放課後になると部活動生でいっぱいになるゲヘナ校内体育館。
汗と熱気が漂い、生徒たちの情熱と活力が溢れ出る。夕方の体育館は、若人がスポーツや活動を通じて友情を深め、成長する場として、その活気に満ちた姿が輝いていた。
だが、今日はそんな青春の記憶の残りそうな雰囲気ではなく、空気は緊張感に満ちる。
集結した風紀委員のモブちゃんたちは緊張した表情で武器を手に取り、開始の合図を待っている。高鳴る心臓の鼓動がこちらまで聞こえてくるようだ。
向かいには、
前の方で待機しているモブちゃんなんて、マシンガンを握りしめてはいるものの内股で泣きそうである。もはや覇王色の覇気じゃん。
他の人が慌てているのを見ると、自分はむしろ落ち着いてくるもので。
頭で何十通りもの戦法をシミュレーションしながらも、僕は委員長室での先ほどのやりとりを思い出していた。
■
「これで全員ね?」
集合した僕、チナツ、イオリを見渡しつつ、厳かな雰囲気で委員長は告げる、
今日はいよいよ定期訓練の日。以前温泉開発部(+便利屋)にボコボコにやられてからは初めての訓練だ。
しばらく時間は経つが、あの屈辱的な経験はモブちゃん含め皆忘れられなかったようで。
イオリは業務時間外になっても射撃訓練場に足を運んだり、持久力を上げるために運動場をひたすら走り回ったりと、並々ならぬ特訓を重ねてきたのを見ている。
「ちゃんとイオリもいますね?」
「ちょっとアコちゃん!なんで私なんだよ!」
「いや、我々で何かあると言ったらイオリじゃないですか。この前も落とし穴にハマって抜けだせなくなってましたし」
「くっ、事実だから何も言い返せないのが悔しい!!」
彼女は図星だったのが恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしながらこちらをにらんできた。
あんまり可愛いことをするなよ。足舐めるぞ。
「委員長、医療部含め全員訓練の準備が完了しました。指示をお願いします」
かく言うチナツだって、戦場で素早く医療支援に取り組めるようセナ部長のところまで技術を教わりに行ったり、万が一自分が戦術指揮を執ることになっても困らないよう僕のところに相談しにきたりもした。
生真面目かつ一人で抱え込みがちな彼女が他の人に教えを請う光景を見て、後輩の成長が感じられて大変嬉しく思うのと同時に、そんな彼女を変えるほどの敗北を体験させてしまったという事実がのしかかる。
…うん、今度は絶対にあんな思いはさせない。
「分かった。今回の訓練は、アコが指揮する風紀委員達を私が相手取る形で行う。皆の頑張りはアコから聞いてるわ。全力で来なさい」
以前よりも少し柔らかくなった委員長の言葉尻に一同がざわめくが、すぐに真剣な眼差しとなった委員長の気迫に応えるようにこちらも士気を上げる。
イオリなんて「私の本気を見せてやるよ!委員長!」なんて意気込んで部屋を飛び出して行ってしまった。続いてチナツや指揮系統を支えるモブちゃんたちも部屋からぞろぞろと出て行く。
…僕もそろそろ訓練場所の体育館に向かおう。
そう思って足を動かし始めたとき、委員長から小さな声で呼び止められた。
振り返ると、探るような表情で、けれど少しだけもじもじしながらこちらを見つめる委員長。えっと、何を言われるんだろう…?
