【完結】一途なシドー君とノンケのビルド君   作:夜桜百花

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クリエちゃんは鬼畜姉御

 

ビルド

大きいだけなんてナンセンス!やっぱり形と感触だよね~童貞だから触ったことないけど。

 

シドー

ビルドなら表皮の細胞でも抜ける。

 

ルル

おっぱいもいいけど,やっぱりシチュエーションが大切だと思うのよね!

 

???

(男が男に)雄っぱい(まさぐられるの)最高だろうがよぉ!!あ,私はそこに介入する気はないです。解釈違いなんで。

 

 

 

 

 

嫌な予感がする。青の開拓地で教会の建築を行っていた時,僕は背筋に悪寒が走るのを感じた。唐突だな。敵が来ないようにちゃんと対策もしているし,何も起こりっこないはずなのに。でも,こういう時の悪い予感ってやつは大抵の場合当たるもんだ。

 

何となくそわそわとしながら周囲を見渡す。でも周りにはシドー含めて人っ子一人いないしモンスターも見当たらない。何も起こりそうにないのでとりあえず建築を再開することにした。

 

今回の依頼人はミトだ。からっぽ島TOP5の美女にも数えられている彼女の依頼は,できる限り手早く済ませないと不要なやっかみを生み出す可能性が高い事を僕は今までの経験から知っている。上半身ほぼ裸の露出狂を筆頭にして,・・・

 

・・・あれ,この表現だと該当者が多過ぎるな。特に筋肉だるま共とか。変態上裸漢が島民の3割以上を占めているってどういう事なんだろうか。なんだよ,なんでこの島は変態ばっかり住み着くんだよ!あ,呼んだの僕だったわ!!

 

よし,言い方を変えよう。クソだサベルトの元破壊神を筆頭にミトファンの男どもが嫉妬の炎で僕を火炙りにしようとした事があるから早く済ませるが勝ちなのだ。

 

・・・まぁシドーだけは嫉妬の質が違うんだけど。でもあいつが一番たちが悪いんだよ。ヤンデレ化しそうになるから。やめようよ,この二次創作は完全なギャグテイストで売ってるんだ。ヤンデレ破壊神とかR-18とかメリーバッドエンドとかは,もっと才能ある他の人たちが生み出してくれるからさ。

 

え?元破壊神だけで伝わるからクソだサベルト情報はいらない?無駄にディスっただけ?毎日がエブリデイ,常に尻を狙われている僕にはこれくらい言う権利はあると思う。

 

知ってるか?あいつモノづくりできないとか言うくせに,衆道グッズだけはやたらと上手く作るんだぜ・・・?最近の新作は薬草を混ぜ込んだ“切れ痔とおさらば!ローション”らしい。主に赤の開拓地で大ヒットなんだとか。いろんな意味で知りたくなかったわ畜生。

 

閑話休題,と。嫌な予感を払拭するために関係ない事を考えすぎた。

 

仕事に集中しないと,それこそヤンデレコースだ。家までついてきてドアのカギ閉めた上で手足を拘束して犯されちゃう鉄板ヤンデレエンドを辿る事になっちゃう。というか同じ家だからストーカーもくそもないわ。

 

集中集中。全集中・建の呼吸~なんちゃって~と建築に励んでいると,僕の頭上を大きな影が覆った。あ,嫌な予感的中だ。

 

空を見上げると,風のマントを使って空を滑空する女の子のシルエットが見えた。どういうメカニズムかはわからないけど,真上に居るにも関わらずパンチラは一切ない。このシリーズはガチホモがメインの世界線だから,女の子のラッキースケベは解釈違いという事なのだろうか。

 

滑空しながらそのまま通り過ぎてくれればよかったのだが,頭上の少女はそのままマントを仕舞い込んだ。風のマントのおかげで滞空できていたのに,それを片付ければどうなるか?当然落ちてくる。

 

「親方!空から女の子が!」小さい頃に見た映画の中の少年が頭の中で叫んだ。誰だよ親方って。あ,この島では一応僕が親方だわ。

 

さあここで問題です。女の子は僕の真上にいます。そしてこのまま垂直に落下してきます。女の子はどこに落ちるでしょうか?・・・って言うまでもないだろ!僕の頭だよ!!

