【完結】機動戦士ガンダムSEED Infancy   作:丹寺 錯視屋

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世界平和監視機構、発足

 最強の勢力、オーブ。きっと前の大戦の時にオーブのことをそう言う人がいたら笑われてたと思う。でも今は名実共に最強の軍を擁する最大勢力だ。

 ザフトも地球軍も戦争の爪痕は深く、まともな軍事行動を起こせる規模はもうない。唯一オーブだけが、着々と力を蓄え、軍事力トップに躍り出たのだ。……まぁ、そう簡単にいかないけど。平和利用するという前提はあるものの、ダイダロス基地の所有権はプラントにあるのだ。やろうと思えば使ってくるだろう。基地を吹っ飛ばす以外の方法でレクイエムを解体できないのだから、誰かが所持、管理しなければならない。オーブに持たせたら力を持ちすぎるし、民間人に向けて撃った地球軍も適さないという理由で、プラントが管理することになった。……ムカつくなぁ。吹っ飛ばさなきゃ解体できないなら吹っ飛ばせばいいのに。

 私はオーブ首相官邸の貴賓室でそんなことを思いながら人を待っていた。ふっかふかのソファに腰掛け、私の応接をする人を待っている。テーブルの上には麦茶がおいてある。麦茶か。あんまり飲まないなぁ。スマホで適当にネットを見ながら人を待つ。今は制服こそ着てるけど足の船に戦闘能力はない。モビルスーツはもちろん戦闘機だって積載能力がないマジもんの非武装船だ。対空砲くらいは積んでるけどそんなの私にしてみればないのと一緒である。

 スマホ持ち込んでいいか艦長に確認したらそもそもそんなこと気にしてる兵はうちにはいないとか言われてあんぐりした。まぁそりゃ前の大戦でもこの前の戦争でも主役主力はモビルスーツ搭載可能艦であって、こういう船まで動員することはなかった。戦火から遠い後方の意識ならそんなもんなのかなぁ。

 ノックが聞こえて、スマホをしまう。どうぞと言うと、人が入ってきた。

 

「はじめまして、お待たせして申し訳ありません」

 

 扉を開けて入ってきたのは同い年くらいの男の子だった。私は立ち上がると手を差し出す。

 

「こちらこそはじめまして。時間を取っていただいてありがとうございます。私は地球軍大西洋連邦第81独立機動群所属ミーシャ・バレンタイン准将です」

「ご丁寧にありがとうございます。トーヤ・マシマです。気軽にトーヤとお呼びください」

 

 握手を交わすと、彼は微笑んで言った。癖っ毛な金色の髪と、グレーの利発そうな目が優しげに微笑んでる。可愛らしい人だ。

 

「私のことも是非ミーシャと」

「はい、よろしくお願いします、ミーシャ」

 

 挨拶を交わすと、私達はソファに座って会談をはじめる。議題は今後の世界について……もっと言うなら世界平和監視機構発足に向けた調整だ。――なんで私みたいな子供たちがこんな国家運営にガッツリ関わってるんだろ?

 ……それにはもちろん理由はある。

 しばらく私はトーヤと雑談をする。趣味の話題から最近あったこと……なんだかお見合いみたいですね、と言ったら彼は顔を赤くして照れた。その表情が初心で、愛らしく思った。

 次第に私達は敬語もやめようということになった。外ならともかく、二人きりの時ならいいじゃないか、と。トーヤも頷いてくれるくらいには打ち解けた。

 

「……今回の話、オーブが主体となってやってるけど……その実細かい調整してるのは私とトーヤ。なんか上から練習台程度に思われてるのがなんか悔しいね」

「ええ。今回の案はカガリ姉さまが賭けているんだよ。それなのに地球連合は……」

 