伝える勇気を振り絞り、最終的に彼女はため息をつきながら口を開いた。
「……アコ。元々後方で指示していた貴方が、どうしてあのとき戦場にいたのかは分からない。でも、指揮官が戦場に来ちゃいけないなんてルールはないわ」
「移り変わる戦場で指示をタイムラグなく出せるのは大きな強みになる。尤も、そんな芸当が出来る人はキヴォトス広しといえどほとんどいないのだけれど」
確かに、そんなこと出来る生徒はほとんどいなかった気がする。
確かに例に挙げた生徒が属するグループは、どこも頭一つ抜けて強そうに描写されていた気がする。僕が彼女たちみたく戦場でも判断を下せるようになれば、委員長抜きなら風紀委員は余裕とかいう散々な評価は払拭出来るようになるだろう。
「…そうですね。委員長と並んで歩くには、まずは形から。といったところでしょうか。当然まだまだ未熟ですが、全力で戦います」
僕はキメ顔をしながら彼女に返事をする。
だが、彼女は足元を見つめ、更にもじもじとしながら、言葉をつまらせた。指先で髪をかき上げ、口を開いては閉じ、何度もためらいながら迷う様子が見て取れた。目は地面に釘付けになり、まるでそこから逃れようとするかのように、ひらひらと眼を動かしていた。
やがて決心したように顔を上げ、再び口を開く。
「えぇ。貴方の覚悟、受け取ったわ。私もわかりやすい言葉を使った方が良かったわね。…期待しているわ、アコ」
■
近くに立っていたイオリが弾倉に弾丸を補填する音で意識を戻す。
委員長と残り全員でも、その実力差は当然すさまじい。しかし委員長に期待されているわけだ、情けない姿は見せられない。
静寂が支配していた。空気は重く、不穏な静けさが体育館を覆いつくしている。
モブちゃんたちは、緊張感を帯びた表情で待機していた。彼女らの目は前方を見つめ、神経を研ぎ澄ませていた。誰もが自分の内側で戦の恐怖と興奮が渦巻いているのを感じる。
武器が煌めき、装備の重厚感が伝わってくる。鼓動が早まり、血液が熱を帯びる中、彼女らは待ち受ける。それはまるで時が止まったかのように感じられ、全てがこの一瞬に集約されているかのようだった。そして、その静けさの中で、破壊の嵐が迫りくるのを感じ取る。
「戦闘開始の宣言をしてちょうだい。アコ」
小さな体の何倍もある羽を広げ、デストロイヤーを構える委員長。
少し離れていても威圧感がビンビンで、まるで魔王でも相手するかのよう。
改めて戦場全体に目を向ける。
現在体育館の中にはa班、b班、c班の3部隊が待機しており、気絶もしくは戦闘不能になった委員が一定数を超えた部隊から下がらせてチナツと医療部に任せる。
それと交代する形式で後方から補充部隊を随時投入する。これが風紀委員の戦闘の定石。
でも、委員長の愛銃デストロイヤーは射程範囲が扇形状と広く、
…それなら、1つの部隊を広く配置してEXスキルで全てが範囲内に入らないようにすればすぐに部隊壊滅ということにはならないのでは?
多分委員長のことだから作戦に気づいてすぐに指揮系統を壊滅させるために銃撃を僕に集中させるだろうけど、そこは気合いで耐えれば問題ない。
ヨシ!穴のないかんぺき~な作戦だな!
「戦闘開始ィィィ!」
――それから30分ほど、体育館には鉄と火薬の匂いと、7コストの爆音が響き続けた。
■
「あ゛あ゛あ゛ぁ゛~゛~゛」
湯船に身を沈め、温泉の湯が体を包み込む。その暖かさが肌を包むと同時に心も癒していく。夜風が静かに吹き抜け、木々の葉がささやく音が聞こえる。
眼前に広がる夜空には、星空と
静寂の中、身を委ねて深呼吸すると、湯船から立ち上る温泉の湯気が星空に舞い上がる。心地よい温泉の浸かりながら、時間的にはもはや昨日の出来事になってしまった激戦に思いをはせた。
現在時刻は午前4時。ちょうど半日前に始まった定期訓練では委員長が文字通り一騎当千の戦いを魅せ、かなりの数の負傷者を出して終わった。
ある程度は委員長も手加減していたのか救急搬送レベルの負傷はなかったが、それでも日付が変わる直前まで医療部と救急医学部が奔走する羽目になってしまった。
本当にセナ部長と救急医学部員の面々には頭が上がらない。今度差し入れとか沢山持って行こ。