 

ド―――――ンと景気の良い音が響き,汗水流してビルドした建設途中の教会は儚く砕け散った。破壊と創造は紙一重とはいえ,こんな形の破壊は望んでいない。

 

「いたたた・・・。」

「久しぶりね,ビルド。」

「クリエ・・・。」

 

土埃に咳込みながら双子の姉弟・・・クリエを睨みつけると,クリエはさして悪びれもせずに挨拶をかましてきやがった。

 

僕とクリエは,ともにハーゴン教団に攫われてこの世界に迷い込んできた双子の姉弟だ。双子ではあるが,僕たちの性格ははっきり言って全く似ていない。基本にこにこへらへらとしている事なかれ主義な僕と違って,クリエは喜怒哀楽が激しいし,本能に忠実でそれ故にちょくちょくトラブルも引き起こす。それでも裏表もなくなんだかんだ律儀なその性格とモノづくりの腕前から,島民には信頼されている自慢の姉だ。だが,ここで言う本能とは,

 

「シドーに迫られてるんだって?どこまで許した?B?C?」

「例えが古いよ・・・それに僕シドーと付き合う気も突き合う気もないから。」

 

腐女子としての本能を指す。こいつは年端もいかない子供の頃から腐に目覚め,イラストや小説,果てはグッズまで数々の妄想ホモを生み出してきた生粋の腐女子だ。僕たちの実家は代々名のあるビルダーを輩出する名家として知られていたから,人前ではTPOを弁えていた事は本当に不幸中の幸いだと思う。クリエ曰く,「腐女子に最も求められる資質は場の空気を読み,嗜好の異なる人に自身の趣味を押し付けない事よ」らしい。彼女がそのモットーを掲げていなければ,今頃僕も両親も取引先の貴族に対する不敬で打ち首になっていると思う。

 

とにかくこいつのホモへの欲求は恐ろしいものだった。元の世界に居た時に王様総攻めストーリーを考え始めた時は妄想だけでも流石に止めたし,こちらの世界で最終決戦前に,破壊神×ハーゴンの本を作成してモンスター相手に売りはじめた時は本気で縁を切ろうかと思った。僕がそういった知識に詳しいのは主にクリエのせいである。ちなみに本は完売した。

 

「何よ,教会の建築してるもんだから,てっきりあんたたちが挙式を挙げる事になったのかと思ったのに。」

「誤解も甚だしいよ・・・。」

 

教会を建築してるだけでなんで僕が結婚すると思ったんだよクリエ。DQの世界観では教会ってどっちかというと挙式よりもお祈りのために使われることが多いじゃん。相変わらず暴走列車の如く思考が突っ走る奴だなあ。

 

「これはミトさんに頼まれて建築してるんだよ。これを見てそんな勘違いする奴,お前くらいのもんだよ。」

「あらそう?あと3人は確実に居ると思うけど。」

「なんでそんなに具体的なんだよ・・・居る訳ないよそんな馬鹿。」

 

居てたまるかよ。そんな馬鹿お前だけで十分だよ。

 

ああこれが久しぶりに会った姉との会話か。あんまりじゃないか?

そう思っているとまたしても頭上から人が降って来た。さっきとの違いは作りかけの建築物を踏み付けることなく綺麗に避けてくれたところである。その思いやりが少し嬉しい。まあ,既に壊滅してるからあんまり変わらないんだけど。

 

「ビルド!!その協会!!ようやく俺とケッコンってやつをする気になってくれたんだな!?」

 

居たよそんな馬鹿。とりあえず1人。

 

「シドー・・・この教会はミトさんからの依頼だよ。お祈り用。挙式用じゃない。」

「あら,お祈りに使いながら挙式に使えばいいじゃない。それが嫌ってんなら私が盛大なウェディングチャペルを建築するわ。」

 

僕がいつも通りにさらりと訂正すると,身内の前では本能を抑えようとしないタイプの腐女子が口を挟んできた。おい余計な事言うな。

 

「お!ナイスだぞクリエ!ドレスも頼むな!」

「ちょっと話聞いて・・・。」

 