 本来は見習いらしいトーヤがこうして実務の話し合いに出ているのは、私が原因だった。大統領が私にさらなる実績を、と私に調整役を命じてきたのだ。……で、カガリは年の近いトーヤを交渉相手に指名した、と。そういうわけである。正直大西洋連邦としては今回の件成功しようが失敗しようがどうでもいい。そもそも地球軍とオーブの同盟を、世界平和監視機構コンパスに限定するという条約改正が成されさえすればそれでいいので、ガワさえ整えてくれればオッケーと、大統領直々にそう言われた。そのくせ権限は与えられるだけの権限全部与えてきた。権利には責任が付き纏うって学校で教わらなかったのかあいつ。子供におっかぶせる責任じゃないんだってば。

 

「まぁ……ポジティブに考えよ。上としてはオーブとの同盟が限定的になればそれで良し、レベルだけど……真面目にやるなとも言われてないの。権限もあるだけくれたし。子供に無駄に権限与えるとどうなるか思い知らせてやる」

 

 私が言うと、トーヤは可笑しそうにクスリと笑った。笑顔に思わず見惚れる。

 

「ごめんなさい。でもあの魔弾の天使が悪戯っ子みたいなこと言うから……」

「なによ。私達まだ14なんだよ? 理不尽にはこなくそって言わなきゃ!」

「ふふ、そうだね。じゃあ、話を詰めていこうか」

 

 うん、とお互いに少しずつ話を進める。

 

「……よし、こんなもんかな」

「……なんか大西洋連邦を財布にするみたいになったけど大丈夫?」

「大丈夫大丈夫。元の案だとリスクは少ない代わりに全然口出しもできないし、損ばっかってわけじゃないよ」

「……モビルスーツ2機とパイロット4名……確かに見た目は少ないね」

「でしょー。大西洋連邦代表が私だから、人事も思いのままなんだよね」

 

 なんか好き勝手に人を配置できる快感は癖になりそうだ。正直余計なノイズを増やしたくないしちょうどよかった。

 

「……ミーシャが少し羨ましいよ」

「え、なんで?」

「僕は……カガリ姉さまの後継として勉強してるんだ」

「え、そなの?」

 

 トーヤは頷く。カガリに後継? どう考えたってまだいらないだろう。

 

「てっきりカガリとアスランの子供が後継になるのかと」

「オーブでは直系は後継者になれないんだ」

「へー……。貴族主義の真逆みたいだね」

 

 変な制度だな、と思ったけど連合制の国ならそういうこともあるのかな。

 

「そういやユウナはどしたん? 横槍入れてくるなら考えるけど」

「ううん。戦後にロゴスとの癒着とか横領とか見つかってね。今は牢屋で裁判待ち」

「ならいっか」

 

 その罪なら処刑ってこともないだろうし、なんかホッとした。ムカつくこともあったけど死んでほしいとまでは思ってなかったから。

 

「それで……トーヤが後継ってのはわかったけど、それがどうしたの?」

「……姉さまは凄いんだ。姉さまだって僕とそんなに年が変わらないのに大人たちとバリバリ働いて……国を率いている。このまま大人になって僕が同じことできるとは思えなくて」

 

 ……まぁ、最近のカガリは名実共に凄い指導者だ。何せ経験がそんじょそこらの人と違う。

 

「……まぁ、トーヤにアカツキに乗ってデスティニーと戦えるとは思えないしね」

「うう……」

「でもそれでいいんだよ」

「……え?」

 

 私なりに、カガリがなぜこんな早い時期から後継を指定しているのかを考える。カガリのお父さんはそれこそ結構な年行くまで後継に道を譲らなかったし、譲ったあとも何かと口を挟んでいたらしい。

 

「カガリの人気は簡単に言えば英雄としての人気なの。身を挺して国を守った。その確固たる実績がカガリを支えてるの」

「……そうだよね」

「でもそれって今の時代健全じゃないと思わない?」

 

 トーヤは目を見開いて私をじっと見る。

 

「カガリは……言い方悪いけど人殺しだよ」

「違う! オーブで戦ってた時、カガリ姉さまは誰も殺さなかった!」

「その前。バクゥ相手に地雷仕掛けて盛大に吹っ飛ばしてたよ」

 

 トーヤは絶句した様子だった。この様子では知ってはいたらしい。オーブって何かと秘密多いらしいんだけど、その中でも一番の秘密は、ズバリあのときのことだ。

 ――かつてカガリはアフリカでザフト相手にレジスタンスに参加していた。

 その秘密を知る人間はほんっとうに限られているらしい。

 

