられず、最後にはテロリストとしてその生を終えた()と違って」

「……キラは……キラはそんなやつじゃない」

 

 アスランはデュランダルにそう返すしかなかった。

 

「……私はね、シン。才能が日の目を見ることなく潰えることは人類に……遺伝子に対する冒涜とすら思っている。優れた戦士には優れた武器と、正しい理由が必要だと思う。シン、どうか私に、君が活躍する場を整えさせてほしい」

「えっ……お、俺に?」

 

 プラント最高議会議長。そんな肩書の人間にそこまで言われて冷静でいられるほど、シンは擦れていなかった。見るからに浮かれた様子で新機体……デスティニーとデュランダルの間を何度も視線を行ったり来たりさせる。

 

「バレンタイン大佐からロゴスの真実は聞いただろう?」

 

 ()()()()()()()、デュランダルはシンに聞いた。シンは苦い顔をして、苦渋に満ちた表情で頷く。

 

「……はい。アイツラは本当に酷い奴らで……。子供を無理矢理モビルスーツに乗せたり……議長が演説で言ってたままの悪い奴らだって思いました」

 

 デュランダルはシンに同調するように悲痛な顔をする。内心の喜びを上手く隠しながら、彼はデスティニーを指差す。

 

 ――バレンタインは裏切らなかった。やはり彼女は()()()だ。

 

 デュランダルはそれからさらに二人に語る。先の明るい未来を。自分が示す道の素晴らしさを。

 

「議長」

「……アスラン、何か思うところがあるのかな」

 

 子供のように聞き入り、心酔するシンとは違い、アスランはずっと難しい顔をしていた。デュランダルがそれを聞くと、アスランは思い切って、聞く。

 

「なぜ、アークエンジェルを討てと、命じられたのですか」

「それを……聞かれるとは思わなかったな。彼らは強大な力を理解の及ばぬ理由で振るう……テロリストだ」

「しかし……彼らは戦争を止めたかっただけなのです。話す余地もなく討伐するなど」

「話し合いを拒絶したのはアークエンジェルだよ、アスラン。彼らは最初、ミネルバを撃って戦場に現れた。そうだろう?」

「ん……それは、そうですが」

 

 アスランは苦い顔をする。確かにそうだ。警告も、話し合いもせず、最初に撃ったのはキラなのだ。先に撃っておいて話を聞いてくれなんて通用しないし……そもそもキラ達は対話など望んでいなかった。

 

「彼らのせいで戦場は混乱に混乱を極め……結局、双方無駄に死者が増えた。私個人としても、プラント最高評議会議長としても、彼らの存在は到底許せるものではなく……討てと、命じるほかなかったのだ」

「……彼らの想いは、本物です」

 

 アスランはなおも言い募る。しかし、デュランダルは不思議そうに聞いた。

 

「なら、なぜ彼らはここに来ない?」

「え?」

「私の真意を、この戦闘の真意を探りたいなら来ればいい。フリーダムはなくとも、アークエンジェルはおそらく健在だろう。私とて彼らが話をしたいというなら喜んで話そうと思っているよ。……だが、今もなお彼らは来ない。私が思うに……。彼らはオーブに関わりがなければ、戦うつもりはないのだと思う」

「そんなことはありません! 彼らは戦争のない世界を望んでいて、そのために戦っていたのです! だからベルリンにもやってきて、デストロイと戦った!」

 

 アスランが言い切ると、デュランダルは少し驚いたような顔をして……納得したように頷いた。

 

「君ほどの男が言うんだ。信じたいと思う。だが……。ここにいないことには、どうすることもできないんだ。わかってほしい」

「……わかりました。俺も……その。すみませんでした」

「いや……気にすることはないよ」

 

 シンとアスランの二人はそれから、デュランダルと別れると滞在する部屋に通された。

 

 ――その日の、更に夜が更けて。

 

 ……アスランの滞在する部屋が、ノックされた。

 

 彼らは、ザフトの保安部を名乗っていた。




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