ほら見ろシドーが乗っかってくるに決まってるじゃないか。つーかドレスってどっちが着るの?うんごめん知ってる。聞かなくてもわかる。僕だよね?着ないからね?大事なもの失いそうだし。というか話を聞いて。

 

「いいわよ。何人くらい招待する?どれくらいの大きさがいいかしら?」

「いや,だから・・・。」

「そりゃもう,島の全員が来れるくらいだ!」

 

勝手にどんどん進められていく会話。マズい,このままじゃ外堀埋められちゃう。というか本当に話聞いてよ2人とも,流石にキレそう。

 

「・・・もう!だからシドーと付き合う気なんかないんだってば!!」

 

話を一向に聞いてくれなくて思わずカッとなった僕の怒鳴り声に,2人がピシリと固まる。

 

あ,やばい。言い過ぎた。叫んだ瞬間に後悔の念が押し寄せてきた。顔の体温が下がるのを感じる,いくら何でも一途に想ってくれているシドーに対してあんまりな言い方をしてしまった。

 

「・・・そうか,悪かったな。」

 

傷ついたような表情を一瞬だけ見せるもすぐに笑顔になったシドーに,なんて返せばいいのかわからない。どうしよう・・・。

 

「あ,シドー・・・。」

「いや,いいんだ。気にするな!」

 

僕が言葉に詰まっている間に,そう言ってシドーはどこかへ走り去ってしまった。後には気まずい空気の僕とクリエだけが残る。

 

「・・・悪かったわビルド。ちょっと突っ走りすぎた。」

 

そう言って,あの天上天下唯我独尊の名を欲しいままにするクリエでさえ首を垂れて謝罪の言葉を口にした。そんな,確かにいい加減にしろとは思ったけど,きつい言い方をしてしまったのは僕なのに。

 

「いや,僕が怒鳴りすぎたんだ。」

「そうね。私たちが悪かったけれど・・・あの言い方はあんまりよ。シドーの気持ちも考えてあげて。」

「うん・・・。謝ってくるよ。」

 

そう言って僕はシドーを追いかけるために走り出した。

 

 

 

 

 

シドーは青の開拓地の特に開拓が進んでいる方角へと走っていった。そちらの方へと向かい,アネッサを始め色んな人に聞き込みをして回る。数々の証言を繋ぎ合わせたところによると,どうやらシドーはルルキャッスルに居るようだ。聞く人聞く人に「痴話喧嘩か」といった表情を向けられて目も当てられない。あとアネッサから,この島でリックを弔うために建てた墓にシドーの作ったローションをお供えしたと言われた時は純粋に反応に困った。彼女目線ではリックは受け攻めどちらなのだろうか。

 

ルルキャッスルの階段を駆け上がり,ルルの部屋へと急ぐ。尚,その際にそこら中に積み上げられている同人本はできるだけ視界に入れないようにしておく。

 

「ルル!」

「ビルド!!まったくもう・・・。」

 

ノックもせずに部屋を開けると,ルルは呆れ顔で僕を出迎えてくれた。桃色の髪は今日も綺麗にまとめ上げられており,肩のあたりで揺れている。

 

余談だが,クリエと出会って以降ルルも腐ってしまった。初めこそ「男同士なんて気持ち悪い!」と言っていたのに,今では同人サークルも主催している。腐女子の布教力とは恐ろしいものである。あ,「一部差別的表現をしてしまった事をお詫びします」って天の声が聴こえたよ。多分初めにルルが気持ち悪いと言っていたくだりの事だね。

 

「ごめん,シドーを見なかった?僕シドーに謝らないといけないんだ・・・。」

「来たわ。大体の事は聞いてる。鼻水垂らしながら泣いてたわよシドー。・・・ビルドが教会の建築を始めたのが窓から見えていたから,やっと挙式をするのかと思ったのに・・・。」

 

そんなに傷つけてしまっていたなんて・・・改めて後悔の念が湧き上がってきた。そんな僕を見てルルはもう一度ため息をつくと,「この城のシドー専用部屋に居るから,謝ってきなさいな。後悔しているんでしょ?」と言ってくれた。優しく諭されれば合わせる顔が無くて,僕は少し俯いてしまう。というか,言い出せる空気じゃないけど2人目の勘違い者発見したよ。