「……でも、それは」

「だから、これから先の未来は奇麗なあなたが、率いていくの」

「……でも……」

 

 ううん、と私は首を振る。

 

「ねぇ、私がムカつく奴と会ったとき何考えるかわかる?」

「え? ――どうやって離れるか……ギャフンと言わせるかとか?」

「どうやったら殺す口実できるかな、だよ。……まぁ、ジブリールレベルじゃなきゃそこまで思わないけど。でも一回でも人殺したら、『こいつ殺そうかな』って意識はどっかに出てきちゃう。そういう人は、平和な世界で上に立っちゃだめなんだよ」

「……」

「トーヤ。きっとトーヤはカガリの希望なの。だから、ゆっくり確実に勉強していくといいよ。絶対に銃なんて握らないでね」

 

 私はそう言うと、トーヤは柔らかく微笑んだ。

 

「……ありがとう、ミーシャ。思ってたより、ずっと優しい人だね」

「ありがとう。ねぇトーヤ、一緒に写真撮ろう? 記念にさ」

 

 私はトーヤの方に移って彼の隣に座る。スマホの写真を起動すると自分の方にカメラを向ける。

 

「……え? い、いいけど」

 

 パシャリ。私は写真映りを確認する。うん、悪くない。

 

「じゃあトーヤ、写真送るから連絡先教えて?」

「え、あ、うん」

 

 トーヤに教えてもらった連絡先に写真を送る。『これからよろしくね』とメッセージも添える。

『よろしくお願いします』と返事が帰ってきた。思わず笑みが浮かぶ。

 

「……よし、じゃあ今日はそろそろ帰るね。今日決めた草案を元に、コンパスを作っていこうね」

「……うん!」

 

 私とトーヤはお互いに握手した。……ふふ、顔が赤くなってる。かわいい。

 

 ――

 

 ミーシャのオーブ入りから、しばらくの時が経った。トーヤとミーシャの連名で作成された草案を下敷きに、更に細かい調整を受けて、正式にその組織は発足する。

 

 世界平和監視機構コンパス。

 

 ――アグネス・ギーベンラートは新造艦ミレニアムのブリーフィングルームでカタカタと震える体をなんとか抑えていた。彼女は今、コンパス入りするザフトの仲間と共に自分達の隊長と顔合わせをするのだ。

 ――魔弾の悪魔と。

 

 忘れもしないあの日。月軌道戦でアグネスはザクファントムに乗って戦っていた。ムラサメを何機も落として戦後は英雄……そんなことを思っていたら、魔弾に襲われた。

 今でも夢に見る。アラートが鳴り響くコクピット。四方八方から曲がりくねって殺到するビームの雨。抵抗できずに無力化される自分。そして悪魔は見せつけるように銃口をこちらに向けるのだ。もし仲間が庇ってくれなければそのまま撃墜されていた。

 ……そうして自分を落とそうとした相手と今から会う。恐ろしいことこの上ない。

 

「……アグネス、大丈夫?」

「ルナマリア、あんた平気なの? あの魔弾の悪魔に今から会うのよ?」

「いや一度会ったことあるし……。いい子よ。味方でいるうちは」

 

 実感の籠もった言葉をアカデミー時代の同期は言った。

 彼女は今から元敵と会うというのに堂々としていた。シンもだ。

 思考が困惑するまま、その時は来る。部屋の扉が開いて――彼女が来た。

 身長156センチほど。幼さが抜けてそろそろ大人の女性として開花しようとする顔立ちは、愛らしさと美しさが両立している。大きな目はまっすぐにザフトの兵たちを見つめていた。彼女の後ろには女性が一人、男性が二人続いている。

 

「ミーシャ・バレンタイン准将だよ。今日からコンパスとして一緒に戦っていくからよろしくね。色々あったけど……ここは軍人らしく、割り切ろう」

「はい」

 

 意外なほど素直に、シンは頷いた。アグネスは驚く。あの落ちこぼれで狂犬みたいに教官に噛みついてたシンが素直にはい?

