おじさんとショタと、たまに女装   作:味噌村 幸太郎

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7 友達が出来ない理由

 

 一人暮らしの野郎部屋。いや、汚部屋を見て絶句する航太。

 

「まあ、男の家なんてこんなもんだろ……」

「男とか関係ないじゃん! こんな不衛生な家に住んでいて、病気にならないの?」

 

 酷い言いようだな。

 

「別に問題ないが」

「えぇ……オレ、見ているだけで鳥肌が立ってきた」

 

 彼の言葉にウソは無いようだ。その証拠に、細い腕にブツブツが浮かび上がっている。

 

「そんなに嫌なら、もう家から出ろよ」

「オレさ……許せないんだよね。キッチンをこんなに汚している家って」

 

 と指を差す方向には、シンクの中。

 カップ麺の容器をたくさん重ねているため、ちょっとしたタワーが出来そう。

 他にも、たまに調理したは良いが、後片付けが面倒くさくて、放置した鍋や皿。

 全てシンクに入れて、一ヶ月以上経っている。

 そのため、辺りにコバエがたくさん飛んでいた。

 

「こんなところでご飯を作ったり、食べていたら病気になるよ。ちょっと掃除させて!」

「いや……それはさすがに」

 

 悪いと思って止めに入るが、航太は既にスイッチが入ったようで。

 勝手にキッチンに立つと、スポンジと食器洗剤を両手に持つ。

 

「よし! 絶対に、キレイにしてやるぞっ!」

「……」

 

 ~それから、1時間後~

 

 いざ掃除を始めたは良いが、俺の持っていたスポンジでは使えないと言い始めて。

 一旦自宅に戻り、エプロンとゴム手袋、色んな洗剤をたくさん持ってきた。

 かなりの時間を掛けても、長年の汚れは落ちないようで、終始イライラしている。

 

 俺も最初は近くで立って見ていたが、いい加減疲れてきたので。

 航太には悪いが、畳に座り込み。ちゃぶ台の上に置いてあったノートパソコンを起動。

 原稿を書かせてもらっている。

 

 目の前で中学生の少年が、一生懸命に家事を頑張っているのだが……。

 今、書いている原稿は成年向けのマンガ原作だ。

 つまり、ゴリゴリのエロ小説。

 エロマンガはオムニバスの作品が多いけど、俺の場合一つのシリーズが人気で。

 そればかり書いている。

 

『ムチムチ、コスプレイヤー』というシリーズだ。

 

 豊満な身体を持て余す女子大生が、コスプレして集団のオタクに囲まれるという……ゲス作品。

 だが意外に読者は多く、よく編集部からこれを書いてくれと頼まれる。

 何が良いのか、さっぱり分からない。

 

 今も作中で、チャイナドレスを着たヒロインを、めちゃくちゃにしている……が。

 もう書き飽きた。

 元々は、ライトノベル作家志望だったのに。

 

「おっさん! 終わったよ、ピカピカになった!」

 

 急に航太が目の前に現れたから、びっくりして書いていた文章を三行ほど消してしまった。

 

「うわっ……ど、どうした?」

 

 未成年には見せていけないと、急いでノートパソコンを折りたたむ。

 

「キッチンだよ。見て、オレの力でピカピカだから!」

「ああ、そうだったな」

 

 原稿に夢中で忘れていた。

 だが航太の言っていることは、間違いない。

 いや、それ以上の仕上がりだ。

 アパートに引っ越してきた時よりも、綺麗になっている。

 その輝きで眩しいほど。

 

「すごいな……これ、本当にお前がやったのか?」

「うん、オレ。家事とか大好きだし、得意だもん」

「そうなのか?」

「だって母ちゃんは、いつも家にいなかったし。ばあちゃんが色々と教えてくれて、料理とか掃除は大好きなんだ!」

 

 照れくさそうに、鼻の下を人差し指でこする。

 

「ばあちゃん? 今は一緒に住んでないのか?」

「うん……もう死んじゃった。だからオレと母ちゃんで、二人暮らしなんだ。母ちゃん、男ぐせ悪いから、しょっちゅうトラブルになって、引っ越してばかりだけど」

「そういうことか」

 

 確かに母親の綾さん、美人だからモテそうだよな。

 しかし、その母親のせいでこいつも苦労してるってわけか。

 ひょっとして友達がいない、という理由もそれが原因か?

 

「ところで、おっさん」

「ん? どうした?」

「この部屋、見ていたら鳥肌が止まらないから、全部片づけていい?」

 

 と大きな瞳を輝かせる。

 

「まあ……それで航太の気が済むのなら」

「やった! こういう、だらしない大人を見ているとイライラするんだよね。ばあちゃんの言う通りだ!」

 

 航太のばあちゃん、なんかごめんなさい。

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