日付が変わってからは定期訓練で使用した備品とか弾薬とかの確認をし、爆速で書類にまとめたがもうこの時間になってしまった。
当然委員長のお手を煩わせないよう早めに帰ってもらっている。普段の委員長の睡眠時間は3時間だが、これからはせめて6時間は寝てもらうために僕が頑張るのだ。
早めに上がることに委員長は抵抗感を感じていたようだが、睡眠時間の確保は大切なので駄々をこねて帰らせた。
というわけで徹夜が確定しているため、こうして眠気覚ましと疲労回復のために郊外の温泉まで来ている。
髪がお湯についてしまわないように注意して肩まで浸かっていると、突然後ろから何者かが近づいてくる気配が感じられた。
「あら、アコ行政官。偶然ですね。…行政官も、こちらの温泉をご存じでしたか」
程よく高くも、しっとりとした声色。風紀委員会1年「火宮チナツ」である。
今回の訓練ではチナツが実質的に戦場に出ることはなかったが、終始負傷者の治療に目を回していたことだろう。おそらく先ほどまで消耗品のチェックなどの為に起きていたはずだ。
だから疲労回復に効果があるとされるこの温泉を訪れたのだろう。近くにあった木製の桶でかけ湯を行い、僕のすぐ隣に浸かる。
「お疲れ様です、チナツ。…貴方も徹夜ですよね?キツかったら明日は休暇や病欠にして休んでも大丈夫ですよ?」
「そんなことしたら行政官が穴埋めに入るでしょう?ご自身も限界でしょうに。…と言いますか、行政官って戦闘センスあったんですね。倒れたイオリの銃を持って戦術指揮しながら戦い始めたときは、何かの冗談かと思いましたよ」
そうなのだ。直前に委員長が仰っていたように、戦闘しながらの指揮…っぽいことをしようという努力はした。
だが、アコの記憶含めてもほとんど体験したことのないことだったから、やはり上手くいかずにぐだぐだになってしまった。
最低限いつもの画面越しと同じぐらいの指揮は出来ていたと思っているが、それでもイオリやモブちゃんたちを最後まで立たせることは不可能だった。ここは要練習である。
不足したスナイパー狙撃手の数を補うためにイオリの銃を拾って応戦したけど、委員長という大きな壁は崩せず敗北。目の前は真っ白になった。
あまりの悔しさに、某シスターの長みたいな過酷顔をしながらお湯を眺めていると、ふと水面が小さく波打っていることに気づく。
何かと思いその元を辿ってみると根源はチナツのとても豊満なソレであった。
湯の中で揺れる膨らみは、水面に優美な波紋を生み出す。温泉の湯気が彼女の肌を包み、柔らかな蒸気が彼女の周りに広がっていく。
チナツは何かを言いながら目を閉じ、深い呼吸を続けながら心身を癒しているが、今の僕には何と言っているのか耳に入ってこなかった。
…言い忘れていたが、僕は大きい方が好みである。大きかったからアコが推しになったわけでは決してないのだが、ホーム画面に設定しているメモロビの所為で、何度過酷しそうになったことか*1。
この体になってからは、元の持ち主の癖を反映してか貧乳、というよりかヒナ委員長が性癖になったため、普段は大きな果実を見てもなんとも思わない。
だが、目前に広がるのは、温泉チナツのメモロビよりも更に年齢制限の上がった、女同士であることに油断してタオルなんて掛けていない裸体。
こんなの意識するなというのが無理な話である。
「行政官。行政官、聞いてますか?今回消費した物資の補充についてなんですが…」
上の空の僕を不審に思ったのか、怪訝そうな表情を浮かべながら近づきつつのぞき込んでくる。
生真面目な彼女らしく、温泉に波を立てないようゆっくりと。
だが、それによりお湯の抵抗を受けたお胸が無抵抗にゆさゆさ揺れ、僕は動揺して後ろにのけてしまった。
いや、だって大きすぎるんだもん。この子本当に高1か?デカすぎんだろ…その、見えちゃいけないところも丸見えだし。
退けるために移動したことで僕のお胸も揺れて、周囲に緩やかに波を立て始める。
向こうのお胸が生み出した波と同位相だったのか、合わさって更に大きな波となった。もうこれえっちな波の干渉じゃん。死刑でしょ。
…あぁ、駄目だ鼻血出そう。撤退、撤退です!