 ……腑抜けたんだな、とアグネスは思った。元々眼中にない男だったが、こんな子供に尻尾振るようになるとは。アグネスはミーシャの後ろにいる男を見る。仮面被ってる方は流石に論外である。だが、青い髪の男。彼はいい。地球軍でこんなに若いのにパイロット。凄まじく優秀なんだろう。

 

「じゃ、しばらく親睦を深めるということで」

 

 ミーシャが号令すると、ステラがまずシンのそばに駆け寄った。

 

「シン、久しぶり。ルナとは仲良くしてる?」

「うん。……不思議な感じだ。またこうして一緒に戦えるなんて」

 

 シン、ステラ、ルナマリアの3人は集まって楽しそうに話している。少し疎外感を感じていると、青い髪の男……アウルがアグネスの方にやってきた。

 

「よろしく。僕はアウル・ニーダ。アビスのパイロットやってるよ」

「アグネス・ギーベンラートよ。よろしくね、アウル」

 

 にこりと男を魅了する笑みをアグネスは浮かべる。最初から一気に距離を詰めて釣れる男なんて大した男じゃない。現にアウルは微笑んでこそいるが照れてすらいない。

 

「俺はネオ・ロアノーク。機体は……まぁまちまちだな」

「はい、よろしくお願いします」

 

 隊長のミーシャは交流が問題なく始まったことを見て腕を組んでうんうんと頷いている。……アグネスは彼女の人となりがわからない。

 

「私、前の戦争だと月軌道で戦ってたの。アビスも見たわ」

「お、そっか。君みたいな人を殺さずに済んでよかったよ」

 

 ――元々敵だった人と、誰も彼もにこやかに話している。アグネスにはそれが不思議だった。

 

 ……ミーシャはその場をネオに任せて、ミレニアムのブリッジに移動した。そこにはラクス、カガリ、キラがいた。艦長席にはアレクセイ・コノエと、オペレーター席にはアルバート・ハインラインが座っている。

 

「やっほー。パイロット達は今親睦深めてるとこ。プラントで飲み会とかどう? お酒飲みたい!」

「ミーシャ、まだ14だよね? ダメだよ」

「えー。甘いやつならいいでしょ? カルーアミルクとか!」

「あらあら……。ミーシャさん、甘いお酒をなんと呼ぶがご存知ですか? レディーキラーですわ」

「?」

「お持ち帰りしやすくする酒ということだ。お前はそういうところ脇が甘いからな……」

 

 クスクスとラクスは笑う。カガリは心配そうにしていた。

 

「むー……。でもプラントなら私以外みんな酒飲めるんでしょ?」

「それは無理ですね」

 

 スッとハインラインが立ち上がり、ミーシャの側による。ミーシャは大人のザフト兵が近づいてきて思わず一歩後退る。その仕草を見てハインラインはそこで足を止めた。

 

「これは失礼。私はアルバート・ハインライン。技術士官です」

「あー……ミーシャ・バレンタイン准将です」

「以後よろしく。――プラントでの飲酒喫煙ですが、期待されているところ申し訳ありませんが20歳超えるまで禁止です。責任能力を認められる年齢と、身体的に完成する時期には医学的差異が認められるため、このような制度になっています」

 

 随分と早口でハインラインはプラントの制度を解説した。……ただまぁ飲酒に関してはザフトに所属してすぐくらいに兵たちは飲み始めるが。律儀に二十歳を待つ兵などいない。

 

「え!? そうなの? アウルはポルノは買えたって言ってたよ?」

 

 ひく、とハインラインの顔が引き攣る。――医学的に晩婚化は出生率低下に関わる。生来子供ができないことが宿命付けられたコーディネーターが二十歳から結婚なんて、その種族特性からしてみれば遅いのだ。理想は学校卒業し、成人と同時に結婚……という流れなのだ。そういうどうしようもない事情があるため、性的なコンテンツの解禁は法的な成人と同時である。

 

