学園祭でスクールアイドルサクラコ様実装されたら印象激変するかも……、その前に投稿したかったので(書き溜め)ないです。
週1投稿くらいで続けられたらいいなって思ってます(希望)。
オリ主の外見情報が抜けていたので作品概要に追記しました。
サクラコ様の旧立ち絵が高校時の外見になります。
鏡を見たら銀髪の美ロリがいた。
何を言っているのかわからないかもしれないが、ハッとして意識を取り戻した時、姿見の鏡一面に映る美ロリが視界を埋め尽くしていたのだ。
ぱっちりアーモンド型の目元にピンクトルマリンの瞳。
線が細くてタマゴ型の将来美人になりそうな輪郭。
あと後頭部に光の輪っか。
輪っか?と思い背後を見上げるも、そこにあるのはむき出しの蛍光灯ではなく、歯医者の待合室(気持ちリラックス空間仕様)で見たシーリングファンライトの豪華版がゆったりと羽根を回すのみ。
もう一度鏡を見る。
横顔を見ても、シャフ度で見ても、メンチを切っても、あごひげ剃りポジションでも、なんならシッポを追い回す駄犬みたいにクルクル回っても後頭部の天使の輪っかは変わらずそこにあった。
自分は男子高校生だったはずなのに、気がつけば話しかけるだけで事案な小学校低学年とおぼしき美ロリに大変身。学生向けワンルームではなく広々とした調度品がお高そうな部屋にいて、ユニクロ服は子供用シスター服に不等価交換、終いに明らかに人間用ではない丸型蛍光灯。
なぜ?とか、誰?とかいう以前に。
「これってブルアカじゃん*1」
転生したらブルアカだった。
説明しよう!
ブルーアーカイブ(通称ブルアカ)とは、女子高生✕銃器な青春ストーリーを展開するスマホゲーである。
銃弾を「いったーい、痕が残っちゃう」*2で済ませる女子高生型戦車みたいな連中が借金返済のために銀行強盗*3したり、未成年略取誘拐の濡れ衣を着せ*4たり、助けを求める相手に脚を舐めさせ*5たりする。
透き通るような世界観という謳い文句はどこ行った、と言いたくなるような話だが、それでいて最後は大団円になるから面白い。
面白すぎてメインストーリーのVol2まで一気して、帰宅中にイベントシナリオを読みながら自転車こいでたらうっかり転生してしまったくらいだ。死因じゃねぇか。
「オウカ、先ほど物音がしましたが何か捜し物ですか。
皆さんを待たせてしまっています、支度は済みましたか?」
「はいっ、お姉さま!」
部屋に入ってきた少女の声に、自分でも驚くほど喜色満面な声が出た。
どうも幼女として生きてきた条件反射なのか、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた瞬間に頬が熱を持ち、瓜二つの少女が視界に入るやパタパタ近づいてゆく。
自分の身体が勝手に動いて落ち着かないような、でも当然と受け入れているような、不思議な感覚だ。
自分が二人いるというより、ひとりの自分に2つのルーツがあって別々の反応を示しているような、左右の手で四角形と三角形を同時に書いているような、そんな感じ。
ただ、目の前に立った姉に前髪を梳いてもらうのが心地よくて、幼女としての自分が手櫛の感覚を味わいたいがためにわざと手抜きするぐらいお姉さま大好きっ娘であることは間違いない。
ざっと視線を全身に巡らせた『お姉さま』は、手早く衣装を整えてくれる。バタバタしたせいであちこちめくれたりシワが寄ったりしたシスター服が、なんということでしょう。またたく間に晴れ着特有のキラキラオーラを放ちはじめたではありませんか。
リボンの両端をピンと張るコツとか説明しながら実演してくれるんだけど、全く真似できる気がしない。
幼女としての記憶が正しければお姉さまは一つしか歳が違わないはずなんだけど、え?来年までにこれマスターしないといけないの?