「ちょ、ちょっとのぼせてしまったようです。私は先に上がりますね」
身の危険を感じ、チナツを残して急いで外に出ようとするが、足元がふらつく。
熱気と湯気と興奮に包まれた中、視界はぼやけ、頭がくらくらした。チナツの声が遠く聞こえ、手探りで湯船から脱出しようとする。
やっとの思いで湯船から出ると、外の空気が顔に冷たく当たった。深呼吸をするが、まだふらつきが収まらない。
「行政官!?大丈夫ですか!?しっかりしてください!」
チナツの声が遠くから聞こえる。声を掛けられているのは分かるが、僕はただ頷くことしかできない。体調を整えるため、ゆっくりと外の風に当たりながら手を借りて歩く。
けれど、しだいに耳鳴りが激しくなり、頭がクラクラとする。最後には、意識が次第に遠のき、まるで深い眠りに沈むかのように感じられた。
■
「う、ぅ~…」
意識を取り戻すと、柔らかな物体に頭を乗せていることに気づく。うっすらと目を開けると、視界の半分が双丘に埋め尽くされているのが分かった。うぉ、デッカ…
この大きさはおそらくチナツだろう。おっπ検定3級の僕が言うのだから間違いない。
「あっ、風紀の行政官起きたよ!!部長、来てきてー!」
「おや、お目覚めかな?破廉恥なお嬢さん?」
…ッ!
予想とは違うが、聞き覚えのある声を聞いて飛び起き、距離をとる。
だが、それらの声は、本来こんな場所で聞くはずのないものだった。
「貴方たち、どうしてここにッ!」
「うぅ~そんなに大きな声出さないで~。まだ体調悪いの?ゴリゴリ君食べる?」
そう言って、のんきに爽やかな青色の包を取り出す、温泉開発部副部長の「下倉メグ」。
とっさに銃を取り出そうと腰のホルスターに手を回すが、ない。
温泉に入っていたことを完全に失念していた。
あたりを見渡すが、どうやらここは脱衣所のよう。浴衣こそ着せられているものの、それ以外に身につけているものは一切なかった。
「部長が挨拶したいって言うから探してたんだけど、たまたま脱出した近くにいて良かったよ!」
「チナツちゃんは車に救急セットを取りに行ったようだぞ。ここのフロントは無人だし、騒いでも何にもならない。おとなしくしたまえ、アコ行政官?」
したり顔でこちらを見つめる2人。昨日の訓練中だって決して特別牢の警備は手薄にしたつもりなんて無かったが、完全にしてやられたらしい。
もしここで情報部に連絡して応援を呼べたところで、ここはゲヘナ学園から少し離れた場所だし、そもそも訓練で負傷している人が多いため動けないだろう。これは詰みか…
「…なんですか?勝利の優越感に従って、挑発でもしに来たんですか?」
やられた悔しさが胸を突き抜けるように広がり、目をキッと細めて相手をにらみつける。
そんな僕の態度をはねのけるように、変わらず余裕そうな表情のまま得意げに口を開いた。
「いや、私は感謝を告げにきたのだよ。行政官、貴方は最後に私を庇ってくれただろう?」
「…それは貴方が可哀想に思っただけですよ。まさか、あれも演技だったって言うんですか?」
「そんなまさか。本当に心の底から怖かったさ。だからこそ、止めてくれた君を女神かと思ったし、同時に君と理解し合えないことが悲しい」
…?
なんだ?また仲間に引き入れようとしてるのか?
そんな風に邪推してしまうが、彼女はいつもとは違い重々しく口を開く。
「…聡明な行政官様は、キヴォトスに昔から伝わる七つの古則の2番目はご存じかな?」
「…確か、『理解出来ないものを通じて、私達は理解することが出来るのか』でしたっけ」
「ハーハッハッハ、その通りだ!そして分かっていると思うが、これには目的語がないから文としては不十分だな!」
えっ、何急に?というか七つの古則は、連邦生徒会とか、各学校の生徒会に近い組織の間でしか伝わっていない。少なくとも一般の生徒が知れるようなことではないはずだ。
この人どうして知ってるの?どっかから情報盗んだ?
どんどんこの人のことが分からなくなってくる。もしかして結構頭良い系の人なの?