 ――なんてことを大の男が家族でもない女の子相手に解説して社会的に死なずに済むだろうか? ハインラインの常識ではノーである。

 

「その解説については控えさせていただきます」

「え? ……まぁ、なら自分で調べるよ」

 

 ミーシャがそう言ってくれてハインラインがどれほど救われたか。

 

「……愉快な子なんだねぇ、バレンタイン准将」

 

 アレクセイ・コノエは席から立って言った。

 ……小さい子だ。14歳と言ったか。そんな子が准将? 地球軍は何を考えているのか。

 

「アレクセイ・コノエ艦長だ。よろしく」

「よろしくね。コノエ艦長」

「……勉強は好きかい?」

「んー、別に」

「ははは……そうだろうね。でも将来きっと、いつかどこかで必要になる。諦めてはいけないよ」

 

 ミーシャは頷く。

 

「世界が平和になったら、学校に行く」

「なら、急いで平和にしないとね」

 

 コノエとミーシャは頷き合う。

 

「……で、ラクス。私達の機体について相談なんだけど……ミレニアムで運用する機体は全部プラントで用意してくれるっていう取り決めだったけど大丈夫?」

 

 草案ではバレンタイン隊は機体を持ち込む予定となっていたが、最終的にはそうなった。

 地球軍が技術流出を嫌ったがゆえの取り決めだった。その分整備員もザフトで固められているため技術を盗み出したりはできないが、地球連合としては人員の供出は最低限で、金だけ出していればいい状態なのだ。

 ……あいも変わらず地球連合は金だけはある。そして金だけを出して人も物も失わずに済むのならそれに越したことはない。

 

「ええ。ミーシャさんにはキラと同じ機体に乗っていただきたいのです」

「キラと一緒の機体? ……競争する?」

 

 キラは顔を顰めて首を横に振った。

 

「戦闘中にそんなことするつもりはないよ」

「キラならそう言うよね……。えっと……事前に通知のあったライジングフリーダムってやつ? ストフリは?」

「ストフリって……」

「ええ。ストライクフリーダムは地上ではドラグーンが使えず戦力がダウンしてしまいますわ。それなら、いっそのこと新造してしまおうと思ったのです。ミーシャさんの部下にはゲルググかギャンかを選んでいただくことになります。そして、副隊長の方にはジャスティスを」

 

 ミーシャは悩む。金を大西洋連邦が出した関係でコンパスの予算は潤沢にある。アズラエルはそうでもないがミーシャがかなり資金を突っ込んだのだ。最新鋭機を全パイロット分造るくらいわけはない。

 キラを見ながら部隊編成について考える。

 

「キラ、男女で部隊分ける?」

「……僕にはシンとアウルって人かな、その人がよければだけど」

「あれ、ネオは? あと書類じゃドムのハーケンって人もいるみたいだけど……」

「ハーケン隊もミレニアムに所属する予定だな。それにネオは本人がアークエンジェルを希望してただろ? ミーシャ、知らなかったのか?」

「いや知ってるけど。アークエンジェル隷下のモビルスーツはオーブが用意するなら、ムラサメ? まさかアカツキ?」

 

 ミーシャが聞くと、カガリは首を振る。

 

「アレはお父様の形見で、本来なら私専用機なんだ。国の象徴を普段使いなどできるか」

「でもあのヤタノカガミだっけ? 意味わかんないくらい強いよね」

「……確かにヤタノカガミは素晴らしい。だがな……中身はほとんどストライクと同期なんだ。今の戦場にはついていけない」

 

 切実かつ現実な理由……スペック不足。ミーシャは残念に思うが納得した。

 

「初出撃はいつ?」

「今度、ジブリール派の残党がテロを計画しているとターミナルから情報がありましたわ。その鎮圧が初陣です」

 

 ミーシャはニコリと笑う。

 ……なんの憂いもない戦場。本当に久々だ。キラもアスランも、知り合いみんな味方にいる。みんな一緒に、正義のために戦える。

 こんな幸福があるだろうか。ミーシャは心からそう思った。




次回からSEED FREEDOM編に突入します。もうしばらく、お付き合いください。
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