無理でしょ淑女教育。中身の半分男子高校生だもん。
「今日の主役はオウカです。身嗜みはきちんとしなくてはいけませんよ」
「はいっ」
「本来オウカにはまだ早いですが、今のうちに私の友人たちとの『顔合わせ』ができるのは良い事です。何故か*6上級生との縁に恵まれませんでしたが、この機会にオウカのことをよく『覚えて』もらいましょう」
「はい……?」
わずかに引っかかりを覚えるも、お姉さまに手を引かれて部屋を出る。
道すがら*7お姉さまから聞くところによると、
・今日はオウカのお誕生日会
・お姉さまのお友達もみんな自主的に参加を希望して祝ってくれる
・オウカの同級生たちも招待するので、せっかくだからと上級生の先輩方が手ずから紅茶や手作りのお菓子を下級生たちに振る舞ってくれる
・お姉さまの仕切りで準備から先輩方がすべて手配することになり、これも経験と大人は手を出さず子供たちだけの集まりになった
・なので今日のお誕生日会に保護者は出席せず、子供だけでゆっくりと『お話し』して、学年の垣根を越えて『仲良く』なろう
という主旨のパーティーがこれから開かれる。聞いているうちにオウカの記憶が浮かんできた。ウキウキ気分でおめかしする自分が恥ずかしいような、でも嬉しいような楽しみなような。
まあ、それはいいとしよう。いいとして、だ。
……気のせいだろうか、だんだんと話の流れというか、質の悪いグルーミングの手口を聞いているような。オウカの記憶にある大好きなお姉さまがそんなことをするとは思えないんだが、令和知識のせいかはたまた教会勢力の胡散臭いイメージのせいか、そうとしか思えなくなってくる。
信じていいんですよね?お姉さま。
仰げばそこには、目元に暗い影を落とし暗黒微笑*8を浮かべたお姉さま。
……信じていいんですよね??
お姉さまに連れられてやって来たパーティー会場。一般住宅には絶対不要なだだっ広いホールは、子供らしい手作りの装飾で彩られている。並べられたテーブルの中央には色とりどりのクッキーやスコーン、お茶菓子の数々が立体的に盛り付けられた英国3段式岡持ち*9みたいなのがデン!と鎮座し、同級生や下級生たちはその身を包むシスター服にあるまじき欲望の眼差しをキラキラさせていた。
一方で、
「ご苦労さまです、皆さん。準備はよろしいですか?」
『は、はい!もちろんですサクラコ様!』
上級生の先輩方の様子はおっかなびっくり。
お姉さまのご機嫌を伺い、ニコリとすれば背筋を張り、喉を震わせれば共振して増幅して全身を震わせている。
声を揃えての全身パイプオルガン芸に、下級生組はこてんと首を傾げて顔を見合わせる。
お姉さまは会場を見回すと満足げに頷いた。
「よろしいようですね」
よろしくないんだが???
なんだこれは。せっかくのお誕生日会が、ひどい有様じゃないか。普通こういうホールは照明の配置に気を使って設計されている。どの方向を向いても顔に影が差すはずがないのに、お姉さまは直立しているのに目元に影が差し。暗黒微笑*10を振りまかれた先輩方は俯きがちで目元が暗い。
今日のために集まって会場準備までしてくれたみんなには悪いが、これではとても誕生した日を祝うどころではない。ムードがお通夜。はじめはキラキラおわりはどんより、これなーんだ?ってか?
答えは大コケしたお誕生日会です。正解者には鉛玉一年分をプレゼント。来年もまた挑戦してね!