というかゲームで遊んだころも「七つの古則」とかその辺は良く分からないし、出来ればこの話やめてほしいんだけど…
内心ドキドキしている僕の気持ちを置いて、カスミ部長は淡々と続ける。
「ゲヘナにおいて、文の情報量は少なくすることが美徳である。故に、目的語は『それ』等の指示語であると推測され、示す内容は文中の『理解出来ないもの』という説があるな」
「文の全体としては、『理解出来ないものを通して、私達はそれ(理解出来ないもの)を理解することが出来るのか』。一見すると、対象への熱狂的な興味を表す文です」
「そうだ。だが、この文は「出来るのか?」という疑問形式で終わっている。この古則が作られたとされる時代のキヴォトス史、特にゲヘナ史の文法に当てはめて考えると、特定の接続助詞などが無い場合は基本的に反語表現になる」
「つまり、文章の最後に「いや、出来ない」が入る。これによって、文の内容は『外への興味・関心』から『内への驕慢・独尊』に変化する。これは、ゲヘナ行動論理哲学でも有名な話ですね。だからこそこの地で生まれたのは、他者への理解を拒み、自分を押し通す「自由と混沌」。…古則の引用なんてしてまで、自らの正当性でも主張したいんですか?」
すらすらと
…えっ、そうなの?アコが既に理解しているから僕も簡単に飲み込むことができたけど、1人だったら絶対こんなの分からなかったと思う。
確か最終編でリンちゃんと連邦生徒会長の会話の中では、目的語は「
「いや、そんなつもりは毛頭ない。だが、ゲヘナで君みたく独特の答えを持っている人は初めてお目にかかってな。推測するに、君はこれを反語だと思ってないのだろう?流石に目的語までは分からないが」
「…そうですね。私は反語ではなく、純粋な
相手の思想が理解出来ないから、排斥する。歴史上の宗教戦争とかだって、こんな理由だろう。
ゲヘナの大多数、下手すりゃ風紀委員会だってそうなのかも知れない。正しさの押し付け合いだ。
でも、1人の風紀委員として、問題児達には
「そうだ。風紀のお嬢さんは、こちらを理解できないものと決めつけなかった。最後まで握手を求めてくれたな。…ハーハッハッハ!面白い人だ!」
「…でしたら、貴方が握り返してくれれば良いのでは?」
「んむ、君のまねごとをして、独房の中でそちらを理解しようとはしたさ。だが、駄目だった。そっちの目線では私達は悪!それが理解出来ただけだったよ」
えっ、じゃあ交渉決裂?僕はただ「ふっ、おもしれー女」ってされただけ?
いや、確かにアコちゃんは面白女枠だけど、結局倫理教育失敗した?
相変わらず白衣の萌え袖をぷらぷらと振り回しながら、心底愉快そうな表情で続けた。
「だが、お嬢さんの言う通り、人の迷惑にならないように…そうだな、「風紀委員」の迷惑にならない場所で開発は続けさせてもらおう!」
「結局やるんですね…せめて、他学園の管轄の土地でやらないで下さいね。謝りに行くのは風紀委員なんですよ!」
学園間の争いというのは現代で言うところの国家間の諍いみたいなもので、本当に処理が面倒だからしないでほしい。
「もし管轄地域内だったとしても、ひっ捕まえて拘束ぐらいはします。…お説教は委員長に頼みますよ」
すると記憶が蘇ったのか、すぐに頭を抱えて顔を真っ青にしてカスミ部長は訴える。
「ヒィッ…で、出来れば風紀委員長を呼ぶのは勘弁してもらえないか?」
「部長~!難しいお話終わった~?そろそろお迎えが到着するよ~!!」
いつの間にかスマホで連絡を取っていたメグが、フラッシュバックでうずくまるカスミ部長を抱えて温泉の方に走り出した。
どうやら仲間が近くに来ているようで、温泉の仕切りの向こうで車が停まる音がする。
ここで頑張れば動きを止めるぐらいは出来そうだが、流石に武装なしの状況で数まで揃えられたら敵わない。
戦闘になったとしても、そろそろ戻ってくるチナツまで巻きこまれたら大変だ。彼女だって疲労してるだろうし。
(チナツが救急バッグを持って戻ってくるまでの間に、2人は暁の暗闇に消えていった)
(脱走されたことの始末書を書かないといけないことにうんざりしながらも、チナツともう一度温泉に入ったときにはそんな感情は消え失せ脳内がピンク色に染まってしまった)
頑張ってゲヘナの倫理観に理由付けしようと思いましたが、作者の頭がついていきませんでした。オニイサンユルシテ…
主人公が風紀委員という都合上やむを得ず対立の構図が生まれますが、生徒の誰かを悪役にする意図は本当にないです。便利屋も美食も温泉もえっちだから好き