 

「あなたが何を考えてシドーの告白を断り続けているかなんて,ルルにはお見通しなんだから!とにかく今は行ってきなさい。シドーも許してくれるわよ。」

「ルル・・・ありがと。」

 

そう言って僕はシドーの部屋へと急ぐ。この城はクリエが建築したからあまり僕は詳しくないんだけど,それでも地図を見ればどこに部屋があるかは察しが付く。

 

僕が行った後の部屋でルルが呟いた言葉は,当然僕の耳には入ってこなかった。

 

「すれ違う2人の仲を取り持つポジション・・・役得だわ。神様破壊神様,ありがとう。」

 

 

 

 

 

「シドー!!!」

「ビルド!?」

 

僕が部屋に飛び込むと,シドーが驚いたように振り返ってこちらを見た。飛び込んだ勢いそのままにシドーに飛びつくと,僕の体重如きでシドーの体幹はびくともしないため(なんかくやしい)倒れ込むこともなく抱き留められた。首筋に顔をうずめれば,シドーの香りが鼻腔をくすぐる。

 

「・・・ビルド,どうしたんだよ?」

「シドー,ごめん。僕,シドーを傷つけたいわけじゃなかったんだ。シドーにそんな顔させたいわけじゃない。」

「だが,俺の求愛を断るってのは,嫌って事だろ?そう言われたら流石に傷つくぜ?」

 

正論を言われてしまい思わず口ごもった。それでも僕にできる事なんて1つしかない。できる限り正直に話さないと,気持ちを伝えないと。

 

「・・・そりゃ,付き合う事は・・・シドーの為にならないからできないけど,でも君と相棒で居たいから・・・。」

「・・・ほう?」

 

そう言うとシドーは抱き留めたままの僕の身体をベッドに寝かせ,優しく覆い被さってきた。イケメンに床ドンされて不覚にもときめいてしまう。是非そのスキルを女の子に使って頂きたいものである。

 

だが,優しい手つきとは裏腹に顔は苛立ちを隠そうともしていない。・・・こんな勝手なことを言って,やっぱり怒ってるよな・・・。

 

「お前は俺のためにならないからという理由で俺から逃げ続けていたのか?」

「え・・・それは,その・・・。」

 

予想外の方向から責められて,反応に遅れる。尚も言葉を続けるシドーの顔をまじまじと見つめれば目を逸らされた。照れているように見える。だが,少し逡巡した後に決意したように改めて見つめられた。

 

「俺の幸せは俺が決める。ビルドと共に居る事が俺の幸せなんだよ。他の女なんていらねぇ。」

「シドー・・・。」

「俺はビルドが好きだ。それだけじゃ,駄目なのか?お前をアイしてるんだ。そこに性別は重要なのか?」

 

そう言って優しく目を細められる。これを言われて落ちない奴が居るだろうか。

 

「シドー。僕は,僕は・・・。」

「お前と●●●して●●●●●●したいんだ。・・・今すぐ。」

「え?」

 

そう言ってするりと撫でられた股間。そう,そこには居るのさマイジュニア(倒置法)。反射的に身体が動いた。僕の右足がシドージュニアへと食い込む。

 

「ごめんまだ僕自分の尻を大切にしていたい!!!」

「ぉグゥッッッ!!!」

 

「俺の尊厳がぁ!!!」と痛みでのた打ち回るシドーを背に僕は部屋から逃走した。ごめんシドー!君にはもっといい人が居るはずだよ!少なくとも薬草ローションを使わなくてもいいような相手が!!!

 

―俺はビルドが好きだ。それだけじゃ,駄目なのか?―

頬が熱くなるのを止められない。

 

 

 

 

 

うっす,ポンペっす。今日は青の開拓地まで野菜を届けに来たっす。例の無理やり受粉させられたエロいキャベツをアネッサさんに引き渡すのが今回のミッションっすよ~。

歩いていると半壊した作りかけの教会が目に入ったっす。ビルドさんっすかね?

 

「やっぱり・・・シドーさんと挙式をあげるつもりなんすね・・・ホモっす・・・。」

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