クソわよ。学校の記憶に思い当たるものがあったが、上級生ほど「歌住サクラコの妹です」と名乗ると顔色を悪くした。それとなく距離を置かれるようになり、今日まで交流の機会を持てなかったのはそのせいだろう。本来教会関係の家に産まれた子女なら折々の行事で親交を深めるはずが、シスターフッド所属生徒の間で聞こえてくるのはお姉さまの恐ろしげな噂の数々。おかげで姉を持つ同級生や教師陣の視線にオウカは苦労していた。
実際のお姉さまを知っている歌住オウカとしては信じ難いことだが、学年問わず、子供も大人もお姉さまを恐れている。一体どうしたら、あの優しくて穏やかなお姉さまが単身で学校を震撼させる魔王と化すのか理解不能だった。
魔王。その単語ではたと気がつく。
ブルーアーカイブのメインストーリーVol2で中心人物となったのは、世界を滅ぼす魔王として生み出され、勇者となることを望んだ少女アリスだった。
その他に重要人物を挙げて役割を割り振ると、
主人公 モモイ
敵役 リオ
黒幕? ケイ
となる。これはごく単純化した構図だが、Vol1でも同じように、ヒロインおじさん、主人公先生、敵役CEO、黒幕黒服と言うことができる。
そして、前世で読むことが叶わなかったメインストーリーVol3『エデン条約編』。そのタイトルからして宗教関係なのは間違いないだろう。歌住家がエデン条約編の舞台となるトリニティ総合学園の自治領にあることも無関係ではないはずだ。
そしてここに、歌住オウカという転生者が入る余地があるとすれば。周囲にやたら疑われるお姉さまが主要人物なのではないか。そうだとすれば、その役割とは。
あの暗黒微笑を見るに、ヒロインは無い。
主人公はもっとない。
では敵役かといえば、教会のシスターがストーリーの序盤から中盤にかけて直接対立するというのは、ちょっと王道から外れるところ。
とすれば、黒幕に違いない。*11そう確信した。
教会勢力といえば暗躍であり、暗躍といえば教会勢力。これは異世界ファンタジーにおける鉄則であり、法則だ。ブルーアーカイブは日本のサブカル大好き外国人が作り上げた世界であり、そうすると『教会=暗躍』という等式を崩すはずがない。
そんな黒幕の妹に産まれた転生者がひとり。人格形成や目的意識が固まる前の幼少期から介入できる時期にそうと自覚したのは、姉の闇堕ちを回避するためなのではないか?
思えば、純真無垢な幼女として生きてきたオウカがこんなにも懐いているお姉さまだ。記憶にある限り悪いことをする女の子ではないし、きっと何かの誤解があって、それが原因で今後人格がねじ曲がるような出来事が起きてしまうに違いない。
そうと知れば、今日この日に覚醒したのはある種の分岐点だからと理解できた。ここでお姉さまに怯える上級生たちと交流を持ってしまうことが、下級生たちにまで誤解が広がる原因になるだろう。
ここで流れを変えられるかどうかで、お姉さまの未来は変わる。
「ではオウカ、はじめに皆さんに挨拶を」
まずはこの場のみんなに、お姉さまがどんな人なのか教えてあげよう。
お姉さまの素晴らしさを知ってもらえば、きっとわかってもらえるはずだ。
歌住サクラコは、決して怪しい人物などではないと!!*12
※ ※ ※
いや待ってほしい聞いてくれ。
お姉さまが闇堕ちしないよう頑張った、必死で頑張ったんだ。
家族仲が円満になるよう笑顔が溢れる素敵な家庭を演出し、少学校では周囲にお姉さまとの心温まるエピソードを語って聞かせ、シスターフッド初等部に蔓延する悪い噂を払拭するべく奔走した。
その結果、みんな口を揃えて「オウカ
何故だ……?*13
結局お姉さまの悪い噂を払拭する前に小学校を卒業されてしまい、中学校から寄宿舎に生活を移したことで距離が開いてしまった。
もちろん距離が離れてもできることはすべてした。毎日夜ふかししてテレビ電話でお話*14したり、週1でお手紙を書いて文通したり、たまの帰宅日にはハグでお出迎えした。
ただ、思い返せば心のどこかで「これだけ頑張れば大丈夫だろう」という甘い考えがあったのだろう。
それで何とかなるなら、とっくに問題は解決していたというのに。
既に手遅れだったと知ったのは、お姉さまを追って中等部に入学したその日。
式を終えてすぐにお姉さまと待ち合わせた教会の扉を開いた時。
「――付属中学校へようこそ、オウカ。
シスターフッド一同が歓迎します」
そこに待っていたのは、笑みを浮かべるお姉さまと、その両脇に並び頭を垂れたシスターフッド上級生の全員だった。
当然のように2年生であるお姉さまが代表として振る舞い、あの暗黒微笑が他のシスターたちを頭から抑えている。そのわかりやすい構図に込められた意図は明らかだ。
「初等部に居た頃はオウカに苦労をかけました。オウカの時間を私のために使わせてしまいましたね。
だから、中等部では活動を縛られないよう、よく『お話』して『仲良く』なったんです。
皆さん私にとても『良くして下さって』います」
中等部は既に制圧されていた。
もう、手遅れだったんだ。
ここまで約5000字ですが、ラノベ作家の方ってメモ帳率50%でも今回の話を30話分、3ヶ月に1度のペースでコンスタントに書くらしいですよ。
ここまで一週間かけた自分だと半年以上かかる計算ですね。
ラノベ作家ってすげー。